検索結果

  • 秘密の花園
    3.7
    日本小説の祖・曲亭馬琴、「八犬伝」を生んだ劇的人生! 200年の時を超え、作家の本分に迫る傑作長編!! 大名の家臣の家に生まれるも何一つままならず、彷徨い続けた青年時代。放浪の末、当代一の戯作者・山東京伝の門をたたき、蔦屋重三郎の店に奉公して戯作の道に踏み出す。葛飾北斎らとの交誼を経て、馬琴はやがて江戸随一の戯作者となりおおせるのだが…… 妻は不安定、愛する息子は柔弱、『南総里見八犬伝』に着手するも板元とはトラブル続き。それでも馬琴は、武家である滝沢家再興の夢を捨てず、締切に追われながら家計簿をつけ、息子とともに庭の花園で草花を丹精する。 狷介で知られた馬琴の素顔、けなげな哀歓が鮮やかに蘇る。苦難の末、大戯作者が辿り着いた花園とは?
  • 氷葬
    3.0
    夫の知己を名のる男に凌辱され、ついには激情にかられて男を殺してしまった下級藩士の妻・芙佐。死体を沈めた沼は一面氷におおわれたが、芙佐の悪夢はまだはじまったばかりだった……。時代の大きなうねりに呑みこまれたひとりの女性が、自らにめざめ、力強く闘う姿を緊迫した筆致と息をのむ展開で描いた長編小説。解説・東直子。
  • 白光
    4.1
    日本初のイコン画家・山下りん その情熱と波瀾の生涯! 明治13年にロシアに留学しイコンを学ぶ。一途さゆえ周囲と衝突し芸術と信仰のはざまでもがきながら生きた女性を描く感動長編。 「絵師になりたき一念どうにも抑え難く」茨城県笠間を飛び出した15歳の山下りん。東京で工部美術学校に入学を果たし、西洋画の道を究めようと決意する。ロシヤ正教の宣教師ニコライに導かれ、明治13年、聖像画制作を学ぶため帝政ロシヤに渡るのだが――情熱に従って生きた日本初のイコン画家を描く圧巻長編。解説・酒井順子 ※この電子書籍は2021年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 風雲 戦国アンソロジー
    4.0
    命懸けの、夢。 黒田官兵衛、前田利家、松永久秀…… 野望うずまく乱世を豪華布陣が描く、傑作小説集! 矢野隆「一時の主」 関ヶ原の戦いを前に、天才軍師・黒田官兵衛が息子に命じたのは―― 木下昌輝「又左の首取り」 傾奇者の前田”又左衛門”利家は、戦の作法などお構いなしで―― 天野純希「悪童たちの海」 大内義隆の重臣の子・冷泉新五郎は、かつて明を目指して船に乗り―― 武川佑「鈴籾の子ら」 上杉景勝に謀反を起こした新発田重家の胸には、亡き兄の言葉が―― 澤田瞳子「蠅」 豊臣秀吉に新大仏建造を命じられた木食応其は、高僧らしくなく―― 今村翔吾「生滅の流儀」 織田信長の大軍に包囲された松永久秀は、信貴山城で死を覚悟し―― ※本書は単行本『戦国の教科書』収録の短編小説を再録したアンソロジーです
  • 不疑 葉室麟短編傑作選
    4.0
    中国の漢の時代、長安の知事と警察長官を兼ねる「京兆尹」という役職があった。謀反を未然に防いだ功によって抜擢された「不疑」は、厳格でありつつも慈悲を忘れず、辣腕と名高い。ある日、天子にしか許されない黄色の隊列を率いた謎の男が宮廷を訪れた。男が反乱によって殺されたはずの皇太子を名乗ったことで、宮廷は混乱の渦に巻き込まれる。書籍化初の中編「不疑」をはじめ、葉室麟が遺した渾身の作品、全6編を収録。
  • 福袋
    4.1
