スティーヴン・キングのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
スティーヴン・キングの最新作。面白すぎました。
主人公はハイスクールに通うチャーリー少年。
キング作品ではおなじみの、アメリカの田舎町が舞台で、チャーリーの日常から物語はスタート。ある日「サイコハウス」と呼ばれる一軒家から、犬の悲痛な鳴き声が聞こえ、住人のミスター・ボウディッチが梯子から転落している姿を発見します。ここから、チャーリーとボウディッチ氏、そして老犬レイダーとの交友が始まります。
上巻はチャーリーの優しさ、そしてレイダーの可愛さを感じる内容ですが、ボウディッチ氏の過去が明らかになるあたりで、物語の様相が変化していきます。チャーリーはレイダーを救うために、異世界『エンピス』に行くこと -
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Posted by ブクログ
ネタバレダニーとアブラの出会いと、真結族との戦いが幕を開ける下巻。前作、シャイニングを『エイリアン』とするなら本作はさしずめアクション要素マシマシの『エイリアン2』といった塩梅であり、幽霊屋敷という閉鎖空間での恐怖が売りの前作と違い、本作は超能力バトルものでジャンルが全然違う。
この手の異形のものたちとの戦いにしては珍しく、アブラの両親も巻き込まれる形になったのはかなり斬新で、何の繋がりもない少女と中年の男という取り合わせのまずさは日本ならともかくアメリカではかなり厳しいというのもあってか、そうした見られ方をする危険性は示唆しつつも、そのあたりのことで胃がキリキリするような展開にならなかったことには -
Posted by ブクログ
シャイニングの惨劇から40年後。予後は非常に悪く、父親の喪失だけでなくシャイニングこと「かがやき」の能力に苦しんで父親と同じアル中になっているダンがとても切ない。オーバールックホテルでの悲劇は人生のわずか一部分でありながらもその影響は甚大で、物語が始まる前の語られていない重みを感じるのはさすが。上巻はどん底からの出会いとそこから10年かけての禁酒と再起。ダンと同じく強力なかがやきを持つ異能の少女アブラの成長劇という二本立てで物語は進んでいく。
背後で暗躍するかがやきを吸い取るジプシーの一族「真結族」が非常に不気味でありながら、頭目であるシルクハットの女性ローズ・ザ・ハットのキャラクターが素晴 -
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ネタバレタイムトンネルを潜って60年代のアメリカに行き、ケネディ暗殺の真犯人を突き止めて暗殺を阻止する物語。上巻の時点ではまだそこまではいかず、父親に家族を皆殺しにされた校務員のハリーの過去を変える話と、前任者のアルが変えた誤射で半身不随となったキャロリンの過去を変える話が中心である。中盤にはあの忌まわしき町である「デリー」が出てきて、年代がピタリと付合するのでまさかと思ったら『IT』のルーザーズクラブのリッチーとベティが出てきたことには驚いてしまった。ピエロの恐怖が去った後であるとはいえ、相変わらずデリーの描写とそこに住まう悪徳の影響を受けた人間のおぞましさは読んでいてゾワゾワしてしまう。
まずタ -
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GW中、積読の中から一番長編を読もうと思い、手に取った作品です。12歳のルークという天才少年が、【研究所】と呼ばれる施設から脱走するという物語です。上巻の中盤まで、割とスローペースで話しが進みますが、ルークが【研究所】で苦痛をともなう検査を受ける辺りから、先の展開が気になり、スルスルと読み進められました。
【研究所】から脱走したあと、ルークの逃走劇にハラハラし、【研究所】に残された子どもたちがどうなるのか、またハラハラさせられ、下巻は一気読みでした。結末はバッドエンドではないものの、切なさが残る読後感でした。
スティーヴン・キングが描く、子どもたちの群像劇がとても良い。個人の小さな力でも、それ -
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読書備忘録915号(下)。
★★★★★
【再掲】キングですから。★の数は。
本作はスーパーナチュラルな要素のない普通のクライムサスペンス小説。
改めて、主人公は凄腕のスナイパーで殺し屋のビリー・サマーズ。
殺し屋家業を引退することに。
最後の仕事のターゲットは殺人事件で収監されている殺し屋ジョエル・アレン。
狙撃でターゲットを仕留めるビリーとして、いつどこで狙うか?
依頼者のニックから、裁判所に入る一瞬を狙ってくれと。
ビリーは小説家デイヴィット・ロックリッジとして裁判所が見下ろせるビルに事務所を構える。同じビルに働く若手弁護士、会計事務所の社員ともめちゃくちゃいい関係に。ランチとか一 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻ではまだ本格的な怪異は起きていないのに、たった三人の家族の内面を順番に読んでいくだけでまったく飽きない。人間の心を深くとらえた描写が素晴らしい。ひとりひとり抱えているものが少しずつ違っていて、簡単には割り切れないところをしっかりと書き切っている。こんなに読み応えのある作品だったとは知らなかった。
ホテルの歴史や地下室の不気味な記録や忘れ物が、嫌な空気を醸し出していて、今後起きることへの期待が膨らむ。謎の「レドラム」とやらも、トニーの警告も気になることばかりだ。トニーがあらかじめ未来を見せてくれているので、そこに向かっていくという恐怖もある。
この家族に関してはきっと誰も悪くないのだと思った -
Posted by ブクログ
聞きしに勝る大傑作。面白さ半端なし。エンタメなのに文学。(文学が何なのかはよくわかってません)いや〜読後の余韻と興奮が納まらない。ホラーを舐めてた。モダンホラーの帝王の名は、あながち間違いではない。
癇癪持ちの酒癖が悪い父、ジャック。
離婚を考えるが踏み切れない母、ウェンディ。
そんな父母を心配する、特殊能力「かがやき」を持つ5歳の息子ダニー。
オーバールックホテルの冬の管理の仕事の為に家族で移り住むが、そこは長年の怨念が積み重なった血塗られた呪いのホテルであった。
家族三人三様の過去、人物像、心理描写が徹底的に描かれるので、共感し没入してしまう。
上巻はほぼ、それにページが割かれる。
も