講談社作品一覧

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  • オリエント急行の旅 本田靖春全作品集
    -
    1975年5月~6月に、作家・生島治郎と著者が体験した「オリエント急行」によるイスタンブールからパリまでの旅の記録。ただし、著者が乗車したオリエント急行は、1982年から復活した豪華なものではなく、1977年に一度廃止される寸前のものですでに「出稼ぎ列車」となっていた。だが著者は、「楽しみは必ずしも快適さを意味しない」と分析しており、むしろ出会った難儀の数々こそが旅の収穫だったと断言。異色の旅行記 【解説:後藤正治】
  • サンパウロからアマゾンへ 本田靖春全作品集
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    1960年代末から始めた、ニューヨーク、トンガ、ヨーロッパと続いた、世界旅行の最後の地に著者が選んだのはブラジルだった。訪ね歩いたのは、アマゾンの奥地に暮らす人たちも含めた日本人移民一世たちである。彼らは「棄民」とまで呼ばれたが、現在、「血と涙と労苦と汗は、はっきりした形でむくわれつつある」という。そして「この国では、何かが大きくかわろうとしている」と記す。未来大国ブラジルの魅力が見えてくる一冊 【解説:後藤正治】
  • 「いまの世の中どうなってるの」〈社会時評集〉 本田靖春全作品集
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    『ダ・カーポ』に連載(1984年~)された時事評論集。そのテーマは新聞の報道姿勢から傑作恋愛映画まで幅広いが、スタンスのブレは感じられない。『週刊新潮』の記事「選挙民も知らなかった帰化『韓国人』の『代議士』当選」について、「新井(将敬)氏の政治家としての資格を、とどのつまり、その出自によって否定した。この種の独りよがりや傲慢さが、ジャーナリズムの名を借りてまかり通る日本は、世界の田舎である」と切る 【解説:後藤正治】
  • 誘拐 本田靖春全作品集
    5.0
    東京オリンピックを間近に控えた1963年、東京下町で起きた「吉展ちゃん誘拐事件」の真相に追るノンフィクション。犯人を取り逃がした警察の失態と捜査の混乱、悲惨な結末を、優れた取材力をもとに描き出すが、著者の視線は犯人・小原保に注がれる。東北の貧しい村の五男として生まれた男が、上京し時計屋で職を得ながら、なぜ誘拐・殺人犯となったのか。丹念な取材と分析によって犯人の不幸な半生と時代背景を明らかにしていく 【解説:後藤正治】
  • ニューヨークの日本人 本田靖春全作品集
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    著者がニューヨーク特派員を勤めた、読売新聞「最後の1年間」(1969年)にニューヨークで出会った人々をめぐるルポルタージュ。「高度経済成長の尖兵たちが夜ごと集まるバーでは嫋々たる演歌が流れ、ゴキブリのように日本人社会のおこぼれにあずかって放浪する若者たちは屈託なくアメリカン・ドリームを口にする」と断じるが、彼らは「私自身の投影でもあろう」とも書く。ニューヨークにいるからこそ見えてくる日本人の危うさ 【解説:後藤正治】
  • 疵 花形敬とその時代 本田靖春全作品集
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    戦後まもなく、闇市が残っていた時代、渋谷を舞台に大暴れしたインテリヤクザがいた。安藤組の花形敬は腕一本でのしあがっていった男だ。その背景にあるのは、何もなかったところから、急速に復興していくエネルギー溢れる日本。花形は組長代理にまで押し上げられるが、やがて政界・財界とも結びついた暴力団に追い込まれ、東京の街にはビルが立っていく。わずか33年で人生を終えた「男」を通して描かれる活力に満ちた「戦後」 【解説:後藤正治】
  • 体験的新聞紙学 本田靖春全作品集
    -
    16年間、読売新聞の記者をしてきた著者が、書いた新聞界の内情。政治家や役人、大企業に取り込まれる記者、派閥闘争に血道をあげる幹部、えげつない販売競争を繰り広げる新聞社・・。雑誌が「空前の売れ行き」のなか、新聞、記者の劣化が進んでいることを指摘する。その一方で、「新聞社が抱える内部矛盾を、だれよりも深刻に味わっているのは、他ならぬ彼らである」という視線も残す、OBだからこそ書ける新聞界・記者の苦悩 【解説:後藤正治】
  • ワールド・イズ・マイン 日本子・チャチャチャ
    -
    ≪日本を司る神姫≫。――それは、泣けば雨、怒れば雷、お気に入りは大流行――と、まさに日本そのものといっても過言ではない存在。ある日「新しい日本の神姫になりに来た」と現れたのは≪フランスを司る神姫≫のフランス子。その宣戦布告を受けて立つ気満々の日本子。お約束のように絶対的危機を迎える日本子。そんな奴が奇跡の勝利を獲得するべく、唯一の手段として手にしたのは――!?
  • 自己BEST
    完結
    3.0
    「わたしたちが一番気に入っている読みきりを選びました!」…「好きっていいなよ。」の葉月かなえ氏、「となりの怪物くん」ろびこ氏、「桃色へヴン!」の吉野マリ氏の人気3作家を筆頭に、栄羽弥氏、真崎総子氏、丘上あい氏、那波マオ氏、築島治氏の8名のデザート人気連載作家たちが、自ら選んだ珠玉のベスト読みきり集!
  • アニメ化企画進行中(仮)!?
    2.7
    俺、天崎陸登、通称リック。いくつもの異世界から勇者として召喚され、この聖剣で世界を救ってきた。今日も世界を救って学校に向かうと、屋上に謎の美少女が!? いくつかの誤解と勘違いで、彼女率いる「真生徒会」に入れられてしまった俺は、このアホな厨二病の集団に、どんどん巻き込まれていく。「我々をアニメにして、真生徒会への支持者を増やすのダ」――自称・勇者と厨二病少女たちのアホ日常全開物語、開幕!
