スティーヴン・キングのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ハリガンさんの方は、もし土葬された死者が携帯電話を持ったまま埋葬されたら、そしてそこに電話をかけたらどうなる?っていう現代なら一度は誰もが思ったことあるであろうモチーフの話。
チャックの方は映画とはラストシーンが違っているので要注意。一章でチャックの死が描かれており、そこから若き日にダンスを謳歌するチャックへと遡り、さらに幼少期の記憶、そして禁断の屋根裏で、自分の未来の姿…すなわち死の淵にいる自分を見るチャック。そして全てを受け入れるチャック。自暴自棄になるでもなく残りの人生を全力で楽しむチャック、命を謳歌する姿はすでに描かれている通り。死でさえその人の生きる一部。人生の晩年を生きているキングからの無言のメッセージなのかなぁと思いながら読みました。
最大のネタバラシは、あの世界の出来事が全てチャック一人の頭の中…脳腫瘍で分からなくなっていく頭の中で起きている出来事だということ。
ホラー作家の仕掛けここにありといった感じ。
味わい深かった。 -
Posted by ブクログ
・ハリガンさんの電話
反則ですが、先に映画見ちゃいました。よくできてて、本作の味わいが深まりました。良質なホラーだと思います。初めてiPhone持ったハリガンさんの先見の明に唸らされますね。ずっとドナルドサザーランドイメージして読んだし、こんなことほんとにあっあらな、と思いました。
・チャックの数奇な人生
もちろん映画先行、あまりに感動したので本作を手に取りました。それぞれが内側に世界を持ち、死は世界が丸ごと崩壊することというフレーズが忘れられません。私も毎日自分の世界を紡ぎ続ける、と改めて決意しました。サンキューー◯◯と言えるように。
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Posted by ブクログ
狙いを外さない殺し屋が、悪党だけを始末してきた自分に区切りをつけるため、最後の仕事は“作家”として潜伏する物語です。
原稿用紙に向かううち、過去の戦場や殺しの記憶が物語になって立ち上がり、クライム小説がいつの間にか「書くことで生き直す話」へ変わっていくのがたまらなかったです。
狙撃の緊張と、郊外での地味な生活、偶然出会う他者の痛みが同じ重さで描かれていて、乾いた暴力の匂いと、ふと差し込む優しさの温度差で何度も飲み込まれました。
反面、道中は寄り道も多く、展開が都合よく転がる瞬間もあるし、著者特有の長尺には体力は要りましたし、上巻の前振りの長さに少し退屈さを覚えました。
しかし、下巻での回収は素晴らしく、読む手が止まりませんでした。 -
Posted by ブクログ
狙いを外さない殺し屋が、悪党だけを始末してきた自分に区切りをつけるため、最後の仕事は“作家”として潜伏する物語です。
原稿用紙に向かううち、過去の戦場や殺しの記憶が物語になって立ち上がり、クライム小説がいつの間にか「書くことで生き直す話」へ変わっていくのがたまらなかったです。
狙撃の緊張と、郊外での地味な生活、偶然出会う他者の痛みが同じ重さで描かれていて、乾いた暴力の匂いと、ふと差し込む優しさの温度差で何度も飲み込まれました。
反面、道中は寄り道も多く、展開が都合よく転がる瞬間もあるし、著者特有の長尺には体力は要りましたし、上巻の前振りの長さに少し退屈さを覚えました。
しかし、下巻での回収は素晴らしく、読む手が止まりませんでした。 -
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ファンタジーが苦手な自分としてはこの直球すぎるタイトルに怯んだ。しかもコロナ禍で発表された作品で尚且つ著者75歳の時の作品。不安しかない。しかし、そこはキング!さすがというか、そんな年齢でなんでこんなに引き込まれる物語を描けるのか?特に最近のキングは凄まじい。とはいっても、まだ上巻だし、ストーリー的には異世界に入ってからの展開次第ではどうなるかわからないから油断は禁物。
登場人物としては、まず頑固な老人と老犬に主人公の高校生がからんでくるのだけれど、この犬がいい。こんな犬使うのずるい。泣ける。犬好きはいちころだ。主人公の青年もただただ清純な青年というわけではないところもいい。異世界に向かう動機がこの犬のためなのだけれど、ここは本当の犬好きからすると意見が分かれるところではないだろうか?キングのことだから意地悪な仕掛けが用意してあるのかもしれない。
ブラッドベリやラヴクラフトの作品や最近発掘して夢中になっているウールリッチの作品も出てきて楽しい。久々のダーク・ファンタジー。このままホラー・テイストを楽しみつつ下巻へ。 -
Posted by ブクログ
ケネディ暗殺を阻止するジェイクの物語も佳境を迎える下巻。元夫クレイトンにより顔に傷を負いふさぎ込むセイディーをジェイクの献身が癒し、あとはリー・H・オズワルドの凶行を止めるのかと思ったが、“時は変化することを嫌う”という原則から一時、ジェイクは記憶障害を伴う重症に陥ってしまう。しかしそれを乗り越えセイディーとともにケネディ暗殺を阻止するもセイディーはオズワルドの凶弾に斃れてしまう。そしてジェイクはセイディーとの愛のために再び兎の穴で過去をやり直そうとするも…。
ラストまで読むとジェイクの体験したこの5年とはいえ長大な旅路はまるでセイディーと“イン・ザ・ムード”を踊っていたかのようだと思える演出で、キングってやっぱり良いなと思った。文庫にして上中下巻合計1420ページの超長編だけど大満足な読書体験になった。 -
Posted by ブクログ
ジョン・F・ケネディ暗殺事件が起きるまでまだ3年以上ある1960年9月から幕が開ける中巻では、ジェイクは生活費を賄う必要からテキサス州ジョーディで作家志望の非常勤講師という立場で日々を過ごしながら、オズワルドの動向を追っていく。その過程で高校での演劇顧問をしたり、新任司書のセイディーとのロマンスだったり、未来から来たという秘密を打ち明けられないことからのすれ違いが描かれながら、ジェイクは過去に介入していく。これがどんなバタフライ・エフェクトをもたらすのか。ジェイクのドラマが本筋(ケネディ暗殺を阻止)にどう絡んでどんな結末になるかが先が気になる。
デ・モーレンシルトとオズワルドの会話の中でオズワルドが資本主義を憎むマルクス主義者であること、キューバに平和な社会主義の理想像を見ていたりすることが描かれている。そして、キューバを51番目の州にするためキューバを爆撃をするべきだと主張する右派政治家のウォーカー元少将の話や、ケネディがカストロ暗殺を企てているという話をするデ・モーレンシルトはオズワルドを教唆しているように描かれていて、事実が分からなくてもスリリングなシーンで、かつケネディ暗殺の背景や時代の空気を掴む上で重要なくだりだと思った。
ラブロマンスや友情といった人間関係を軸にしたエンタメ展開で読者を惹きつけながら、レッド・パージだったり、人種差別撤廃が社会主義者と結びついていることなど、それとなく社会や政治背景が語られており、ストーリーの厚みを生み出す作家の手腕は、さすがはスティーヴン・キングだ。