スティーヴン・キングのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
GW中、積読の中から一番長編を読もうと思い、手に取った作品です。12歳のルークという天才少年が、【研究所】と呼ばれる施設から脱走するという物語です。上巻の中盤まで、割とスローペースで話しが進みますが、ルークが【研究所】で苦痛をともなう検査を受ける辺りから、先の展開が気になり、スルスルと読み進められました。
【研究所】から脱走したあと、ルークの逃走劇にハラハラし、【研究所】に残された子どもたちがどうなるのか、またハラハラさせられ、下巻は一気読みでした。結末はバッドエンドではないものの、切なさが残る読後感でした。
スティーヴン・キングが描く、子どもたちの群像劇がとても良い。個人の小さな力でも、それが合わさると世界をも変えてしまうほど大きな力になる。子どもたちが大人の都合で搾取されることのない世界になって欲しいと改めて思う作品でした。 -
Posted by ブクログ
読書備忘録915号(下)。
★★★★★
【再掲】キングですから。★の数は。
本作はスーパーナチュラルな要素のない普通のクライムサスペンス小説。
改めて、主人公は凄腕のスナイパーで殺し屋のビリー・サマーズ。
殺し屋家業を引退することに。
最後の仕事のターゲットは殺人事件で収監されている殺し屋ジョエル・アレン。
狙撃でターゲットを仕留めるビリーとして、いつどこで狙うか?
依頼者のニックから、裁判所に入る一瞬を狙ってくれと。
ビリーは小説家デイヴィット・ロックリッジとして裁判所が見下ろせるビルに事務所を構える。同じビルに働く若手弁護士、会計事務所の社員ともめちゃくちゃいい関係に。ランチとか一緒に!
住処は、落ち着いた住宅街。近隣住民の家族ともとんでもなく良い関係に。ビールとか一緒に!
しかし用心深い凄腕の殺し屋ビリーは、念のためニックにも明かしていないもう一つの偽名、IT技術者ドルトン・スミスとして別の地域で生活することに。
ビリーはここでもアパートメントの住民とちょ~良い関係に。鉢植えの水やりとか!
そしてビリー。どうせなら小説家として自らの自伝的小説を書いてみることにした。
小説を通じて、妹を父親に殺されたところから始まる壮絶な生い立ちが語られる。
この小説内小説が、この作品の大きな意味と役割を持つ。
上巻はターゲットを仕留めるまでの半年、小説家デイヴィットとIT技術者ドルトンの穏やかな生活と、自伝小説という形でビリーの生い立ちを描く。
そして、暗殺ターゲットの処理を無事終了。
そうです。まだ丸々下巻がありますよ。
物語はここからでしょう!
なぜ、すでに殺人罪で捕まって収監され裁判に掛けられる犯罪者を暗殺しないといけないのか?ターゲットだったジョエル・アレンは何を知っていた?
それがバレたらやばい黒幕がいるのか?ニックの背後に?
ということは、ビリーもジョエル暗殺を成功したあと消される!当たり前?
暗殺終了後ドルトンとして姿を消すビリー!
そしてアリス登場!
街のごろつきにレイプされ瀕死の重傷を負ったアリスをビリーが助けたことで運命共同体に!アリスを妹と重ねるビリー。アリスの回復に全てを注ぐビリー。
そして目的を果たすために動き出すビリー!
自伝小説の後半はどうなる!
下巻の内容は一切割愛!
最後の巻末解説より。
----------------
犯罪者を描くクライム・ノヴェルへの愛着をことあるごとに語ってきたキングが、ついに最高の犯罪小説を生み出した本書の価値。
『ドクター・スリープ」以降の一気読みエンタメ路線からギアをひとつ落とし、低重心でじっくりと、小説的な遊びや技巧を凝らして、罪と罰、贖罪と復讐、そして物語を読むことと物語を書くことへの愛をも編み込んで書き上げた傑作と言っていいでしょう。
----------------
自伝小説のエンディングと現実のエンディング。
そういうことですね。切ない・・・。
で、上下巻を並び替えて一枚の表紙絵に。と思ったら機能が無くなってる!
がびょ~ん!
と思ったら、Web版での機能は4/Eでお終いだけど、スマホアプリに機能を追加するから待ってろ!とお知らせに載っていた!