  • まお×にん!1
    3.0
    魔界からの留学生を受け入れることになったモデル校に、魔界の姫・プラムルドがやってきた。クラスメイトは異様な殺気を放つ彼女に、いつ命を狙われるかと怯えて暮らす。だが本当は真の友達を欲して緊張しているのだった。それを知った光二は友達作りに協力しようとするのだが、彼女と対立する姫達も現れ、美女に囲まれ嬉しい半面、魔界の者達との恐怖の日々に! そんな中、プラムルドの部下達が人間に悪さをしていると聞く……。
  • 小夜音はあくまで小悪魔です!? 1
    3.2
    引きこもりにして最強自宅警備員の一崎嶽人の前に現れた悪魔、メフィストフェレス小夜音。彼女は歴史上の偉大な聖人レベルくらいの価値がある獄人の魂を売買するために地上にやってきた。……が。“今の”嶽人の魂の価格は、なんと13円。初仕事がこれでは有名悪魔の孫娘の名が廃ると、小夜音と嶽人は魂の価格上昇をめざし共同作戦を開始!! おかしな同居生活を始めたが!?
  • おジャ魔女どれみ16
    4.2
    春風どれみ、高校1年生! 今日は小学校の同窓会。はづきちゃんやあいちゃんたち、懐かしいクラスメイトみんなに会えるはず、なのにおんぷちゃんがいない……。どうしちゃったのかな? そして思い出の場所に行ってみると、そこにはなぜかMAHO堂が。これは一波乱ありそうな予感。もう一回魔女見習いになるの? なれるの? どうすりゃいいのさ~?!
  • スクール・デモクラシー!1
    3.3
    正真正銘のお嬢様・高天原奈々は、光友学園へと転校してきた。校則でがんじらめの学園生活をおくってきた奈々にとって、「学校内民主主義」を掲げる光友学園は自由の象徴に思えたからだ。希望を胸に登校する途中、車が溝にはまって動けなくなったところを、一人の筋骨隆々の男性に助けられる。お礼も言えずにいたが、彼はクラスメートだった! しかも彼は、「カオス・生徒会」なる謎の組織に所属しているようで――。
  • 魔法使いなら味噌を喰え!
    3.8
    「魔法」の存在が明らかになってから、約100年。人類は科学に匹敵する「力」として、魔法の研究にまい進した。しかし、魔法抑止物質「MISO」が発見されたことで、「魔法」は、特別なものではなくなり、ただの一技術として扱われることになった――。それはそれとして、魔法学校に通う高校生・八丁屋将太が朝、味噌汁を味わっているところに乱入してきたのは、魔法発祥の地・マジエールのお姫様で――。
  • 妖怪アパートの幽雅な人々 妖アパミニガイド
    4.2
    不思議な住人達が暮らす妖怪アパートを立体で作成した建物ガイドと、登場メンバーの知られざるエピソードの数々を紹介。●各キャラの裏設定・サイドストーリー●立体造形で妖怪アパートを再現●その後の夕士と長谷、千晶を描いたショートストーリー●香月日輪スペシャルインタビュー ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。
  • イクシオン サーガ 盗賊の傭兵団
    2.0
    盗賊のカザは旅の道中、ハイペリオンの英雄フォングの遺骸と遭遇する。遺された手紙によると、彼は傭兵部隊を指揮することになっていたらしい。カザは英雄フォングに間違えられ、ただの盗賊だと言うに言えず傭兵団長に祭り上げられてしまう。しかし傭兵団のメンバーはダメ少女3人組だった!? 退くに退けないカザは3人を連れ、連邦軍の支配するジャコウ城塞の攻略に向かう!
  • この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と!
    2.0
    勇気を出して告白し、豪快に砕け散った僕の前に突然現れたのは、パンツをはいていない金髪の美少女。彼女は「恐怖の大王」の魂を探している天使だと言う。けど、そんなことより早くパンツはいて! スカート、たくしあげないで!! そしてそんな僕たちを見下ろすもう一人の美少女。彼女はちゃんとはいている様子なので、ひと安心と思ったらおしりから生えているのは尻尾……え? キミは悪魔??
  • ドーン
    値引きあり
    4.0
    人類初の火星探査に成功し、一躍英雄(ヒーロー)となった宇宙飛行士・佐野明日人(さのあすと)。しかし、闇に葬られたはずの火星での“出来事”がアメリカ大統領選挙を揺るがすスキャンダルに。さまざまな矛盾をかかえて突き進む世界に「分人(デイヴイジユアル)」という概念を提唱し、人間の真の希望を問う感動長編。Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。(講談社文庫)
  • 雨乞い部っ!1
    3.0
    陽太は青春を謳歌するには彼女が必要だという不順な動機から、一目惚れした 梅山柚香先輩に惹かれて“雨乞い部”に入部することになった。雨乞いは重要な儀式であったが、今では立派なスポーツだ。部員不足の雲天橋高校では陽太もレギュラーとなり、強豪校が集う関東大会に参戦することに。「雨乞いが成功すれば先輩のシャツが透ける」ことだけを目論んでいた陽太が関東大会へ! 異色のスポコンラブコメディ!
  • デッドエンドラプソディ
    2.5
    カスカは通り魔に殺された…はずだったが、10年後、最強の魔術師になった妹のシオンによって蘇生された。6歳だったシオンはオマセな16歳。失った高校生活を妹と美しき男の娘と共に送るのだが、突如現れたエクソシスト修道女とゴーストバスター少女がカスカの存在を許さず、秩序を乱したシオンを殺そうとする。最強魔術師の妹の暴走は、どこまで行くのか!? 第1回講談社ラノベ文庫新人賞佳作受賞のオカルティックコメディ!
