スティーヴン・キングのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
複数巻の長編を平行に読破しよう月間。ほぼ消化。
上巻でほのめかされたとおり、2歳の息子が家の前の道路でトラックに撥ねられて亡くなってしまったルイス。頭にあるのは、猫のチャーチが謎の復活をしたペット霊園の奥のミクマク族の隠された丘の上…。
結構意外に思えるのが、下巻の大半は葛藤を描くことで費やされるのだ。もっと早く埋めて、家族の破滅でも来るのかと思いきや、驚くほどに焦らされる。それが良い意味で意外であった。
だいたい下巻(と言うか全編)を読んだ人の8割方は、悪魔と化したゲージとの死闘を記憶するのであろう。しかし、この本の面白さはそこではないと思うのだ。
自分でコントロールできる生き死に。 -
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ネタバレ読み終わった・・・。すべてが終ってしまった・・・。
全4巻という大長編に正直尻込みしていたのだが、手に取った瞬間から物語の世界に引き込まれてあっという間に読み終えてしまった。
かといって、いわゆる「さくさく読める」と言うのとはちょっと違う。やはり、キングの手によるグロテスクでおぞましいモンスターや惨劇の圧倒的な描写は、それでも一言一句読み飛ばすわけに行かない。どんなに目をそむけたくても、見届けなければいけないのだ。
少年時代のひと夏の冒険譚という意味では、解説でも指摘されているとおり「スタンド・バイ・ミー」だがそれだけではないのはご承知のとおり。デリーの町を恐怖で支配する――住民たちは -
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複数巻の長編を平行に読破しよう月間。継続中。
キングの代表作でもある作品。引越したら、家の裏に謎の「ペットの墓」があった。代々子どもたちによって管理されている墓の隠された秘密とは。
スティーブン・キングらしい、ホラー要素もあるけど、本題は別なんだよねという作品なので、まるっきり純文学のようである。ホラー(と言うか怪談)的要素は、事故で死んだ大学生、パスコーが瀕死で語りはじめる部分くらいで、あとは「死とは何かを納得させる」というのがテーマ。
上巻だけでも結構長く、一瞬出てくる「ペットの墓のほんとうの解釈」という話で切っても、それなりに良い作品だったのではないかと思う。そこからまたグイグイと -
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スティーヴン・キングの小説の魅力は視点となっている主要人物の独白体にある。従ってその魅惑は、通俗小説として批評家は取り上げようともしないものの、実際のところ太宰治やドストエフスキーなどに通じるものがあると言っていい。無意識的なリフレインの発作的反復を含んだその独白は、「意識の流れ」にも似ており、この独白体がもたらす読書体験は、物語内容世界と「意識」とが渾然一体となって、外部的事件と内因的心理推移との区別も消失した「夢」のような体験を実現する。
本作は一人称小説であるため視点は一人物に限定されているが、豊富な内容と多彩な変化が織り込まれているのはさすがである。スティーヴン・キングは何よりディテー -
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3冊を読み終え正直、大作には違いないのですが長すぎました。途中中弛みがあり、3冊目に至ってようやく先が見え始め、加速度が付いて読み終えた感じです。この小説は最後まで読まないと意味がありません。読後感は良かったです。作者の構想は40年あったということですから、膨大な資料に基づき作り上げた歴史的事実に沿った内容であるようです。(勿論、ケネディ暗殺の犯人は未だ謎ですが…)その時代の様子もかなり詳しく描写されています。それこそ古き良きアメリカ合衆国と言うべきなのでしょう。
タイムスリップする場所、兎の穴に立つイエローカードマンとグリーンカードマンの存在。バタフライ効果、過去を変えることが意味するものは -
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ダニーと、彼の持つ不思議な力“輝き”が中心に描かれているだけでなく、父親の心理描写も原作では多く描かれている。
アルコール中毒になった父親が、教師という仕事から離れざるを得なくなったことや、アルコールが原因で息子ダニーを傷つけてしまったことなどに悩み、後悔し、アルコールを断ち切ろうと努力するが、うまくいかない生活のためにアルコールに依存したくなり迷い葛藤する。
こういった描写がされているのは、キング自身がアルコール依存症であったからかもしれない。
物語のラストも映画と原作では随分異なっている。
映画では、ダニーに焦点が当てられていないため、ダニーを救おうと孤軍奮闘するハローランといった描写は -
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昔、小さい頃に観た映画「シャイニング」は衝撃だった。
エレベーターホールに流れ込む大量の血液、ぶち破ったドアから覗き込むジャック・ニコルソンのニヤリと笑う狂気あふれる顔、などなど。
映画史にもわたしの記憶にも刻みこまれる一作だった。
小さかったわたしは「シャイニング」というタイトルは、呪いとか恐怖といったようなものだと思っていた。
今ならわかるこのタイトルは“輝き”。
でも映画にはそのような要素は無かった。
何故あの映画が“輝き”なのだろう。
キングは映画を気に入っていなかったということも知ったため、もしかしたら映画と原作は内容に違いがあるのかもしれないと思った。それでも暫くは原作を読んでみ -
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