    今、いちばん勢いのある時代小説作家・朝井まかてが、こよなく愛する江戸の町を舞台に、歌舞伎役者や職人、商売人など様々な生業の人々の姿を、中身の詰まった8編の人情話に仕立てた傑作短編集。 1編目の「ぞっこん」では、「筆」が語り手になる。看板書きだったあるじと「筆」との出会いや情の深まりを、緩急をつけた落語調の文体で読ませる。2編目の「千両役者」は、ぱっとしない歌舞伎役者に千載一遇のチャンスが巡ってくる。もう後がない役者の焦りと、破滅と背中合わせの功名心が生々しく伝わる。3編目の「晴れ湯」は、湯屋(銭湯)を営む家に生まれた少女が主人公。客の戯作者や長屋のおかみさんたちのふるまい、子どもなりの家業への意気込み、江戸で恐れられた火事……。少女は大小のドラマに遭遇しながら、道楽者の父と働きづめの母という夫婦を、一つの男女の形として受け入れていく。続いて、自分のやりたいことを見つけた古着屋の少女が巻き込まれた揉め事に、愉快なオチを付けた4編目「莫連あやめ」。離縁された大喰らいの姉と、彼女を馬鹿にしながら利用する弟の、それぞれの顛末を活写した5編目「福袋」。さらに、女絵師が描いた枕絵が、昔の恋を照らす6編目「暮れ花火」。堅物の家主が、神田祭のお祭掛になってしまった7編目「後の祭」。その日暮らしの遊び人、卯吉と寅次の二人が助けた男からお礼にもらった品で商売を始める8編目「ひってん」。と、まさに福袋のように、何が入っているかわからないワクワク感とお得感。直木賞作家・朝井まかて初の短編集にして、第11回舟橋聖一文学賞を受賞した傑作!
  • ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録
    3.3
    京都鷹ヶ峰にある幕府直轄の薬草園で働く元岡真葛(まくず)。ある日、紅葉を楽しんでいると侍同士の諍いが耳に入ってきた。「黙らっしゃいッ!」――なんと弁舌を振るっていたのは武士ではなく、その妻女。あげく夫を置いて一人で去ってしまった。真葛は、御典医を務める義兄の匡(ただす)とともに、残された夫から話を聞くことに……。女薬師・真葛が、豊富な薬草の知識で、人のしがらみを解きほぐす。
  • 冬姫
    3.9
    織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な〈女いくさ〉を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
  • べっぴん あくじゃれ瓢六捕物帖
    3.0
    絶世の色男が活躍するシリーズ第3弾! 娑婆に戻った瓢六の今度の相手は、妖艶な女盗賊。 いくつもの事件に関わりながら、正体を見せない女の真の目的は? 衝撃のラスト! 売れっ子芸者のお袖との仲も円満、親友に恋の指南もするとびきりの色男・瓢六。智恵と愛嬌を買われ駆り出されたある事件の聞き込みで、致命的なミスを犯してしまう。 自分には何かが欠けている――お袖とも離れ、重い心を抱えた瓢六は、事件の陰にいる謎の美女を追い詰められるのか。 人気シリーズ新展開!
  • 蓬莱橋にて
    -
    「なあ、後生や。後生やさかい、うちの亭主(ひと)返しとくなはれ」坂本龍馬の妻・お龍の怨嗟に、刺客・今井信郎の妻は困惑した…(表題作)。東海道の宿場を往き交う儚い想い。すれ違う男と女の心…。運命のほころびに翻弄される人々の哀切を描く時代小説集!

