あらすじ
本書は、インテリジェンスの専門家にしてキリスト教神学者である著者が、禅宗寺院の最高峰、京都・相国寺で禅僧を前に行なった連続講義の記録です。目に見える政治や経済の動きを追うだけでは世界はわかりません。民族や国家の原動力となり、実際に世界を動かしているのは、目に見えない宗教であることがしばしばだからです。宗教を知ることは単なる教養のためではなく、今後の世界を生き抜くために必須。本書で著者は、「民族と宗教」、「国家と宗教」という、通常のジャーナリズムや学問の見方では捉えきれない難問に正面から取り組んでいます。とりわけ危機の時代において宗教がもつ重要性を、単なる「教養」ではなく「生きた智慧」として教えてくれるのです。
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『国家は悪である。この国家を以って資本の悪を制すると。労働者は怠けることがあるので、雇用は確保するけれどもストライキは禁止する。国家が間に立つことによって全体の調整をして国を束ねる。
この束ねるというのがイタリア語の「ファシオ」なんです。ファシオは日本語に訳すと「きずな」という意味です。「きずな」というのはファシズムです。
「日本人のきずなをつくっていく」ということは、「日本人を束ねていく」ということで、それが知らず知らずのうちにファシズムの罠にはまっていくことになるのです。
国家の上からの「きずな」、ばらばらの人間をあるときにまとめるという「きずな」は、内側にいる人にとってはいいのですが、反動的に外側を必ずつくり出します。非国民をつくるんです。』
う〜ん。深いなぁ。
佐藤優の作品は気になってるから、これからちょびちょび読んでこ。
Posted by ブクログ
佐藤優さんのアナキズム的な思考がよく表れている。宗教という信仰としてあるはずのものと社会主義という利他的で相互扶助的な精神的な姿勢がよくかみあう主題だったのだろう。こういった信仰と精神的姿勢はフロイトに言わせれば高度なものであり信仰というものがけっして侮れないものであり救済と希望がそこにあるのだろうと僕も思う。
カール・ポランニーによればファシズムとは社会主義の否定としての社会であるという。佐藤優さんが懸念されているファシズムが絆というもの民主主義というものから出てくるというのは社会主義の否定から絆を形成しようとする国家民主主義又は国家社会主義というものを連想させる。震災後絆という言葉が多く聞かれるがそれがファシズムと繋がる危険はかなりあると思う。
社会主義の回復とは信仰である。
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まず父の死の話で惹きつけ‥同志社大学はミッション系ではなく、「キリスト教主義」を標榜するだけあって「日本のキリスト教を作るんだ」と神学部の授業には仏教学(本格的)も採り入れられていた。佐藤は「サンスクリット語も学べますか」「金と暇がないと出来ない、君には無理」と有難い教示で脇道に外れなかったが仏教の知識はそこらの僧侶よりあるかも知れない。葬式仏教と揶揄される現状を「葬儀をするというのは一番大事なこと」と聴衆を持ち上げる(いつもの事だが場に合わせるのが上手い)。話は国際情勢にまで及んで青年僧侶の質問に答える
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同志社大学大学院神学研究科出身の佐藤優さんが相国寺で僧職の方に向けて行われた講演会の内容が書かれています。
正直、話の展開が早く、なかなか難しい本でした。
宗教の人類に果たす役割について、神学学者の観点で書かれています。なかなか、話を聞く機会の無い神学者の思考に触れられて興味深かったです。
原発問題。新興宗教について。イラン問題民族問題。沖縄問題等々
様々なテーマについて話をされています。
私自身、特に特定の宗教に対して信仰が有るわけではない、典型的な日本人の宗教観を持っていると思っています。
自分が死んだとき、何となく仏教式の葬式だろうとおもっています。ただ、かといって仏教について深く理解しているわけではないです。
ただ、色々な思考の奥に仏教が影響しているのか?すごく興味が湧いてきました。
今まで考えたことの無いことを考えるのも、本のよさですね(^-^)
Posted by ブクログ
サバイバル宗教論
民族の生き残りに成功しているのは、土着の宗教があるから
一人一人の具体的な社会生活の中で、仏教を媒介とした生き方を通して影響を与えていく。
