スティーヴン・キングのレビュー一覧
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スティーブンキング、おもしろい。
僕が今まで読んだことのある小説の中ではITが最高傑作ではないかと思っているが、この11/22/63はそれと同じか、それに次ぐ面白さだった。
主人公、ジェイコブ・エピングは行きつけのハンバーガー屋の店主・アルから1963年の過去に行き、JFケネディ大統領暗殺を食い止めてほしいというぶっとんだことを頼まれる。そう、ザ・タイムワープ!主人公ジェイクは、その依頼を受けるべきか受けざるべきか、過去のアメリカに行くべきか行かざるべきか迷うが、行きます。もちろん。
この小説が発表されたのは2011年。その時点から考えて50年前の過去に行き、そこに住み生活し、大統領暗殺を食い止めるというミッションを果たすためには様々な困難を乗り越えなければならない。金も稼がなくてはならないし、住居も見つけなければならない。未来の(つまり2011年の)友達とは離れ離れになるし、現在の(つまり1963年の)人々とうまくやっていかなくてはならない。(50年のジェネレーションギャップ)
読者としては、なんでそこまで苦労して大統領暗殺という大ミッションを、主人公が自分の使命としてやるものだと考えているのかちょっと謎だが、ともかくも彼はやる。やろうとする。
そこで一番のテーマは、主人公アンバーソン(偽名)が過去の世界で見つけた恋人セイディーとのあれやこれや。彼女との恋愛の描写は本当に素晴らしく、読者の心を持っていく。また、セイディーと過ごしたジョーディーという街で出会った人々の温かさ、彼が与えたもの、彼が与えられたもの・交流の様子も素晴らしくて、スティーブンキングはすごく残酷な物語も書く一方で、すごく温かい物語も書くんだなぁ、歴史に残る天才だと思います。 -
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「ミスター・メルセデス」(上・下) スティーブン・キング。白石朗訳。文春文庫。アメリカでは2014年発表のようです。
2019年1月に読みました。
スティーブン・キングさんは凄い。らしい。とずっと思っていました。
「スタンド・バイ・ミー」とか、いくつかの短編は読んだんです。
それだけでも凄みは伝わります。
ただ、個人的に「怖い話」が怖くて・・・敬って遠ざけていましたが、数年前に「11/22/63」を読んであまりの面白さにぶっ飛んでしまいました。脱帽。
そして、今回「ミスター・メルセデス」。
売り文句として「ホラーでは無い!SFでもない!とうとうキングが本格ミステリに降臨!」という感じでしたので、
「これは、読まねば」と。
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ビル・ホッジスさんという、定年退職した元刑事が探偵役として活躍する話なのですが、
キングさんはその後、続編、続続編として、
「ファインダーズ・キーパーズ」「任務の終わり」を上梓されていて、「ホッジス三部作」なんだそう。
いずれ読むのが楽しみ。
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もうだいぶ失念して居ますが。
とにかく田舎町で。何かの雇用イベントがどこかのホールで行われます。
仕事が必要な人が、夜明け前から大行列を作って並んでいます。
そこに、ベンツがやってくる。
その行列に突っ込んで、轢き殺しまくって、去って行く。
その、犯人を捜す。追い詰める。というお話し。
(世故なことをつい。ベンツ社に、事前にOK貰うのかな・・・絶対拒否されると思うんだけどなあ・・・良いイメージ、ひとかけらも無いですから)
スティーブン・キングさんのコリコリした個性は、結局どこまで行っても、弱者、苛められるものたちの皮膚感覚とでも言うべきものを、
本当にヒリヒリと描くことにあるのではと思います。
もちろんそこにエンタメ技術がドンっと乗っかるわけですが。
もう冒頭の、就業イベント会場の外で、寒中行列をする人々の切なさ、痛み。
そして、襲来するベンツ。
この対比と語り口のエグみだけで、白いご飯が三膳は食べられます。ごちそうさまです。
主人公も、当然ながら全くヒーローでは無い。
むしろ人間としての弱み、情けなさを垂れ流しながらとぼとぼと犯人と対決を強いられる。
迫り来る脅威、相手の分からない圧力。うーん、ヒッチコック。出来の良いときのデパルマ。
どうでもいい感想ですが、「ああ、肉食の文化だなあ」という読後感。
書き手の、とにかく最後は体力だ!みたいな、圧倒的な力感、と、でも言いますか。
なんかこう、芥川の朱儒の言葉とか田山花袋の蒲団だとか、城之崎にて小僧が神様だったり咳をしてもひとりだったりするような、
そういう何だか米と野菜とせいぜい魚を食べてきた文化の生み出すブンガクなるものとは、全く違う競技というか。
もっと荒々しく、喧嘩上等、互いに片腕同士を結わえた殴り合い、とでも言うべきフィジカル感。
まあ、咳をして分け入っても青い山だったりするのも、大好きではあるんですけれど。
