落陽(祥伝社文庫)

落陽(祥伝社文庫)

小説・文芸
792円 (税込)

3pt

明治四十五明治天皇崩御――直後、渋沢栄一ら東京の政財界人は御霊を祀る神宮造営を計画、その動きは巨大なうねりになっていく。一方、帝国大学農科大学の本郷高徳らは、「風土の適さぬ東京に神宮林にふさわしい森を造るのは不可能」と反論、大激論に。東都タイムスの記者瀬尾亮一は、対立を追う同僚に助力するうち、取材にのめり込んでいく……。献木十万本、勤労奉仕のべ十一万人、完成は百五十年後という造営事業を成し得させた天皇と日本人の絆に迫る著者入魂作!年七月、天皇重体の情報を掴んだ東都タイムスの瀬尾亮一は、宮中の大事が初めて庶民の耳目に晒される状況に記者魂を揺さぶられる。快復を願う万余の人々が宮城前に額ずく中、天皇は崩御。直後、渋沢栄一ら東京の政財界人が「御霊を祀る神宮を帝都に創建すべし」と動き始める。一方、帝国大学農科大学講師の本郷高徳は、「風土の適さぬ地に、神宮林にふさわしい森厳崇高な森を造るのは不可能」と反論。しかし、曲折の末に造営が決定すると本郷は、取材をする亮一に“永遠に続く杜”造りへの覚悟を語った……。直木賞作家が、明治神宮創建に迫る書下ろし入魂作!

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落陽(祥伝社文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    大正時代の日本人の心情を明治神宮建立プロジェクトを通して描いた作品。国として自立し始めるための国際化の風潮と、幕府の支配から解放された喜びより戸惑いと、古来から受け継がれてきた日本人としての価値観が入り乱れた混乱がとても上手く表現されています。
    加えて明治天皇の新たな天皇像を作り上げる途轍もない努力と、その天皇を本能的に敬う日本人の心も素晴らしく、日本人としての原点に触れた気がします。
    改めて明治神宮を訪れてみようと思いました。

    0
    2024年09月12日

    Posted by ブクログ

    明治神宮外苑内苑は人工の杜である。この事業のとてつもない苦労は想像できました。それだけでも、興味深いのですが、更に明治天皇の人柄にもスポットライトが当てられ、あっと言う間に読み進んでしまいました。明治から大正、昭和と時代は移り変わり、杜も豊かに育っている。そして、現代は令和、明治天皇のお人柄と今上天皇のお人柄、共通する所が多く、変わらない皇室の姿勢に胸が熱くなりました。世界一歴史のある天皇と言う存在を守り続ける日本。私はなんと素晴らしい国に生まれて来たのか、今、とても感動しています。日本人の在り方を今一度考え、忘れてはいけないと思いました。

    0
    2024年02月28日

    Posted by ブクログ

    明治という時代を生きた人々の気持ちを想像しながら読める作品でした。
    読み終えてから、冒頭部分を読み返しました。
    もう一度読みたいと思う作品。

    0
    2020年06月09日

    Posted by ブクログ

    明治天皇の崩御にともなって、明治神宮が出来る。
    神聖な人口の森(杜)を作る為の、ストーリーが楽しめる。

    日本という国が、江戸という共和国からから脱却して一つの国になった。
    その初代元首の苦悩と人となりが軸となり、本書が進んでいくのが良く分かる。

    自分自身、どんな元首になるべきなのかに一人で悩み、考え、口を出さず、態度と詞華でもって政治に接し、明るかった人となりが、日露戦争を境に寡黙になっていく。
    自身のことを二の次にして、国務に精励する。

    日本をひとつにし、世界と対等になる為に駆け抜けたのが明治時代。
    伝統と風習を守りつつ、欧州の近代国家を目指すという、ジェットコースターな統治。
    模倣する国もなく、誰にも教えてもらえない舵取りと、戦争という心痛ましい政治外交にも対処していかないといけない。

    「国のため たふれし人を惜むにも 思ふはおやの こころなりけり」
    詠み人~明治天皇

    落陽 (明治の終焉、日が沈む)
    落葉 (明治神宮の杜、落葉樹)
    洛陽 (都の異称、つまり京都)

    すべて本作品の明治天皇に対する隠語になっている。
    門井慶喜氏の言葉で、すっきりした読後感でした!

