スティーヴン・キングのレビュー一覧

  • フェアリー・テイル 上

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    『サイコハウス』と呼ばれる不気味な屋敷。そこに住む偏屈な老人と獰猛な犬。しかし悲しげな犬の鳴き声に気づいたチャーリーは、屋敷の老人が梯子から落ちて苦しんでいるのを見つける。老人を助けたことがきっかけで友達となり、老人と犬の世話をするようになった。そのうちに屋敷裏の小屋から聞こえる奇妙な音、金庫に隠された大量の黄金、これは一体…?老人は死の前にとんでもない秘密をチャーリーに教える。そこから異世界への冒険が始まる。

    人物描写、背景などが非常に細かい。それがリアルを生み出し、世界観が完結しているのだが、読んでる方は少し面倒だ。チャーリーの親父さんがアル中になり、そこから復活再生するストーリーは必要か?などと思いながら読み進める。クーンツみたいに羽目を外す展開にはならない。常に片足が現実から離れないリアルさがキングにはある。そこからは好みの問題だ。

    さて、上巻は非常にオーソドックスなおとぎ話の入り方である。私が子供の頃に夢見たまんまのようなストーリー展開である。近所のお屋敷、謎の偏屈爺さんと遺産、犬との友情、異世界への入口…。チャーリーは躊躇いなく犬のレイダーと一緒に異世界へ飛び込んでいく。

    肌が灰色になり顔のパーツが失われ歪んでいく灰色病が蔓延する世界、チャーリーを助けてくれる偏屈爺さんの友達や王家の人々、この世界を支配するフライドキラーや夜影兵。さあ、いよいよ下巻から話は本題に入っていく。楽しみです。少しクーンツばりに羽目を外して欲しいもんです。

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    2025年11月05日
  • 書くことについて ~ON WRITING~

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    村上春樹の「職業としての小説家」も読んだけれど、両者に通ずるところもあったのが興奮した。文章のリズムとか、シンプルな言葉の組み合わせでいかに表現するかとか、パートナーに読んでもらうとか。
    例として出てくる作品や文法についてなどピンとこないことが多く、名作と言われている海外の小説を読んで英語を勉強して生きてきたらもっと理解できるところが多かったのだろうな。

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    2025年10月29日
  • 1922

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    ネタバレ

    表題作はあることを契機に人生のタガが外れていく男の話。当時は社会インフラや医療技術などあらゆるものが現代とは異なっていて、今だったら同じ選択をしたとしても、もっとスマートな方法だったり、なんなら離婚訴訟とかになってたかもしれない。
    オチは(自分的には)キングらしくないかなと感じた。「痩せゆく男」や「ダーク・ハーフ」を本作と同じ結末にしたらたぶんあまり面白くないと思う。救いとかそういうものがなく、恐怖は恐怖のまま終わってくれたほうが好きだ。

    同時収録の「公正な取引」はグッドヒュー家が坂道を転がる石のように不幸になっていく部分の描写がいかにもキングらしい、リアルな手触りだった。こちらのオチは好き。そういえばデリーは「IT」の街だった。

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    2025年10月26日
  • 心霊電流 下

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    やっぱりキングは面白い。後半は少し冗長に過ぎると思ったが、全体的にとても面白かった。こんな風に過去と現在が交錯する話は好きで、大ハズレはないと、個人的にはおもっている。

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    2025年10月24日
  • ビリー・サマーズ 上

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    前半は単調ながらも後半にかけて面白くなります。
    上巻は読むのに時間がかかりましたが、下巻は一気に読み進められました。

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    2025年10月21日
  • 夜がはじまるとき

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    再読。日常に潜む恐怖体験

    皆が感じた恐怖を描く天才。これほど臭いまでやってくる作品はあるだろうか。

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    2025年10月19日
  • 任務の終わり 上

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    ビルホッジスシリーズ第3弾。第1巻で脳に損傷を負った殺人鬼ブレイディが異能の力をもって悪意を振りまく話。
    第1と第2から転じてオカルト色が強く出ている。面白いが求めていたものと違うと感じる人もいるかもしれない

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    2025年10月16日
  • 死者は嘘をつかない

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    久しぶりに徹夜して一気読みしたいと思うキング作品だった。若い頃のような無茶はできないので一気読みはしなかったけど。
    やっぱりキングは中編がいいね。この頁数だと一般的には長編の部類に入るだろうけどキングだと中編の感覚。
    キング中編は過不足なく濃密な読み応えの作品であることが多く、ファンとしては横道にそれてくどい部分がないのが物足りなくもあるジレンマ。

    本作はいつもの翻訳者の方ではないので、言葉選びや文章の組み立てに少し違和感を覚える。違う作家、キングなのにちょっと別のキングのような。ジョイランドの時もそうだった。
    読み進めるうちにそれはほぼ解消される。
    おそらく原文そのまんまな翻訳は好みが分かれるかもしれない。日本人に理解しやすいような独自のアレンジめいた翻訳ではない。翻訳者にも個性があるからどちらがどうというのは特にないけど。
    これもダークタワーワールドの一つの世界と思えば面白いかも。

