スティーヴン・キングのレビュー一覧
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『サイコハウス』と呼ばれる不気味な屋敷。そこに住む偏屈な老人と獰猛な犬。しかし悲しげな犬の鳴き声に気づいたチャーリーは、屋敷の老人が梯子から落ちて苦しんでいるのを見つける。老人を助けたことがきっかけで友達となり、老人と犬の世話をするようになった。そのうちに屋敷裏の小屋から聞こえる奇妙な音、金庫に隠された大量の黄金、これは一体…?老人は死の前にとんでもない秘密をチャーリーに教える。そこから異世界への冒険が始まる。
人物描写、背景などが非常に細かい。それがリアルを生み出し、世界観が完結しているのだが、読んでる方は少し面倒だ。チャーリーの親父さんがアル中になり、そこから復活再生するストーリーは必要か?などと思いながら読み進める。クーンツみたいに羽目を外す展開にはならない。常に片足が現実から離れないリアルさがキングにはある。そこからは好みの問題だ。
さて、上巻は非常にオーソドックスなおとぎ話の入り方である。私が子供の頃に夢見たまんまのようなストーリー展開である。近所のお屋敷、謎の偏屈爺さんと遺産、犬との友情、異世界への入口…。チャーリーは躊躇いなく犬のレイダーと一緒に異世界へ飛び込んでいく。
肌が灰色になり顔のパーツが失われ歪んでいく灰色病が蔓延する世界、チャーリーを助けてくれる偏屈爺さんの友達や王家の人々、この世界を支配するフライドキラーや夜影兵。さあ、いよいよ下巻から話は本題に入っていく。楽しみです。少しクーンツばりに羽目を外して欲しいもんです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作はあることを契機に人生のタガが外れていく男の話。当時は社会インフラや医療技術などあらゆるものが現代とは異なっていて、今だったら同じ選択をしたとしても、もっとスマートな方法だったり、なんなら離婚訴訟とかになってたかもしれない。
オチは(自分的には)キングらしくないかなと感じた。「痩せゆく男」や「ダーク・ハーフ」を本作と同じ結末にしたらたぶんあまり面白くないと思う。救いとかそういうものがなく、恐怖は恐怖のまま終わってくれたほうが好きだ。
同時収録の「公正な取引」はグッドヒュー家が坂道を転がる石のように不幸になっていく部分の描写がいかにもキングらしい、リアルな手触りだった。こちらのオチは好き。そういえばデリーは「IT」の街だった。 -
Posted by ブクログ
久しぶりに徹夜して一気読みしたいと思うキング作品だった。若い頃のような無茶はできないので一気読みはしなかったけど。
やっぱりキングは中編がいいね。この頁数だと一般的には長編の部類に入るだろうけどキングだと中編の感覚。
キング中編は過不足なく濃密な読み応えの作品であることが多く、ファンとしては横道にそれてくどい部分がないのが物足りなくもあるジレンマ。
本作はいつもの翻訳者の方ではないので、言葉選びや文章の組み立てに少し違和感を覚える。違う作家、キングなのにちょっと別のキングのような。ジョイランドの時もそうだった。
読み進めるうちにそれはほぼ解消される。
おそらく原文そのまんまな翻訳は好みが分かれるかもしれない。日本人に理解しやすいような独自のアレンジめいた翻訳ではない。翻訳者にも個性があるからどちらがどうというのは特にないけど。
これもダークタワーワールドの一つの世界と思えば面白いかも。
内容は純然たるホラー、スーパーナチュラル、しかも古典的とも言える幽霊もの。
自分だけが死者が見えるという、あらゆる分野で手垢にまみれたジャンルなのに、キングの手にかかれば驚くほど読者を惹き付ける。どんな料理も料理人次第なのだ。
中盤までは圧倒的に私が好きなキング展開で、その後徐々に失速(あくまで私の中で)、最近のキング作品のテイストに収束していった。もっとお下劣なのがいいんだー!もうそういうの書かないのかキングさん。
クライマックスがびっくりするほど地味で爆発力もない。徐々に登っていく感覚もなかったな。
全体的に物悲しさやせつなさは少ない。それでも不気味な空気感はずーっとまとわりついたまま走りきったのは素晴らしかった。
あとであれこれ考えを巡らせて薄ら寒くなる。見事なタイトル(原題)だ。
キングの少年ものにハズレなし。 -
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下巻の冒頭で起こった悲劇は非常に痛ましく、裏表紙で触れられていたため展開に驚きはなかったものの、それ自体には何の予兆もなかっただけに衝撃が強い。転じて、それ自体が幼児のいる家族のリアリティでもあり、その不幸の事故こそが恐怖の源泉でもある。