  • ぱらどっくすティー・パーティー 【復☆電書】
    5.0
    「復☆電書」企画にて、電子書籍で復刊! 夢と冒険いっぱいの、超能力学園ドラマ!! 後野まつりは、高校1年生。友人の新島栄は、かわいい子で、しかも超能力者だった。そこへ男まさりの美女、鷲橋蘭が転校してきた。学校の中で、超常現象が……。(講談社X文庫・1987年9月刊)
  • 《魔法使い》にお願い? 運命のタロット(1) 【復☆電書】
    4.2
    「復☆電書」企画にて、電子書籍で復刊! タロットの《魔法使い》に出会ったの――主人公・水元頼子は、タロットカ-ドの《魔法使い》に出会ってしまったために、他のタロットが起こす事件を解決したり戦ったりせねばならなくなってしまいます。「運命のタロット」シリーズ第1弾。第1回「復☆電書」読者リクエスト第1位作品。『《教皇》がiを説く 真・運命のタロット1』も同時配信。(講談社X文庫・1992年9月刊)
  • 笑う花魁 結わえ師・紋重郎始末記
    4.0
    菊花結び、鶴結び、宝珠結びに五行結び――。あらゆる“結び”から超人的捕縛術までを操る、漢部紋重郎(あやべもんじゅうろう)は、江戸の花街・吉原で仕事をする結師(ゆわえし)である。ある日、金持の座興で花魁を縛るという依頼を受けた紋重郎は、特注の組紐を手に場に臨む。意外な事の成りゆきと、あらゆるものを結び、解く、神業が連続する痛快書下ろし長編時代小説!   (講談社文庫)
  • 魔法少女地獄
    3.2
    三田村黒犬、15歳。私立不可視高等学校に通い始めたばかりの高校生。そんな僕の特徴は――なぜか「ワルモノ」に襲われて、そこを「魔法少女」に助けられる、というもの。僕は常々、なぜこのような目にあうのか、考え続けていた。そんなある日、僕は先輩――長南雨衣佳と出会う。先輩は魔女を名乗り、僕のその体質の秘密を教えてくれるらしい。その代償は、先輩の計画を手伝うこと。その名前は「魔法少女絶滅計画」――?
  • 魔法使い、でした。1
    3.7
    俺の名はバズ。どんなお尋ね者でも土下座して許しを請う一流の魔法使いだ。今日もクエストをなんなくこなし、浴びるように酒を飲んで寝てしまったところで、とんでもない事件が!!――ない。ない! ない!! 財布、お宝、それどころかすべてが奪われてしまった。そう、魔法使いとして一番大切な力の根源。『童貞』も! 俺の「大切なモノ」を奪った犯人(きっと美人)を求め、最強の魔法使いだった俺は、旅に出る!
  • 世界は密室でできている。
    3.9
    15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。地元の高校に進学し大学受験――そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。鮮烈!新青春エンタ!! (講談社文庫)
  • 日本子・チャチャチャ あいむジャパン
    1.0
    「そうです! 私が日本子です!!」眩しいほどの笑顔で自己紹介する和装美少女・日本子。実はこいつ≪日本を司る神姫≫。――こいつがひと声泣けば豪雨、苦しめば雷、外に出ればちやほやされまくりの超人気者、浮かれりゃ景気も良くなり桜も咲き乱れる――そんなバカな!? しかも、24時間つきっきりでこいつの面倒をみろと!? それが俺、草薙鎮雄の日本の命運を握るという最大にして最悪の仕事なのだった。
  • ちょこプリ!1.巨人になった日
    3.0
    「おまえはわらわの下僕なのじゃ!」蛍介の開いた本から飛び出したのは身長わずか20センチの自称美少女のお姫さま。小さいけれど乱暴なこのお姫さまに、蛍介は唇を奪われたばかりに主従契約を結ばれて、ドキドキハラハラの日常生活が始まった! お姫さまを取り返すべく襲いかかる様々な刺客! そして、蛍介は小人の国に殴り込みに? 愛があれば身長差なんて!? ちっちゃな姫が大活躍! 20センチの大冒険、開幕!!
  • 謎の彼女X 謎の小説版
    5.0
    僕には卜部美琴という「彼女」がいる。僕たちは誰にも言えない秘密があった。ある日、想い合っているカップルが持つと永遠に一緒にいられるという伝説のストラップの話を聞いた。そ、それはちょっとだけ欲しいかも!?やむなく卜部に内緒でアルバイトを始めることにしたのだが、そこへ卜部が現れて……!? 大ヒットコミック『謎の彼女X』が、描き下ろしイラスト満載で初のノベライズ!
  • 乙武レポート’03版
    4.0
    「ぜひ一緒に仕事をしたい」TVプロデューサーの一言から、新たな挑戦は始まった。反響を呼んだイジメ・不登校生徒との出会いと再会、スタッフとの絆が深まった京都やアメリカでのバリアフリー視察、荒天の沖縄で決行したスキューバでの海底遺跡取材……サブキャスターとして奮闘した感動の記録、増補版。
  • あなたが見えない…
    -
    わたし、高井慶子にカズトが「つきあってくれ」と声をかけてきたのは始業式の日。OKしておつきあいを始めて、まだ間もないんだけど、とっても気が合うんだ。ところが、私にそっくりの杉山さんって人が転校してきてから、カズトの様子が変なの。……どうやらカズトと杉山さんって、昔つきあってたみたい……。カズト、わたしを好きだって言ったのは、杉山さんに似てたから? 今はわたしのこと、どう思ってるの? ほんとうの気持ちを教えて!
  • ハートビート・スキャンダル
    3.0
    わたし、菜摘。名門女子高校の1年生です。実はわたしのカレ、藤井耀司っていうんですけど、なんと今をときめくスーパーアイドル・ヨージなんです。もちろんわたしは耀司のことを、アイドルとか関係なく好きになったんだし、耀司もわたしのことを「オマエの前では普通の十九歳の男でいたい」って言ってくれる。でもやっぱり、アイドルしてるヨージってカッコ良すぎて、時々すご~く遠いカンジがするのよね。あたしたち、これからどうなるんだろ……?