    内容は純然たるホラー、スーパーナチュラル、しかも古典的とも言える幽霊もの。
    自分だけが死者が見えるという、あらゆる分野で手垢にまみれたジャンルなのに、キングの手にかかれば驚くほど読者を惹き付ける。どんな料理も料理人次第なのだ。
    中盤までは圧倒的に私が好きなキング展開で、その後徐々に失速(あくまで私の中で)、最近のキング作品のテイストに収束していった。もっとお下劣なのがいいんだー!もうそういうの書かないのかキングさん。

    クライマックスがびっくりするほど地味で爆発力もない。徐々に登っていく感覚もなかったな。
    全体的に物悲しさやせつなさは少ない。それでも不気味な空気感はずーっとまとわりついたまま走りきったのは素晴らしかった。
    あとであれこれ考えを巡らせて薄ら寒くなる。見事なタイトル(原題)だ。
    キングの少年ものにハズレなし。

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    2025年10月15日
  • H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って

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    ラブクラフト作品の精髄を鮮やかに構造化して示す手際はさすがである。一方で最終章の不穏なタイトルが示す通り、HPLの生涯からその恐怖譚の背後にある「思想」をえぐり出すところは激しく論争的で、これもやはりウエルベックの真骨頂というべきだろう。

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    2025年10月03日
  • ペット・セマタリー(下)

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    下巻の冒頭で起こった悲劇は非常に痛ましく、裏表紙で触れられていたため展開に驚きはなかったものの、それ自体には何の予兆もなかっただけに衝撃が強い。転じて、それ自体が幼児のいる家族のリアリティでもあり、その不幸の事故こそが恐怖の源泉でもある。

    蘇りの力を持つペット用の墓地という設定に留まらず、土地にまつわる忌まわしい呪いの物語という膨らませ方は上手い。加えて、指向性のない真の邪悪には人間の善意すらも容易く汲み取られてしまう。愛する者の死に対してできない納得を弱さと断じるには残酷ではあるのだが、そこから目を背けた結果としてより残酷なしっぺ返しが起こるというのは非常に忌まわしく、物悲しい。キング作品に通じるテーマとして「信じる心」があるわけだが『猿の手』の翻案だけあってそれを逆手にとった怪作である。そして蘇りが失敗したその瞬間に、抱いていた思い出すらも漆黒に塗り潰されてしまう。その代償は非常に重く、個人的にはクライマックスにもう一捻り欲しいなとは思いつつも後味はかなり悪く、その不幸な一連の事件が忌憚として語り継がれていき、いずれ怪談と成り果てるという意味では一級品のホラーであると思う。

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    2025年09月25日
  • ペット・セマタリー(上)

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    メイン州の田舎に越してきた一家と老人の交流。そして家の裏地にある古より伝わるペット専用の墓地を巡る物語。しかしながら、ペット専用の墓地という題材にしてはペットロスを取り扱ってるわけではなく、話もペット中心の物語ではない。

    ホラー作品の恐怖というのは必然的に結果としての死に直結してるが故の恐怖であり、死なないホラーで恐怖を演出することは難しい。それ故に結果としての死か、もしくは物語の導入としての死を語ることに偏りがちで、「死」そのものをテーマとしたホラーは案外珍しいものである。そんな中、本作はキング作品の中でもかなり直接的かつ広範に「死」というものをテーマとして取り扱った作品であり、そのせいかどことなく物語の根底には物悲しい悲哀が漂っている。

    死に接することの多い医者という職業である主人公。幼少期の姉の死がトラウマになっている妻という設定もまた魅力的で、それ故に否応なしに死というものを意識してしまうのだ。そんな中、飼い猫チャーチの死と、そのチャーチを甦らせてしまうミクマク族の墓地という流れは非常に面白く、帰ってきた猫が「猫なるもの」と言っても過言ではない不気味な存在なのもまたゾワゾワする怖さがある。それでいながら埋めたペットが帰ってくるなら死んだ人間を埋めたらどうなる?という匂わせを出しているのも上手い。

    上巻はまだ恐怖の予兆にすぎず、不穏さのみを残して終わったわけだが、これが下巻でどう展開するか楽しみである。

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    2025年09月25日
  • フェアリー・テイル 上

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    ワクワク、キングの最新作!
    どんな感じかなと楽しく読んでいたら思った以上にミスターボウディッチが退場して、えー!となった。いよいよ不思議な世界で何が起こるか‥と思った矢先にあっという間に上巻終了。下巻楽しみ!