待つしかない! -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻ではまだ本格的な怪異は起きていないのに、たった三人の家族の内面を順番に読んでいくだけでまったく飽きない。人間の心を深くとらえた描写が素晴らしい。ひとりひとり抱えているものが少しずつ違っていて、簡単には割り切れないところをしっかりと書き切っている。こんなに読み応えのある作品だったとは知らなかった。
ホテルの歴史や地下室の不気味な記録や忘れ物が、嫌な空気を醸し出していて、今後起きることへの期待が膨らむ。謎の「レドラム」とやらも、トニーの警告も気になることばかりだ。トニーがあらかじめ未来を見せてくれているので、そこに向かっていくという恐怖もある。
この家族に関してはきっと誰も悪くないのだと思った。一番医者にかかるべきはジャックだし、「癇癪」とアルコール依存症さえ治療できればこの家族は十分愛し合っていて、三人でやっていけると思った。それが下巻でどういう展開を見せるのかすごく楽しみ。 -
Posted by ブクログ
聞きしに勝る大傑作。面白さ半端なし。エンタメなのに文学。(文学が何なのかはよくわかってません)いや〜読後の余韻と興奮が納まらない。ホラーを舐めてた。モダンホラーの帝王の名は、あながち間違いではない。
癇癪持ちの酒癖が悪い父、ジャック。
離婚を考えるが踏み切れない母、ウェンディ。
そんな父母を心配する、特殊能力「かがやき」を持つ5歳の息子ダニー。
オーバールックホテルの冬の管理の仕事の為に家族で移り住むが、そこは長年の怨念が積み重なった血塗られた呪いのホテルであった。
家族三人三様の過去、人物像、心理描写が徹底的に描かれるので、共感し没入してしまう。
上巻はほぼ、それにページが割かれる。
もう息子ダニーが聡明で愛おしい。(幽霊と子どもで怖さ倍増。ホラーの鉄板)父として再起を計ろうと奮起するジャックは、オーバールックホテルの幽霊に弱みをつけ込まれ、変貌していく。そうなるよね〜って感じで読者は納得してしまう。
ウェンディもやり直そうとホテルに来たものの、ジャックの不可解な行動に不安が募り…。
しかし、ホテルの霊が狙っていたのは、かがやきを持つ子どもダニーだった。
雪に閉ざされたホテルは外部と遮断され、絶望感極まりない。
ホテルの霊達が暗躍する様子が不気味すぎる。恐怖と狂気がヒタヒタと迫り、もうやめて〜、行っちゃダメ〜、ギャー、怖っ、の連続。ラストは手に汗握る展開で、本を読んでる事を忘れるぐらいの臨場感だ。文章でこれほど書ける筆力に圧倒される。(ちなみにこれも映画は観ていない。)
もう、止められず読み耽ってしまった。はい、寝不足です。
エロ、グロ、ホラー、スリル、アクションそして愛。私はこういうのが好きなんだと気づきました。面白さてんこ盛りで、読み応えたっぷり、今年のNo.1本になりそうです。(まだ4月だけど)スティーブン・キング恐るべし。
-
Posted by ブクログ
名作家スティーブン・キング氏による『書くことについて』
確かに小説指南書なのだけれど、
『ここにはスナップ写真が並んでいるだけで、しかもそのほとんどはピンぼけときているのだから。』
と冒頭ことわりを入るように、序盤は自分史が続きます。
ただ、そこにスティーブン・キングが小説家になるまでの道のりや、小説の技術論などの細かなこだわりがかなり解像度高く書かれていました。
この本を読んでいく中で難しかった点が2つ。
ひとつは、文法について触れている点。かなりふんだんに具体的な様々な作者の作品から引用された文章を、時に崇めながら、時に辛口に切りながら、添削していくのですが、
例えば、「受動態をやめよう」「副詞を用いすぎるのやめよう」といった指摘が、日本語にも反映されるのはそうなのだけど、かなり英語ベースの文法や単語を用いて進められるので、英語力皆無な自分には少し難しかったです。
2つ目のほうが重要なのですが、引用される文章にスティーブン・キング氏の著作がふんだんに出てきます。
ファンにはたまらないでしょう。
ただ、不幸なことに、スティーブン・キングの作品は『ショーシャンクの空に』くらいしか見れてなくて、絶対にキング作の作品に触れていたほうが面白いんです。
しかも、ホラー映画が苦手で、今後も触れられなさそう。これは、完全に自分が悪い!
