近藤史恵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
読んでいるうちにふっとジビエが食べたくなる。まずそこが強い。香りとか温度とか、肉の手触りまで伝わってくるようで、グルメ小説としても普通に面白い。
でも面白さは食欲だけじゃ終わらない。大高を含めた登場人物がそれぞれの人生を抱えていて、軽く見えて意外と重いところに踏み込んでくる。ジビエを「珍しいごちそう」として消費するんじゃなくて、食べる側の姿勢とか、命との距離感とか、そういう部分まで考えさせられるのが読み応えだった。
いろんな層を一つの物語にまとめて、ちゃんと深いところまで連れていく構成が見事で、読後に「いいもの読んだな」が残る。
特に刺さったのは、動物を殺して食べている以上、食べる自分た -
Posted by ブクログ
この作家さんの描く美味しいごはんと旅の話しが好きだ。
今回は異国へ旅と、美味しいごはんの短編集。
最初の旅はアムステルダム。
「遠くの縁側」というこの話し。
あれ、読んだことがあるぞ!
同じ本を2度読もうとしているのかと焦ったけど、以前に読んだ「おいしい旅 はじめて編」というアンソロジーに収録されていたから読んだことがあるんだと分かってひと安心。
1人旅の心細さを感じている時に、自動販売機で売られている熱々のコロッケを頬張ることで、だんだんと旅を楽しめるようになっていくこの話し。
再読して「やっぱり好きだなぁ」と思う。
もうひとつ、アイスランドに旅をする表題の「オーロラが見られなくても -
Posted by ブクログ
商店街にある小さなフレンチ・レストラン『ビストロ・パ・マル』が舞台。
シェフの三舟が、店の客の抱えるちょっとした謎や悩みを料理や食材をヒントに、するりと解き明かしていく、という連作短編集。会話多めで読みやすく、読後感もあたたかくてよかった。
フランス料理に全く詳しくない人間なので食べたことのない料理ばかりでしたが、本当においしそうに書かれていて、魅力的でした。味を想像しながら…ごくり。料理の雑学、豆知識が読んでいて楽しい。
日常ミステリーなので衝撃的な事件があるわけではないけれど、町医者だと思っていたら凄腕ドクターだった的な感じで、謎を的確に間違いなく解決し、皆がスッキリする展開が気持ちい -
Posted by ブクログ
ネタバレ「泣きたい午後のご褒美」の続き気分で読み出したが、今回はミステリー要素もあり、なかなか楽しい。
それぞれおもしろいのだが、秀逸だったのが、「ペンション・ワケアッテ」。
いやいや、日本語って奥深いとつくづく思う。
主人公は訳あり旅行に出てきて、なんだか感じ悪さMAXだったけど、いつの間にか前を向いていた。
一方的に別れを告げた男との唯一の繋がりの象徴である手紙を、愚かだと思いつつも大事にしてしまう切なさは伝わってくる。
だけど、一番大事な話を一方的に手紙で済ませようとしたつまらない男の幻想から目が覚めて、本当によかった。
どの作品も、とてもおいしそうなお夜食ばかり。
読んでいておいしくて楽し -
Posted by ブクログ
サクサク読めた。
私も英語圏以外の外国語学部で、留学して
世界をまだまだみたい!と思う若者だった。
アプローチは違うけど、気持ちは痛いほどわかる。
たまごの殻を割っても、割っても、多分何重にも殻があって
ちょっと暮らしてみたくらいじゃわからないカラもあるし
働いてみないとわからない殻もあるし
家庭を持って、こどもと育てないとわからないカラもあるし
きっとマトリョーシカみたいに、全部つるりと剥けることはない。
でもその土地に行って、空気を吸って
食事をして、スーパーに行ってみたりして。
そう言うことに、意味がある。
私の心を豊かにしてくれるって信じてる。
若者の、女性の生きにくさみたいな