あらすじ
「イスラム国」の脅威など混とんとする世界。そんな中で日本を覆う反知性主義に対抗するには自分のアタマで「したたか」に考え続けるほかない。どんな立場の人とも議論可能な論理に基づいて、歴史を解釈するための知的枠組みを英国中学の歴史教科書から学ぶ。
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反知性主義に対してどうすればいいのか?
自らが反知性主義に陥っていないか?
反知性主義は自分が理解したいように世界を理解する態度をいう。合理的ではあるが実証性と客観性を欠落しているという。
はっきりいって僕が今まで生きてきて自分と関わった人間の内で反知性主義でない人間を探す方が難しい。それならお前は反知性主義ではないのかと問われるだろう。そうなのです。自らが反知性主義でないということは自らの理解・認識が誤っているなら素直に反省する姿勢を持ってしかありえないと思う。そして自らの誤りを省み、知性と学問による実証性と客観性・・・それは他者性とも言えますがそれを見出しながら自己を省察していく。それによってしかありえない。だからお前が反知性主義でないことを証明しろと言われればやはり世界認識としての学問でしかありえないだろう。カントの啓蒙である先ず悟性的人間、次いで理性的人間、最後に学者という言葉があるが同じことを言っている。
安倍は反知性主義であるという。反知性主義でない人間を探す方が大変だが、それに対するには自らのアタマで考えしたたかに生きていくしかないという。
そうだろう。
自らの理解が誤ってるなら素直に反省し、したたかに生きていくしかない。
そういう生き方ができれば僕はそれでいいと思う。
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本書は所謂一般的な勉強のハウツー本ではなく、イギリスの歴史教科書を「思考の鋳型」(基本的な思考パターン)を鍛えるテキストとして、基礎教養力を身につけ、情報の収集、それらを運用して内在的論理を探り、自身の視座を確立し、いかな状況にも強かに対応していくことを目的としたものである。
アナロジー(類比)、別の言葉や例で説明する敷衍して論を発展させる、正反対の人物をイメージする、共通点と相違点を探すなどの思考のポイントをいくつもピックアップ的に紹介もしており、難解になりがちな話題も、理解をしやすくかつ、深めてくれるようになっている。
今もまさにロシアの侵攻、中東情勢にそこから距離を置く日本だからこそ行える手段があるのではなかろうか。日本には是非とも追従でなく独自の外交力を発揮して欲しいものであるとこの本書を読んで考えさせられた。
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タイトルに裏切られた!
良い意味で。
ご注意ください。
この本は、学校の勉強が得意になるような本ではありません。リポートにも、役立てられる人はいるかもしれないけど、読む人のモノの見方、考え方を問われる本です。
極右、極左の方には向きません。
イギリスの教科書を例に挙げ、考えること、また、その内容をいかに伝えるか。
列挙してある内容は興味深いものだった。
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超したたか勉強術
会社だけの生活に行き詰まっている人へ
著:佐藤 優
朝日新書 510
勉強術といっても、章ごとに、体系的にまとまってはおらず、19の思考のポイントをキーワードとしているので、なかなか理解できませんでした
著書の放った、印象ぶかい一文を拾ってきました
日本を覆う、「反知性主義」に対抗していくためには、自分の頭で「したたか」に考え続けるほかはない
感情論ではなく、どんな立場の人とも議論ができる最強のインテリジェンス思考法を伝授とあります
気になったことは以下です
・さまざまな物事について自分なりの視座をもつこと
そのための技術を身につけること
・ビジネスを取り巻く状況は、刻一刻と変化している
その変化を察知し、行方を予想して身の処し方をアップデートしていく必要がある
・新たな声を聞くためには、歴史、哲学、思想、宗教、文化、経済、数学など、が必要だ
それだけでは十分ではない、テーマになっている事柄に関連する基礎教養を運用して、情報を組み直す思考力を備えて初めて、新たな声が聞こえてくる
・自分なりに視座をもつために最低限必要な要素を整理してみよう
①基礎教養を身につける
②情報収集
③基礎教養と収集した情報の運用
④内在的論理を探る
・社会人としての根幹を作る必須の基礎教養のひとつは、近現代史である
国民国家の輪郭が明確になり、相争い、ときに協調してきたのが近現代の流れなのだ
・逆説的だか、人の命を奪うような政治に対しては、どんなに弱い立場に置かれた人間であっても、抵抗し、最終的には弱き者が勝つのだということを教えてくれる