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    2025年09月22日
  • ミスター・メルセデス 上

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    引退した刑事に手紙が届く。それは担当したものの未解決で終わってしまった事件の犯人と思わしき者からの挑発的な手紙だった。元刑事のボッジズはそのことを警察に知らせず捜査を再開する。
    元刑事と犯人の視点が交互に変わるかたちで話は進む。アクシデントが余裕ぶった犯人にふりかかり犯人も追い詰められていく。もう少し頭脳戦があると良かった。

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    2025年09月18日
  • フェアリー・テイル 下

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    冒頭で言ったラヴクラフトはどこ行った!と思いながら読んでたら後半ガッツリラヴクラフトみがあって大変良かったです。
    また主人公が異世界を去る際の後ろ髪引かれる気持ちの描写が非常に悲しかった。
    ただ上巻と比べわんこのレイダーの描写が少なくなってしまったのがやや残念に思えてしまった。

    タイトルに偽りのない素晴らしいキングのおとぎ話でしたが、同じ長尺の『IT』や『ザ・スタンド』ほどの波瀾万丈さが無かったので物足りないなーと思ってしまいました。

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    2025年09月15日
  • 呪われた町 上

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     丘の上から屋敷が見下ろす町、セイラムズ・ロットに正体不明の恐怖が迫ってくるホラーで、閉鎖的な町に漂う不穏な空気と相次ぐ住民の不審死、多数の視点を通して徐々に怪異にに侵食され始める不気味さに支配された上巻で、下巻でどうなるのか楽しみ。

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    2025年09月14日
  • IT(4)

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    ネタバレ

    第4巻
    ITとの死闘が凄まじかった。息もつかせぬ展開に圧倒された。
    11歳の時の闘いと27年後の今の闘いが、一文で繋がり交互に描かれる構成が素晴らしい。緊迫感がより高まり、ぐいぐい読ませる。こんな描き方があるのか…やっぱキングって凄いわ。
    太古の昔から闇の中に生きてきたIT。食べては寝て起きて食べては寝るというサイクルを27年ごとに繰り返していた。近年は子どもの恐怖心が好物で捕食しており、あらゆる物に化け人々を恐怖に陥れる。
    それに立ち向かうビル達はみだしクラブの7人。仲間を失いながら、傷を負いながらも友達を思いやり挑んでいく。
    自分や仲間を信じる勇気こそがITを滅ぼすチカラとなり、そして…

    友情が紡ぎ出す青春物語。
    デリーの町ごと全てが破壊されていく場面は、キャリーと同じく大迫力だ。
    ちょっと残念だったのは、子ども時代にベヴァリーが他の6人の男の子と〇〇○する件。絆を強める為とは言え、その手段ではない方が美しかった気がする。
    これだけの出来事がマイクの記憶からなくなっていく。固い絆で結ばれた友達の名前さえも忘れてしまう。おそらくビルやベヴァリー達もいずれはそうなのだろう。
    このラストが私は好きだ。子どもの頃の記憶ってなくなっていくよなぁ。良い事も悪い事も。だから生きていけるんだよね。

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    2025年09月13日
  • IT(4)

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    喪失なくして克服なし。ままならない日常に光った煌めきも、恐怖に呑まれそうになった痛みもいつかは忘れていく。絶対はないということ。ホラー・ジュブナイル・スーパーナチュラル大長編の根幹には、人の切ない性(さが)がある。Bravo!

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    2025年09月12日
  • フェアリー・テイル 上

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    タイトルの時点でテンションだいぶ高まってるのに、冒頭の文章読んで卒倒。煽りすぎですよキングさん!

    上巻は主に主人公と、偏屈なボウディッチ老人と彼の飼い犬レイダーや父親との温かいやり取り、また幼い時事故死してしまった母親への思慕を主に描かれていますが、この温かさがキングの他人への眼差しのようで読み心地が良かったです。
    その温かさがあるから異世界への旅立ちを決意する辺りが痛切に響きました。

    感想下巻に続きます。

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    2025年09月06日
  • フェアリー・テイル 下

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    ネタバレ

    上巻に続いてレイダーが可愛い。コウロギのスナブがレイダーの上に乗ってるところを想像するだけで頬が緩みます。

    おおまかなところは予想通りだけれども、それはフェアリー・テイルとして果たすべきストーリー展開を描き切ったのだと思います。下巻で登場人物がめちゃくちゃ増えるし、その人たちを巻き込んで読んでいて苦しい場面も多いけれど、ぜひぜひ映画化して欲しい。
    レーアの女王としての生きていく決意と、ドーラの暖かさに感動。そしてチャーリーの決断…この終わり方、好きだなぁ。それでいいのだと思う。ドーラの家と赤い罌粟の花が残像として今も残っています。

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    2025年09月05日
  • IT(3)

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    ペニー・ワイズはそれぞれの悪意や憎悪、トラウマの形をとって襲いかかる。黒人や同性愛者へのフォビアが、キング流筆致で描かれる、映画よりも露悪的に。映画2本目でドランがITに惨殺されるゲイ青年役を演ったのが、今更やっと政治的な意味を帯びてくるような、1985年編の幕開けとしてかなり重要な配役だと気付いた。最終決戦へ。

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    2025年08月31日