江國香織のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
約千年前の平安時代のある女性の
幼少期から晩年の回顧録
その喜怒哀楽が、
江國さんの現代語訳で蘇る
タイトルは日記だけど、晩年の回顧録のようで
若い頃に、源氏物語や伊勢物語を入手して
有頂天になったり、
現代の読書好きと変わらないなぁ〜と
ほっこりしてしまった
よく、詠んだ詩が出てくるのだけど、
ナンパも詩でされ、返しも詩で、
オシャレだな〜と 返し方とかも
仲の良かった同僚から、手紙がこなくなり、
それを詩で伝えたら、返しの詩が良すぎて!
離れ離れになった父との
詩のやりとりも良かった〜
元々良いのだけど、江國さんの古典を残しつつの
江國風味が、また良い〜
何か凄いものを読んだ気 -
Posted by ブクログ
とても面白かったです。菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)の「物語が読みたい~!」という気持ちや、念願の源氏物語を昼も夜も夢中になって読みふける姿は、すごく共感しました(「源氏物語」への情熱というより「物語」への情熱に)。
いろいろな思いを和歌に託すと、なんでもないようなこともとても風流に聞こえますね。(当時としては当たり前のことだったとは思いますが……)
更級日記がこんなに面白いなんて、もっと早く知りたかった、という気持ちを和歌にしようと、(現代の私は、さらっと和歌を詠めないので)ChatGPTで試してみたら、とてもそれっぽいのができました。恐るべしテクノロジー……
知らずして 年 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ利発でハチワレの美しい猫、ダルシー。
子猫だった彼女と彼女を見初めた女性との17年と4ヶ月にわたる暮らしが猫の目線で語られる。
年月の中でダルシーの愛は波のようにかたちを変えながらも痛いほどまっすぐにただひとりの人間に注がれ続ける…
江國さんの美しい訳にも注目。
これは久しぶりに心ゆさぶられる本に出会ったという感じ。表紙だけで「この本は買おう」と思った。
猫らしく、プライドが高くて高飛車なダルシー。
でもいつでも「あたしの人間」に向かう愛情は切ないほどまっすぐで健気で…痛いほどだ。思い出すと胸がぎゅっとなる。
愛しくて懐かしい大好きな人を思い出す時の気持ち.…。
子供が母親を求めるような愛でも -
Posted by ブクログ
自然の描写の美しいこと。ほんとうにこれ同じ日本?と思うほど。平安は古代なのでまだ神話の時代が続いているようなロマンティックさがある。
人と人との確執にだけ特化した源氏物語より更級日記のほうが好きかも。
人はでてくるけれど名前はでてこなくて、他人はさらっと扱われつつも、
旅には時間がかかり、病気などで簡単に人が亡くなってしまう時代なので、心の底から別れを悲しんだり、再会を喜んだり。
何もかも欲しいって無理なんですよね。
生きることが切実であった代わりに、美しい自然に触れられる時代であったというか。
今は死なない方法はたくさんあるけれど、無くしてしまったものもたくさんある気がする。
そして神仏 -
Posted by ブクログ
物語を愛し、光源氏に憧れる夢見がちな少女時代から、夫に先立たれた晩年までを記した日記文学。古典は「教養」というイメージが強いためすこし抵抗があったが、本作は非常に読みやすく、江國さんの訳者としての手腕を感じた。少女から大人になるにつれ、夢から醒めるように「物語は所詮絵空事なのだ」と悟る瞬間がなんとも切なかった。
乳母と姉、夫を先に亡くし、一時は遠方の地に出向く父を見送った作者。『更級日記』は、別れの哀しみを詠む歌が多かったように思う。「歌」というのは日常の一場面や想いを切り取った写真のようなものかと思っていたが、この作品を読み、心が大きく揺さぶられた一瞬の「感情」なのだと知った。
江國さん -
Posted by ブクログ
ネタバレワクワクするファンタジーの言葉の数々にムネが踊ります!
そして青い鳥とは一体?と読み続けて
最終的には飼っていたキジバトでした。
この解釈について、「幸せは身近にあるもの」というものがよく見かけられますが、
キジバトって、最後逃げてしまいましたよね…。
そのため、個人的には、青い鳥は幸せを感じられる人、目に見えないものを大切にする人の証と解釈しました。
青い鳥は幸せを感じられる人にしか見えない特別なもの。
そしてそれは実は、見ようとしないだけで、
そこらへんにたくさんいるのかもね?
なんて思いました。
このネットの現代だからこそ、心にとても響く本です。
目に見える評価だけをみるのではなく