  • 彼をわたしにください
    -
    我が桜山高校バスケット部の2年生エース・三上センパイと、その彼女の白石奈保美先輩。ベスト・カップルとして、みんなに認められてる、お似合いのふたりなんだ。いいなぁ~。わたし、小野川鞠絵。バスケ部の1年生。実は、わたし、三上センパイのことが好きなんです。恋人がいるって、わかっているクセして、好きになっちゃったんです。こんな気持ち、誰にも言えない。だけど、どうしても、諦められなくて……。
  • もう一度あなたに帰りたい
    -
    わたし、北野みちる。都立高校の2年生。けな気に1年半も想い続けている人がいるの。もう、待っていても時間の無駄だから、思い切って告白しちゃった。そしたら、簡単にうまくいって、おつき合いすることになったんだ。だけど、たった1ケ月でわたしから終わりにしてしまった恋。結局、逃げたことになるんだけど、今でもまだ好きで胸がチクチクするの。こんな、複雑な乙女心、わかって……。
  • 夏だけの恋にしないで
    -
    わたし、典子。都内の女子校の2年生。「恋する乙女」のお年頃だというのに、右を見ても左を見ても女・女・女……。そこで、仲良し3人組で夏休みを利用して、「海の家」でバイトをすることになった。もちろん、下心あり。念願どおりカッコイイ男の子・ジュンと知り合って、おつき合いを始めたの。ところが、2学期が始まってからのジュンは、別人のように冷たいの。TELもない。ジュン、わたしたち、もしかして「ひと夏の恋」だったの?
  • あなたのいる夕暮れ
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    わたし、工藤彩子。高校2年生。野球部の三島由紀矢くんに、今は片思い。だけど、強敵ライバルが……。とんでもなく、ヤな女なんだけど、男子の前では、女の子らしくてお嬢様タイプのかわいい子。こんな子に三島くんを取られてたまるもんですか!
  • ひとの気も知らないで
    -
    わたし、上原香菜子。高校3年・受験生なんだけど、恋しちゃってます。その相手というのが、隣のクラスで、同じ予備校に通う、加藤太一くん。背は高く、顔もまぁまぁ、性格はヒョウキン、というモテるタイプの男の子。でも、お互い、もう気心知れちゃってて、しっかり「仲よし」の「お友だち」してるから、今さら素直に「好きです」なんて言えなくて……。ところが、親友のみどりも加藤くんを好きで、「協力して」なんて頼まれちゃってるの。いったい、どうしたらいいの、もう泣きたい気分!
  • ささやきを聴きとめて
    -
    わたし、佐藤鈴子……って自分の名前を言うのもやっとな、自分のこの内気すぎる性格、どうすれば直るんだろ? いつもいつも、たくさん言いたいことがあるのに、口に出そうとするとぜ~んぶ胸の中で消えてなくなっちゃうの。だけど新しいクラスで、すっごく素敵な友だちが出来たんだよ。礼子ちゃんや久美子ちゃんの勇気を少しずつもらって、わたし、新しい自分になれるかな。そして、いつか村上くんに、告白できるようになれるかな……。
  • バナナシェイクをふたりで
    -
    ねぇ、こういう経験って、ない? わたし、木下涼子。高校2年生。今、毎朝同じ通学電車で、顔を見かけるだけの人に、すっかり一目惚れしちゃってるの……。彼はたぶん、大学生。やわらかそうなサラサラの髪に、涼しげな顔立ち。まるでファッションショーのモデルさんみたいにス・テ・キ。見ているだけでドキドキしちゃう。だけど、どうやったら、あの彼「朝の君」にこの想いが届くんだろう? ねぇ、お願いだから、わたしのこの熱い視線に早く気づいて……。
  • なぜぼくはここにいるのか
    -
    「ぼくは死後の世界も来世も信じている」横尾忠則のこの想いは、インド旅行の体験でさらに深まった。そこには、人間と自然の理想的な交流があったのだ。以来、彼の作品世界は反文明的な方向へ変わっていった。仕事や家庭、旅や交友の場での感動や感慨を綴る。70年代前半の横尾忠則の全存在をたたみこんだエッセイ集。
  • わが坐禅修行記
    4.0
    全国各地の禅堂を訪ね歩き、自ら坐禅修行に就いて、自己を探る体験記。総持寺、永平寺、青苔寺などに参禅して、苦行のなかから自由・無・宇宙の真髄を把えなおす。すべての先入観を捨てて、即実践から新しい自己解放をなしとげようとした、貴重な記録がここにある。正直な参禅の告白に誰もが感動を覚える。
  • 山陽路殺人事件
    5.0
    京都の大学を卒業した友人たちと共に中川美帆は山陽路を旅する。旧交をあたためる旅のはずだったが、倉敷の第一夜で小笠原由紀が変死、一転仲間を疑うツアーになる。そして由紀の通夜に出るため京都に泊まったら、こんどは武村明が死ぬ。誰が、何のために殺人を? 青春の愛憎をサスペンス豊かに描く長編。
  • 火の国殺人事件
    5.0
    熊本、そして北海道。サラブレッドを愛して旅したカメラマンの兄が失踪した。行方を捜す妹は兄の恋人を名乗る謎の女の存在を知る。しかし手がかりを握るその女は京都・南禅寺の境内で死体となって発見された。髪にはすずらんの花がさされていた。隠された悲恋と連続殺人の謎。旅情あふれる本格ミステリー。
  • 平家伝説殺人ツアー
    5.0
    平家ゆかりの四国・徳島で惨劇は始まった。男女5人のグループ旅行で出掛けた祖谷渓で吊橋から転落して男が死んだのだ。橋のたもとで目撃された謎の美女。落人伝説の残る村で起こった殺人は平家の怨霊の仕業か。一緒に旅した同僚の犯行か。愛憎からみあう事件の真相とは? ミステリの醍醐味溢れる本格長篇。
  • 京都三船祭り殺人事件
    5.0
    京都嵐山で、色艶やかな平安絵巻を繰り広げる三船祭り。呼び物の扇流しで祭りが頂点を迎えたとき、大観衆の目の前で人気女優・野上麗子が毒殺された。メイク係の中村由紀子は大部屋女優・田中朱美に不信を抱くが、朱美もまた何者かに毒殺される。二転三転する容疑者。真犯人はいったい誰か!? 傑作長編推理。
  • 京都紫野殺人事件
    5.0
    池上鮎子の恋人で新聞記者の北条が、デートから京都へ戻る新幹線の車中で毒殺された。鮎子は警察の事情聴取をうけた際、北条には京都に婚約者がいたと知らされ、衝撃と疑念をおぼえる。謎を追いはじめた彼女の前に次々意外な事実が。そして北条が記者として追及していた巨大悪とは?
