あらすじ
資本主義が行き詰まりを見せる中、どう生きればよいのか。マルクスの『資本論』を、資本主義を相対化し、過酷な現代社会を生き延びるための実践の書として読み解く。現代日本の知の水先案内人、池上彰さんと佐藤優さんの最強タッグによる共著、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
労働のコモディティ化、教育格差の問題は間違いなく存在する。各所で指摘されているとおりだ。
これに対して反知性主義は論外として、二つの論陣が張られているように思う。
第一は資本主義の論理に飲み込まれないよう自己啓発、もしくは独立するというもの。これは個々人の能力による。
第二は日本社会全体の改善に向けて社会、政治を変えていこうというもの。
本書では後者の論陣を張る。反知性主義に陥らず、資本主義の構造を知るの重要性を説く。
かつて大学の経済学はマルクス経済学の講座もあったが、現在でマルクス主義は時代遅れと考えられてきた。
しかし、リーマンショックが起こり、これってマルクスの資本論じゃね?という再評価され始めている。
本書では池上彰、佐藤優により反知性主義に立ち向かいつつ、どのように社会をよくしていくかの対談集だ。
最後には「『資本論』を読もう!」で締めくくられるのだが、普通の読書家で読み下すのに三ヶ月かかるという。
げぇ!
というわけで、次に池上彰の「高校生からわかる『資本論』」読むことで勘弁してほしい。
Posted by ブクログ
今月の1冊目。今年の8冊目。
池上氏関係の本で色々探していたら、これが新刊だったので、手にとってみました。マルクスの『資本論』が現代社会を生きるうえでいかに有用、また必要であるかについて池上氏・佐藤氏が語っています。さまざまなトピックを『資本論』の観点から扱うと、どうなるかというのが主な内容です。資本論は大分難しそうですが、読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
マルクス『資本論』が説いている内容を手がかりに、日本国内や世界の情勢を推し量っていく。対談している両者のトークがあまりに濃すぎて、一読しただけでは飲み込みきれないインテリジェンスの凝縮感。これは<汗をかきながら読む>トレーニングということか。いずれ再挑戦する。
Posted by ブクログ
トマ・ピケティの『21世紀の資本』が世界的なベストセラーとなる中、改めて資本主義のメカニズムを批判的に分析したマルクス=エンゲルスの『資本論』の持つ意義について、池上彰と佐藤優が語り合っています。
日本特殊論と世界システム論を対置し、前者を「講座派的」、後者を「労農派的」と呼ぶ佐藤の視点は新鮮に感じたのですが、これを文化論と文明論という対立に置き換えてみると、やや偏りのある視点からなされた分類のようにも思えてきます。
あるいは、佐藤の知的バックグラウンドにはマルクス主義と同時にナショナリズムがあることも考え合わせるならば、こうした分類が現代の国際政治を読み解く上で重要な機軸をなしているという彼の考えも理解できなくはないのですが、やはり講座派と労農派の対立は、近現代日本思想史の中で捉えるのが正しいように思えます。むろんこうした見方は、佐藤の分類で言えば「講座派的」ということになるのでしょう。もっとも私自身は、文明論的な議論はどうしても大風呂敷に見えてしまって仕方がないという人間なので、佐藤や池上のようにアクチュアルな国際政治の動きを俯瞰しようといった関心はほとんど持ち合わせていないせいで、上のような違和感を抱くのかもしれません。
ピケティとの対談は面白い
私は俄かな佐藤優ファンです。
でもこの本は特別面白い本だとは思いませんでした。
他の佐藤優の本を幾つも触っている人たちには、どこかで見かけた話が殆どという感じ。
池上さんの存在感をあまり感じませんでした。
ただ、ピケティとの対談や、その回顧を語るところは非常に面白かった。
実はピケティはマルクスの資本論には全然興味がないようです。内容も殆ど知らない。
むしろ、マルクスの話を振られること自体鬱陶しがっているような雰囲気さえ感じました。
「21世紀の資本論」なんてタイトルは、本人の意思とは関係ないところでついてしまったのかもしれません。
そこらへんが気になる人には少しおすすめです。
割引で買えるときに買いましょう。