近藤史恵のレビュー一覧
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添乗員として客を引率するゲームが思い浮かんだ。旅先で起きる予想外の事態、クレームに次々対処していく、というような。
海外という非日常で浮き彫りになる個人の価値観。いろいろなバックグラウンドの人が集まったときに起きるトラブル。
主人公は価値観も性格もバラバラな客に対して、あるときは共感し、あるときは憤慨しながらも心を込めて対応しており、とても好感が持てた。
文化による分断、性別や年齢による分断、職業格差による分断など、さまざまな形での分断が描かれていたように思う。
その分断の谷を飛び越えて別のカテゴリーの人にコミュニケーションを図るとき、別の世界が見える。そんなふうに受け取った。
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ネタバレ老犬ホー厶の話。
主人公は大学を出て就職したが馴染めず、会社を辞め、仕事を探して面接を何度も受けるのだが、声の小ささなどのせいで、採用されない。
そんななか、友人の紹介で、老犬ホームで住み込みで働くことになる。
犬の世話などしたことも無かったが、働くうちに徐々に慣れていく。主人公は自分に自信をつける。
そして、老犬ホーム ブランケットでなくてはならない存在となる。
老犬ホームは犬を飼えなくなってしまった人間のための施設。飼えなくなったら保健所に連れていくという選択肢しか無いことが多い現在では、老犬ホームというもうひとつの選択肢があることは素晴らしいことだと思います。こういう施設が増えて、悲 -
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モップ片手に清掃作業をしながら、謎を解くお手伝いをしていくキリコシリーズ第3弾。
キリコちゃんが今回もかわいく走り回る姿が目に浮かびます。毎話違うお仕事現場で起こる、基本些細なトラブルをそのお話の中の語り手主人公がキリコちゃんのアドバイスで解決。
ただキリコちゃんの絡み方はいろいろでしたね。
あくまでサポート的に入ってくる分、語り手登場人物の魅力もあって読みやすい!
1時間のドラマでワンクールできちゃうのでは、という1話1話がライトながらテーマが深くて、飽きることなくサクサクです。
あとがき がよかった。近藤史恵さんは
小説には予定調和は大切だと。ただ主人公だって悩んだり、迷ったりするも -
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近藤史恵さんの得意技
美味しそうな料理✖️ライトな日常トラブル➕犬
それが『みかんとひよどり』。
『ビストロ・パ・マル』や『カフェ・ルーズ』
みたいな居心地いいお店なんだろなぁ、の雰囲気をうまく残して、今作は[ジビエ]を使って食材へのリスペクトや食材加工に関する知識も増えちゃう作品です。
イノシシ、シカだけでなく、小鴨やヤマシギといった小さな鳥、そして今話題の『熊』までジビエとして登場。害獣駆除として狩猟が行われるがその命、無駄にしていいわけがない!しっかり食しないと申し訳がない、と読者に問う。
まさに今日食べたお肉だって、命を犠牲にしている。感謝をわすれてはいけない。
登場人物も毎度魅 -
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43歳、新聞記事の仲上はある日、妻から離婚を言い渡される…
妻が不満を溜め込んでいることには気づいていた
しかし忙しさにかまけ、話を聞き流してしまっていた
娘のことも妻に任せていれば大丈夫だと思っていた
そしてある日妻は娘と出て行った…
そして一年が経ち、荒んだ生活を送っていた仲上は一念発起し、山の上にある学校に通い始める
そこは男性だけが通う「家事学校」だった
家事の基本や調理実習を学んだり、他の生徒たちとのコミュニケーションを通し、
仲上は目の前にある大切なこと、自分の気持ちの変化に気づき始める…
家事ってなんだ?と聞かれたら、私は何て答えただろう…
「しなくてはいけないからやるもの… -
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近藤史恵さん読みたくなり、積読コーナーから
本作を選択。近藤さん初の警察小説とのこと。
タイトルである『狼の寓話』が
各章の始めにあり、現在パートが呼応するように描かれます。
新人デカ會川(あいかわ)と先輩刑事黒岩のタッグで、ある殺人事件を追っていきます。近藤史恵さんらしい、さらっと魅力的な人物がいい感じ。これは続編で深掘りしてほしいところ。
『黄泉路の犬 』という続編あるみたい。
大どんでん返しとか深いミステリはないけど、
サラサラと読めるのに、しっかりと読み手にその後の世界や寓話のテーマなど想像することを求める作風は病みつきになりますね。
あと何冊か近藤史恵さん積んでいるので
読ん