自分の考えさえまとまらないんだから、みんなで議論したってまとまるはずはない。
絶対に正しいという調子で外から言われることが現地にとってどれだけ負担になっているのか
多民族国家ロシア
83個の連邦構成主体
人口1億4200万人、182の民族
80%以上は東スラヴ系民族のロシア人、他ウクライナ人、チェチェン人などの非スラヴ系
・ロシア人(ルースキー):民族名としてのロシア人
・ロシア人(ラシヤーニン):ロシア国民としてのロシア人
アファーマティブアクションを行っている
民族を超える新しい思想→プーチンという新たな宗教性を帯びた皇帝の出現
ナショナリズムに関する間違った見方(アーネスト・ゲルナー)
①自然であり、必ずある
②誰かが支配階級みたいな形ででっち上げたにすぎず、これなしで済ませることができない
③本来階級に届けられるべきだったものが誤って民族に届けられてしまった、宛先違い
④先祖の血や土の力が再びあらわれたもの
ビザンティン神学は否定神学で、否定して残余によって説明する。→禅に通じる
水戸黄門沖縄編はない。
印籠は効かないし、助さん格さんは琉球空手に勝てない
天皇神話に包摂されない領域
沖縄があるから日本は帝国
沖縄には易姓革命思想がある
海兵隊はもともと山梨と岐阜にいたが、反対運動がひどくなってきたので沖縄に移した
ニライカナイ信仰
良いものも悪いものも遠くからくる
1880年に宮古島、石垣島、西表島、与那国島の4島を中国に割譲するという分島増約を結ぼうとする
石垣の付属諸島として尖閣がある
日米和親条約のほか、琉米和親条約があり、琉仏修好条約、琉蘭修好条約と3つの国際条約を結んでいる。
これは、琉球が国際法の主体であったということ。
琉球処分の時に琉球王とともに条約も東京に持ってきた。
易姓革命思想があるから忘れていた。
もともと沖縄は独立国だった。国際社会もそれを承認していた。
沖縄は排他的経済水域圏が広く、ガス田もあるので、
独立したらクウェートやノルウェーのように資源で豊かな国になる。
第二次世界大戦のとき、アメリカは日本に攻めてきたが、中国は攻めてきてはいない。
不可能の可能性に挑む
人間は神ではない。しかし、人間が神になれると勘違いしたのが宗教だ。
だから人間は宗教というものを徹底的に批判していかなければならない。
人間は自分が手を触れることができる世界の外側について、どうしても考えてしまう。
そこで重要なのは、人間が神について語ることはやめて、神が人間について語ることに謙虚に耳を
傾けることだ。そして牧師という立場にいる人は、説教壇の上から神の言葉を語るように努力せよ。
天才の時代が終わって使途の時代に帰れということ。
天才は自分の中にある力を外側に出す、使途は力を持たず、外の声に耳を傾ける
言葉の重要性
言葉は信用できない。迷いは言葉から生じてくる。だが人間には言葉しかない。
沈黙も言葉に含まれる。
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本書は、前科一犯・キリスト教徒・同志社大学の神学部出身の佐藤優が、主に相国寺派の僧侶を対照した4回の連続講義をまとめたもの。僧侶を相手に、キリスト教徒であり、神学部出身であり、外交官でインテリジェンスの専門家であった佐藤優が、国家とか国際政治とか民族とか沖縄とかについて、宗教との関係の重要性を強調しつつ講義して、最後には質疑応答をしています。宗教自体について語っている部分はどちらかといえば少なく、やはり国際政治の話が多いから、サバイバル宗教論という題名はどうかと思うけど、国際政治を読み解く上で宗教の理解が重要であるのは良く分かる。また、国家と個人の関係、民主主義とファシズムの関係の話し、中間団体としての宗教の重要性のような議論も面白かった。
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キリスト教徒の筆者が仏教団体に向けて、世界情勢の打開策案を、宗教・歴史の面から提示した講演録。筆者の豊富な知識・思想が、日々”当たり前”であるかの見方に別の考え方を提示してくれる。
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佐藤優氏が、相国寺の僧侶100名に連続講義で、現下の機器に対する克服の処方箋という内容で抗議した内容の新書版である。
