江國香織のレビュー一覧
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松任谷由美デビュー50周年を記念して、6人の女性作家さんたちが書き下ろしたユーミン曲がテーマのオリジナル小説集。題名見るだけで惹かれるものがあり、即購入。
収録されている話は以下、
・あの日にかえりたい(小池真理子)
・DESTINY(桐野夏生)
・夕涼み(江國香織)
・青春のリグレット(綿矢りさ)
・冬の終り(柚木麻子)
・春よこい(川上弘美)
いずれの曲も知っていたが、あらためて思ったのは、その曲に対する偶像イメージは『人それぞれ』ということ。特にユーミンなどは僕らの年代は誰もが知っていて、その曲に対する絵が脳裏に自然と浮かぶ。
ただ、それをいざ物語化してみたら、作家が描くストーリーが自分とは少し違うのだ。
例えば『あの日にかえりたい』のストーリーは学生運動の渦中であり全くオシャレ感は無く、『冬の終り』は歌詞には一切関係なく女性のパート職場の人間関係の話だった。
まあ当時の僕らがカーステレオで流す音楽の何割かがユーミンやサザンであったように、青春の傍らには必ずユーミン曲が流れていたという象徴のような小説なんだということかな。
『私を許さないで 憎んでも覚えてて』というキラーフレーズが印象に残る『青春のリグレット』は、自由奔放に恋愛をしていた女性が回顧しながら交差点で物思いする話は、僕のイメージに近かったかなあ。『綿矢りさ』だから、女性のしたたかさ?が描かれていてちょっと怖かったな。
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Posted by ブクログ
江國香織さんによる現代語訳
平安中期、菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が書いた日記文学
作者13歳から始まり、父の任地であった上総国(現在の千葉県)からの帰京の道中の描写が前半の多くを占める
それから40年に及ぶ半生を回想して記したとされる自伝的な文章
大人は源氏物語がいいという話をしてくるけれども、本文に何が書かれてあるかは教えてくれない
写本が上総国までは広まっていない
読みたいシリーズがあるのに読めないもどかしさは現代の読書民の思いに通じる
父の任期が来て帰京の道程の詳細
京に戻ってから、伯母さんが源氏物語とその他の書物をくれて耽溺することになる
物語の恋愛への憧れ
その後、親しかった継母との別れ、慕っていた乳母や姉の死、家の火事などの厳しい現実
本のような恋愛に憧れていたが、現実は父の命で宮仕えをする事になる
歳を取ってからの宮仕えは、現代で言うキャリアを積んでいない派遣社員のようなもの
いいなと思う男性がいたものの、恋が実ることはなく
そしてまた望まぬ結婚を経て、物語の世界と現実の違いを認識し、夫や子どもの将来を願うようになる
しかし、信濃守になった夫が急死し、孝標女は悲しみに暮れる
役に立たない物語や和歌に没頭するのではなく、若いころから仏道に励み、信仰を深めていればこんな惨めな老後にはならなかったのではないかと嘆く
そんな自分の境遇を頼りのない知人に宛てるが
かつての知人は「ありふれたこと」と一蹴する
ただ、この本位は書かれていないが
実際の菅原孝標女は、『更級日記』だけではなく、物語『浜松中納言物語』『夜の寝覚』の作者ではないかと推定されている
どこからどこまで事実か創作かわからないのは現代でもモキュメンタリーという言葉がある
子供の頃、京に戻る際の途中の地名の由来などの逸話まで書いているにもかかわらず、人生の中で重要と思われるイベント、結婚や出産の描写がさらっと流されている
彼女にとって、それらが人生の中で重要な要素ではなかったという事なのだろうか?
