江國香織のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
錚々たる方々の訳した古典文学!
竹取物語がモリミーの手にかかると、翁や貴公子たちの下心がスケスケで困惑するかぐや姫が目に浮かんでしまう。
和歌の訳がまたニヤニヤ。
むかし男ありけり、の伊勢物語はこんなに長いお話だったのかと驚いた。恋愛だけでなく友情や仕えた親王とのやり取りが印象的だった。
男としか出てこないので、これが業平のことなのか、時期はいつなのかとモヤモヤもするけれど、一遍の凝縮ぶりに愕然とする。
堤中納言物語はいろんなテイストの話が襲いかかってきて気が抜けない。
和歌の訳が絶妙!
有名な虫めづる姫君の女房たちの嫌らしさときたら、普通に和歌を訳しただけでは伝わってこないかも。
土佐日記、この本でいちばんツラかった。
たぶん元々の話がまどろっこしくて合わないんだろうなあ。
ひらがなばかりだとこんなにも読みにくいのかー。
学生の頃、何度も目にした更級日記。
物語に憧れた少女が田舎から出てきて、ようやく手に入れた物語を読みまくる…。
でも、今回読んで、その上京の旅の行程が楽しかった。現在の場所を思い、その過酷なこと!
そして京についてからもやたらと転居していて、それぞれの家の簡易さにも驚く。
平安の時代のリアルな日常を垣間見た感じ。
「学者ならぜったいにしない蛮行に及ぶのでなければ、小説家が仕事を引き受けた意味はない」と中島京子さんがあとがきに書いているけれど、厳密に言ったら解釈が違うところもあるのかもしれない。
それでも、とても楽しく古典が身近になった良い本だった!
ただ、持ち運びの出来る大きさ厚さにして欲しい…切実。 -
Posted by ブクログ
竹取物語・伊勢物語・堤中納言物語・土佐日記・更科日記
どれも学校で古典や歴史で学んだ物語ですが、一度も
読んだことがありませんでした。(絵本とかあらすじみたい
なものを除いて)
初めて読みましたが、現代と異なって違和感のある部分
もありますし、想いのほか現代でも共感できる部分も
多く面白く読めました。現代訳が秀逸であったことも
要因だろうと思います。
中でも、伊勢物語の和歌と話しの内容の奥深さ。単なる
恋愛だけではなく人とのつながりを大事にしてきた文化
が垣間見える部分。
堤中納言物語の短編小説のような、また現代でも共感できる
家族や仲間での何気ないやり取りの記載。
土佐日記の紀行文としての情景の描き方や、昔の船旅の
リアルな様子。
更級日記の現代でも十分に共感できる日記文学と、主人公の
リアルな感情。至極日常的な感情。ドライな感情が
垣間見える部分。
など、面白かったと思います。 -
Posted by ブクログ
猫目線で描かれる猫ちゃん小説。
ダルシーという名の猫が飼い主である“あたしの人間”
と出会い、暮らす日々を描いている。
ダルシーは作家ディー・レディーの飼い猫の名前で、作家のダルシーへの思いが詰まっている。
猫目線の猫ちゃん小説は数あるが、この本が他と異なるところは、あくまでも猫の暮らしを描いていることだ。
猫ちゃん小説の多くは、猫の目を通して人間の姿の滑稽さや愚かさを描いているが、この本ではあくまで猫のダルシーが主役、主猫公なのだ。
そのため、“あたしの人間”が元気がないとか笑っているといったことは書かれているが、自分が直接関与していなければ、何故元気がないのか、何故笑っているのかには興味がない。はっきり言って、自分にとって“あたしの人間”が害を及ぼさなければ人間の気持ちそれ自体はどうでもいいのだ。
こんな風に書くと、冷たい猫だとか、そんな物語面白くもなんともないと思われそうだが、そうではない。ダルシーは“あたしの人間”をきちんと思っているし大切な存在だ。
人間だって飼い猫や飼い犬が機嫌良さそうにしていればそれでいいわけで、何故機嫌が良いのかといったことは追及しないだろう。猫だって同じだ。
ダルシーは飼い主を“あたしの人間”と呼ぶ。
これも人間が、うちの猫、わたしの猫と呼ぶのと同じ。
ただ、人間は普段、自分は人間だと改めて思うことは余りないので、活字で“あたしの人間”とあると、ちょっと面白い。
こういった本を読むと必ず我が家の愛猫を思い浮かべてしまうので、ダルシーが生命を終えるときにはキュッと胸が痛む。
亡くなった先住猫や現愛猫、我が愛犬を思い、いつかまた悲しい別れがやってくるのだなと思う。
わたしの大切な家族の一員であるあたたかい彼らを、いつまでも決して忘れることはないだろう、いつか自分の生命が終わるとき、彼らとまた会えることがとても楽しみだ。
愛らしい猫挿し絵も満載の、猫好き必読の一冊。 -
Posted by ブクログ
森見さんの話が聞きたくて講演会に行って、欲しくなって買った本。森見登美彦さんの「竹取物語」は、確かに森見さんらしい。ファンタジーで、竹林が出てきて、美女も出てきて、そして男たちが片想いをする。川上弘美さんの「伊勢物語」は、授業でやった文章が出てきて懐かしい。在原業平すごい笑 中島京子さんの「堤中納言物語」は、歌の訳も三十一文字にしているのがすごい。こんなに楽しい物語だったんだと驚き。堀江敏幸さんの「土左日記」は、ひらがなで訳して貫之の考えを示すという独特の訳。江國香織さんの「更級日記」は、これも授業でやった文章が懐かしい。歌の訳など工夫されているのが伝わってきました。
古典文学のエキスパートでもない現代の作家たちが訳すというのはどうなんだろうと思ったりもしたけれど、豪華な作家たちの名前から読んでみようと思う人もいるはずだし、その点では素晴らしいこと。平安文学を読むことがないので新鮮な気持ちで読みきりました。思った以上に面白い作品たちでした。