内容は、1講 キリスト教、イスラム教、仏教、2講 救われるとは何か 3講 宗教から民族が見える(宗教と民族) 4講 すべては死から見える(宗教と国家) の4回分である。内容は今までの佐藤氏の著作を読んでみればおなじみの論理や知識が多く出ていると思う。キーワードだけ挙げれば、
母親の沖縄戦の意味、父親の死に臨んで、日本キリスト教、一神教と多神教の違いの本質、イスラエルの本質、イスラム圏の本質、悪の存在、チェコスロバキアの分裂、フス、フロマートカ、フョドーロフと宇宙開発、多民族、多民族国家、沖縄の琉球王国の歴史、ゲルナーのナショナリズム論、貨幣論(マルクス)、定住革命、福祉国家=警察国家、法の精神
佐藤氏の今までの著書で出ている言葉や事例も多かったが、新たに出てきた事例もあったので読んでよかったと思う。佐藤氏の著作の中では、NHK出版の「国家論」が一番内容的には近いのかもしれない。
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民族と宗教。仏教とキリスト教。死と救済。国家と宗教。オウムなど新興宗教の考察も面白い。
イスラエルの帰還法。日本には日本人という目に見えない憲法がある。実態との乖離を拒まない。
ウクライナとロシアの対立も紐解く。プーチンは選挙で選ばれた王様。共和政から王政へ。
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著者にしては少々荒っぽい主張が気になった。仏教寺での講演内容が本になったので、やや過激な主張をしていたのだろうか?サウジの王族が葡萄酒は飲まないが、葡萄で作ったものでなければアルコールではないとの解釈でウィスキーを飲んで酔っ払っている!本当?サウジを英のサッチャー首相が訪問した際には見た目は女性だが、明らかに男性だとして受け入れた!沖縄の独立が現実味を帯びてくるとの主張もかなり大胆で、本当? 「一神教は不寛容で、多神教は寛容」との世の中の論調に対して、「一神教は本来自分の救いにしか関心がないので寛容だ」との主張はなるほどと賛成だったが。ところでスターリンの息子がナチスドイツの捕虜になって、切り捨てたために収容所で死んだとの話が紹介されている。これは初耳で驚きだった。また1880年に日本政府は宮古島以南を中国(清)に割譲しようとしていたが、拒絶され日本に残った!これも驚きの話だった。そういう意味では実に興味深い読書になった。
Posted by ブクログ
臨済宗相国寺派主催の研究会で著者が4回にわたっておこなった連続抗議の内容をまとめた本です。
現代の国際政治において、宗教間の対立が重要な問題としてクローズ・アップされています。本書は、宗教を単に社会現象として扱うことで国際政治の動きを解説するのではなく、それぞれの宗教における神学ないし教学の内在的な論理から、なぜそのような事件が生じたのかを読み解くという試みをおこなっています。また、ロシアと沖縄の民族問題において宗教がどのような役割を演じているのかということも、外交官だった著者ならではの視点から論じられています。
さらに、グローバリズムが加速する中でファシズムの台頭が懸念されるという危惧を述べた上で、中間団体が民主主義の砦になりうると主張し、現代日本において仏教の果たすべき役割についての提言をおこなっています。
キリスト教神学を基軸に、ナショナリズムとマルクス主義を三一的に統合するというのが著者の政治評論の特有の視座であることはよく知られていますが、本書はどちらかというと民族の観点が中心となって、宗教の果たしている役割を見積もるというスタンスで考察が展開されているように感じました。その意味では、「サバイバル宗教論」というタイトルは本書の内容をうまくいいあてているように思うのですが、個人的にはもう少し宗教の方に基軸を置いた濃密な議論を期待していたので、若干期待はずれに感じてしまったところもあります。
Posted by ブクログ
佐藤優氏はカルヴァン派の立場から日本の処方箋を書いている。日本のクリスチャンは少数派がゆえに多数派の急所を知って処方箋が書ける。しかしそれは見事にポジショントークなのだが、日本の多数派はお人好しにもそれを見抜けない。佐藤優を読む前に『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読んでカルヴァン派の思考回路を知り、続いて中村うさぎとの対談本『聖書を語る』を読んで、佐藤優の思考回路を知るべきである。佐藤優は薬である。少量ならよく効くが大量に取り入れれば死に至る。
Posted by ブクログ
面白かったけど、難しい!
