佐藤優のレビュー一覧
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1939年京都大学(当時の京都帝国大学)において全6回で行なわれた田辺元の講義録「歴史的現実」(1940)を、現代の知の巨人(またの名を外務省のラスプーチン)佐藤優が二泊三日の合宿で読み解いた一冊。
佐藤優が指摘する通り、時の構造や個人、種族、人類の構造を解いた部分は面白いのだが、その後に「どうせいつかは死ぬんだから、お国のために死んだら?」と説く部分は支離滅裂。佐藤優の議論のレベルもそれに合わせて、序中盤は充実していて「久しぶりに面白いリベラルアーツの本を読むなぁ」と思いながら読んでいたものだが、後半は軽薄過ぎてつまらず。柄谷行人パートも蛇足。 -
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著者のおこなった『資本論』についての6回の講義をまとめた本です。
いわゆる『経済原論』の内容をかみ砕いたものというよりも、『資本論』のなかから著者自身の関心におうじていくつかの議論をとりあげ、現代の世界情勢について考えるためのアクチュアルな視点を紹介するといったような内容になっています。とくに宇野弘蔵や柄谷行人の思索がもつ可能性について考えるきっかけをあたえてもらったように思います。
また、毎回の講義の最後に著者から受講者へ課題があたえられ、次の講義でその課題についての解説がおこなわれています。この課題も、マルクス経済学を現代という時代に生かしていくためのポイントを読者に教えてくれるようなものになっています。
著者は、日本における講座派と労農派の対立を重視しており、とくに講座派的な発想を京都学派的な否定神学に通じるものとしてとらえるとともに、労農派的な発想が世界システム論に通じると主張し、柄谷の後期の文明論的な思想に労農派的な発想を見てとって、これを高く評価しています。ただわたくし自身は、こうした著者の整理の仕方そのものは興味深いと感じたものの、やはり文明論やシステム論的なものの見方にはなじめないという認識をあらためて確認しました。 -
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別に世界を駆け回る仕事をしているわけじゃなし。仕事や日常生活にそれほどかかわるとも思えないんだけど、興味をひかれ面白く読んだ。もちろん、世界情勢というのは、日常につながっているというのはわかるんだけどさ。でも、それって直観的な理解とはちがうと思うんだよね。理屈でいわれて、まぁそうだね、というような。でも、本書は面白い。なんだろうな。ひとつには、そこに人間同士のポジショニングというかなぁ。悪の指導者という一個の個人が、どのようnまわりに影響を与え、権力を得て基盤を作り、ひいては国を動かしていくか、という構図がみえるからだろうか。うん。個人の単位からスタートしているから、面白いのかもしれないな。プーチンといえど、スーパーマンではなく、実は集団間の利益調整によって存在が固められている、みたいなね。そういうのって、日常でもあるのかもしれない。
よく知らない中東の話や、あるいはニュースでよくみるトランプ、北朝鮮情勢もまた、別の意味で興味深く読んだけどね。 -
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ネタバレ世界史は受験科目ではなかったので早々に勉強する事を放棄した。その結果として、世の中の動きの背景が全くわからない。特に中東の事とかは何を聞いてもよくわからず、パレスチナ問題などはなんとなく聞いたことがある程度で特に何かを語れるレベルにはない。そんな知識ゼロの私が読んだ結果として、やはり、中東、トルコあたりの話は難しいと感じた。世界史大転換のしんげんちとして、人類史が始まって以来大きな影響を与え続けている中東。現状のボイントは4つ。1、イラク情勢の変化→アメリカの弱体化。2、アラブの春以降の社会構造の変化。3、過激なイスラム主義の急速な台頭。4、イスラム国やアルカイダなどとは異なるテロ組織の急増。とのこと。そして、中長期的観点で俯瞰すると中東は1、サウジアラビア、湾岸諸国、ヨルダンなどのアラビア語を使うスンニ派のアラブ諸国、2、ペルシャ語を話すシーア派のイラン、3、アラビア語を話すシーア派のアラブ人、4、スンニ派だがトルコ語を話し民族意識も強いトルコ、の4つの勢力に分かれるらしい。もう、この時点で全然わからない。中東地域の事をあらためて何かで学ぼうと思う。