本作の中には、
『作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない』
など、小説家を志す人間が胸に刻むべき信念や格言が度々登場します。
ただ、個人的には、奥さんに惹かれたときのことを描く一節。
『なぜそんなに惹かれたのかというと、彼女がしようとしていることを私が理解できたからであり、彼女が自分のしていることを理解していたからである。と同時に、彼女がセクシーな黒のドレスを着て、ガーターつきのシルクのストッキングをはいていたからである』
といった文章や、
ヒッピー文化を描写するこんな一文。
『"平和のために殺すのは純潔のためにファックするのと同じだ"とプリントされたTシャツを着ていた』
こうした文章に、スティーブン・キングの鋭い観察眼と、皮肉たっぷりな表現が溢れ出していて、ストーリーだけでなく文体でキング氏の見る景色を描くことを体現しているような作品でした。 -
Posted by ブクログ
面白過ぎた。衝撃的な展開の連続で飛ばし過ぎ。これ、最後まで持つの?と心配したけど無用だった。はい、最初から最後まで文句なしに怖くて痛くて面白いです。
売れっ子作家が不慮の事故で大怪我をし、元看護師の熱狂的なファンに監禁される怖いお話。
元看護師のアニーの狂いっぷりが豪快で想像を超えてくる。作家ポールがいけ好かないヤツなので、可哀想とばかり思えない。そして悲惨な状況なのに所々、笑ってしまう描写がある。結末がどうなるのか早く知りたくて読む手が止まらなかった。
作中作の「ミザリー」の物語の意味が理解できなかったのが、私の読解力の足りないところ。考察サイトを探そうと思っている。
稀代のストーリーテラー、スティーブン・キングの大傑作。ホラーも人怖もお手の物。最後まで読者を惹きつける天才だ。キングの他作品も読んでみたいのだけど、怖がりの私は決心がつかず、書店で「シャイニング」を手に取っては怖気付いて棚にしまう行動を繰り返している。はたから見た人はそれこそホラーだよね。 -
Posted by ブクログ
面白かった!グイグイ引き込まれて夢中で読みました。森へ入っていく主人公トリシアは9才にしては大人びて、頭もよく、観察眼があって、運も強い。それが面白い。
森の細かな描写は美しく、恐ろしい。広大な世界の光や闇が実際思い浮かぶよう。歩くうち思いも掛けない情景が突然広がり、唖然とさせられ、ゾッとして、虫のうっとおしさにウンザリして、自然の怖さを見せつけられる。その中でも野生動物を見て喜ぶ子供らしさもあるトリシアの視線全てに生き生きとした生命力を感じる。
あらすじを数行でまとめると単純な話なのに、命のかかった大冒険のワクワクとスリルと、現実を超えた驚異的な展開、魅力的な登場人物や悪魔じみたもの、トリシアが現実と幻覚の境界をギリギリで行き来する不思議な感覚をもう存分に味わわせられました。
またキングが読みたい! -
Posted by ブクログ
過去を変えることができたら――。個人的なことであれ、社会的なことであれ、たぶん、多くのひとが一度は考えたことがあるのではないかと思います。だからこそフィクションは数多くの時を超える物語を生んできたのではないか、とも。ケネディ暗殺を阻止しろ、と死期の迫った友人から想いを託された主人公が過去に戻って奔走する本作も、過去を変えようとする物語。
様々なジャンルの要素を内包する長大な(文庫本にして1400ページを越える)物語は、中盤以降は恋愛小説としての大きな魅力を持って進んでいき、あぁ最後までこの物語に付き合って良かった、と心から思えるような結末を迎えます。時を超える壮大な冒険と恋の物語、ぜひおすすめです。 -
購入済み
温かさと悲しみの入り雑じったラストがとても切なかったです。
年齢を重ねるにつれ、作風も変化しているのでしょうか。キングってこんなに優しさに溢れた人だったんだと感じる事、しばしば。
作品としてはリーシーやジョイランドに似た傾向があり、ホラーが読みたい時に読むと期待通りとはいかないかもしれません。
ただ、不思議さは盛り沢山です。
私には「カードマン」の存在が一番強烈な印象で、その言動にゾクッときました。
こういうのはキングしか描けない。
フィクションかノンフィクションかわからないエピソードをさりげなくちりばめてくる技量が圧巻で、だからキングを読むのは止められないと読むたび毎回思います。