感情タグBEST3
キングの短編はけっこう読んでいますが、この作品集では、なんとも言葉では言い表せない緊迫感でぐいぐい迫ってくる「N」が圧巻でした。
ストーリーとしてだけでなく、本当にこの世のどこかにこうした現象が起こっているような気もします。「N」の場合にはギリギリ正気を保った良心的な登場人物でしたが。
不可...続きを読む視のものを見つつ、危機迫る中、それをただの狂気や怪異でなく、高貴なまでの作品に仕上げてゆく、キングならではの作品。胸にズシンと響きました。
「ニューヨークタイムズを特別割り引き価格で」もよかった。泣けました。
こうした事も、想像だけではないのでしょうね。
何度も読み返せる作品集です。
Posted by ブクログ 2013年03月31日
強迫から逃れられない嫌悪感で具合が悪くなりそうな作品から始まり、吐きそうになりながら読み終える短編集。「幻想というバーベルを持ち上げるだけの想像力(解説より)」が備わってきたのか、一回目に読んだ時よりも楽しめた。
Posted by ブクログ 2012年05月29日
短編集2
ていうか、英語として同じタイトルなのに「夕暮れをすぎて」と「夜がはじまるとき」っていうタイトルにしちゃうところとか、作者後書きが「サンセット・ノート」てタイトルなところとか、全部好き。どれも面白かったです。
「N」…という患者が強迫神経症で精神が壊れて行く過程を記述した医療記録、医師の手...続きを読む記、妹の手紙、新聞記事。小説と言う体裁をとらずに、何か不可思議なものによる世界の浸食とそれによって精神が壊れて行く人々の様子。怖い。でも面白い。
「魔性の猫」…とにかく怖くてヤバイ猫の話。殺し屋に猫は殺せるか。
「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」…飛行機事故で死んだはずの夫からの電話。悲しくて切迫していて切ない短編。いい。
「聾唖者」…であるヒッチハイカーを乗せた男は、とんでもない妻についての愚痴をこぼす。どうせ聞いていないのだからと…。
「アヤーナ」…グリーンマイルを思い出したのは私だけじゃないはず。
「どんづまりの窮地」…これはひどい。とんでもない狂人を隣人に持ってしまった男。誰も来ない工事現場の仮設トイレに閉じ込められてしまった。ドアを下に閉じ込められ、まさしくタイトル通りの状況。手に汗ってやつです。うまい。でも、怖い。ドキドキした。
Posted by ブクログ 2011年04月13日
アーサー・マッケンの『パンの大神』に影響を受けたという「N」から、これぞキングのお下劣な最高傑作ともいうべき「どんづまりの窮地」まで珠玉の全6篇です。
30年前にキャバリエ誌に発表された作品「魔性の猫」のシンプルなお話が好きかな。想像力で色々背筋が凍る「聾唖者」もうなった。
でもまあやっぱ、トップ...続きを読むを飾る「N」の怪奇譚っぷりが一番イカスね。キングが「脅迫観念の重みで自壊していく人間精神の物語でもある」とサンセットノートで語っているが、これいには激しく同意したい。
僕がこの日記であの場所へ行くと書き記して去ったなら。
どうかあなたは絶対に近づいてはいけない。あの場所に!!!!!!!!
Posted by ブクログ 2010年04月29日
やっぱりキングは面白いですね。怖いだけじゃなくて、人間の深いところをきちんと描いていて。好きだったのは「ニューヨークタイムズを特別割引価格で」。このタイトルも何とも言えずいい。とても効果的だった。「アヤーナ」も同じように怖さより愛を感じる。死と奇跡。人間を超えたところで起こる出来事。でも、人間だから...続きを読むこそ奇跡を呼ぶ。
ラストで気持ち悪くされてしまいましたが、「読んでよかった」本です。
Posted by ブクログ 2024年03月01日
神保町の書店で買った選書本。ラッピングされた文庫本の中から、本文から抜き出しされた一文を読んで気になる一冊を選ぶというもの。
「幽霊ならまだいい」という文章に惹かれてこちらを選んだ。
It、スタンド・バイ・ミーなどでキング作品はことごとく挫折してきてるので、正直読み切れるか不安だったけれど、面白い...続きを読む!