  • 愛の飛鳥路殺人事件
    5.0
    人気推理作家の大西秋彦が取材旅行中失踪、2週間後、惨殺死体で発見される。恋人の中山亜矢子は、自らの手で犯人をつきとめようと彼の取材先の京都、奈良、飛鳥へと向かうが、そこで彼女を待ちうけていたのは、恐るべき第2の殺人だった。春の大和路を舞台に、愛と犯意の交錯が感動的な旅情推理傑作長編。
  • 三十三間堂の矢殺人事件
    5.0
    京都三十三間堂の行事「通し矢」のさなか、若い女が矢で刺殺された。その際、彼女のアラーム時計が鳴っていたという。あらかじめ午後3時にセットされていたらしい。銀行員だった彼女の自室からは、驚くべき日記が発見された。愛する男のために横領しているとの……。古都と出色トリックで織りなす傑作集。
  • シンガポール蜜月旅行殺人事件
    3.0
    令嬢探偵キャサリンは恋人の浜口とシンガポールに行く。そのツアーは新婚や不倫のカップルでいっぱい。不吉な予感のなか、2日目に新婚の沖田しのぶが浜で溺死体に。彼女は莫大な遺産を相続した直後だった。犯罪の匂いをかぐキャサリンは調べ始める! シンガポール、バンコク、香港を舞台の華麗海外推理集。
  • シンデレラの殺人銘柄
    5.0
    恋人を京都駅に見送りに来ていて知り合ったOLふたり。麻子は結婚を切望してその資金作りに躍起。そしてまゆみは不倫の恋の相手と別れ話の最中にある。お互い順調に進まぬ恋に悩みながら株に走るが、やがて奇怪な殺人事件が相次ぎ、ふたりは疑惑の渦中に……。株ブームと推理を融合させた好長編。
  • 婆沙羅
    3.5
    鎌倉幕府打倒に失敗し、隠岐へ流される後醍醐天皇、お人よしで涙もろい足利尊氏、冷徹な合理主義者足利直義、好色悪逆に生きる高ノ師直、師泰兄弟……百獣横行の乱世を、綺羅をかざり、放埒狼藉をきわめ、したたかに、自在に生きぬいた、稀代の婆沙羅大名・佐々木道誉の生涯を描く、絢爛妖美の時代絵巻。
  • 自由が丘ダウンタウン物語
    3.0
    花の盛りの娘が二人、自由が丘で共同生活を始めた。互いの大切な夢のために励ましあう日々。他人には無関心、不干渉がルールの街で、二人はしかし、次々と事件に巻き込まれていく。柔剛絶妙のコンビが解いていく、哀しく恐ろしい多くの謎。娘たちの、愛を信じる心と夢の清らかさ。都会派ミステリー傑作集。
  • 子作り爆裂伝
    3.8
    不倫からはじまった恋ゆえに意地になって結婚。はじめは猿でも飼おうかと思っていたら、なんと男児を出産! 友達に産まれたてのわが子を「ホラー映画のぬいぐるみ」といわれても、育児に没頭する日々がつづく。女は出産するとどう変わるのか。産後のセックスは? 夫婦の絆は? 爆笑&感動のエッセイ。
  • Piss
    3.3
    あたしはボーイフレンドの伸ちゃんと一緒に小料理屋を持ちたい。もし夢が叶ったら嬉しい……そんな想いを胸に秘めて、見知らぬ男たちに性を売り、おしっこまで飲ませるみゆきの心が、次第に壊れていく――。リアルな表現で発表時に話題を呼んだ表題作など、狂気を孕んだ「愛」と「性」を描いた6つの作品集。
  • 説き語り「源氏物語」
    -
    1巻550円 (税込)
    源氏物語はラヴ・ストーリー。さまざまなタイプの女君が登場し、今も変わらぬ恋のかけ引きや、愛を奏でます……許されぬ恋、ひと夏のヴァカンスの恋……等々。源氏物語は色好みの世界を表に、実は女がつくられることの不幸を描いた、という著者が15人の女の生き様を、今を生きる女の心に通わせて語る、「村山源氏」。
  • 西鹿児島発「交換殺人」特急
    -
    寝台特急「はやぶさ」車内と横浜の山下埠頭で、同じ日に二つの変死体が発見。両事件の自・他殺、関連性の調査に管轄の違う二つの警察署が動き、私立探偵もまきこまれる――。列車と航空機の巧妙なダブル・トリック、関係者たちの人間性、そして以外極まる結末までみごとに活写する本格長編ミステリー。
  • 新潟発「あさひ」複層の殺意
    -
    上野へ向かう新潟発「あさひ」11号車のトイレで、若い女がナイフで刺殺された。死ぬ間際に、女が発した謎の言葉“ジョ”とは?そして2ヵ月後、同じ「あさひ」の車両で第二の悲劇が……。事件の背後には、複雑に絡んだ男と女の愛欲の炎が燃えていた。ニヒルな探偵・鏑木一行の推理が冴えるエロチック・サスペンス。
  • 殺人急行北の逆転240秒
    -
    札幌駅に着いた急行『まりも』の寝台車で美貌の人妻が殺された。登山ナイフが、正確に女の心臓を貫いていた。前日、釧路駅で黒いコートの男と一緒にいるところを見られている。7日後、今度は下りの『まりも』で、またも同じ手口の殺人が発生!事件の鍵は、二つの列車が交差(クロス)する240秒に隠されていた。
  • 殺人特急逆転の15分
    -
    寝台特急「さくら」で発見された変死者が遺した奇妙な文句の意味は? 政党代表者の息子の不祥事に端を発してさらに「さくら」車中で連続殺人が! なぜいつも「さくら」なのか? 死体消失のトリックは? 容疑者の鉄壁のアリバイはいかに作られたか? 錯綜する謎と戦慄の真相を鮮やかに描く傑作長編推理。
  • 光源氏殺人事件
    3.0
