江國香織のレビュー一覧
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猫好きさんからお借りしました。
挿絵はかわいらしいですが、最初の方は物語にあまり入り込めず、随分長くお借りしてしまいました。
私は、猫と一緒に暮らした経験はありませんが、経験者によると、猫は本当に人間をしもべと思っているらしい(笑)。
どうして、介助犬や盲導犬はいるのに、介助猫や盲動猫はいないのか、という話を知人としたところですが、犬と違って猫は、人間のために何かしてあげようと性質ではないからだろうかと。それでも、本書を読むと、存在しているだけで猫って素晴らしいと思わざるをえません。
ダルシーは、たくさん辛い経験をしますが、誇り高く、亡くなるまで「あたしの人間」を愛します。
愛するペットとお別れした経験がある方なら、涙なしでは読めないだろうと思います。
私が愛する人、私を愛してくれる人を大切にしていこうと改めて思わせてくれる、素敵な物語でした。 -
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江國香織さん訳、高野文子さんの挿絵による
メーテルリンクの『青い鳥』。
子供の時分に絵本で読んだことがあるけど、
お話としてしっかり読んだのは初めて。
流石、読み継がれる名作とあって、哲学的で、
大人が読んでも(イヤ、色々な経験を経た
大人だからこそ)心に響くお話しだった。
幸せとは、あなたが気づかないだけで、
あなたの身の回りに幸せが沢山溢れていますよ
というメッセージが込められている。
目には見えないものを見る、感じる大切さ。
印象的だったのは、真夜中の墓地と未来の王国。
真夜中の墓地、死者やゾンビが出てくるのかと
恐る恐る(ワクワク)期待していたが、
現れたのは思いもしない光景だった。
(これはこれで、そうきたかと思いました。)
未来の王国では、〈時の審査〉を経て、決められた
運命をたずさえて、地球への船に乗り生まれて
くる未来の青い子供たち。
読んでいて思い出したのは、ピクサーのアニメ
映画『ソウルフルワールド』のソウル(魂)たち。当時映画を観た時は、斬新なアイデアに驚いた
覚えがあるが、青い姿や決められた運命など、
設定がとても似ていて、『青い鳥』のオマージュ
だったのだなと思った。
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有名な古典で名前は知っていましたが、読むのは初めて。物語好きな女の子の旅と好きな物語を存分に読む生活が描かれていると思っていましたが、半分も当たりませんでした。そもそも日記と言いながら老境に入ってからの回想録。だから、当然、最後は作者が老いてからの話。夫を病気で亡くして、こんなことになるのはまだ若かった頃の自分の心掛けがよくなかったから、と後悔する場面など、ちょっと身につまされました。
途中、都に戻ってからの日々のちょっとした出来事の表現や人とのやりとりが、みんな和歌でなされています。この頃のコミュニケーションが和歌で成り立っていたことが改めて実感できたのも面白かったです。
最後に、江國香織さんの現代語訳がとても読みやすかったです。 -
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松任谷由美デビュー50周年を記念して、6人の女性作家さんたちが書き下ろしたユーミン曲がテーマのオリジナル小説集。題名見るだけで惹かれるものがあり、即購入。
収録されている話は以下、
・あの日にかえりたい(小池真理子)
・DESTINY(桐野夏生)
・夕涼み(江國香織)
・青春のリグレット(綿矢りさ)
・冬の終り(柚木麻子)
・春よこい(川上弘美)
いずれの曲も知っていたが、あらためて思ったのは、その曲に対する偶像イメージは『人それぞれ』ということ。特にユーミンなどは僕らの年代は誰もが知っていて、その曲に対する絵が脳裏に自然と浮かぶ。