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  • 星と龍
    3.5
    悪党と呼ばれる一族に生まれた楠木正成の信条は正義。近隣の諸将を討伐した正成は後醍醐天皇の信頼を得ていくが、自ら理想とする世の中と現実との隔たりに困惑し……。著者最後となった未完の長編小説。安部龍太郎氏による、詳細な解説を収録。
  • 蛍の行方―お鳥見女房―(新潮文庫)
    4.2
    密命を帯び、お鳥見役の主が消息を絶って一年余り。留守を預かる女房珠世に心休まる日はない。身近かに暮らす子供らの人知れぬ悩みを知って心くだき、その成長を見守り、隠居となった父の寂寥を慰め、組屋敷に転がり込んだ男女と幼子らの行く末を案じる……。人生の哀歓を江戸郊外の四季の移ろいとともに描く連作短編。珠世の情愛と機転に、心がじんわり熱くなる――お鳥見一家の清爽人情話、シリーズ第二弾。
  • 墨龍賦
    3.8
    建仁寺の「雲龍図」を描いたことで知られる海北友松(かいほう・ゆうしょう)は遅咲きの絵師だが、山水図屏風、竹林七賢図、花卉図屏風、寒山拾得・三酸図屏風など、すばらしい作品を遺している。しかしそこに至る道は、決して平坦ではなかった。近江の浅井家に仕えていた実家・海北家が滅亡。武士に戻りたくとも戻れず、葛藤を抱きつつ絵師の道を選び取った友松は、明智光秀の片腕・斎藤利三と出会い、友情を育んでいく。その利三が仕える光秀が信長に叛旗を翻す。本能寺の変――。しかしその天下は長く続かなかった。利三の運命は……。武人の魂を捨てきれなかった友松は、そのとき何を考え、どんな行動をしたのか。苦悩の末、晩年にその才能を花開かせ、安土・桃山時代の巨匠・狩野永徳と並び称されるまでになった男の生涯を描く傑作歴史小説。著者・葉室麟が、デビュー前から書きたかった人物を、円熟の筆で描き上げている。解説は、作家の澤田瞳子氏。
  • 墨龍賦
    3.9
    デビュー前から、海北友松という男を書きたかった――葉室麟。遅咲きの著者による50作目の記念すべき小説は、武人の魂を持ち続けた絵師を描く本作『墨龍賦』。武士の家に生まれながらも寺に入れられ、絵師になった友松だが、若き明智光秀の側近・斎藤内蔵助利三と出会い、友情を育んでいく。そんな折、近江浅井家が織田信長に滅ぼされ、浅井家家臣の海北家も滅亡する。そして本能寺の変――。友松は、海北家再興を願いつつ、命を落とした友・内蔵助のために何ができるか、思い悩む。迷いながらも自分が生きる道を模索し続け、晩年に答えを見出し、建仁寺の「雲龍図」をはじめ、次々と名作を生み出していった海北友松。狩野永徳、長谷川等伯に続き、桃山時代最後の巨匠となった男の起伏に富んだ人生を描く歴史長編。4月11日から京都国立博物館で友松の大回顧展が開かれることで早くも話題だが、本能寺の変の舞台裏についても、著者自身の推理が端々に光っており、絵師の目から見た戦国絵巻としても愉しめる。

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  • ボタニカ
    3.6
    ただひたすら植物を愛し、その採集と研究、分類に無我夢中。 莫大な借金、学界との軋轢も、なんのその。 すべては「なんとかなるろう! 」 ――日本植物学の父、牧野富太郎。愛すべき天才の情熱と波乱の生涯! 「おまんの、まことの名ぁを知りたい」 明治初期の土佐・佐川の山中に、草花に話しかける少年がいた。名は牧野富太郎。 小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭した富太郎は、「日本人の手で、日本の植物相(フロラ)を明らかにする」ことを志し、上京。 東京大学理学部植物学教室に出入りを許されて、新種の発見、研究雑誌の刊行など目覚ましい成果を上げるも、突如として大学を出入り禁止に。 私財を惜しみなく注ぎ込んで研究を継続するが、気がつけば莫大な借金に身動きが取れなくなっていた……。 貧苦にめげず、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた稀代の植物学者を描く、感動の長編小説。
  • 麻阿と豪
    -
    加賀百万石の礎を築いた戦国大名・前田利家。その娘ゆえに、波瀾の人生を歩むことになった麻阿と豪――。姉の麻阿は、柴田勝家の猶子に嫁ぐため、北ノ庄城にいたのだが、豊臣秀吉に攻められ、命からがら城を抜け出す。そんな麻阿に待っていたのは、前田家のため、秀吉の妻になるという運命だった。一方、妹の豪は、秀吉の養女になり、目の中に入れても痛くないほど可愛がられ、秀吉子飼いの大名・宇喜多秀家に嫁ぐ。幸せな日々を送っていたが、その人生は関ケ原の合戦で西軍が負けたのを機に暗転する。時代に翻弄されつつも、実家である前田家のため、子供たちのために助け合い、生き延びていった姉妹を描くと同時に、姫たちの目から戦国乱世を活写した傑作歴史長編。
  • 麻阿と豪
    4.0
    1巻1,799円 (税込)
    時は戦国。加賀一帯を支配する大名・前田利家の娘であったが故に、波瀾の人生を歩むことになった麻阿と豪――。麻阿は、柴田勝家の猶子に嫁ぐため、北ノ庄城にいたのだが、豊臣秀吉に攻められ、城から命からがら逃げ出す。そんな麻阿に待っていたのは、前田家のため、秀吉の妻になるという運命だった。一方、妹の豪は、秀吉の養女として蝶よ花よと育てられた後、秀吉子飼いの大名・宇喜多秀家に嫁ぐ。絵に描いたような幸せな人生を送っていたのだが、関ヶ原の合戦を機に運命が暗転する。姉妹は、時に反目しながらも、助け合い、前田家生き残りのため、子供たちのため、様々な苦難を乗り越えていく。時代に翻弄されつつも、生き延びていった姫たちの目から乱世を描いた傑作歴史長編。ベテラン作家が紡ぎ出す、姫ふたりのバディ小説。
  • 末世炎上
    3.8
    豊かな髪を持つ美貌の娘、髪奈女。記憶を失った髪奈女を拾い上げた、うだつの上がらぬ役人、橘音近。名門に生まれながら、無為に遊び暮らす在原風見。付け火に怯え、末法思想の蔓延る平安京で、大掛かりな政治的陰謀に巻き込まれるなか、三人は、ぎこちなくも、自らの生きる道を選び出す。傑作時代青春小説!