それにしても、昔の人は事あるごとに歌を詠む
感動や気付きがあったら詠む
石碑を見ては返歌
手紙や歌を貰ったら返歌
韻を踏んでいたり、一つの単語に複数の意味を持たせる掛詞
まるでラップバトルのようだ
ちなみに、この現代語訳
池澤夏樹の個人編集による日本文学全集の一部
更級日記の訳を江國さんが担当した分だけを文庫化したもの
訳にも江國さんらしさが漂う
――でくくって文中に言葉の詳細を入れるところとか
女性の生き方が何となく江國さんの物語っぽさを感じる
本好きっぷりもそうだし、こうして記録を書き綴るところも
和歌の現代訳が詩のようになっているのでわかりやすい
江國さん訳じゃなければ読んでなかったし、読んで良かったと思う -
Posted by ブクログ
ネタバレ松任谷由実デビュー50周年記念オリジナル小集。全作書き下ろし。ユーミンの名曲タイトルから6人の女性作家が新たに奏でる小説のハーモニー。令和4年7月1日発行。
小池真理子 「あの日にかえりたい」(1975年)
桐野夏生 「DESTINY」(1979年)
江國香織 「夕涼み」(1982年)
綿矢りさ 「青春のリグレット」(1985年)
柚木麻子 「冬の終り」(1992年)
川上弘美 「春よ、来い」(1994年)
ユーミン世代ではないので、リアルに記憶にあるのは「春よ、来い」くらい。といっても、歌詞なんて気にしてなかった年頃だったので、いまいちよく分かっていない。本当は、曲を聞いて、歌詞を読んでからこの本を読もうと思っていたのだけど、まぁ、積読になってしまっていたので、ひとまず読んでみた。
ユーミン世代のお姉さまたちに読んでもらって、感想と解説を求めようと思う。
NHKのドラマでもやっていたのは知ってたけど、見逃したんよね。
以下、各小説ごとの感想。
「あの日にかえりたい」
1970年代に東京の大学に出てきた女子学生。恋?と友情のあいだで迷い、友情のために嘘をついたのに、気付かれて疎遠になってしまう。でも、年賀状のやり取りは続く。あの日、嘘をつかなければ、ずーっと大人になった今の2人の友情の形は違ったのかな。
「DESTINY」
30歳を過ぎた真面目だけど、マザコンなのでは?という男性の恋。きっとこういう誠実で真面目で、仕事も安定してるけど、恋愛下手な男性っていると思う。女性も然り。
「夕涼み」
結婚して子どももいる姉が、年の離れた妹の結婚をお祝いしつつ、結婚後に起こる、女性が抱える悩み、窮屈さ、夫婦関係の悩み・・・。そんな思いを妹がしなくてもよい結婚を姉は願う。敢えて海外で見た女性たちの様子を例えのように出しているのが、美しいというか、生々しくない。海外でも日本でも、女性が抱えるものは同じなのね。ちょっと切ない。切ないけど、この姉の願いが多くの人に広がって、何かが変わっていくといいな。
「青春のリグレット」
自分の方が相手を好きで好きでたまらなくて結婚した方が幸せなのか。それとも、相手の方が自分のことを好きで好きで大切にしてくれて結婚した方が幸せなのか。
私も思い当たる恋愛があり、んー、と考えてしまった。
「冬の終り」
地方の寂れた?スーパーのフードコートで働く女性。時々シフトが一緒になる女性のことが気になる(恋愛ではない)。ある時ユーミンの曲が店内でかかったとき、その女性と心が通じ合ったような、近づいたような気がして、スーパーの他のおばちゃんたちと深入りしないでおこうと思いながらも、行動は深入りしていて、ちょっとクスッとしてしまった。いいね、女の友情。これは女の友情だと私は思う!柚木麻子さんはこういう話うまいな~。
「春よ、来い」
実は一番よく分からなかった話。でも、私なりに解釈した。
知らない誰かのために、自分に与えられた特別な能力を使って、知らない誰かの幸せを願う。
きっと私たちの世界って、どこのだれか知らないけど、心のなかで「頑張れ!」と応援したくなったり、「この子の優しさがこの子を幸せにしますように」とそっと願いたくなったり、そういう小さな小さな誰かに対する優しい気持ちが集まって、巡りめぐって、自分にも幸運がやってきているのかもしれないと思う。
さて、近いうちに、ユーミンの曲を聞いてみよう。
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Posted by ブクログ
「更科日記」を江國さんの現訳で読めるなんて!大河から始まった古典への関心が高まって、手に取ったら面白かった。
平安の人の暮らしが垣間見えるのも面白かったし、悩みも今の私たちと差ほど変らなくて親近感が沸いたり、その時の心境を自然や風景に重ねて詠む和歌は、やはり情緒があって素敵だし、そういう自然や季節を感じる観察眼は平安の方が優れていて、豊かだなと思ったり。こういうものが、何人もの人が書き写して現代まで残っていることに、「積み重ね」ということに弱い私は、ぐっとくるのでした。
河出文庫の古典シリーズいいなぁ。町田康さんの「古事記」も読んでみたい! -
Posted by ブクログ
江國香織さんの「夕涼み」と綿谷りささんの「青春リグレット」が読みたくて手に取った。夕涼みは、夫の行動にゾッとしたし、私だったらそんなズレた夫とは一緒にいられないと思った。「逃げたかったわけではない、が、逃げられないと思わされることは恐怖だった。竦むような、恐怖だった。」という言葉に共感。誰かに自分の選択肢を奪われたり、縛られたり、自分で自分を決められないことを、人は恐怖と感じるんだなと思った。そして誰にもその出来事は話せないことも、夫を含む周りにはいつまでも愛し合っている夫婦だと思われていることも、自分だけがこのザワザワした気持ちに気づかないふりをしていればいいんだと感じるのもわかる。老女たちの夕涼みを今になって理解できるようになってしまったことも、それを見て単に奇妙だと思うだけだった過去を無敵だったと表現したことも、妹にはそんな日が来ないでずっと幸せでいてほしいと思う姉の気持ちも、切なかった。
「青春リグレット」は、自分の何がそんなに好きかわからないくらいに愛してくれた人を、自分は愛せなかったことを夫に離婚を切り出された時に思い出す。愛される恋愛がどれだけ幸せだったか、それはその時には理解できなかったのだから仕方ないし、後悔しないでほしいなと思った。後になって気づくものってある、もう取り返しはつかないけれど。彼との時間を俯瞰で冷めた目でみてしまうところ、古傷が痛んだ。愛の重さは同じくらいがいい。