    藤谷建設の会長綾子は、夫の死後堅実に社業を担ってきた。先妻の子和正は畑違いの国文学者で、その年若い妻尚子は、一族の青年秋弘との罪の子を妊娠している。素知らぬ顔の和正は、秋弘に源氏物語に関するある調査を命じるが、驚くべき秘密が判明しかかって……。愛執の悲劇を、王朝物語に託す推理長編。
  • 北一輝論
    -
    二・二六事件に連って北一輝が刑死したのは昭和12年8月であった。以来、正体のつかめない「思想家」として様々な思想図式や議論にさらされてきた。ここに著者は、決定的ともいうべき、この人物についての論著を、周到な実証によって最も客観的な歴史論の立場から迫り達成した。
  • 潮風の町
    -
    永かった家業の豆腐屋をやめて、ひっそりした家籠りの生活のなかで綴った18の掌編。潮風ただよう中津の町に住まう一家の抒情が、しっとりと心に伝わる。あわせて行き交う人々や風景に、暖かい眼が気負いもてらいもなく注がれて、生きとし生けるものの鼓動が、誰の胸にも爽やかな響きを残してやまない。
  • 津軽海峡+-の交叉
    -
    青函連絡船の上りに犯人が乗り、同時刻に被害者は下りに乗って津軽海峡上ですれちがった。真相に迫った男たちが次々に殺され、事件は連続殺人に!おなじみ文芸編集者・笹谷美緒と恋人の数学者・黒江壮の名コンビが不可能犯罪の解明に乗り出す。壮が示した犯行の全容から全く意外な真犯人が浮かんだ!
  • 北津軽 逆アリバイの死角 「太宰治の旅」殺人事件
    -
    名コンビ笹谷美緒&黒江壮が寝台特急「あけぼの1号」で北津軽の「斜陽館」に着いたころ、前夜に上野を発った「北斗星5号」が男の刺殺死体を乗せて札幌に着いた! 奥羽本線と東北本線の2本のブルートレインを結ぶトリックの裏にさらに巧妙・緻密なトリックが隠されていた。美緒&壮ははたして見破れるか。
  • C.W.ニコルの旅行記
    -
    酷寒の北極、南洋の孤島、アフリカのジャングル、ヒマラヤの山々……地球を大股で歩くC.W.ニコルのすばらしい出合いの数々。将来いつの日か、人間が旅するのをやめることがあるとしたら、そのときこそ、私たちの種族の終焉の日になることであろう。旅が好き、人間が大好き! わが地球に――乾杯!
  • C.W.ニコルの野性記
    3.0
    若者たち、「野性の炎」は消えていないか。心のままに学び、冒険した野性児C.W.ニコルが、「生きるとは何か!」を、熱い思いを込めて問いかける。黒姫山麓に住み、日本はもちろん世界の自然を求めて、好んで荒野に遠征した中から生まれたエッセイ集。街で暮らす人々が「野性の心」を持ち続けるために。
  • C.W.ニコルの自然記
    -
    「森が危ない!」目に見える形ばかりでなく、ひたひたと私たちの周辺に迫る環境破壊の実態に警告を発しつつ、自然の中で自然とともに生きる喜びを書き綴ったエッセイ集。この広い世界に住む、多くの未知の「友人」たちに、自然を愛することのすばらしさと楽しさを伝える「森と山からのメッセージ」。
  • 無国籍者
    -
    公害の町にある鴨先密入国者収容所に大村福夫と名のる男が収容された。彼は記憶を失い、中国語で日本人だと主張するばかりで身元をさぐる手がかりは何もなかった。唯一の所持品は三つの「9」のついた石鹸だけだ。そこへ三人の面会者がやって来る。この正体不明の人物に石鹸の謎を絡ませたスパイ・ミステリの傑作。(「炎の中の鉛」を改題)
  • 創造の人生 井深 大
    5.0
    日本のエレクトロニクス産業を世界のトップの位置にまで発展させるきっかけをつくったソニー創設者の井深大。世界に先駆けてテープレコーダーやトランジスタ製品を身近なものにした井深の人間形成と事業展開の跡を追いながら、その独得の発想法と反骨精神にも似た経営理念がいかにして生まれたかを探る。
  • 湖畔の殺人
    -
    晩秋の河口湖畔、朝霧の中に艶めいた和服の女性の絞殺死体が発見された。下半身剥き出しのその凄惨な姿は行きずりの凶行を匂わせた。しかし狙いは意外なところにあった――。歪んだ欲望と金への妄執、社会のひずみが生み出す小悪漢たちの犯罪。本格推理の名手がミステリータッチで描く、傑作事件小説8編。
  • 瀬戸内を渡る死者
    -
    週刊誌の女性編集者北川真弓は、四国取材の途中、屋島で藤の花の下に倒れた若い女の他殺体を発見した。被害者は東京で夫とスナックを経営する人妻で離婚の寸前だったという。真弓は週刊誌の記事にするべく事件を追う。露わになった被害者の人生、そして意外な犯人とは? 旅情あふれる、アリバイ崩しの名編。
  • 妄想名探偵
    3.0
    酒場の客で、もと奇術師、もと商杜マン、もと数学教師、もと刑事、もと俳優、そしてもとポン引きでもあったと自称するこの探偵役は、アルジェの忠太郎、すなわちアル忠氏だ。飲んだくれの名探偵アル忠氏が、見かけによらぬ鋭い洞察力で怪事件、難事件を鮮やかに解決してゆく、奇想天外の連作ミステリー。
  • 十四歳のエンゲージ
    3.7
    たった一人のともだちだったルー。優しかったルーが妊娠して傷ついて死んだ。日の輝く晩、三角山の頂きに集うシュウや冴子さん、カツヤたちで静かに雪の中、ルーの埋葬が始まった。愛情に満ちあふれた家庭を捨てきれず、不良仲間にも入り切れない少女の14歳の心のふるえをみずみずしく描いた青春小説。