    0
    2019年06月25日

    Posted by ブクログ

    明治神宮の創建をテーマにした本。杜や社殿をつくる話が中心かと思ったが、そうではなく日本人にとっての明治という時代とは何か、そして明治天皇や昭憲皇太后の人物像について迫るストーリーに引き込まれる。

    0
    2025年09月13日

    Posted by ブクログ

    やっぱり読んでよかった。読み進めていくうちにどんどんその時代に近づいていくような感覚が出てきて、登場人物たちがいまの時代を知ったらどんな感情を持つのだろうかと、、、たぶん想像を超えているのだろうな。
    激動の時代を支えてくれたのは神なんだろうなと思った。

    0
    2025年01月17日

    Posted by ブクログ

    明治神宮造営の物語。
    あの神宮の森が、実は人工の森で、しかも大正に作られたとは、にわかには信じられないような、そんな事実のお話。
    造園にも、明治大正の新聞記者にも、思い入れがなかったので、読み通すのに少し苦戦した。

    0
    2023年03月21日

    Posted by ブクログ

    明治神宮鎮座百年というちょうど一年前の今頃、初めて明治神宮を参拝しました。原宿の喧騒が嘘のように、一歩足を踏み入れた瞬間に空気が変わるのを体感しました。この本に出会い、明治神宮創建のきっかけを知り、またあの素晴らしい森が自然ではなく、全国からの献木であったというのは驚きでしかない。もう一度、じっくり明治神宮を、神宮の森を歩いてみたい。そして、伏見桃山陵へも…。

    0
    2022年12月25日

    Posted by ブクログ

    明治天皇の崩御後
    その「御霊」を祀るために東京に作られた「神宮」

    150年後の「杜」のために尽力する人々。
    それを見守る新聞記者

    武士の時代であった江戸時代から、文明開化の明治へ。
    明治とはどんな時代だったのか
    そして明治天皇はどんな思いで時代を過ごしたのか

    今まで考えてみたこともなかった内容で
    いろいろ調べてみたくなりました。

    0
    2020年09月22日

    Posted by ブクログ

    明治天皇崩御に際し、渋沢栄一ら政財界人は神宮を帝都に創建すべしと主張するが、林学者の本郷高徳らは風土の適さぬ土地に森を造るのは不可能と反論し、大激論となる。
    大衆紙の記者瀬尾亮一は神宮造営を調べる同僚に助力するうち、取材にのめり込んでいく・・・。

    明治神宮造営という観点から明治時代がどのような時代だったかを紐解いていく物語。
    かなり堅苦しい主題ですが、さすがは朝井まかてさん。
    一般市民の記者という神宮造営の「外」の視点から専門的なことも噛み砕いてやわらかく語られていくので、読み手も興味をつないでどんどん読み進めていくことができます。

    しかもこの主人公の亮一という男、記者という立場を利用して、醜聞をネタに金持ちから金を巻き上げるチンピラみたいな奴なのです。
    帝大を中退し大手新聞社をトラブルで辞め三流紙に落ちぶれたという経歴のせいか、仕事のモチベも失い何だかやさぐれている。
    そんな亮一が、同僚の活発な女性記者に触発され、神宮造営を取材していくうちに記者魂が目覚めていく。
    次第に激動期の日本を支えた明治天皇の生涯に思いを馳せ、独自取材を進めていくようになります。
    このへんの描写が非常に巧みで、亮一の心情変化には違和感なく自然に納得できました。

    天皇を精神的支柱として敬い親しんできた民衆の思い。
    そして、近代国家へと変貌する時代の流れに添い、前例のない天皇としての役割を課され、苦悩しながら模索していく明治天皇の姿。
    天皇とは何か、日本人にとって天皇の存在はどういうものなのかという、現代においても問いかけられる命題に真正面から取り組み、その正体をあらわにしていく作者の手腕には鳥肌が立ち、言葉にならないほどの感銘を受けました。

    明治神宮という美しい森が歴代の人々の努力と熱意によって作り上げられた事と同じように、今の日本人の根幹も同じ経緯でを築かれたのだと、気づかされました。

    0
    2020年08月24日

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