  • 円かなる大地
    値引きあり
    4.0
    恨むな。憎むな。あらゆる声へ耳を傾けよ。そして――とこしえの和をなせ。 時は戦国、北の大地。謎多きアイヌの壮年・シラウキが人喰いクマの襲撃から助けた少女はなんと、蠣崎氏当主の娘・稲姫だった。礼として居城に招かれるが、それが思わぬ和人とアイヌの戦の引き金を引いてしまう。 稲は己の無知が招いた惨状を目の当たりにして、和睦には自ら打って出ることを決意する。 一方シラウキも稲姫の姿に心打たれ、少年期の惨劇の清算を和睦へと託すのであった。無頼の女傑、女真族、恐山の怪僧……二人は心強い協力者とともに和睦の中人となりうる出羽国・安東氏のもとへ向かう。 果たして二人は、「とこしえの和」を実現することができるのか。 いま最も注目を集めるヒストリーテラーが贈る、乾坤一擲の本格歴史エンターテイメント。
  • 狸穴あいあい坂
    3.3
    結寿(ゆず)は、十七の娘盛り。元火盗改の祖父と麻布狸穴で暮らしている。新春、ムジナを探す八丁堀同心・妻木と出会う。精悍だがどこか飄然とした佇まいに、ほのかな恋心を抱く結寿。だが、火盗改方と同心は、手柄を競い合う仇敵関係だ。その頃、夜道で金品を奪う“ムジナ”が出没し……。二人は、祖父に内緒で、狸穴界隈で起こる不思議な事件の謎を解いていく。恋と捕り物の行方を温かな人情のなかに描く連作時代小説。
  • 嫁ぐ日 狸穴あいあい坂
    3.3
    元火盗改方与力の祖父と麻布狸穴町で暮らす結寿が、八丁堀同心の妻木道三郎とともに、界隈で巻き起こる事件の謎を解き明かす大人気シリーズ。妻木への初恋を胸の奥にしまい、御先手組の小山田家へ嫁いだ結寿。やがて夫の万之助と心を通わせあい、娘の香苗が誕生。ところが、予期せぬ出来事が婚家を襲う。辛い別れを経て狸穴町へ帰った結寿。懐かしい人々との穏やかな毎日が始まるかと思いきや、かつてのように、妻木とともに様々な事件の解決に走り出すことに。押し込み騒動、花魁殺し、子攫い……。罪に苦しむ人々の心を解きほぐすうちに、結寿自身の心にも変化の時が訪れて――。
  • 実さえ花さえ
    4.0
    デビュー作にしてこのハイクオリティ! 今や歴史・時代小説の大家となった朝井まかての初めての小説は、著者がこよなく愛する「江戸の園芸」をモチーフに、今も変わらぬ「人の世の情」を鮮やかに描き出す。 第3回小説現代長編新人賞奨励賞受賞作。
  • 満つる月の如し 仏師・定朝
    4.0
    藤原氏一族が権勢を誇る平安時代。内供奉(ないぐぶ)に任じられた僧侶隆範(りゅうはん)は、才気溢れた年若き仏師定朝(じょうちょう)の修繕した仏に深く感動し、その後見人となる。道長をはじめとする貴族のみならず、一般庶民も定朝の仏像を心の拠り所としていた。しかし、定朝は煩悶していた。貧困、疫病に苦しむ人々の前で、己の作った仏像にどんな意味があるのか、と。やがて二人は権謀術数の渦中に飲み込まれ……。(第32回新田次郎文学賞受賞作)
  • 紫匂う
    4.1
    心極流の達人ながら、凡庸な勤めに留まる蔵太。二人の子供とともに穏やかに暮らす、その妻・澪。すれちがいの暮らしを送る澪の前に、一度だけ契りをかわした男・笙平があらわれる。側用人にまで出世したかつての想い人との再会に、澪の心は揺れる。今、ここで、心のままに生きられたなら――。直木賞作家が描く、人妻の恋。日本人の心が紡ぐ、美しく、哀しき恋。全国17紙に掲載された大人気連載!
