佐藤優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
著者が東京拘置所で過ごした512日間に読んだ読書の記録や、各種雑誌に発表された文章を収録した本です。
著者は「自由主義的保守主義」を標榜します。これは、「絶対的なものはある。ただし、それは複数ある」という立場で、その一つ柱となっているのが伝統的な公共性への信頼だと言えるように思います。他方で著者は、みずからの伝統への信頼が、他者の信念を否定することになってはならないという寛容の精神を強調しています。このことについて著者は「私はキリスト教徒なので神を信じている。……しかし、人間である私が、それが絶対に真実であると他者に強要することは、人間の範疇を超える逸脱行為だと思う」と述べていますが、キリスト教的な倫理が基礎になっていることがよく示されているように思います。そして、著者の立場を支えている3番目の柱となるのが、マルクス主義です。とくに著者は、日本のマルクス主義経済学者である宇野弘蔵を高く評価しています。
本書の議論にはさまざまな関心をかき立てられましたが、とくにおもしろく読んだのは、北畠親房、大川周明、葦津珍彦という保守思想の系譜に著者が注目しているところでしょうか。北畠の『神皇正統記』は、積極的に明の冊封体制に参画しようとした足利義満のグローバリズムと対立するものであり、著者自身の寛容な伝統主義に近い立場だと著者は考えます。そしてこの北畠を評価したのが大川周明であり、他方それを批判したのが原理日本社の蓑田胸喜だったとされています。著者によると、蓑田の日本主義は唯一の正しい日本国家のドクトリンを掲げる点でロマン主義的であり、むしろドイツ観念論のような発想に基づいていました。これに対して大川は、日本の伝統を『神皇正統記』のようなテクストに即して理解するという点で、直観に基づいて日本のドクトリンを掲げる蓑田とは対極的なアプローチを取っていたとされます。こうした著者自身の議論自体もまた、テクストに基づく伝統理解になっています。この点に、大川の発想をインテリジェンスの観点から現代に生かそうとする著者特有の知的態度が伺えるように思います。 -
Posted by ブクログ
トランプの共和党候補指名受諾演説の内容を読んで、包み隠さずアメリカの現状を訴えていると思った。
人として受け入れられない部分は多く、実際に人となりがクローズアップされるような報道が多いが(当たり前といえばそうだが)この本を読むと、住んでる場所や学歴などによっては自分はトランプに投票していたかもしれないと思えた。
事実投票した人たちによってトランプは当選したわけで。
分断されたアメリカと盛んに言われているが今に始まったことではないと思う。
トランプの当選で急に分断されるはずがないかなと。むしろ当選によって明らかになったわけで。
どっちみち資本主義?グローバリゼーション?で生まれた負の部分というかしわ寄せは発生していて今後はそれが海外からアメリカ国内に見られるようになるのかなと。
トランプ以前が平和だったかというと国外で色々あったんでしょうからそれが今度は国内になるのかなと。
だからしばらくは米国内が荒れるようなニュースは多くなるかなと。 -
購入済み
知識欲かなり高い人向けの本
池上さんと佐藤優が談話形式でお互いの情報収集法を出し合い、それをどんな人がどのように活用すれば良いかということを一般人向けに提言していくスタイルの本。新聞を一社だけしか読まないと今の時代バイアスの入った情報しか得られず誤った知識を得る可能性があるといったことや、情報を得る手段をとことん突き詰めて電子本にまで言及している。個人的にはいま新聞や読書を継続しているところだが、この本からなるほどと思ったことはあったものの取り入れようという気になるものでもなかった。
-
Posted by ブクログ
レベル高くてついていけない!
池上さんと佐藤さんの対談をまとめた本
いつもどおりのわかりやすい解説の池上さんを期待していたのですが、ついていけません。
いかに自分自身の国際的な基礎知識がないかをこれでもかと思い知らされました(笑)
これ、理解しようとしたら、真剣にぐぐって調べながらじゃないと、きついです。
とりわけ、中東問題はギブアップ(涙)
戦争論と煽っていますが、実際には戦争論を語っているわけではなく、国際問題・国際紛争について、お二人が対談しながら解説してくれるものとなっています。
また、その際の情報収集方法についても書かれており、池上さん曰く、スパイの情報源の98-99%は公開情報とのこと!!
本書の中で語られていることで、自分の想定(知識)と違っているものもいくつかあり、驚かされました。
日本の集団的自衛権
ホルムズ海峡での機雷撤去作業に実は自衛隊出動できないそうです!