  • 私本・イソップ物語
    3.0
    奸智にたけながら結局不如意な狐、愚かで粗暴で純情な狼、立派すぎる正義漢の犬、甘くてかわいい娘兎、臆病な権力者の獅子、何でも商売の狸……動物好きの著者が生き生きと語る、抱腹絶倒の現代版イソップ話。動物たちのいじらしさが滲む姿を描いて、人間という生き物を深く考える、知恵と笑いの傑作小説集。
  • 無常ソング
    -
    母親の葬式で、和讃にギター伴奏をつける若者。その奔放さに中年男は苦々しい顔をする。「まあ、ええやないか」と分りがいいのは坊さん。その若者も最後にはご詠歌、つまり無常ソングを合唱しつつ涙を流し、中年男をホッとさせる。冠婚葬祭をテーマに、巧みなユーモアで人生の哀歓を盛り上げた、独得の小説世界。
  • 薩摩軍法
    5.0
    ひっそり暮らす田舎の老爺与茂作に、突然七十万石の太守島津家久から呼び出し命令がきた。「きっとあのことじゃ」と胸に覚えのある与茂作は腰をぬかしそうになる。40年も前の戦場で起きたあの出来事こそ、薩摩武士の酷薄な掟ゆえ秘匿された与茂作の秘密であった。士道の表裏を鮮烈に描く俊英の代表作品集。
  • 拝領妻始末
    -
    会津藩主松平正容の愛妾お市の方は男子を生んだが、藩主の気まぐれから家臣笹原与五郎の妻として生きる。夫や舅にいたわられる幸せな一時の後、突如再び藩に戻された。彼女の生んだ子がお世継ぎとなったのだ。藩命に屈すべきかどうか。与五郎は父と共に決心をした……。武家社会の非合理を峻烈に描く名作短編集。映画『切腹』の原作「異聞浪人記」を含む8編。
  • 猿ケ辻風聞
    -
    動乱の幕末、尊攘派の公卿姉小路公知は、京都猿ケ辻で刺客に襲われ、非業の死をとげた。刺客の持っていた刀が薩摩の田中新兵衛の差料だったことから彼が容疑をかけられるが、刀は盗まれたものと主張して自決する。複雑な政治状況のもとでの暗殺事件はついに謎のままか? この事件の謎や風聞を巧みにからめた表題作など、歴史秀作10編収録。
  • 秘伝
    4.0
    巨魚に挑む男たちを描いた直木賞受賞の大ロマン。長崎県西彼杵半島の西海岸を舞台に、二人の釣り名人と怪魚イシナギの死闘劇の幕は切って落とされた。まるで潜水艦のような黒い影が潜む海中に、特殊な工夫を施した必殺の仕掛けが送り込まれていった……。他に中編「赤い海」を収録。
  • コテン氏の音楽帖
    -
    どこから読んでもクラシックが面白くなる本です。肩ヒジはらずに気楽にページをあけてください。クラシックは娯楽音楽なのです。昔の貴族が自分たちの楽団をつくり、ハイドンやモーツァルトに命じて演奏させたのです。愉快なイラストとアマチュアらしい古典音楽の楽しみ方が、ここにはいっぱいあります。
  • 胸に棲む鬼
    4.0
    志賀島の竜女に恋着された、凜々しい若者の悲劇、奴隷の牧畜を考える冷酷な美女の本性、防人の留守家族に起った戦慄の事件、女奴隷と恋に落ちた高僧の宿業、女の奸計に引っかかり、生霊をとりちがえてしまった傀儡師の嘆き等、奈良、平安朝の下層民の、命のしたたかな強さとあっけない死を語る、傑作短編集。
  • 花はくれない 小説 佐藤紅緑
    3.0
    佐藤紅緑――俳人・劇作家・小説家・児童文学者。「ああ玉杯に花うけて」(少年倶楽部連載)などの大衆的な少年少女小説を執筆し、短篇童話中心だった日本の児童文学に長篇小説の礎石をすえる――ひたむきな激情に生きた、明治の男、紅緑の波瀾の青春からその死までを娘の眼から赤裸々に描く感動の長篇。
  • 古酒新酒
    4.0
    酒こそ人類最高の叡智、最高のよろこび。醗酵・醸造学の世界的権威が23編の文章にその蘊蓄をかたむけて、酒の文化と歴史を説き、世界の酒・日本の酒を論じ、酒にまつわる人と詩を語る。酒への深い愛情と豊かな学殖が行間に芳醇な香気を醸し、読むものを銘酒の快い酔い心地へといざなう、楽しくも味わい深い一書。
  • ある華族の昭和史 上流社会の明暗を見た女の記録
    4.5
    加賀百万石の大名の家柄を継ぐ、侯爵前田家の長女に生まれ、幼時を陸軍武官の父とロンドンで過ごす。四歳で帰国、女子学習院に入り、やがて思春期。恋愛と婚約、戦時下の父の死へと波乱の歳月は続く。明治以来の日本の皇室や旧華族など真の上流社会の人びとの興味ある内側を鮮かに綴る、女の愛の半生記。
  • 中国笑話集
    -
    昼間、子供を隣家へ追いやっての房事。ところが、子供がすぐに帰ってきたのであわてて叱ると……。健康で、エロティックで、辛辣で、小気味よく、痛快。豊かな歴史に育まれたさまざまの笑いと知恵が、色とりどりに渦巻く。「笑林」等の原典から訳出され、笑いの醍醐味を満喫させる600編のコント集。
  • 中国妖姫伝
    -
    中国の歴史を華麗に彩った美姫たち。驪姫(晋)、無残な末路を呼ぶ妖しい情炎。夏姫(陳)、吸精導気の房術が保つ永遠の美貌。朱太后(秦)、邪婬と陰謀に生きた始皇帝の母。呂太后(漢)、殺戮に明けくれた血塗りの女権。甄フク(漢)、権力抗争の陰に咲いた一途な女心。則天武后(唐)、恐怖政治と巨陽に徹した妖帝。楊貴妃(唐)、玄宗皇帝をまどわせた凝脂の肌。