  • めおと
    3.5
    小藩の江戸留守居役・倉田家に、一人の女が姿を現した。夫・勇之助の、腹違いの妹だと聞かされた幸江は戸惑いながらも迎え入れるが、どこか様子がおかしい。兄妹の間に何か秘密があるのではないか? 女の正体は…。疑惑にさいなまれる若妻を描く「江戸褄の女」をはじめ、「猫」、「佃心中」、「駆け落ち」、「虹」、「眩惑」など、夫婦や男と女のそれぞれの“かたち”を綴る珠玉の全6篇。人気作家の原点を示す、オリジナル傑作時代小説集。
  • 森家の討ち入り
    4.0
    赤穂四十七士――その中に、津山森家に縁が深いものたちがいた。神崎与五郎、横川勘平、茅野和助。彼らはそれぞれの理由から、赤穂藩主・浅野長矩に仕え、刃傷事件からの吉良邸討ち入り、そして最後は帰らぬ人となった。忠義のために生きた彼らと、そこには彼らを支える、「女」たちの戦いもあった。それぞれの忠義のために、己の生き様を貫いた男と女の姿が、そこにはあった――。新たな忠臣蔵の傑作が、ついに登場。『与五郎の妻』ゆいは5年前まで江戸詰めの夫と目黒の下屋敷で暮らしていた。ところが騒乱のせいで津山森家が改易、夫とは離縁を余儀なくされる。一度は実家へ戻ったゆいだったが、再び嫁ぎ、今は江戸作事奉行の妻となっていた。前の夫―神崎与五郎の消息は分からぬまま、日々淡々と過ごしていた。そんなゆいのもとに、謎の人物から、森家の家紋が入った扇が届けられた。一体誰が、何のために。そして前の夫は――。『和助の恋』国家老の密命を帯びた茅野和助は先代の死去に伴い、津山森家の家督を継ぐことになった式部衆利のもとへ急いでいた。その道中、何ものかに襲われる。そこに通りがかった、赤穂浅野家の陣屋に住まう郡奉行・吉田忠左衛門一行により助けられる。そこで和助は手厚い看護を、伊登から受ける。『里和と勘平』里和は津山森家存亡の危機を阻止するため、御犬小屋に忍び込んだ。そこで出会ったのは、かつて思い合っていた横川勘平、その人だった。遂げられれなかった思いが再燃する二人。だが、今は立場があまりにも違う二人がとった道は――。他2編収録。
  • 約束
    4.3
    平成の高校生が明治に転生! 驚きの未発表小説、文庫で登場 現代っ子4人の意識が、維新直後を生きる青年らの身体に入り込んだ! 西郷、大久保ら偉人達の側で、生きた歴史の授業が始まる。
  • 藪医 ふらここ堂
    3.8
    江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、ついたあだ名が「藪のふらここ堂」だ。ところがこの先生、見えないところで凄腕を発揮するらしい。三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子たち、ふらここ堂の面々の日常と騒動を描く!
