佐藤優のレビュー一覧
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五木寛之の本はあまり読んだことがない。「さらばモスクワ愚連隊」「蒼ざめた馬を見よ」が世に出た頃は当方は小学低学年だったし、その後もこちらのストライクゾーンに打てる球がくることがなかった。近年は「親鸞」など仏教に関連した著作や探訪記を書かれているのは知っていたが、手を出していなかった。
佐藤氏が博識を披露する対談だろうと思ったが、五木氏が異端の信仰の口伝を収録しているとのエピソードに驚き。
アンタは宗教学者か民俗学者か!。五木氏への認識を改めなければ。
ロシア人については、残忍で極端な情熱家で詩人への尊敬が強いことが語られるが、ついていけないなあというのが正直な感想。ウクライナ、ポーランドの -
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ルターが、農民を皆殺しにしたほうが良いと述べたことについて、「あぶない一神教」の性質を感じた。
オレはルターが好きだし、ドイツ語聖書が引き起こした歴史的な作用はあまりにも大きかったと考えてて、わざわざルターが住んでたドイツの家まで訪ねて行ったくらいなんだけど、同時に、ルターには、一神教の危なさを感じないわけにはいかない。
ルターが1543年に書いたユダヤ人を差別する文章『ユダヤ人と彼らのうそについて』では、ユダヤ人をけちょんけちょんに貶す非常に過激な言葉が綴られており、ここまで差別する?っていうくらいひどい。
日本人から見れば、意味が分かんないほど激しい憎悪。
キリスト教とユダヤ教の、埋め -
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知識を得て、アウトプットするために読むのでないから、記憶をする作業は省き、しかし、興味ある事はそれを広げるために、やはり固有名詞の暗記が必要となる。こんな事を考えさせられたのは、やはり佐藤優の博覧強記ぶりを見せられたから、というのが本音の所。限られた時間の中で、幅広く事象を押さえるのは難しい。その点、僅かな期間の体験でリアルな小説を書き上げる五木寛之との対談は面白い。
タイトルの異端について、どう解釈すれば良いか。主に宗教における異端についてを取り扱った感が強いと感じる。信仰は一人で可能だが、宗教には、宗派としての組織が必要だ。組織において解釈が分かれれば、宗派を分かつ必要性が生じる。斯様に -
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本書は、作家の佐藤優さんと政治家の井戸まさえさんによる、小学校社会科の教科書を用いて、政治の基礎知識を身につけていくことを主眼に置いた対談本です。
今までに大人に向けて、小学校の教科書で勉強を勧める本を見たことが無かったので、その新たな視点に惹かれて購入しました。
内容としては、高等学校の政治・経済の教科書ではなく、なぜ小学校社会科の教科書なのかという理由が書かれた序章から始まり、国会、内閣、裁判所、憲法、三権分立、税金、選挙について、教科書の本分の一部を抜き出し、解説を進めていきます。
この本の特徴としては、それぞれの章で「表の教科書」と「裏の教科書」に分かれており、表の教科書では、教 -
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佐藤優氏が「新約聖書を宗教に特別な関心をもっていない標準的な日本人に読んでもらうために書いた」という、全2巻の第1巻。
第1巻では、イエス・キリストの生涯について記した4つの福音書が収められている。
キリスト教の理解では、イエスが出現し、人間の罪をあがない、十字架上で死んだことによって、人間の救済はすでに始まっており、そのメッセージ(福音)を伝える核になるのが4つの福音書であるという。そしてそれは、大きく、「神の国」をイエスの中心的な福音であると考え、互いに近い関係にある「マタイによる福音書」、「マルコによる福音書」、「ルカによる福音書」と、「永遠の命」をイエスの中心的な福音と考え、言葉(ロゴ -
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佐藤優氏が「新約聖書を宗教に特別な関心をもっていない標準的な日本人に読んでもらうために書いた」という、全2巻の第2巻。
第2巻では、新約聖書27巻中、4福音書以外のすべての文書が収められている。
イエスの生涯について記した福音書に対して、その他の文書はイエスの死後について扱っている。
著者はそれらの文書について以下のように述べている。
「使徒言行録」・・・前半は「ルカによる福音書」に記された12使徒に含まれるペトロやヨハネが活躍し、後半は12使徒ではないパウロの物語である。しかし、パウロがいなければ、イエスの教えはユダヤ教の一分派にとどまり、世界的な広がりを持つキリスト教に発展することはなかっ -
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新しい知識や見識、論理性、他者との関係性などを等身大に見つめる努力をしながら世界を理解していくという作業を拒み、自分に都合が良い物語の殻に籠るところに反知性主義者の特徴があり、合理的、客観的、実証的な討論を反知性主義者は拒否するという。
これを可能にするのが人間のもつ「自己欺瞞」の能力だという。動物行動学を援用したこのくだりは面白い。(p116)
では、反知性主義を封じ込めるには、深い自己省察と謙虚さを持った人間性に価値を置くこと。やはり、基本的な人間修養が最も大切だという基本に戻ると思う。
また、著者は読書の大切さを繰り返し説いているが、これは言わずもがなである。
本の構成としては、話題が -
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知性とは何か、を論じているという内容ではなかった。むしろ、日本を含め最近幅を効かせてきた「反知性主義」について述べ、それに対抗する手段を述べている、という内容でした。全体的に、著者が読むと良いと思う書籍の引用が多くて、書評本のようになっています。竹内久美子の本が引用されているのはどうかと思ったが。
著者のいう「反知性主義」とは<大雑把に定義するならば、「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」である>とのことで、分かりやすく言うと<安倍政権>とのこと。反知性主義は<実証性や客観性を無視>する態度なので、論理だとか理詰めで説得することがそもそもできない。だから