あらすじ
ナショナリズム、歴史修正主義、国語力低下……日本を蝕む「反知性主義」に負けない強靭な「知性」を身につけるには? いま、日本には「反知性主義」が蔓延している。反知性主義とは、「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」だ。政治エリートに反知性主義者がいると、日本の国益を損なう恐れがあると、著者は主張する。実際、その動きは安倍政権下で顕著だ。麻生副総理の「ナチスの手口に学べ」発言や、沖縄の基地問題を巡る対応などに、それは現われているといえるだろう。本書では、この反知性主義が日本に与える影響を検証し、反知性主義者に対抗するための「知性」とは何かを考える。あわせて、本当の知性を私たちが身につけるための方法も紹介する。
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Posted by ブクログ
反知性主義
「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」
過激派とか原理主義者に限らず僕らも陥りそうになります。
僕もストーリーを大切にするので説明不足になることもままあります。
知性を復権する
安易に政権批判につなげるのはどうかと思いますが。
今日本を覆う空気は深く考えるよりストーリーに流されるきらいはあると思います。
日本の強化に必要なものは論理と数学
一番怖いのは私大が
3科目入試
1科目入試
一芸入試
と大学で研究する素地のない人を上位大学で受け入れてることなんですよね。
論理と数学を学ぶことが反知性主義に打ち勝つ数少ない手段なんやと思います。
Posted by ブクログ
誰にでも「自分が欲するように世界を理解しようとする態度」という一面は在る。それは否定出来ないが、と言って「実証性や客観性を軽視もしくは無視」というのも困る…「実証性や客観性を軽視もしくは無視」に対して、「実証性や客観性を少々重視」ということにして、「どうでしょうか?」と考えるというようなこと…大切にしたいように思う。或る意味、本書を読んで“スッキリ”したような気もしている。
或いは…「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解しようとする態度」と本書の著者が定義する「反知性主義」とでも呼ぶべき傾向を、「自身も強めに帯びているのかもしれない」ことを“自覚”しているが故に、それに類するものが気になるのかもしれない。そして「実証性や客観性を軽視もしくは無視」に対して、「実証性や客観性を少々重視」ということにして、「どうでしょうか?」と考えるというようなことに意を向けたいと思うのかもしれない…
Posted by ブクログ
面白かった…!そして怠惰な自分を反省しました。
ふんだんに本が紹介されてるので、ぼちぼち読んでみようと思います。
「反知性主義」っていう言葉を流行らせたのはこの人きっかけなのかな。
「実証性、客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」と定義されてます。なるほど。
反知性主義がもたらす害悪とそこに陥らないための方法が書かれてます。
大変面白かったです。
Posted by ブクログ
"反知性主義とは何かを定義することから始まる。
反知性主義とは、実証性と客観性を軽視、もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度のこと。
そうのような思考に陥らない知性を身に着けるためには、どんなことをすればよいのかを提案している。
「外国語上達法」千野栄一
「20か国語ペラペラ」種田輝豊
は読んでみたい。"
Posted by ブクログ
反知性主義。
実証性と客観性を軽視もしくは無視して、
自分が欲するように世界を理解する態度のこと。
自分には当てはまらないと思って読み始めたが、
これはよほど意識的に、知識を吸収し、
思考することを続けなければ、
あっさりと反知性主義に陥ってしまうと感じた。
“実践的な読書”をしなければ。
Posted by ブクログ
佐藤氏が好きそうなテーマ。自分の生活と身のまわりのみ心配し、選挙に行かない、政治に興味を持たない、何かの事件には感情論をふりかざす「反知性主義」。安保関連法案には切り取った部分のみで賛成か反対。安倍首相はヤンキーがそのまま政治家になったようなもの、といった内容。
