江國香織のレビュー一覧
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菅原孝標娘の生涯はそこそこ波乱万丈なのに、本人はまったくそう思っていないようで「都会の女子たちはあんなにキラキラした人生を送っているのになんでわたしったらこんなにさえない人生なのかしら」ってぶつぶつ言いながらブログを書いてるオタク女子のにおいがする。
孝標娘の夢見る理想の生活は「見目麗しきやんごとなき殿方にどこかの山里にてひっそりと囲われて、紅葉や月などをみて過ごし、その人からの四季折々織の歌をしたためたお手紙などを心待ちにして過ごす日々。年に1度は会いに来てくれるとうれしいな」みたいな感じでなかなかメルヘンの世界の住人。
江國香織の現代語訳によってモノクロの写真にうっすらカラー加工を施し -
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ご存知の通り、『100万回生きたねこ』(1977)は、佐野洋子さんの絵本です。最後に主人公の猫が死ぬのに、心からよかったーと思える、不思議でとっても深いお話でした。少し哲学的で、大人の方が響くかもしれませんね。本書は、この名著に捧げる13名の錚々たる作家諸氏のアンソロジーです。
最近読んだ町田康さん、谷川俊太郎さんも書かれていて…、あ、谷川さんは佐野洋子さんと(短期間)ご結婚されていたんですね。また書き下ろしの広瀬弦さんは佐野洋子さんの息子さん!
なんと不思議な巡り合わせです。当然ながら、全編とも名作絵本への愛と敬意が根底にあり、様々な視点で読ませてくれました。
各話の冒頭には、作 -
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佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』。インパクトの強い緑色の瞳をしたオスのトラ猫が表紙の絵本です。おそらく子どもの頃にも読んだことがあったと思うんですが内容はほとんど記憶になく、大人になって改めて読んでグッときました。
1977年に発売されて以来、今なお多くの人に読まれ続けている大ロングセラーであるこの絵本への、13人の作家によるトリビュート短篇集です。
佐野洋子さんの息子さんで絵本作家の広瀬弦さんや元旦那さまの谷川俊太郎さんも執筆されています。結構著名な作家陣ばかりですが、私は読むのは初めましてな作家さんが多かったですね。
どういうこと?と理解が追いつかないお話もあれば、ちょっと不思 -
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現代的で読みやすく、千年前とは思えない
ある一人の女性の人生の踵を細やかに
刻んだ日記である。
少女時代の旅の描写は京への憧れと不安
旅の道中の珍しいその土地の話し、旅の中
で印象に残った風景を目に映したまま
自然と描写している。
その当時は大変な旅だと思うが少女時代の思い出
として輝く様な旅であった事が分かる。
源氏物語に憧れ、横になって夢中に読む
姿も微笑ましい。
神仏にこの時代の人々は心の拠り所や
願望を心から願い信じて居たのだろう。
ちゃんと拝まなかった事を時々に反省
している所もある。
自然が日々の生活を彩り日本の四季が
新ためて美しいと感じさせる。
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あとがきにも書かれている通り、自分の人生の一代記(作者13歳(数え年)の寛仁4年(1020年)から、52歳頃の康平2年(1059年)までの約40年間が綴られているそう)を書こうとするときのエピソードの取捨選択などが現代の私たちとは違って、面白いなと思った。
とは言え、約1000年前の人が書いたものなのに共感ができる部分も多くて、根本的に人の考えることは昔も今も変わらないのだなと思ったり。
時ならず降る雪かとぞながめまし 花たちばなの香らざりせば (33頁)ー和歌はたった31文字の中に本当に豊かな情感が込められていて、いつも感心してしまう。と同時に、1000年前に生きた人達と時空を超えて繋がるよ