  • 山桜記
    3.9
    全七作からなる歴史小説短編集。 豊臣秀吉による朝鮮征伐の前半・文禄の頃、一通の文箱が博多の津に打ち上げられ、秀吉の許に届けられた。中の手紙は半島に渡った夫を思う妻のものであった。興味を持った秀吉はその女を名護屋に呼び寄せたが……(「汐の恋文」)。 関ヶ原の戦いの前に大坂方の人質になるのを拒み、火を放って果てた細川ガラシャ。その嫁である千代はガラシャと死を共にせず生き残った。細川忠興の嫡男・忠隆は、父の命に背き千代を離縁せずにいたため、遂には廃嫡されてしまう。しかしその後も忠敬は千代と共に暮らし続ける(「花の陰」)。 戦国時代や江戸時代の女性・夫婦の旧来の像に著者独自の新鮮な解釈を投げかける、珠玉の短編集。
  • 山流し、さればこそ
    4.0
    寛政年間のこと、出世の道を歩んでいたはずの数馬は、「山流し」と蔑称される甲府への転出を命じられた。理不尽な左遷に憤る数馬が、家族とともに向かった甲府で見たものは、城下の賑わいとは裏腹に、風紀の乱れた、荒んだ武士たちの姿だった。新参いじめを謎の女に救われた数馬は、不思議な盗賊騒ぎに巻き込まれていく…。江戸では見えなかったこと、逆境の中でこそ知り得たものとは、何だったのか? 気鋭が放つ時代長編!
  • 闇の峠(新潮文庫)
    4.0
    享保19年夏、旗本・根来長時(ねごろながとき)の妻せつは、屋敷を突然訪れた町奉行、大岡越前守を出迎える。大岡は夫に『兼山(けんざん)秘策』を読んだかと問う。そこには二十余年前に勘定奉行・荻原重秀が幽閉されて死んだとあった。死の直前、せつは生家の庭で彼を見かけたのだった。殺めたのは、佐渡奉行に昇りつめた父なのか。真相を追い、せつは佐渡へ。重厚な構成で描く堂々の歴史ミステリー!『風聞き草墓標』改題。(解説・柚月裕子)
  • 幽霊の涙―お鳥見女房―
    4.0
    家督とお鳥見役を継いだ珠世の長男、久太郎に密命が下る。かつて父と夫も務め、二人のこころと家族に深い傷を残した、あの陰働き。他国の不穏な動きを探るうち、久太郎は行方知れずに。留守を預かる珠世と嫁の恵以は不安が募る。そんな矢島家をあの世から心配したのか、一回忌を迎える久右衛門の幽霊がさまよっているという。家族の情愛の深さと強さを謳う、大好評シリーズ第六弾。
  • 幽恋舟
    -
    舟番所で舟の出入りを監視する男の前に、闇を裂いて出現した怪しの舟。舟は狂気の血筋におびえる若い女を乗せていた。先が見えたような人生に朽ちかけていた男は、女を救おうとその両親の消息を辿りお家騒動にからんだ事件の真相を探るうちに、娘ほどに若い女に強く心惹かれていく……。黒船来航直前、時代が変わる予感をはらむ水の流れに、人の心の謎を映し出す、新感覚の時代小説。
  • 柚子の花咲く
    3.9
    少年時代に梶与五郎の薫陶を受けた筒井恭平は、与五郎が隣藩で殺害された事実を知り、真実を突き止めるため鵜ノ島藩に潜入するが――。人を愛すること、人が成長するということなど、人間にとって大事なものを教えてくれる感動の長編時代小説。

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  • 遊女のあと
    3.6
    八代将軍・吉宗の時代、質素倹約を強いる幕府に対抗して、尾張名古屋は遊興を奨励し、空前の繁栄を見せていた。異人との出会いから、夫をすて福岡を出たこなぎと、女敵討ちのために江戸を離れた鉄太郎。長い旅路の末に名古屋の地でめぐり逢った二人は、それぞれの秘密を胸に秘めたまま接近する。巨大な政争の具となっていることも知らずに──。著者渾身の傑作歴史時代小説。
  • 夢も定かに
    4.0
    聖武天皇の御世、後宮で働くべく阿波国から上京してきた若子。同室になった姉御肌の笠女、魔性の春世ともども暮らす宮中は、色と権謀の騒動続きで……。仕事に意地をかけ、乙女心に揺れ、人知れぬ野望を育む先に何が待つ? 平城京を蔭で支えた女官たちをいきいき描く宮廷青春小説!
