スティーヴン・キングのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
バトルランナーの改訂版。
西暦2025年、アメリカは巨大な管理国家と化し、都市には失業者があふれていた。貧困にあえぐベン・リチャーズは人気を誇るゲーム番組『ランニング・マン』に出場することに。逃げ切れば大金、捕まれば即死。30日間逃げ切れるのか…。
大好きなキングのリチャード・バックマン名義で発表していた初期の代表作とあって、復刊に歓喜です。
リチャーズは逃げ切れるのか、ハラハラする展開も見所ですが、リチャーズの心境の変化が面白かった。
最初は娘の病気の治療費を稼ぐためゲームに参加しましたが、ゲーム中に出会う人と接していくうちに、メディアに支配された社会に対する怒りが増長していく様を丁寧に描い -
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Posted by ブクログ
上下巻購入したら9500円、長年、キングファン、かつ年金でもリッチなクラスの方しか買わない、買えないであろうと・・思った読後。
ファンタジーである。正直、若い頃からあまし好み出なかったテーマ、どうしても現実の生活が色々あった事もあり、短編なら手に取って、浸っても、こういう長編になるとモチベーションが幾度くじけたか・・でした。
キング曰く、ラスト、32章にテーマを叫んだとあるし、分かります。
でも、だから・っていうのは日本は無論世界各地で起こる現実が将来への急を告げる内容というせいでしょうか。
レーア姫といや、あの映画を思い出すし、ジャーマンシェパードの姿もけなげで、僕チャーリーとの一身一体 -
Posted by ブクログ
『サイコハウス』と呼ばれる不気味な屋敷。そこに住む偏屈な老人と獰猛な犬。しかし悲しげな犬の鳴き声に気づいたチャーリーは、屋敷の老人が梯子から落ちて苦しんでいるのを見つける。老人を助けたことがきっかけで友達となり、老人と犬の世話をするようになった。そのうちに屋敷裏の小屋から聞こえる奇妙な音、金庫に隠された大量の黄金、これは一体…?老人は死の前にとんでもない秘密をチャーリーに教える。そこから異世界への冒険が始まる。
人物描写、背景などが非常に細かい。それがリアルを生み出し、世界観が完結しているのだが、読んでる方は少し面倒だ。チャーリーの親父さんがアル中になり、そこから復活再生するストーリーは必要 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題作はあることを契機に人生のタガが外れていく男の話。当時は社会インフラや医療技術などあらゆるものが現代とは異なっていて、今だったら同じ選択をしたとしても、もっとスマートな方法だったり、なんなら離婚訴訟とかになってたかもしれない。
オチは(自分的には)キングらしくないかなと感じた。「痩せゆく男」や「ダーク・ハーフ」を本作と同じ結末にしたらたぶんあまり面白くないと思う。救いとかそういうものがなく、恐怖は恐怖のまま終わってくれたほうが好きだ。
同時収録の「公正な取引」はグッドヒュー家が坂道を転がる石のように不幸になっていく部分の描写がいかにもキングらしい、リアルな手触りだった。こちらのオチは好き -
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Posted by ブクログ
久しぶりに徹夜して一気読みしたいと思うキング作品だった。若い頃のような無茶はできないので一気読みはしなかったけど。
やっぱりキングは中編がいいね。この頁数だと一般的には長編の部類に入るだろうけどキングだと中編の感覚。
キング中編は過不足なく濃密な読み応えの作品であることが多く、ファンとしては横道にそれてくどい部分がないのが物足りなくもあるジレンマ。
本作はいつもの翻訳者の方ではないので、言葉選びや文章の組み立てに少し違和感を覚える。違う作家、キングなのにちょっと別のキングのような。ジョイランドの時もそうだった。
読み進めるうちにそれはほぼ解消される。
おそらく原文そのまんまな翻訳は好みが分か -
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Posted by ブクログ
下巻の冒頭で起こった悲劇は非常に痛ましく、裏表紙で触れられていたため展開に驚きはなかったものの、それ自体には何の予兆もなかっただけに衝撃が強い。転じて、それ自体が幼児のいる家族のリアリティでもあり、その不幸の事故こそが恐怖の源泉でもある。
蘇りの力を持つペット用の墓地という設定に留まらず、土地にまつわる忌まわしい呪いの物語という膨らませ方は上手い。加えて、指向性のない真の邪悪には人間の善意すらも容易く汲み取られてしまう。愛する者の死に対してできない納得を弱さと断じるには残酷ではあるのだが、そこから目を背けた結果としてより残酷なしっぺ返しが起こるというのは非常に忌まわしく、物悲しい。キング作品 -
Posted by ブクログ
メイン州の田舎に越してきた一家と老人の交流。そして家の裏地にある古より伝わるペット専用の墓地を巡る物語。しかしながら、ペット専用の墓地という題材にしてはペットロスを取り扱ってるわけではなく、話もペット中心の物語ではない。
ホラー作品の恐怖というのは必然的に結果としての死に直結してるが故の恐怖であり、死なないホラーで恐怖を演出することは難しい。それ故に結果としての死か、もしくは物語の導入としての死を語ることに偏りがちで、「死」そのものをテーマとしたホラーは案外珍しいものである。そんな中、本作はキング作品の中でもかなり直接的かつ広範に「死」というものをテーマとして取り扱った作品であり、そのせいか -
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