蘇りの力を持つペット用の墓地という設定に留まらず、土地にまつわる忌まわしい呪いの物語という膨らませ方は上手い。加えて、指向性のない真の邪悪には人間の善意すらも容易く汲み取られてしまう。愛する者の死に対してできない納得を弱さと断じるには残酷ではあるのだが、そこから目を背けた結果としてより残酷なしっぺ返しが起こるというのは非常に忌まわしく、物悲しい。キング作品に通じるテーマとして「信じる心」があるわけだが『猿の手』の翻案だけあってそれを逆手にとった怪作である。そして蘇りが失敗したその瞬間に、抱いていた思い出すらも漆黒に塗り潰されてしまう。その代償は非常に重く、個人的にはクライマックスにもう一捻り欲しいなとは思いつつも後味はかなり悪く、その不幸な一連の事件が忌憚として語り継がれていき、いずれ怪談と成り果てるという意味では一級品のホラーであると思う。 -
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メイン州の田舎に越してきた一家と老人の交流。そして家の裏地にある古より伝わるペット専用の墓地を巡る物語。しかしながら、ペット専用の墓地という題材にしてはペットロスを取り扱ってるわけではなく、話もペット中心の物語ではない。
ホラー作品の恐怖というのは必然的に結果としての死に直結してるが故の恐怖であり、死なないホラーで恐怖を演出することは難しい。それ故に結果としての死か、もしくは物語の導入としての死を語ることに偏りがちで、「死」そのものをテーマとしたホラーは案外珍しいものである。そんな中、本作はキング作品の中でもかなり直接的かつ広範に「死」というものをテーマとして取り扱った作品であり、そのせいかどことなく物語の根底には物悲しい悲哀が漂っている。
死に接することの多い医者という職業である主人公。幼少期の姉の死がトラウマになっている妻という設定もまた魅力的で、それ故に否応なしに死というものを意識してしまうのだ。そんな中、飼い猫チャーチの死と、そのチャーチを甦らせてしまうミクマク族の墓地という流れは非常に面白く、帰ってきた猫が「猫なるもの」と言っても過言ではない不気味な存在なのもまたゾワゾワする怖さがある。それでいながら埋めたペットが帰ってくるなら死んだ人間を埋めたらどうなる?という匂わせを出しているのも上手い。
上巻はまだ恐怖の予兆にすぎず、不穏さのみを残して終わったわけだが、これが下巻でどう展開するか楽しみである。 -
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ネタバレ第4巻
ITとの死闘が凄まじかった。息もつかせぬ展開に圧倒された。
11歳の時の闘いと27年後の今の闘いが、一文で繋がり交互に描かれる構成が素晴らしい。緊迫感がより高まり、ぐいぐい読ませる。こんな描き方があるのか…やっぱキングって凄いわ。
太古の昔から闇の中に生きてきたIT。食べては寝て起きて食べては寝るというサイクルを27年ごとに繰り返していた。近年は子どもの恐怖心が好物で捕食しており、あらゆる物に化け人々を恐怖に陥れる。
それに立ち向かうビル達はみだしクラブの7人。仲間を失いながら、傷を負いながらも友達を思いやり挑んでいく。
自分や仲間を信じる勇気こそがITを滅ぼすチカラとなり、そして…
友情が紡ぎ出す青春物語。
デリーの町ごと全てが破壊されていく場面は、キャリーと同じく大迫力だ。
ちょっと残念だったのは、子ども時代にベヴァリーが他の6人の男の子と〇〇○する件。絆を強める為とは言え、その手段ではない方が美しかった気がする。
これだけの出来事がマイクの記憶からなくなっていく。固い絆で結ばれた友達の名前さえも忘れてしまう。おそらくビルやベヴァリー達もいずれはそうなのだろう。
このラストが私は好きだ。子どもの頃の記憶ってなくなっていくよなぁ。良い事も悪い事も。だから生きていけるんだよね。 -
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ネタバレ上巻に続いてレイダーが可愛い。コウロギのスナブがレイダーの上に乗ってるところを想像するだけで頬が緩みます。
おおまかなところは予想通りだけれども、それはフェアリー・テイルとして果たすべきストーリー展開を描き切ったのだと思います。下巻で登場人物がめちゃくちゃ増えるし、その人たちを巻き込んで読んでいて苦しい場面も多いけれど、ぜひぜひ映画化して欲しい。
レーアの女王としての生きていく決意と、ドーラの暖かさに感動。そしてチャーリーの決断…この終わり方、好きだなぁ。それでいいのだと思う。ドーラの家と赤い罌粟の花が残像として今も残っています。