猫のダルシ―の視点で描く感動的な愛の物語。
「あのひとへの、あたしの愛。それから、あたしへの、あのひとの愛。あたしは、あたしたちが一緒に暮らした日々の思い出を、あのひとの胸のなかにちゃんと蒔いておいた。あたしがいなくなったあともその思い出があのひとを、なぐさめてくれるようにね。
けっきょくのところ、もんだいなのは愛ということ……。」(本文より)
「あたし」と「あたしの人間」の、出会いから「あたし」の死までの17年にわたる濃密な時間を、あくまで猫の視点で――けっして擬人化することなく――描いた稀有な物語。原著の素晴らしいイラストレーションも完全収録。江國香織のしなやかな日本語で送る猫本の傑作、待望の文庫化版を電子化!
以下のような「訳者あとがき」がこの本の魅力を語りつくしている。
「こんなにストレートな愛の物語を読んだのはひさしぶりでした。ストレートで、強く、正確で、濃密な、愛の物語。/もし誰かをほんとうに愛する気なら、ダルシ―のように生きる以外にないのではないか……」
Posted by ブクログ 2021年12月26日
先日紹介されているのを見て、何だかこの本に呼ばれているような気がして、直ぐに読みました。
猫のダルシーの目線で、猫が見たまま、感じたままが、一貫して書かれています。
ダルシーは飼い主を「あたしの人間」とよびます。猫にとって、慕っている飼い主は絶対的に自分の世話をし、愛情をかける唯一の人間なので...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月01日
愛猫家には是非読んで欲しい本です!
涙なしには読めないので、何も予定がない日に読むことをお勧めします。
ダルシーという一匹の猫が、自分の一生を人間と関係という視点から描いた本作。
猫を飼っていると、「猫が病気になったらどうしよう?」とか、「1匹だと寂しいだろうから、もう1匹迎えてあげようかな?で...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年03月18日
猫のダルシーが「あたし」だけの目線で綴る一生の物語。
もしダルシーが自分で文字を書いたなら、自叙伝と言うことになるのだろうか、などと思ってしまった。
帯についていた謳い文句とは違う印象を受けた。愛がどうのこうのというより、全身全霊をかけて生きた1匹の猫の物語だった。
「寝る前に読むと穏やかな気持...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年05月13日
この猫のダルシーの物語を読んでいる間、自分も猫が大好きなので、巻頭の愉しいダルシーの時間を微笑ましく読みました。ジュディーJ.キングさんの挿絵もかなりの猫への愛情が伝わってくる、よい挿絵でした。そして、読みながら終わりが近づくにつれて、どんどん重苦しい気持ちになりました。ダルシーが弱っていくのです。...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年02月05日
青山ブックセンターで大好きな江國香織さんのコーナーに並んでいて気になった本。江國さんの訳で読めたのはとても嬉しかったけど原文でも読んでみたくなった
私は猫を飼ったことがないけれど、これは猫とその飼い主の物語でなんかなくて、帯にもある通り「あたし」と「あたしの人間」の愛の物語だ〜と思った。こんなふう...続きを読む