・インテリジェンスの要諦のひとつは、公開情報の読み解きである
・交渉の場において、譲歩はしても決して迎合しない
★思考のポイント1 アナロジーで考える
・トッドは移民に大きく2つの類型を認めている
①同化型 異質である限り、社会の成員として認めない
②寛容型 移民が出身国、地域の文化や言語を保持することに寛容で、同化を強要しない
★思考のポイント2 敷衍して論を発展させる
★思考のポイント3 正反対の人物をイメージする
★思考のポイント4 共通点と相違点を探す
★思考のポイント5 歴史的事実を使って規定する
・日本を取り戻す、心の問題(ポエム)を公共圏に持ち出す首相、それを指摘できない与野党議員、詩の朗読がまかり通る現在の政治の姿は、法治主義、民主主義が根底から崩れていることを物語っている
★思考のポイント6 情念面からもアプローチする
・同時多発的な事象間に何らかのつながりがあるか否かを見極める習慣を身につけておくことは大切だ
ビジネスの現場において、複数の懸案事項の背後関係がつかめれば、問題解決へ向けての有効なアプローチとなるだろう
・同質性が高いとみなされている場所でナショナリズムが暴発すると恐ろしい
★思考のポイント7 アイデンティティに注目する
★思考のポイント8 第三の立場から考える
★思考のポイント9 別の概念にあてはめる
★思考のポイント10 さらなる謎に迫る
★思考のポイント11 他人事と捉えない
★思考のポイント12 他の選択肢の可能性を探る
★思考のポイント13 価値を相対化する
★思考のポイント14 立ち位置に目を配る
★思考のポイント15 感情的な要素を排除する
★思考のポイント16 ルールの数はしぼる
・日本はいまも帝国である
★思考のポイント17 効果的に敷衍を使う
★思考のポイント18 双方の立場から立証する
★思考のポイント19 裏返して考える習慣をつける
目次
序章 「生き残り」のための技術を磨く
第1章 「したたかさ」を身につける
第2章 多様なものの見方をする
第3章 「失敗」と謙虚に向き合う
第4章 複雑な問題を分解して考える
第5章 「あてはめ」で可視化する
第6章 不動とされる価値を疑ってみる
第7章 物事を考えるときのルールを決める
第8章 「思考の鋳型」は組み合わせて使う
第9章 自分の考えを自分で否定する知力をつける
終章 いま置かれた立場で「生き残る」
あとがき
ISBN:9784022736109
出版社:朝日新聞出版
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:760円(本体)
発売日:2015年04月30日第1刷
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⚫︎タイトルからして、いつものハウツーかと思いきや、かなり無骨な内容。
⚫︎イギリスは発想が他民族に比べて異質というのはなるほどなと。気の利いた教科書を使用しているのもすごい。徹底して考えさせる訓練が織り込まれている。たしかにあれだけの植民地を統治していたのは、今となっては物凄いノウハウだし、能力だと思う。
⚫︎最後らへんが一般化されたエッセンスだが、中盤も色々あって飽きさせない。
Posted by ブクログ
イギリスの歴史教育を例にとり、その帝国主義の変遷から、アナロジーと敷衍という手法を教えてくれる。そうした手法は、敢えて言語化して定義せぬだけで、日常生活で自然と用いる考え方だ。我々は、教えられなくても、十分にしたたかなのだろう。
人類の歴史は繰り返す。と、言い切らぬまでも、大衆心理における行動、政治力学による決断は、合理的なものから感情的なものまで、作用する複雑な因子を理解すれば、類推は可能だ。例に取る、前例を挙げる、という手法の使い道は広い。時に、人生も二度目ならば、より器用に生きていく事が可能なのにと悔いるような失敗もある。
歴史は、そうした過誤を未然に防ぐ絶好の教材だ。佐藤優は読み易く、常に知的刺激を与えてくれる。好きな著者の一人、それを再確認した。
Posted by ブクログ
恐らく再読。実践書であり、当時の時事を取り上げているので発売当初に向き合うべき本だったような気がする。日本史A、世界史A、イギリスの歴史教科書を手に読むのが正しい読み方でつらつら読むだけの本ではない。最終ページに『「一冊の本」(2014年4月号~2015年3月号)の連載「超したたか勉強術 私が外務省研修指導官だったら・・・」に加筆のうえ再構成したものです』とあり、この本の目的と意味が分かった気がした。
Posted by ブクログ
<目次>
序章 「生き残り」のための技術を磨く
第1章 「したたかさ」を身につける
第2章 多様なものの見方をする
第3章 「失敗」と謙虚に向き合う