すごい知識量。
すご過ぎで割と話についていけない。
ひとつひとつのエピソードは面白いんだけど、読み終わってこの本が言わんとしたところを要約してしゃべれと言われたらムリ。
Posted by ブクログ
☆3(付箋12枚/P270→割合4.44)
・あるとき先生に、「もう少しきちんと仏教学の勉強をしたいので、サンスクリット語を勉強したい」と言ったら、工藤先生はこう言われました。「あなた、お金と時間がありますか」って。「えっ、先生、どういうことですか」と聞くと、「まずサンスクリット語はお金がかかります。辞書と教科書が必要で、辞書は英語、日本語、ドイツ語とフランス語のものも買ったほうがいいでしょう。全部そろえると30万円ぐらいかかりますね」と言われたんです。それから、「時間はどれぐらいかかりますか」と聞くと、「あなたは、ラテン語、ギリシャ語を勉強しましたか」「はい、大学で基本的な文法書は終えました」「どれぐらいの時間がかかりましたか」「二年ぐらいかかりました」「どれくらい勉強しましたか」「講義は週一回でしたけれども、一週間に四日間はラテン語の勉強を三時間ぐらいしました」「そのペースですと、サンスクリット語だったら三年から四年かかりますね。中途半端にやっても意味がありません」と言われました。
私は今でも工藤先生に感謝しています。外務省に入ってから思ったんですが、語学というのは、非常に時間とお金がかかるものなんで、中途半端にサンスクリット語をやっていたら、私は時間をずいぶん無駄にして、結局、物にならないで損をしてしまったと思うんです。
・「私はね、9・11のテロをきっかけに、仏教徒としての決意が強まったんです。あれはキリスト教とイスラム教の一神教同士の戦いで、あれを乗り越えるには、もう一回仏教の多神論的な価値を見直さなければならないと思います。一神教は砂漠の産物で、多神論は森の産物でしょう。砂漠のように何もないところだと、一なる神、天なる神の存在が論理的になりたつだろうけれど、森の中にはいろいろな動植物が共存しているから、神はたくさんいると感じられる」―梅原猛
これは居酒屋での一杯やりながらの議論だったらいいのかもしれませんが、現実の国際政治や我々が直面している危機を考える上では、極めて危険な発想です。…本来、一神教というのは寛容なんです。神様と自分との関係において自分だけが救われればいいと考えているわけですから。
・「アラブの春」というものが起きたときに、シリアは、チュニジアやリビアやエジプトのような状態にはならない。もっと大変なことが起きるんです。
エジプトでも混乱が起きたけれども、そこにはムスリム同胞団というイスラーム原始主義系の組織があります。シリアにもかつてはムスリム同胞団があったのですが、ムスリム同胞団にいる人間を2万人皆殺しにしたんです。2000万人余りのシリアの人口比で言えば、2万人はかなりの規模です。
要するに今、シリアには反体制的な団体は皆無なんです。ですから、シリアのアサド政権が崩壊すると、完全な権力の空白が生じて、そこからアナーキーな状態になるでしょう。そこに恐らくイランが影響力を伸ばしてくる。シリアの今の政権が核爆弾を持つことになったら、国内の反対派を弾圧するために核兵器を平気で使うでしょう。一回でも核爆弾が地域紛争で使われるようになると、今度は、それは世界のあちこちに波及するでしょう。
要するにイランの核開発をストップさせないと、広島、長崎以来、戦争で核兵器が使われかねないという状況が、近未来に起きる可能性があります。これには相当の蓋然性があります。ですから、世界は今、イランの問題でこれほど深刻に神経を尖らせているのです。
・イランには統一政府というものが存在しません。一番目の政府と言えるのは、ハメネイ最高指導者によって支配されている聖職者たちのグループです。実は、この聖職者たちは大変な利権を持っています。石油や、ピスタチオやキャビアといった商品の会社を経営しています。一番の金持ちは、元大統領のラフサンジャニさんの一族です。これに対抗しているのがアフマディネジャド前大統領でした。
2012年1月の半ばに大統領の報道官が逮捕されて、禁固一年になりました。どういう罪かというと、最高指導者を記者会見で侮辱したという罪です。一方、大統領の方は、腐敗、汚職追及ということで、聖職者たちを逮捕したり、裁判にかけたりしています。大変な権力闘争が行われているわけです。
・アラブの春を「フェイスブック革命」というのは間違っています。フェイスブックを読んでいる層は、いわゆる市民層で、識字率が高く、新聞をきちんと読める一握りの層なんです。フェイスブックだけでは大きな運動にはなりません。字を読むことができないような大衆が繰り出してくるには、アルジャジーラやアルアラビーアといった衛星放送が重要になってきます。しかし、エジプトやチュニジアやリビアのときと、バーレーンに対するアルジャジーラやアルアラビーアの対応は全く異なっています。その対応の違いが、それが実際に政権転覆に至るかどうかという結果の違いにつながってくると見ています。