さらにチベットの問題。
一方的に中国がチベットで一方的に弾圧しているのだと思っていたのですが、中国側にも正当性があるらしいです。
もちろん勉強になった情報もたくさんあります。
イスラエルでの顔認識技術は無人機によるターゲット殺害のための技術
ロシア、中国、イラン、ウクライナは本気で戦争をやろうとする覚悟を持っている
遠隔地ナショナリズムにより世界各地の紛争はアメリカから生じる
在米韓国人は慰安婦問題において、日本政府が謝罪している事実を知らない
2050年には、米国で白人人口が有色人口に抜かれる可能性あり
領土問題において、日本の場合、竹島は実行支配され、尖閣は実効支配していることから、対応が難しい
などなど
かなりおなかいっぱいです。
ここに、中東系のコメントがないのは理解できていないから(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレインテリジェンスの佐藤優さんがお金系の話をしているので、興味深いと思って読んでみた。
通常のFPなどの書き口とは違うお金にまつわる話で、それはそれで新鮮だった。
ただ、まあ平凡な内容かなとも感じた。
気になる人はまあ手にとってくださいというレベル。
▪️目次
第1章 私たちを衝き動かすお金という幻想
(「会社員」と「大金持ち」は矛盾する
分配の場に労働者はいない ほか)
第2章 大格差時代を生き抜くお金の極意
(国家体制の違いで貯蓄率が変わる
低信用社会ほどお金に価値を置く ほか)
第3章 プロに騙されずにお金を増やすには
(副業で稼ぐにはいい時代
意外なものが意外な値段で売れる ほか)
第4章 人生を台なしにしないお金の実学
(ギャンブルに対しては“免疫”が必要
依存体質はなかなか治らない ほか)
第5章 お金と人間の幸福な関係を考える
(人間関係はお金に換算できる
金銭感覚のズレが友情をこわす ほか) -
Posted by ブクログ
池上彰と佐藤優の3冊目の対談。
内容は3冊ともに、その時々のホットな国際的な時事問題であるが、タイトルは「新・戦争論」「大世界史」と、今回は「新・リーダー論」と、必ずしも内容全体を著してはいない。
タイトルのような内容も入ってはいるが、むしろ直近の国際情勢の分析と割り切って読むことをお勧めします。そういう読み方をすれば、いつもホットな国際問題について切り込んだ、深い洞察力を感じさせてくれるシリーズです。
内容は、「新自由主義」下における格差の拡大や階層の固定化により、それへの大衆の不満と、それに迎合する大衆迎合型のポピュリズムが台頭し、その結果エリートと国民の間の信頼関係が薄れ、民主主義がうまく機能しなくなっている・・・米国のトランプであり比国のドゥテルテ、また英国のEU離脱の国民投票実施等。
佐藤優はそのような政治家の先陣を切ったのは、フランスのサルコジだという。
エマニュエル・トッドの言葉を引用して「サルコジの否定性が人々を引きつけた。強いものへの敬意、弱者への軽蔑、金銭への愛、不平等への要求、攻撃の欲望、イスラムやブラックアフリカの人々をスケープゴートに仕立て上げる手口、目まぐるしい自己陶酔・・・」
言葉だけを聞けば、トランプの事だと思ってしまうほど類似している。
ここで考えなければならないのは、現在の「新自由主義」と、かつて米国レーガン大統領や英国サッチャー首相が「新自由主義」を掲げて登場したときと、社会的背景が違っている。
当時は社会民主主義が蔓延しており、国家による富の再分配で「ゆりこごから墓場まで」と言われた時代だった。そういう環境で、レーガンとサッチャーは、批判を顧みず敢えて「これでは国家も社会も弱体化する一方だから競争原理を導入しろ」と主張した。
ところが新自由主義が社会の隅々にまで浸透した結果、それがいまや素晴らしいことだと思われている。特にエリートほど新自由主義的価値観を当然視して、社会に対する責任を思う前に、自己利益を優先している。
金が全ての価値基準になってしまった。
他に、プーチン、エルドアン、金正恩、トランプに乗っ取られた共和党、ヒラリー、英国のEU離脱、パナマ文書、オバマの広島演説・・等々の話題満載だが、上記の「新自由主義」の部分だけでも、しっかり理解できれば、この本を買って読んだ価値があると思います。 -
Posted by ブクログ
池上氏と佐藤氏の対談をまとめた本の第3弾。書名は「リーダー論」ですが、内容的にはイギリスのEU離脱、アメリカ大統領選挙、パナマ文書にみられる格差拡大等々の国際時事問題に関する対談をまとめた本で「これからのリーダーはどうあるべき」的な内容は少ない目です。
プーチン大統領、エルドアン大統領などにみられるちょっと強硬な指導者や、国民投票でEU離脱を招いたキャメロン前首相、異端の大統領候補トランプ氏などの政治家がなぜそれぞれの国でリーダーとして選ばれたのか(トランプ氏は共和党候補という意味で)という視点で対談が進んで行きます。
かなり幅広いトピックスについて新書1冊にまとめた本なので、それぞれの項目に関しての掘り下げ度合はほどほどですが、時事問題についてのお二人の見解をざっと俯瞰できる点は参考になりました。