精進料理も漬物茶漬けも絶品なんですが、たまに食べると上等な牛肉の味わい、その快楽にたじたじとなる・・・という読書でした。 -
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読み終わった…読み終えたくないほど面白い内容だったし、何より「はみだしクラブ」(ルーザーズクラブ)のみんなと別れたくなかった。
今日映画の方も観に映画館へ行ったのだが、結末は映画のほうが爽やかなものだった。はみだしクラブのみんなの魅力は変わらないが。
イット。ただ怖いだけじゃなくて、少年少女だったころの楽しかった日々を思い出させ、ノスタルジックな気分にもさせてくれる。あの頃の友達はどこへ行ったのか。
私もこの本を読み終え、そのうちこの気持ちを忘れてまた日常に戻っていくのか。
そして私はまだ、イットへの恐怖、すなわち自分自身の恐怖へと向き合えていない気がする… -
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キングが書いたミステリー。
いきなり、エドガー賞、とってるよ。
仕事を求める人の列の中に、暴走車がつっこみ多数の死者を残して立ち去る。事件は未解決のままであったが、担当していた退職刑事のもとに犯人からの挑戦状が届く。
とりあえず、あれだ「雉も鳴かずば撃たれまい」だな。
元刑事のホッジズは昔かたぎって感じで、昨今のアイテムに弱い。そこをフォローする高校生や、犯行に使われた車の持ち主の妹や、彼を助ける人物像がどれもいい。
人の善良性や人生の光を信じている感じがある。
だからこそ、犯人の醜悪さや闇に向かう心が、いやな汗のようにまとわりついてくるのだけどね。
また、事件によって人生を狂わされた人々の哀れが切ない。
昨今のミステリーは、犯人にもこういう事情があって、とちょっと同情的なものが多い気がするのだけど、そういうのはない。確かに、幸せな生い立ちとはいえない。が、それがどうした。犯人の罪と人となりは、とにかく醜悪だった。
と、後半に向かって、急展開になっていくあたりは、さすがにキングって感じだった。
が、そうきたか。
そうなのと、ちょっと…。
年齢重ねてキングも丸くなったと思っていたのにww
実際、推理小説としてはどうなの、って思わないではい。基本、犯人がボロを出すって動きだからね。
が、小説としては、群像小説としては、最高だと思う。
続編もすでにあるみたなので、楽しみ! -
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キングが書いたミステリー。
いきなり、エドガー賞、とってるよ。
仕事を求める人の列の中に、暴走車がつっこみ多数の死者を残して立ち去る。事件は未解決のままであったが、担当していた退職刑事のもとに犯人からの挑戦状が届く。
とりあえず、あれだ「雉も鳴かずば撃たれまい」だな。
元刑事のホッジズは昔かたぎって感じで、昨今のアイテムに弱い。そこをフォローする高校生や、犯行に使われた車の持ち主の妹や、彼を助ける人物像がどれもいい。
人の善良性や人生の光を信じている感じがある。
だからこそ、犯人の醜悪さや闇に向かう心が、いやな汗のようにまとわりついてくるのだけどね。
また、事件によって人生を狂わされた人々の哀れが切ない。
昨今のミステリーは、犯人にもこういう事情があって、とちょっと同情的なものが多い気がするのだけど、そういうのはない。確かに、幸せな生い立ちとはいえない。が、それがどうした。犯人の罪と人となりは、とにかく醜悪だった。
と、後半に向かって、急展開になっていくあたりは、さすがにキングって感じだった。
が、そうきたか。
そうなのと、ちょっと…。
年齢重ねてキングも丸くなったと思っていたのにww
実際、推理小説としてはどうなの、って思わないではい。基本、犯人がボロを出すって動きだからね。
が、小説としては、群像小説としては、最高だと思う。
続編もすでにあるみたなので、楽しみ! -
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大学生時代の遊園地バイトでの甘酸っぱい青春、そこで起きた恐ろしい事件を回想形式で振り返るという、フォーマットこそスタンドバイミーと似通ってはいるが、焼き直し感は感じずウェルメイドな一級品の青春ミステリに仕上がっている。恋愛要素が特に最初の不安感を孕んだ失恋のくだりから、沢山の大人に囲まれて働いて、周囲の信頼を勝ち取っていくさまは、自身のバイト経験を振り返って共感することが多く、恋愛だけではなく仕事の青春という側面もある。主人公が絶妙にモテない等身大の男子大学生というのもあって、語り口はロマンチックに過ぎるが、友達の彼女との間に一瞬芽生えた、タイミングの違いによる恋愛の萌芽などは、青春期の恋心の切なさを非常に的確に捉えている。シングルマザーとも恋仲になるが、そこに未来がないのは互いに分かっており、年上の女性に対する思慕や恋慕で留める筆致がまた小憎らしくて素晴らしいのだ。アニーの言う「住む世界が違う」はまさにその通りで、世界の違いを認識したその瞬間に、青春は終わる。