  • 四十八人目の忠臣
    3.6
    四十八番目は歴史に名を残した思いがけないあの女性! 愛する磯貝十郎左衛門と浪士達のため、討ち入りを影から助け、その後 浪士の遺族の赦免、赤穂浅野家再興を目指し、将軍家に近づいた実在の女性。 まったく新しい「忠臣蔵」の誕生。 <目次> 牛天神 鉄砲洲上屋敷 あぶれ者 尼ふたり 凶兆 驚天動地 恋の行方 新妻 十女十色 怒濤の日々 討ち入り 生か死か 女だからできること 月光 忠義と恋のはざまでゆれる江戸の一女性の目と五感にこだわることが、 すなわち、「私の忠臣蔵」
  • 来春まで―お鳥見女房―
    4.7
    将軍の鷹狩りの下準備を担うお鳥見役の矢島家。あるじの伴之助と妻・珠世の周りには嬉しい知らせが続いていた。次女の初産、嫁の懐妊、幼い頃から親しくしてきた石塚家長女の結婚――。幾多の苦難と辛い別れを乗り越え、やっと訪れた穏やかな日々。だが「来る者は拒まず」が信条の珠世のもとには、またも次々と難題が降りかかり……。新しい命が絆を強める、大好評シリーズ第七弾。
  • 洛中洛外をゆく
    3.7
    人は美しく生きねばならない。義に生きる武士たちの清廉な生き様を描いた時代小説や、人生観揺るがす骨太の歴史小説で多くの読者を魅了し続けてきた作家・葉室麟。遺された作品の数々を紐解くことで、主人公に託した思いから、創作のなかでたどり着いた珠玉の人生観までを明らかにする。小説ゆかりの京都の名所案内を兼ねた、何度でも読み返したい一冊。澤田瞳子ほか、豪華対談とコラム「現代のことば」を書籍初収録!
  • 落梅の賦
    3.0
    「俺は、武田を食うぞ」戦国最強を誇った甲斐武田家の落日。家を滅ぼす二人の裏切り者が出る。一人は、武田信玄の腹違いの弟、武田六郎信友。そして、一族衆筆頭、穴山梅雪。「武田の海」を任された二人は、なぜ悲劇の引き金を引いたのか――。歴史小説界で、いま最も注目される「ヒストリーテラー」武川佑の第二作長編。
  • 落陽(祥伝社文庫)
    3.9
    明治四十五明治天皇崩御――直後、渋沢栄一ら東京の政財界人は御霊を祀る神宮造営を計画、その動きは巨大なうねりになっていく。一方、帝国大学農科大学の本郷高徳らは、「風土の適さぬ東京に神宮林にふさわしい森を造るのは不可能」と反論、大激論に。東都タイムスの記者瀬尾亮一は、対立を追う同僚に助力するうち、取材にのめり込んでいく……。献木十万本、勤労奉仕のべ十一万人、完成は百五十年後という造営事業を成し得させた天皇と日本人の絆に迫る著者入魂作!年七月、天皇重体の情報を掴んだ東都タイムスの瀬尾亮一は、宮中の大事が初めて庶民の耳目に晒される状況に記者魂を揺さぶられる。快復を願う万余の人々が宮城前に額ずく中、天皇は崩御。直後、渋沢栄一ら東京の政財界人が「御霊を祀る神宮を帝都に創建すべし」と動き始める。一方、帝国大学農科大学講師の本郷高徳は、「風土の適さぬ地に、神宮林にふさわしい森厳崇高な森を造るのは不可能」と反論。しかし、曲折の末に造営が決定すると本郷は、取材をする亮一に“永遠に続く杜”造りへの覚悟を語った……。直木賞作家が、明治神宮創建に迫る書下ろし入魂作!