ただ、それをいざ物語化してみたら、作家が描くストーリーが自分とは少し違うのだ。
例えば『あの日にかえりたい』のストーリーは学生運動の渦中であり全くオシャレ感は無く、『冬の終り』は歌詞には一切関係なく女性のパート職場の人間関係の話だった。
まあ当時の僕らがカーステレオで流す音楽の何割かがユーミンやサザンであったように、青春の傍らには必ずユーミン曲が流れていたという象徴のような小説なんだということかな。
『私を許さないで 憎んでも覚えてて』というキラーフレーズが印象に残る『青春のリグレット』は、自由奔放に恋愛をしていた女性が回顧しながら交差点で物思いする話は、僕のイメージに近かったかなあ。『綿矢りさ』だから、女性のしたたかさ?が描かれていてちょっと怖かったな。
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江國香織さんによる現代語訳
平安中期、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が書いた日記文学
作者13歳から始まり、父の任地であった上総国(現在の千葉県)からの帰京の道中の描写が前半の多くを占める
それから40年に及ぶ半生を回想して記したとされる自伝的な文章
大人は源氏物語がいいという話をしてくるけれども、本文に何が書かれてあるかは教えてくれない
写本が上総国までは広まっていない
読みたいシリーズがあるのに読めないもどかしさは現代の読書民の思いに通じる
父の任期が来て帰京の道程の詳細
京に戻ってから、伯母さんが源氏物語とその他の書物をくれて耽溺することになる
物語の恋愛への憧れ
その後、親しかった継母との別れ、慕っていた乳母や姉の死、家の火事などの厳しい現実
本のような恋愛に憧れていたが、現実は父の命で宮仕えをする事になる
歳を取ってからの宮仕えは、現代で言うキャリアを積んでいない派遣社員のようなもの
いいなと思う男性がいたものの、恋が実ることはなく
そしてまた望まぬ結婚を経て、物語の世界と現実の違いを認識し、夫や子どもの将来を願うようになる
しかし、信濃守になった夫が急死し、孝標女は悲しみに暮れる
役に立たない物語や和歌に没頭するのではなく、若いころから仏道に励み、信仰を深めていればこんな惨めな老後にはならなかったのではないかと嘆く
そんな自分の境遇を頼りのない知人に宛てるが
かつての知人は「ありふれたこと」と一蹴する
ただ、この本位は書かれていないが
実際の菅原孝標女は、『更級日記』だけではなく、物語『浜松中納言物語』『夜の寝覚』の作者ではないかと推定されている
どこからどこまで事実か創作かわからないのは現代でもモキュメンタリーという言葉がある
子供の頃、京に戻る際の途中の地名の由来などの逸話まで書いているにもかかわらず、人生の中で重要と思われるイベント、結婚や出産の描写がさらっと流されている
彼女にとって、それらが人生の中で重要な要素ではなかったという事なのだろうか?
それにしても、昔の人は事あるごとに歌を詠む
感動や気付きがあったら詠む
石碑を見ては返歌
手紙や歌を貰ったら返歌
韻を踏んでいたり、一つの単語に複数の意味を持たせる掛詞
まるでラップバトルのようだ
ちなみに、この現代語訳
池澤夏樹の個人編集による日本文学全集の一部
更級日記の訳を江國さんが担当した分だけを文庫化したもの
訳にも江國さんらしさが漂う
――でくくって文中に言葉の詳細を入れるところとか
女性の生き方が何となく江國さんの物語っぽさを感じる
本好きっぷりもそうだし、こうして記録を書き綴るところも
和歌の現代訳が詩のようになっているのでわかりやすい
江國さん訳じゃなければ読んでなかったし、読んで良かったと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレ松任谷由実デビュー50周年記念オリジナル小集。全作書き下ろし。ユーミンの名曲タイトルから6人の女性作家が新たに奏でる小説のハーモニー。令和4年7月1日発行。