Posted by ブクログ
スコットランド独立運動を沖縄独立とを重ねた視点で書かれた琉球新報の記事が興味深かった。僕は沖縄は日本の一つの県だと普通に思っていたけど、沖縄の人たちの中には日本から独立(自己決定権の確立)したいと思ってる人もいるそうです。なので、スコットランド独立運動に対する見方が、そういう沖縄の人とそれ以外の人(例えば僕)で全然違うみたい。そういう自分の予想もしてないような視点を意図的に得るのは難しい。けど、大事なことだと思った。
Posted by ブクログ
だいぶ前にかじっていたものを読み通した。
本書を購入するきっかけとなったのは、田坂広志氏の「知性とは正解のないものを問う力」という言葉に出会い、「知性とは何か」を探求したかったからだ。
本書は2015年に書かれている。
斎藤環氏の『ヤンキー化する日本』が引用されていたり、柄谷行人について言及していたりと、偶然にも私自身が最近または直近で気になっていたことと合致して嬉しかった。
佐藤氏の書物は難解に感じるものが多かったが、本書は理解できるところが多かった。
また、参考になる文献の紹介もあった。
しかし、それは佐藤氏が内容のレベルを下げているからだと推測する。
「知の怪物」佐藤氏にしては、ずいぶんと噛み砕いて書かれていた。
反知性主義に傾きそうな読者に知性を与えたいと考えて噛み砕いているとすれば、複雑な心境になる。
とはいえ、佐藤氏の「目に見えないもの」まで分析するインテリジェンスの力に触れることができた一冊であった。
Posted by ブクログ
新しい知識や見識、論理性、他者との関係性などを等身大に見つめる努力をしながら世界を理解していくという作業を拒み、自分に都合が良い物語の殻に籠るところに反知性主義者の特徴があり、合理的、客観的、実証的な討論を反知性主義者は拒否するという。
これを可能にするのが人間のもつ「自己欺瞞」の能力だという。動物行動学を援用したこのくだりは面白い。(p116)
では、反知性主義を封じ込めるには、深い自己省察と謙虚さを持った人間性に価値を置くこと。やはり、基本的な人間修養が最も大切だという基本に戻ると思う。
また、著者は読書の大切さを繰り返し説いているが、これは言わずもがなである。
本の構成としては、話題が飛ぶし、議論の深まり具合に一貫性がないので読みにくい。しかし、ところどころ考えさせられる部分があり良。
Posted by ブクログ
知性とは何か、を論じているという内容ではなかった。むしろ、日本を含め最近幅を効かせてきた「反知性主義」について述べ、それに対抗する手段を述べている、という内容でした。全体的に、著者が読むと良いと思う書籍の引用が多くて、書評本のようになっています。竹内久美子の本が引用されているのはどうかと思ったが。
著者のいう「反知性主義」とは<大雑把に定義するならば、「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」である>とのことで、分かりやすく言うと<安倍政権>とのこと。反知性主義は<実証性や客観性を無視>する態度なので、論理だとか理詰めで説得することがそもそもできない。だから、知性で外堀を埋めていくしかないようです。その知性を磨くためには読書が必要であり、会話(SNSなんかの文章も含む)ではなくて、文章を書く作業が必要なようだ。
Posted by ブクログ
世間に蔓延する(私の周りにも感じられる)「反知性主義」というものについて、その弊害と対策、自身がどのようにしてその時代に生きていくべきなのか。それについて示唆に富む内容が書かれています。反知性主義に対抗するためには、個人的には知性を磨くこと。そのために一番良いのは本を読むこと。それについては非常に納得いきましたし、そのために具体的に何を読むべきなのかについても書かれていて、実践的です。
反知性主義が主となっている世の中で、それにどう付き合っていくべきなのか。その部分を読み取ることが、ちょっと難しくてできませんでした。
Posted by ブクログ
反知性主義に抵抗しうる知性を身につけよう。そのための近道は読書だ。本作は、さまざまな時事問題に多面的な視点を持つための書評的な一冊。話がかなり飛ぶので、ついていきずらいところもあり。イスラム国、ピケティについてはなかなか難解だったが、知性がついていけるようになったらもう一度読み直したい。