  • 落花
    5.0
    平安時代中期。天皇の従兄である仁和寺僧・寛朝は、己の楽音を究めるため、幻の師を追って京から東国へ下った。そこで荒ぶる地の化身のようなもののふに助けられる。のちの謀反人・平将門だった――。豪放磊落でまっすぐな将門は、次第に叛乱の将に祭り上げられていく。戦場に響く喊声、弓矢のうなり……武士の世の胎動を描く傑作長篇。〈解説〉新井弘順
  • 落花狼藉
    4.0
    戦国の気風が残る江戸時代初期、徳川幕府公認の傾城町・吉原が誕生した。吉原一の大見世「西田屋」女将の花仍は、自身の商いは二の次で町のために奔走する夫・甚右衛門を支えながら、店を切り盛りしていた。幕府からの難題、遊女たちの色恋沙汰、陰で客を奪う歌舞伎の踊子や湯女らに悩まされながらも、やがて町の大事業へと乗り出していく――。時代小説の名手が、江戸随一の遊郭・吉原の黎明と、そこに生きる人々の悲喜交々を描く傑作長編。
  • 龍華記
    4.3
    高貴な出自ながら、悪僧(僧兵)として南都興福寺に身を置く範長は、都からやってくるという国検非違使別当らに危惧を抱いていた。検非違使を阻止せんと、範長は般若坂に向かうが──。著者渾身の歴史長篇。
  • 霖雨
    3.6
    天領の豊後日田で、私塾・咸宜園(かんぎえん)を主宰する広瀬淡窓(たんそう)と、家業を継いだ弟・久兵衛。画期的な教育方針を打ち出す淡窓へも、商人としてひたむきに生きる久兵衛へも、お上の執拗な嫌がらせが続く。大塩平八郎の乱が起きるなど、時代の大きなうねりの中で、権力の横暴に耐え、清冽な生き方を貫こうとする広瀬兄弟。理不尽なことが身に降りかかろうとも、諦めず、凛として生きることの大切さを切々と訴えた歴史長編。

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  • 類

    3.9
    明治44年、文豪・森鴎外の末子として誕生した類。東京千駄木の大きな屋敷で何不自由なく暮らしていたが、大正11年に父が亡くなり生活は一変。大きな喪失を抱えながら、自らの道を模索する類は、次姉の杏奴とともに画業を志しパリへ遊学。帰国後に母を看取り、やがて、画家・安宅安五郎の娘と結婚。明るい未来が開けるはずだったが、戦争によって財産を失って困窮していく。昭和26年、心機一転を図り東京・千駄木で書店を開業。忙しない日々のなか、身を削り挑んだ文筆の道で才能を認められていくが……。自らの生と格闘し続けた生涯が鮮やかによみがえる圧巻の長編小説! 第34回柴田錬三郎賞受賞作品。
  • 歴屍物語集成 畏怖
    4.0
    歴史小説家たちが紡ぐ時代の違う5つの物語が、あるひとつの「怪異」で繋がる。 読後に訪れるこの震えは、恐怖か、驚愕か――? 異端にして傑作の歴史小説集、ここに誕生。 5つの「畏怖」が、この国の歴史を塗り替える 矢野 隆 有我 ――鎌倉時代、壱岐。元寇に抗う男に訪れたある異常。 天野純希 死霊の山 ――室町時代、近江比叡山。霊峰に現れた狐憑きの正体は。 西條奈加 土筆の指 ――江戸時代初期 中部地方。墓の土饅頭から土筆が生え……。 蝉谷めぐ実 肉当て京伝 ――江戸時代後期、江戸市中。山東京伝の妻は、自らを「人魚」だという。 澤田瞳子 ねむり猫 ――江戸時代末期、大奥。城内に現れる不可思議な病。
  • 輪舞曲(新潮文庫)
    3.2
    私、四十になったら死ぬの。松井須磨子の後を継ぐと目された女優、伊澤蘭奢が、口癖の通り早逝した。そして集まった四人の男。愛人兼パトロンである実業家の内藤、蘭奢が人妻だった頃からの恋人、徳川夢声、サロンに出入りする帝大生の福田、そして生き別れの息子、佐喜雄。彼らそれぞれが見た蘭奢の姿が、一人の女の像を結び始める――。男たちを幻惑しながらもひとすじに生きたある女優の肖像。
  • 別れの季節―お鳥見女房―(新潮文庫)
    完結
    5.0
    全1巻649円 (税込)
    時の流れは、いやおうなしに出会いと別れを運んでくる――。次男二女が巣立ち、五人の孫にも恵まれ、幸多き日々を過ごしていた珠世。だが、浦賀に黒船が来航し、雑司ケ谷の矢島家にも動揺が広がる。また、かつて居候していた源太夫は大地震に見舞われた郷里・小田原の生家が気がかりで、帰参を考えはじめ……。激動の時代を生きる人々のあたたかな繋がりを描く大人気シリーズ、堂々完結!(解説・神田蘭)

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