第4章 複雑な問題を分解して考える
第5章 「あてはめ」で可視化する
第6章 不動とされる価値を疑ってみる
第7章 物事を考えるときのルールを決める
第8章 「思考の鋳型」は組み合わせて使う
第9章 自分の考えを自分で否定する知力をつける
終章 いま置かれた立場で「生き残る」
<内容>
優秀であることは既に分かっている著者が、イギリスの歴史教科書を題材にしながら(イギリスの教育を土台に)、どのような考え方で今後生きていけばいいか、また日本はどんな立ち位置でいいかを教えてくれる本。安倍政権の分析や国際社会(特にロシア)の分析には那得するところがある。
Posted by ブクログ
イギリスで用いられている歴史の教科書などを題材に、心情的な反知性主義に陥ることなく、「新・帝国主義」の時代を生き抜くためのインテリジェンスの能力を磨く方法を具体的に語っている本です。
どういうジャンルになるのか、分類のむずかしい内容です。いわゆる自己啓発本的な読書術でもないし、国際政治の解説書でもありません。しいていえば、著者の専門であるインテリジェンスのトレーニング法とその応用がテーマだということになるでしょうか。
左派の安倍内閣批判とは異なる視点からなされる著者の議論も、興味深く読みました。しばしば保守派が金科玉条とする「リアリティ」が、インテリジェンスの視点から見ると反知性主義的で心情主義的な幻想にすぎないこともあるという指摘はけっしてめずらしいものではありませんが、そうした幻想を克服してリアリティに目を見開くことを、インテリジェンスの能力を身に着ける努力とひとつながりのものとして語っているところに、本書の特色があるように感じます。
Posted by ブクログ
なんて紛らわしいタイトルのつけ方だ(笑 まず内容よりそこに著者のしたたかさを感じてしまうわけで。論理的思考をつけるために歴史を通して鍛え上げるワークブックのようなもの。この通りに取り組めば本当に頭の働き方が変わってくると思う。本を1章丸ごと暗記すると脳の使える容量が増えるというのは面白い。やってみたいなあ(根性があれば)
・自分なりの視座を持つことが大切
・『イギリスの歴史/帝国の衝撃』(明石書店)課題図書扱いとする。英国内において新帝国主義時代の今を生き抜く術を記した本。
・脳の記憶容量を大きく変える丸暗記の勧め
前述図書 第9章を日英ver 1か月かけて覚える。ブロックごとに暗記し、キーワードをメモしてその通りでなくても良いので自分の言葉でうまく組み立てられるか確認を都度すれば一生忘れない
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真実を理解するためにはこう考えていけばよいという思考法の指南書。
挙げられた具体例においては良く理解できるが、自分自身で他の事象を分析するのはなかなか難しい。
Posted by ブクログ
考え方のロジックを定型化することで、効率化や比較化、可視化を行う。当たり前のことかもしれないけど、これを日々実践して真実を見極めることはすごく難しい。読んでいてうなずける部分と、それを実践できていない自分を感じる部分がよく分かりました。
Posted by ブクログ
最強のインテリジェンス思考法をイギリスの中学歴史教科書から学ぶと言う発想からしてユニーク。
安倍氏の反知性主義も納得の論理で撃墜。
氏は兎に角、攻撃も守備も範囲が広くて深い。
リベラルか保守か、あるいは左翼右翼といったくくりではなく、正しく本人の経験と勉強の賜物であろう。
爪の垢程でも取り入れられれば、少しは世界の他者と共存できる道が見つかるかもしれない。
Posted by ブクログ
最近、佐藤さんの新刊書は、本当にたくさん見かける。
大澤真幸か、この人かという感じ。
さらに言えば、誰かと対談という形を取ることが多い二人でもある。
それはさておき、この人の本を初めて読んだ。
第一段階は、情報収集を積み重ねること。
なんと、暗記して頭に叩き込むとのこと!
もう、この時点で真似できない・・・
その後は、敷衍やアナロジー、正反対の存在を想定する、共通点と相違点を探す、第三の立場から考える、別の概念にあてはめる…などの技術で、解釈をしていくのだそうだ。
原稿は書きかけのバージョンも保存しておくこととか、普段自分が絶対考えもしない方法が提唱されていた。
実際に自分が実行できるかどうかは別として、自分自身の方法とは全く異質の方法を知ることができた。
Posted by ブクログ
勉強術ということだが
ほとんどが安部首相への批判と
イスラム国への己の見解
スコットランド独立を住民投票で決める。同じことが沖縄でも起こるかもしれない。確かにそう思った。
イギリスの歴史の教科書は知識詰め込み型ではなく、自分で考えさせるものらしい。過去の帝国主義によって、植民地支配などで世界に禍根を残しているもののイギリスはしたたかに存続している。