スティーヴン・キングのレビュー一覧
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事故で片腕を失った主人公は、カリブの孤島に移住する。
絵を描く衝動にとらわれた彼は、少女と船の絵を描く。
なにはともあれ、事故の様子が死ぬほど怖かった。
リアルすぎ。キング自身の事故の経験が生きてるんでしょうかね。
その後、後遺症で人格までが崩壊していくさまが、また切ない。健全な魂は健全な肉体に宿るというけれど、それは反語的意味合いもあるとおもう。
で、前半で十分怖がらせられて、後半にはいったら…。
なんか、風光明媚なカリブが、って感じなのは一瞬だけでしたね。
主人公の絵は評判になり、個展をひらくまでになる。
それは、かつての悲劇を彷彿させる更なる悲劇の幕開けだった -
Posted by ブクログ
ネタバレ子供から大人になる。11歳のころに出来ていたことができなくなる。そして、忘却。
肉体的なものでもなく知識的なことでもない。精神的なこと、想像力。「不安と欲望」。世間の目の意識と世間の目を気にしないこと。
小学校あたりのことを思い出してしまったが、仲の良かった友達はいまなにをしているのか。知る手段はある。が、。
離れていく感覚。精神的に。小学校から中学校にかけて。仮初な感覚がロックンロールに通じる。
今度は居場所を提供する側になる。もう、あのような体験や感覚を共有できることは二度とないのだろう。時間的なリミットがある。ただ、これは子供の時には絶対にわからない。
これが悪いことではなく、当 -
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ネタバレ読むのを止められなかった。
特に中盤から。あールイスお願いだからゲージを掘り起こさないで、きっと猫のチャーチみたいに、一度戦死したあの青年みたいに邪悪な薄気味悪いゲージになって戻ってくるよ。
あの父と子、二人で凧揚げした美しい思い出を胸に生きていって…と心で叫んでたよ。
でも、甘かった。邪悪な性格で戻ってくるそんな生やさしい次元じゃなかった。隣人の老人シャドと自分の母親までも
一瞬で殺めてしまうなんて。
ルイスはそしてまたしてもやってしまったんだね。
その日のうちに埋めれば奥さんはまともに戻ってこれたの?
ルイスの喪なったもの(息子)の愛が痛切に伝わってきて、
ゲージの成長が想像で語られている -
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ルイス一家に訪れた悲劇。ルイスは悲しみのあまり、人間の禁忌を超えようとするのだが…
怖さに加えて、クライマックスの盛り上がりももちろんあるのですが、それ以上に哀しさが印象に残る作品でした。もし突然家族がいなくなってしまったら、人間は正しくない、と分かっていながらも行動を起こすのか、
ルイスの葛藤や悲しみの描写は読者の心を強く揺さぶると思います。キングのホラーが心に残るのは、こうしたところもしっかりと書き込まれているからだと思います。
物語の中にちりばめられた死への悲しみとそれに対峙しようとする人々の姿、そうした悲しみにつけこんで力を得ようとする”魔”。超常的なホラーでありながらも、ど -
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田舎町に引っ越してきた医者のルイス一家。妻と子供たちが帰省した時、娘の可愛がっている飼い猫のチャーチルが死んでいるのを、ルイスは見つけてしまう。
ルイスは隣人のジャドと共に、猫の死体を自宅の近くにあるペットの霊園に埋葬しに行くことにするのだが…。
キング作品はなかなか動きだしの遅いイメージや、文章がボリューミーだったりと、エンジンのかかりだしの遅い作品もちょくちょくあるのですが、この作品は入り込みやすかったです。
登場人物の平和なやり取りをはじめとした人物描写や、子どもたちの可愛らしい様子はもちろんですが、いいタイミングで恐怖描写が入ってくるのもまたいい! そして怖い!