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ネタバレ佐藤優氏の外務省(在ソ連・ロシア日本国大使館)での勤務経験をベースに、組織で生き抜くための知恵が紹介されている。ポイントは以下のとおり。
・組織には、個人を強制的に変え、スキルを身につけさせる仕組みがある。
・組織は上司に味方する。
・下剋上を起こしたものを歓迎しないのが日本の組織文化。
・「汚い仕事」は面従腹背でサボる。
・本人が主観的に能力があると思っても、不平不満ばかり言っている奴は、客観的にみて能力がない。
・外国語能力には、能動的能力と受動的能力がある。能動的能力が受動的能力を超えることはない。
・組織のなかで最も厄介なタイプが「能力はないが、やる気のある部下(上司)」。
・プライドが高くて傷つきやすく、自分を抑圧してきた人は、他人のことも批判の目で見る。正義を楯にする。
・酒乱やストーカーなど何かに依存し、本能的な衝動をコントロールできず、破滅的な行動をとる者は非常に危険。
・組織は個人を支配する。
・派閥やネットワークにまったく参加しない人がいるとすれば、その人は能力が劣っているか、性格的に他人と信頼関係を構築することができないので、仲間に入れてもらえないのである。
・「あいつは人付き合いの悪い変わり者だ」とか「人間嫌いだ」という評判を立てられないようにすることが重要。
・後ろ向きのエネルギーを蓄積した人とは、極力接触しない。
・健康管理も実力のうち。
・ヤバイ話については、「聞かないでおく」というのが強力な防御法。中途半端に首を突っ込んでおいて、後から逃げるという態度よりはよっぽどいい。
・「面倒ごとからは逃げる」「上を巻き込んで自分では判断しない」「問題点やリスクを提示して断らせるように仕向ける」という回避術で事を治める。
・組織はリスクや責任を負うことを何よりも恐れる。組織の責任を回避するためなら、個人が犠牲になることはやむを得ないという論理で動いている。
・組織の外部に理解者を得ることには、構造的な利点がある。 -
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エコノミストの『2050年の世界』、フリードマンの『100年予想』をここのところ読んできた。
フリードマンの方はまだレビューにまとめてないが…。
日本については両者の見解が大きく異なるのに驚いた。
依って立つ理論の違いによるのだろう。
エコノミストは人口動態学、フリードマンは地政学だ。
最近地政学をタイトルに謳う本が多い。
その一冊として、本書を手にしたというわけで。
で、本書は必ずしも未来予想の本ではないが、フリードマンと共通する認識もあった。
例えばポーランドの評価。
地勢的にヨーロッパの中で重要な位置にあり、大国とみるべきだ、と。
ショパンの繊細なイメージと結びついて、ソ連・ロシアとドイツに蹂躙されたかわいそうな国、という日本人によくある認識とはかなり異なる。
北極海航路の話は、エコノミストの方でも触れられていた話だったが、本書では日本への影響にも少し触れられていたところもあり、津軽海峡や宗谷海峡が今後地政学的に重要になる、とか。
それ以外でも、驚いたこともある。
まず難民問題。
シリアなどの難民が、ドイツのNGO、NPOにより突然片道航空券を持って押し寄せる事態が起こりかねないという。
労働力不足が解消される? いやいや、全く受け入れ態勢が整わないまま事態が進み、大混乱が起きるのだろうな。
シーパワーが変わらず力を持ち続けるという話を読むと、中国がなぜ今海洋進出を焦って進めているのかが腑に落ちる。
沖ノ鳥島問題というのも、びっくり。
海洋法条約では限りなく「岩」に近いため、中国の南沙諸島問題のカードにされかねないのだそうだ。
エネルギー問題についても、考えさせられる。
民需であれ、軍需であれ、飛行機、ロケットは石油でしか飛ばせない。
石油は今後、戦略物資として温存させられる国とそれができない国に分かれていく。
日本もエネルギーミックスで原発を積極的に考えよ、というのだが…。
これはどうなのか。
数十年後の戦争と、一億年先までの地球環境とをどう考えていくのがいいのだろう。