・弾道ミサイルは一度大気圏を出ますから、遠くに飛ばすことができます。このとき、多少ずれても大きな影響を与えたいというのであれば、核弾頭をつけないと意味がありません。ですから、長距離弾道ミサイルをつくるということは、核攻撃を前提にしているということになります。
ソ連が崩壊する過程で、このミサイル技術のノウハウを持っている科学者たち、技術者たちがイランや北朝鮮に流出するのを防ぐために、モスクワに国際科学技術センターをつくって、みんなにお金を配りました。それから、民営化用の研究プロジェクトもたくさんつくりました。そうやって、ロシアから核技術が流出しないようにしたんです。これには、ロシアとカザフスタンとタジキスタンとキルギスが参加したので、こういった国からは深刻な流出がありませんでした。しかし、ウクライナはこれに参加しなかったんです。だからウクライナから流出が起きたんです。
・「反ユダヤ主義は、個々の人間や社会制度や国家体制がもつ欠陥を映す鏡である。ユダヤ人の何を非難しているのかを聞けば、その人自身がどのような点で責められるべきかを言うことができる。」―グロスマン
・ソ連の体制では加害者と被害者が錯綜します。もと秘密警察の職員が逮捕される。そして、新しく入ってきた政治犯にこう言うんです。「令状の出される者は有罪であり、令状は誰に対しても出せる。どの人間にも令状をもらう権利がある。生涯にわたって他人に令状を出してきた人間だってそうだ。御用が済めばお払い箱なのさ」と。
…こういう構造を見抜くときに必要なのは、ぶれることのない何らかの「場」です。これは、キリスト教、ユダヤ教、イスラーム教、仏教、それぞれ違います。
・キリスト教における最大の難問は、神様は正しいのなら、なぜこの世の中に悪があるのかという問題です。これを神義論と言います。あるいは、神様が正しいということを弁解するので弁神論とも言います。これには二つの系統の考え方がありあmす。
一つ目は、悪というのはそれ自体で自立していない。悪は善の欠如だという考え方です。
…これとは全く別の考え方があります。この考え方によれば、悪は自立して存在する。しかし、神にその責任はない。
・私は原発問題に関しては、おそらく日本の有職者の中では圧倒的少数派です。要するに、脱原発というのは近い将来にはできないと考えています。それは、戦争を完全に回避することができないのと同じことだと。そこで考えるのは、為政者、あるいは原発を運営している人たちに白紙委任状を与えないようにするためにはどうするべきかということになります。
…こういう発想でないと、逆に現実に全く影響を与えることができなくなってしまいます。
・国家を考えるときに、実は、基本になるのは中間団体の問題です。それは民主主義の問題でもあります。
・重要なのは、定住に至るときに、必ず宗教が生まれるということです。たとえば今のニューギニアの狩猟採集をする人たちが定住しない理由は二つあります。まずお手洗いです。
…もう一つは、死者の問題です。死ぬと人間は腐って骨になっていきます。さっきまで生きていた人間が動かなくなる。死は恐ろしいものです。自分たちの住むすぐそばに死体があっては怖くて仕方がありません。ですから死体のないところへ逃げていく。定住革命以前の移動する人たちは、死の問題と直接向き合わずに済みます。裏返すと、定住すると、死の問題と向き合わなければならなくなります。そこから宗教が生まれたり、宗教に対する考え方が精緻になっていくわけです。
Posted by ブクログ
多極化、帝国主義化する世界における宗教の役割、存在意義についての講義。
著者が寺で、僧侶を相手に行った講義が元になっているので、幾分読みやすい。
一神教が不寛容、多神教が寛容などという見方が間違っており、教義や救済といったその宗教の目的とするものを念頭においた上で、地域情勢を読み解く必要がある、というのはなかなかおもしろかった。
民主主義とファシズムは共存し、その行き過ぎを防ぎ、また民主主義を担保ための中間団体としての宗教、という考え方は霧が晴れた気がする。
中東、アメリカ、アジアそれぞれの文化に基づいた宗教体系には、そうなるべき必然性や、独特の役割があり、そういったものに敏感でありたいと思った。
Posted by ブクログ
タイトルが気になって手にしました。
著者の名前は知の巨人として知ってはいたのですが実際に本を手にしたのは初めてです。
タイトルからは勝手に宗教がテクノロジーの現代をどう生き延びていくのか
ということが書かれていると思っていたのですが
現代を生き抜いていくために知っておくべき宗教の基礎知識といったところでしょうか。
キリスト教、イスラム教、仏教などの伝統宗教という観点から見た世界情勢を解説しています。
とても複雑で理解するには難しいのですが勉強になりました。
通常の議論であればキリスト教、イスラム教などはひとくくりにされていますが
その中にも細かく○○派などとして主義主張が分かれており簡単にひとくくりには出来ないのだということも思い知りました。
個人的に教養が無さ過ぎて理解出来なかった部分も多いので
もう少し教養を身につけてから再読してみたいと思います。