「魔性の猫」、「聾唖者」、「アヤーナ」が面白かった。特に魔性の猫は友達にも薦めたほど。
「どんづまりの窮地」はコーヒーを飲みながら読むものじゃなかった……何度顔を顰めたことか…ある種一番こわい。こわすぎる。
キングのあとがきに「私の感じた恐怖をみなさんにおすそわけしたいと思って書いた」とあり笑ってしまった。ふざけんなこのやろう。
最近翻訳物が読めなくなってきていたのだけど、楽しく読めたので嬉しかった。
挫折した作品にももう一度トライしてみようかな。
Posted by ブクログ 2013年12月27日
1312 始めから最後までキング色一色でした!どれもじんわり怖い良い作品ばかり。最後の『どんづまりの窮地』だけは何とも。。。読んでて鼻が詰まりそうでした。
Posted by ブクログ 2013年06月03日
凄いうんこな本だった。アメコミ化もされているクトゥルー神話系に分類されうる「N」や2つの意味での死後の世界をしんみりと描ききった「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」という傑作がありながらも最後に文字通りのうんこ作品「どんづまりの窮地」が全てをかっさらってしまった。
Posted by ブクログ 2010年10月12日
キングの短編集です。
久しぶりにキングの本を読みましたが、
短編それぞれちがった怖さがあっておもしろかった。
猫好きとしては、「魔性の猫」が一番怖かった。
最後、電車の中で読んでて本を取り落としそうになったよ。。。
「N」は、要するに強迫観念症でしょ、と思えるのだけど当事者にとってはそうではなく...続きを読む、好奇心の末、当事者の立場に立ってみるともう後戻りは出来ない。。。と
「どんづまりの窮地」は。。。。
キングってこういうの書いたら天下一品だよ。
ランチしながらこれを読むのはおすすめしないです。
Posted by ブクログ 2010年02月03日
面白かった。
「ニューヨークタイムズを特別割引価格で」が
好きだったかな。
内容もだけど、一話ごとに訳者が違い、翻訳によって
こんなに違うんだと思った。表題の話が一番読みづらかった。
Posted by ブクログ 2010年02月01日
久々のキング短編集、後編。巻末には「今日の早川さん」出張版収録。
キング作品は、長編だと本当に長いことがあるから、このくらいがちょうどいい気がします。
ただ、今作はラインナップがイマイチパッとしなかったかな。
Posted by ブクログ 2011年07月15日
分冊短編集の後半。「N」★★★ラヴクラフトにも通じる、別の次元からの侵入してくる物と強迫神経症的に精神が壊れて行く過程をからめた恐怖。他人と共有する事ができず自分で抱え込むことで問題はどんどんふくらんでくる。これって早めに誰かを巻き込んでいたら問題そのものが成立しないのでは???でも、逆にタイミング...続きを読むを外してしまうことは日常的によくあることか・・・おそろしい「魔性の猫」★★ストレートに恐ろし〜猫「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」★★★★9.11の影響を受けたと思わせる飛行機事故が生み出した切なくも不気味なお話。親しい者の死と直面した時の感情の切り出しかたが見事です。「聾唖者」★★★公金横領の上、不倫相手の男と逃げた妻を持つ冴えない中年男をいったい誰が救ってくれるのか?「アヤーナ」★★受け継がれて行く奇跡の力。これも映画にピッタリか。「どんづまりの窮地」★★★★悪趣味大好きキング全開。食事しながら読んでしまい大失敗。う〜ん、こんな窮地にだけは追いつめられたくない。簡易トイレがこんな恐ろしい場所に変わるとは・・・使うたびに思い出してしまうのだろうか・・・昔「恐怖新聞」って漫画を読んで夜トイレに行けなくなった事を思い出してしまった。いやだなぁおまけに解説として「今日の早川さん 特別出張版」がついています。もちろんホラー大好き帆掛さんと早川さんの掛け合い。楽しい。喫茶店での一コマで壁にかけてある絵がキングの長編「悪霊の島」のカバー画なのにも気づいたぞ。
Posted by ブクログ 2021年11月09日
短編集。