大学の -
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作家だった夫が亡くなり、ようやく遺品整理を始めた妻リーシー。
遺品の中から、彼女は夫のメッセージを見つける。
夫の生い立ちや、リーシーの病んでる姉や、夫の遺作を狙ういかれたストーカーなど、物語を彩るものは多いけれど、常に毅然としてあるのはリーシーと夫スコットとの夫婦愛だ。
もう、ど直球のラブストーリーだと思えるぐらい。
キングらしい、異世界の様や、ストーカーの不気味さも、二人の愛情のスパイスでしかない。
面白いんだけどね。
異世界の描写は本当に素晴らしい。文字なのに映像が目に飛び込んでくる感じさえした。
つまりのところ、愛情というのは<信頼>なんだなと思う。
お互いが -
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作家だった夫が亡くなり、ようやく遺品整理を始めた妻リーシー。
遺品の中から、彼女は夫のメッセージを見つける。
夫の生い立ちや、リーシーの病んでる姉や、夫の遺作を狙ういかれたストーカーなど、物語を彩るものは多いけれど、常に毅然としてあるのはリーシーと夫スコットとの夫婦愛だ。
もう、ど直球のラブストーリーだと思えるぐらい。
キングらしい、異世界の様や、ストーカーの不気味さも、二人の愛情のスパイスでしかない。
面白いんだけどね。
異世界の描写は本当に素晴らしい。文字なのに映像が目に飛び込んでくる感じさえした。
つまりのところ、愛情というのは<信頼>なんだなと思う。
お互いが -
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アメリカの田舎町チェスターズミルは、ある日突然<ドーム>に覆われてしまう。
<神>の存在について考えてしまった。
イタリア歌曲によくあるフレーズ「Pieta Signore(神よ憐れみたまえ)」が頭の中をぐるぐるしていた。
ドームに閉じ込められた状況であるのに、人は自分の保身や欲望をとめることができない。正しくあろうとする人もいるけれど、限られた空間の中ではあまりにも無力だった。
絶対的な危機の前ですら変われない人間であるからこそ、憐れみが必要なのだ。
そして<神>は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のお釈迦様が落ちていくガンダタを見るように、私たちを見ているのだろう。
希望と -
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アメリカの田舎町チェスターズミルは、ある日突然<ドーム>に覆われてしまう。
<神>の存在について考えてしまった。
イタリア歌曲によくあるフレーズ「Pieta Signore(神よ憐れみたまえ)」が頭の中をぐるぐるしていた。
ドームに閉じ込められた状況であるのに、人は自分の保身や欲望をとめることができない。正しくあろうとする人もいるけれど、限られた空間の中ではあまりにも無力だった。
絶対的な危機の前ですら変われない人間であるからこそ、憐れみが必要なのだ。
そして<神>は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のお釈迦様が落ちていくガンダタを見るように、私たちを見ているのだろう。
希望と -
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アメリカの田舎町チェスターズミルは、ある日突然<ドーム>に覆われてしまう。
<神>の存在について考えてしまった。
イタリア歌曲によくあるフレーズ「Pieta Signore(神よ憐れみたまえ)」が頭の中をぐるぐるしていた。
ドームに閉じ込められた状況であるのに、人は自分の保身や欲望をとめることができない。正しくあろうとする人もいるけれど、限られた空間の中ではあまりにも無力だった。
絶対的な危機の前ですら変われない人間であるからこそ、憐れみが必要なのだ。
そして<神>は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のお釈迦様が落ちていくガンダタを見るように、私たちを見ているのだろう。
希望と -
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アメリカの田舎町チェスターズミルは、ある日突然<ドーム>に覆われてしまう。
<神>の存在について考えてしまった。
イタリア歌曲によくあるフレーズ「Pieta Signore(神よ憐れみたまえ)」が頭の中をぐるぐるしていた。
ドームに閉じ込められた状況であるのに、人は自分の保身や欲望をとめることができない。正しくあろうとする人もいるけれど、限られた空間の中ではあまりにも無力だった。
絶対的な危機の前ですら変われない人間であるからこそ、憐れみが必要なのだ。
そして<神>は芥川龍之介の「蜘蛛の糸」のお釈迦様が落ちていくガンダタを見るように、私たちを見ているのだろう。
希望と -
Posted by ブクログ
回想、そして現代ともにITとの最終対決に向かう4巻。
冗長には感じなかったものの、それでもやはりどこかで長すぎるだろう、という印象のあった『IT』でしたが、読み終えてみるとその長さがあったからラストの涙しそうな感覚が味わえたのかとも思えます。
モダンホラーの帝王と呼ばれるだけあって、ITの変身するさまざまなモンスターの描写にはかなりの迫力があり、それをただ子供たちが倒すという回想部分だけのストーリーでも、逆に大人がITを倒すという現代のパートだけのストーリーでも十分面白いとは思いました。ただそれだけではキングの代表作と呼ばれるまでの作品にはならなかったと思います。
この二つの時代 -
Posted by ブクログ
抜き差しならない状況に追い込まれた恐怖を描くことで人間の本性をあぶりだすのがキングという作家。キングの描く「抜き差しならない状況」というのは死に直面することだ。自分の命が危うい恐怖からさらにエスカレートして、相手の命を奪わなければならない状況に陥ったら・・・汗。
勧善懲悪の時代劇でもなく現代は法治国家であるなかで、この本に納められている2編では最終手段をとってしまう。相手はそうされても当然なのですが、なにか引っかかる描き方。どんな理由であれ、相手の命を奪った者が味わうことになる恐怖は「FullDark,No Stars」前半を収めた「1922」に描かれています。これで、無間地獄のようにもとに