ただ、一瞬でも重なり合った世界と生まれた感情は紛れもない本物であり、人生にはそういった運命的な出会いが訪れる瞬間が何度かある。そしてそれは、振り返ったときにしか分からないものなのだろう。話の核となる遊園地の殺人鬼の話も面白く、荒唐無稽な怪談に過ぎない話が、徐々に輪郭ができて実体化する恐怖はまさしくモダンホラーの帝王ならではの筆運びで、犯人こそ分かったものの、後半の怒涛の展開は流石の一言である。主人公は幽霊が見えない、というのがまさか最後の最後まで貫くとは思わなかった。また、善意が裏切られることなく、最後の最後でその善意が主人公の身を助けたというのが、個人的には一番の感動ポイントだった。こういう無駄に思えた善意がちゃんと報われる話は大好きである。クライマックスの映画的なスペクタクル、一抹の悲しみ、そしてエンディングの凧のシーンは感涙必死である。潰れた遊園地、アニーの言葉、それらが青春の終わりを実感させるのだ。キング作品は久しぶりに読んだが、一番キング作品を読んでいた高校〜大学時代にタイムスリップしてしまったかのような、そんな思い出深い一冊だった。これからもキングを読むと固く決意すると同時に、やはりキングは稀代のストーリーテラーであると認識した一冊である。
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「シャイニング」の後の話。
惨劇から生き残ったダン少年だったが、その<かがやき>ゆえに、というか、事件のトラウマゆえというか、彼そのものの気質のせいか、苦難に満ちた人生を歩んでいく。
というのが、前半で、つらい。
もうどうしようもない感じで、坂道を転がっていく様が、淡々と描かれるのでさらに救いがない。というか、ダンが本気で救われようとしてないんだよね。でも、それをせめるということもなく、かといって憐れむでもなく、一定の距離をおいて書き進めていけるのは、キングの筆力なんだろう。
なので、小さな女の子の存在に結構癒されるのである。
とはいえ、彼女アブラも<かがやき>の持ち主で、色々トラブルにあうのだけど、彼女の場合両親とその周りがしっかりしていた。
アブラが成長していく過程を読んでいくたびに、ダンの父の弱さが浮かび上がってくる。
同時に、弱さを受け継ぎ、それに屈してしまいそうになりながら、あがくダンの姿も明瞭になってくる。
光を目指しているような二人の姿の陰に、<かがやき>を食べて生き続けている一族が近寄ってくる。
これはこれで始終暗い。
ようするに、色々な対比、というか対立の話なのだろう。
対立は、他者と自分であるのは当然だが、自分自身の中にあるものとの対立も常に存在する。自身の中のものはどちらがが勝つとか負けるとかではなく、バランスなのだ。バランスであるということを、受け入れることが重要なのだ。
後半の戦いは、一気読み必至です。
でもってキングも丸くなったねぇ、って感じ。
結論、キングは最高!! なのだ。 -
Posted by ブクログ
「シャイニング」の後の話。
惨劇から生き残ったダン少年だったが、その<かがやき>ゆえに、というか、事件のトラウマゆえというか、彼そのものの気質のせいか、苦難に満ちた人生を歩んでいく。
というのが、前半で、つらい。
もうどうしようもない感じで、坂道を転がっていく様が、淡々と描かれるのでさらに救いがない。というか、ダンが本気で救われようとしてないんだよね。でも、それをせめるということもなく、かといって憐れむでもなく、一定の距離をおいて書き進めていけるのは、キングの筆力なんだろう。
なので、小さな女の子の存在に結構癒されるのである。
とはいえ、彼女アブラも<かがやき>の持ち主で、色々トラブルにあうのだけど、彼女の場合両親とその周りがしっかりしていた。
アブラが成長していく過程を読んでいくたびに、ダンの父の弱さが浮かび上がってくる。
同時に、弱さを受け継ぎ、それに屈してしまいそうになりながら、あがくダンの姿も明瞭になってくる。
光を目指しているような二人の姿の陰に、<かがやき>を食べて生き続けている一族が近寄ってくる。
これはこれで始終暗い。
ようするに、色々な対比、というか対立の話なのだろう。
対立は、他者と自分であるのは当然だが、自分自身の中にあるものとの対立も常に存在する。自身の中のものはどちらがが勝つとか負けるとかではなく、バランスなのだ。バランスであるということを、受け入れることが重要なのだ。
後半の戦いは、一気読み必至です。
でもってキングも丸くなったねぇ、って感じ。
結論、キングは最高!! なのだ。 -
Posted by ブクログ
傑作!キングの本なので反射的に購入してしまったけれど、正直なんの期待もなかった。
いや、面白いではないか、泣けるではないか!
女の子としたい盛りの大学生の主人公は冒頭で振られてしまう。夏のバイト先として選んだ遊園地で不気味な体験と素敵な経験をする。筋ジストロフィーにかかった男の子とのふれあいは泣かせる要素満載。ホラー要素をちょっぴり効かせたミステリーで痛いところをえぐるのだけれど、最近のキング、人間に対して優しくなってない?厳しい状況を描くなかにも優しさが溢れている感じ。出張帰りの新幹線の中で泣いてしまった。ささくれ立った心にしみる、穴場的傑作。