『N』はわかったような、わかんないような。
他は、まあそこそこ楽しめた。
なかでも、色々な意味ですごいのが『どんづまりの窮地』。すごいというか、気色悪いというか、ゲンナリというか。
こんな小説を書けるのは、キングしかいないだろう。まさに面目躍如。
Posted by ブクログ 2020年10月24日
原著2008年刊行、比較的新しいスティーヴン・キングの短編集。収録された6編ともホラー・オカルトの系譜に属する(ファンタジーっぽいものもある)。
この中では「N」「魔性の猫」「どんづまりの窮地」が印象的だった。
巻頭の「N」は強迫性障害の症例報告のスタイルで、いつもとは違うメモ書きの文体で始まるため...続きを読むに違和感があったが、最後の部分でいつもの、主体のモノローグを組み込んだ生々しい文体に戻る。内容はちょっとラヴクラフト風かもしれない。
最後の「どんづまりの窮地」はなかなかスカトロな光景がおぞましく描かれるので、上品な方は読まない方が良いかもしれない。
いったいに、キングは『ペット・セメタリー』辺りを頂点として、後は下り坂というか、少なくとも自分にとってはあまり満足できないような作風に変貌してゆくのだが、作家の力量としては充実しており、その余裕からこの短編集のような多彩さを醸成することができるのだろう。
視点となる作中人物のモノローグを混合させ、緊迫した読書時間をもっと体感したいのならば、やはり長篇の方が読み応えがあるのかもしれない。
Posted by ブクログ 2020年09月15日
どの短編も人物が生き生きとしていて印象に残る。特に面白かったのは「魔性の猫」と、最後に収録されている「どんづまりの窮地」。
「魔性の猫」は人間の殺し屋vs猫の殺し屋の車内での攻防がスリリングに描かれている。
中でも猫が口の中に押し入ってくるシーンがまさかの展開で怖すぎた。
「どんづまりの窮地」は綺...続きを読む麗な話ではないが地獄から這い出したあとの展開にスッキリした。風呂に乱入するシーンのやりとりは見ものだ。
Posted by ブクログ 2018年11月05日
短編集。アメリカでは1冊のものを2分冊にしている。
複数の手記を組合わせる形式をとったクトゥルー神話風の「N」。解説によるとキングには直接にクトゥルー神話に題材をとったものは少ないそうだが、前にも短編で1つ読んだことがあったな。
超自然的なものは何ひとつ出てこないが身の毛もよだつ描写の「どんづま...続きを読むりの窮地」。
あいかわらず実にうまい。
Posted by ブクログ 2015年01月24日
まァ、面白かったのだけれど、短編集にしては読み辛くもあったな。なんでだろう。一番気に入ったのは救いのある話の「アヤーナ」。「どんづまりの窮地」は、いままでもフェスやら観光地やらに行って仮設トイレを使う際に感じていた不安感というか嫌悪感を具体的な形にしてくれちゃったワケで、これからその手のトイレを使う...続きを読む際には必ず反芻してしまうこと請け合い。マイッタな。TOTOやINAX等日本のトイレメーカーの皆さん、日本のトイレは世界一キレイみたいなので、仮設トイレも「どんづまりの窮地」が笑い話になってしまう位、どうかひとつよろしくお願いしますよ。じゃないと、トイレに行けなひ。です。
Posted by ブクログ 2013年09月26日
六話のお短編集。面白かったのは一話目と六話目。
一話目の「N」はクトゥルー神話系かな。医者の手記や手紙で構成。世界は薄っぺらで不安定ですぐ近くにいる邪悪で大きな力を持つものが浸食してきているという強迫性障害を持つ患者の話が現実のように思えてしまう話。
最後の「どんづまりの窮地」は、仮説トイレに閉...続きを読むじ込められる話。これは容易に想像できてしまって辛いwww
Posted by ブクログ 2010年06月10日
久々にキングの近刊を読む。気づいたら底なし沼に引きずり込まれていた、というキングらしい怖さの「N」、夫婦愛・家族愛を描かせるとひときわ輝きを見せるのが常だが、「ニューヨークタイムズを特別価格で」。わたしはこれが好きだった。「魔性の猫」は、ちょっとステロタイプだったなぁ。「グリーンマイル」をちょっと彷...続きを読む彿とさせた不思議な「アヤーナ」もよかった。