【感想・ネタバレ】偉くない「私」が一番自由のレビュー

あらすじ

佐藤優が選ぶ、よりぬき米原万里

ロシア語会議通訳、作家、エッセイストとして活躍した米原万里の作品を、激動のロシアで親交を結んだ盟友・佐藤優がよりぬいた傑作選。
メインディッシュは、初公開の東京外語大学卒業論文、詩人ネクラーソフの生涯。
ロシア、食、言葉をめぐる傑作エッセイ、単行本未収録作品などをロシア料理のフルコースに見立て、佐藤シェフの解説付きで紹介する。

没後10年米原万里を偲ぶオリジナル文庫。

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Posted by ブクログ

没後10年、佐藤優シェフによる米原万里のフルコース。1冊目としてではなく、彼女の本を何冊か読んでから読むべき本。
目玉はやはり、東京外語大の卒論「ネクラーソフの生涯」100ページ。文章や論理展開は生硬だが、その後花開く彼女の萌芽が詰まっているように感じる。ネクラーソフをテーマにしているあたりが、いかにも彼女らしい。そしてなんと、卒論の審査概評も載っている。やや厳しい講評だが、温かさも感じられる(指導教員は飯田規和)。
冒頭で紹介されているエピソードが印象的。佐藤優がチェコの作家クンデラを魅力的だと言ったら、米原万里が色をなして怒ったという。さもありなん、彼女は、計算尽くの人、裏のある人、言行不一致の人が大嫌いだったから。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

米原万里の作品群から佐藤優が編んだ選集。
米原万里は少女時代をチェコのソ連学校で過ごし、ロシア語通訳者として活躍、のちに物書きとなった人。

親は共産党員で地下活動が長かったという。通訳として国際舞台での実体験も豊富であり、読書量は一晩に7,8冊は軽いという知見の持ち主。

ゆえにエッセイもそんへんの文人が雑感を書くものとは一線を画す面白さだった。
(選集だからそう思うのかもしれないが)
政治や文化に対し批判精神を持ち、自身の考えが基盤にしっかりあることが感じられ、心地よい。
他の著作にも興味を惹かれた。

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2021年08月15日

Posted by ブクログ

米原万里さんのエッセイが好きで、何冊か読んでいる。本書は、佐藤優さんが編纂した一冊。東京外国語大学の卒業論文が掲載されているのも、本書の特徴。
今度、本屋さんに行ったとき、久しぶりに米原さんの書籍を手にしてみたいと思った。

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2021年04月26日

Posted by ブクログ

付き合いのあった佐藤優が米原万理の作品を紹介している。米原作品を読む前に読むと参考になるだろう。東京外大ロシア語学科の卒業論文も含まれていて、ネクラーソフの生涯について書かれてある。ネクラーネフって初めて聞いたが、米原万理が選んだのはよくわかる。

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2018年10月05日

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米原万里さんの多才さを 1冊に 凝縮した本。軽快なエッセイから始まり、原点としてのロシア文学研究、翻訳者や小説家のプロとしての考え方など


出版社の編集者だったら、人気のある 楽しいエッセイを集めて、営利優先となるのでしょうが、佐藤優さんは 米原さん そのままを 本にまとめたかったのかなーと感じました

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2016年11月20日

Posted by ブクログ

内容は全く知らないが、勧められて読む本がたまにある。そんな本の一冊だが、佐藤優氏による米原万里氏の追悼本だったとは。

「ロシアは今日も荒れ模様」は昔何度か読んだ本。ロシアにはあまり興味はなかったが、良い文章だった事を覚えている。

佐藤優氏、嫌いでもないけど、書く本は良いものだと思うけど、それ以外の印象がどうも良くい印象。

佐藤優氏がチョイチョイ出てくるところが、必要か?と思ったり、私はあまり対談とか興味無いんだよなと思いながらペラペラ頁をめくる。

ロシアで体調を悪くした日本人に、梅干しのおにぎりを食べさせたら元気になった話等を読み、そうだよなこの方は骨があるよなと文章を読みながら思い出した。全体としてはそうでも無いけど、米原万里氏の本を読んでみよう思わせてくれたことには感謝。

・読みたい本
オリガ・モリソヴナ
旅行者の朝食

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2024年07月30日

Posted by ブクログ

エッセイ集。出色は「金色の目をした銀色の猫」。ロシアで偶然見かけた子猫を日本に持ち帰る話なのだが、チンチラの可愛さ、外国から生き物を迎え入れる際の面倒なドタバタ劇、周囲の手助けの暖かさがビジュアルで「見える」。

優れたエッセイは、人間の可笑しさ、弱さ、悲しさが、鮮烈な情景と共に立ち上がってくる。そして風景が、登場人物の感情の動きが、一瞬で心に刻まれる。魔法に近いものがある。そういうエッセイのお手本として真っ先に思い浮かぶのが、小林秀雄の「人形」。先のエッセイはこの名作に比肩すると思う。

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2017年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イタリアのことなら、内田洋子さん
ロシアのことなら米原万里さん。
と言っては軽くまとめすぎ?と思うくらいの
膨大な知識と経験から数多くの本を執筆。
2006年5月死去。
元ロシア会議通訳、作家、
1959〜64年少女の頃プラハのソビエト学校に学び、
日本に帰国後はロシア語で受験できるからと
東京外語大ロシア語学科卒
東京大学院ロシア文学修士課程修了
豊富な知識と、持ち前の読書家で
膨大な知識からの通訳はさぞ国にも大きく貢献したに違いない。

そんな米原さんと、長年交流があり
「上からの声」というほど、信頼していた米原さんの著作から
佐藤優が責任編集。

楽しいと軽く読み進めるばかりの内容ではないが、
なかなか見えないロシアの内情がうっすら見えるような
内容に。
二人の交流にも、興味津々。

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2016年09月07日

Posted by ブクログ

米原万里没後十年を迎えた、今年2016年、米原さんをしのぶ本や、エッセイの傑作選などが何冊か出版された。
これは、佐藤優氏の編による一冊。

私は、佐藤優氏に関する知識が無かったので、単に「米原万里のエッセイの傑作選」だと思って読み始めた。
読んだ事のある文を見つけて懐かしむのもいいな、読んだ事のないものが収録されていたら嬉しいな、そんな気持ちで。

目次は、コース料理に見立てられ、それにふさわしい、米原さんの文章が紹介される。
この、フルコースメニューに沿ってというのは、最近の流行だ。
しかし、そういうオシャレな流行スタイルをとっているにしては、何か政治思想のにおいがする。

作家の傑作選の編者は、普通、最初のご挨拶と、締めのご挨拶くらいしか書かないものだと思っていたが、コース料理の合間合間に、「シェフのご挨拶」が顔を見せる。

つまり、「米原万里」は料理の素材であって、出来上がった料理は、“シェフ”佐藤の作品。
この本は、そういう本だと私は思った。
それをどう捉えるかは、読む人次第だ。
正直に書きます。
私としては、「別に、あなた(佐藤氏)の事を読みたいわけではない」

純粋に米原万里を読みたいのであれば、今だっていくらでも手に入る。
ただ、大学の卒論などはなかなか読めないかもしれないが。

買ったまま、積ん読状態の米原作品が何冊かある。
まず、それらをきちんと読まなくては、と反省させられた。

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2016年07月26日

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