小池真理子 「あの日にかえりたい」(1975年)
桐野夏生 「DESTINY」(1979年)
江國香織 「夕涼み」(1982年)
綿矢りさ 「青春のリグレット」(1985年)
柚木麻子 「冬の終り」(1992年)
川上弘美 「春よ、来い」(1994年)
ユーミン世代ではないので、リアルに記憶にあるのは「春よ、来い」くらい。といっても、歌詞なんて気にしてなかった年頃だったので、いまいちよく分かっていない。本当は、曲を聞いて、歌詞を読んでからこの本を読もうと思っていたのだけど、まぁ、積読になってしまっていたので、ひとまず読んでみた。
ユーミン世代のお姉さまたちに読んでもらって、感想と解説を求めようと思う。
NHKのドラマでもやっていたのは知ってたけど、見逃したんよね。
以下、各小説ごとの感想。
「あの日にかえりたい」
1970年代に東京の大学に出てきた女子学生。恋?と友情のあいだで迷い、友情のために嘘をついたのに、気付かれて疎遠になってしまう。でも、年賀状のやり取りは続く。あの日、嘘をつかなければ、ずーっと大人になった今の2人の友情の形は違ったのかな。
「DESTINY」
30歳を過ぎた真面目だけど、マザコンなのでは?という男性の恋。きっとこういう誠実で真面目で、仕事も安定してるけど、恋愛下手な男性っていると思う。女性も然り。
「夕涼み」
結婚して子どももいる姉が、年の離れた妹の結婚をお祝いしつつ、結婚後に起こる、女性が抱える悩み、窮屈さ、夫婦関係の悩み・・・。そんな思いを妹がしなくてもよい結婚を姉は願う。敢えて海外で見た女性たちの様子を例えのように出しているのが、美しいというか、生々しくない。海外でも日本でも、女性が抱えるものは同じなのね。ちょっと切ない。切ないけど、この姉の願いが多くの人に広がって、何かが変わっていくといいな。
「青春のリグレット」
自分の方が相手を好きで好きでたまらなくて結婚した方が幸せなのか。それとも、相手の方が自分のことを好きで好きで大切にしてくれて結婚した方が幸せなのか。
私も思い当たる恋愛があり、んー、と考えてしまった。
「冬の終り」
地方の寂れた?スーパーのフードコートで働く女性。時々シフトが一緒になる女性のことが気になる(恋愛ではない)。ある時ユーミンの曲が店内でかかったとき、その女性と心が通じ合ったような、近づいたような気がして、スーパーの他のおばちゃんたちと深入りしないでおこうと思いながらも、行動は深入りしていて、ちょっとクスッとしてしまった。いいね、女の友情。これは女の友情だと私は思う!柚木麻子さんはこういう話うまいな~。
「春よ、来い」
実は一番よく分からなかった話。でも、私なりに解釈した。
知らない誰かのために、自分に与えられた特別な能力を使って、知らない誰かの幸せを願う。
きっと私たちの世界って、どこのだれか知らないけど、心のなかで「頑張れ!」と応援したくなったり、「この子の優しさがこの子を幸せにしますように」とそっと願いたくなったり、そういう小さな小さな誰かに対する優しい気持ちが集まって、巡りめぐって、自分にも幸運がやってきているのかもしれないと思う。
さて、近いうちに、ユーミンの曲を聞いてみよう。
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Posted by ブクログ
「更科日記」を江國さんの現訳で読めるなんて!大河から始まった古典への関心が高まって、手に取ったら面白かった。
平安の人の暮らしが垣間見えるのも面白かったし、悩みも今の私たちと差ほど変らなくて親近感が沸いたり、その時の心境を自然や風景に重ねて詠む和歌は、やはり情緒があって素敵だし、そういう自然や季節を感じる観察眼は平安の方が優れていて、豊かだなと思ったり。こういうものが、何人もの人が書き写して現代まで残っていることに、「積み重ね」ということに弱い私は、ぐっとくるのでした。
河出文庫の古典シリーズいいなぁ。町田康さんの「古事記」も読んでみたい!