  • 明智光秀
    -
    本能寺の変! それは戦国時代においても、ひときわ異常な大事件であった。古来、この叛逆事件の謎は、種々取り沙汰されてきた。では謎を解くカギは――それは光秀その人の真の姿を浮き彫りにすることだ。著者は広範な史料を探り、卓抜な洞察力をフル回転してこの謎にチャレンジし、ついに解明に成功した。
  • 戦国史疑
    -
    歴史は時によって、その視野に意外な死角をもたらす。この視野狭窄は、動乱の時代であればあるほど、多様な疑惑や謎の深淵を残すことになる。戦国時代! その一見確からしき史実の裏に何が隠されているか。不明のまま置きざりにされた戦国史の闇に、著者は鋭い光を当てる。
  • 斎藤道三
    -
    蝮と言われ、梟雄と呼ばれる戦国の怪物斎藤道三。彼はまさしく国を盗った。一介の素牢人が油売りから身を立てて、ついには美濃一国の主に成り上がったのだ。その智謀と武略、非情ともいえる自在な権謀術数は、さすがの戦国時代においても群を抜いていたといえよう。この一代の傑物の生涯を克明に描く好著。
  • ちょっとそこまで
    3.0
    路地を一人歩いていると、いつか来たことがあるような気がしてくる。何にもドラマがおこらない旅だけど、その瞬間、「行く旅」は「帰る旅」にかわってしまうのだ。鄙びた温泉、すがれた港町、下町はつかれた都市生活者をいやしてくれる隠れ里。だから今日も、既視感―デジャ・ヴュ―をさがして感傷小旅行―センチンタル・ジャーニー―に出かけたくなる!
  • 岳史よ、生命あるかぎり
    -
    息子へ。これは声を失った父からキミへ歯をくいしばって書いたメッセージだ。ガンとどう対決し、生きたか――激動の昭和を奔放無頼、仕事一筋に走り抜けた一ジャーナリストの凄絶な舌ガンとの闘いの記録である。生死の際にもなお旺盛な好奇心と冷静な目、強靭な精神で自分を生きる姿は熱く哀しく胸を打つ。
  • 那覇心中
    -
    不動産業者の倉地は、沖縄・那覇で出会った青年山口を東京にさそい、就職の世話をする。山口の那覇での荒れた生活が気になったのだ。しかし半年後、山口は心中した。しかも相手は七十の老女! 倉地にあてた長文の遺書は、青年のおどろくべき生活を赤裸々に告白していた……。単行本未収録作や放送劇を含む、鬼才の心中小説集。
  • わが鎮魂歌
    -
    新聞社の入社試験で肺に空洞を発見され不採用となった俊吉は、失望の日々を酒や女に費やす。新聞記者から作家へというのが、彼の人生設計図だった。そんな折、光明となったのが恋人の決断だった。二人は手を取り合い、広島から上京する。だが東京での生活はなお辛酸をなめ……。屈指の流行作家だった著者が、青春をふり返り綴った自伝的長編。
  • 江戸城大奥列伝
    -
    春日の局――徳川三代将軍家光の乳人となり、家光の将軍継嗣に尽力し、「表」の老中に匹敵するほどの権勢を持つようになった、江戸城「大奥」の取締役。ついでお万の方、矢島の局、桂昌院、右衛門佐の局、お伝の方、左京の方、絵島等々、江戸の時代を背後から彩る大奥婦女を活き活きと描く海音寺史伝。
  • 転勤族の妻たち
    -
    “夫・父”不在の家庭で、いまなにが起きているか。転勤後にしのびよる妻の不安、子供の非行や老親の面倒などなど、自分自身の苦い体験を織りまぜながら、企業戦士の妻たちが抱える苦悩をていねいに掬いあげる。会社とは何か、家庭とは何か、転勤がもたらす深刻な実態を、鋭く問う注目のルポルタージュ!
  • 女が会社へ行きたくない朝
    -
    希望に燃えて会社勤めをはじめたものの、思わぬ職場の人間関係の複雑さに、ひとり悩んだ経験はありませんか。女性ゆえに受ける無神経な叱責や同性間のライバル意識にどう対応するか。休暇のとり方、オフィス・ラブへの心がまえ、結婚か退職かなど職場のトラブル克服法と生き生き働く知恵が満載のOL読本。
  • ねこの恋
    -
    婚外の恋によってわたしが得た充実感は、夫との暮らしの穏やかなやさしさに匹敵する重さをもって、今もわたしの中に生きている。――NHK連続テレビ小説『ふたりっ子』で向田邦子賞と橋田賞をダブル受賞した脚本家の心に留まった数々のセリフ。言葉を紡ぎ出すプロフェッショナルの軽妙&奥深いエッセイ。夫君のイラストを添えて、電子文庫版新装発表。
  • この愛なくば
    -
    彼は、なかば恐れていた「結婚」を口にした――こんな躰の私に、君の手となり足となりたいと。病床にあって一人の男性に出会い別れる日まで、生への怖れと執着、愛することの喜びや戸惑い、哀しみを綴った青春の記録。ひたむきで強靱、誠実な心に溢れ、生命、愛、家族とはを問いかける。「この生命ある限り」続編。
  • 協奏曲
    -
    かつての恋人で、今は外交官夫人になっている女性を忘れられず、再会を期してフランスへ渡る中年作家。また、海外取材という名目で、この中年独身作家のあとを追う、天衣無縫に生きる若い女性アナウンサー。二つの世代の恋愛とその心理的葛藤を、同時並列の映画的手法で描く傑作長編。

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