ボタニカ

ボタニカ

小説・文芸
1,980円 (税込)

9pt

ただひたすら植物を愛し、その採集と研究、分類に無我夢中。
莫大な借金、学界との軋轢も、なんのその。
すべては「なんとかなるろう! 」
――日本植物学の父、牧野富太郎。愛すべき天才の情熱と波乱の生涯!

「おまんの、まことの名ぁを知りたい」
明治初期の土佐・佐川の山中に、草花に話しかける少年がいた。名は牧野富太郎。
小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭した富太郎は、「日本人の手で、日本の植物相(フロラ)を明らかにする」ことを志し、上京。
東京大学理学部植物学教室に出入りを許されて、新種の発見、研究雑誌の刊行など目覚ましい成果を上げるも、突如として大学を出入り禁止に。
私財を惜しみなく注ぎ込んで研究を継続するが、気がつけば莫大な借金に身動きが取れなくなっていた……。
貧苦にめげず、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた稀代の植物学者を描く、感動の長編小説。

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ボタニカ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    牧野富太郎の波瀾万丈な人生を朝井まかてが軽妙な筆で書き上げた。小さな頃から植物が好きで、官に媚びずあくまでも在野の研究者としての人生を全うしたが、まあ人格破綻というか金銭感覚まるで無し。2人の奥さんが彼を支えてくれた。そう、この物語は牧野富太郎が主人公ではなく、最初の妻、猶と遊学中の東京で知り合い最後まで添い遂げたスエが主人公だと思う。富太郎の研究を経済的に支え、最後は破産手続きを完了した猶の健気さ。江戸っ子の粋を感じるスエの楽天的な性格。この二人に守られて富太郎の学問は成就した。学問以外は何も分からない、何もできない富太郎、最初の娘を亡くしたところでは思わず、何しとんねんと声に出してしまった。

    富太郎が自由民権運動に関わっていた事や明治の最初から帝大の、いやこの国の官尊民卑を知る事が出来た。読みやすいが上品な文章は、さすが朝井まかて。

    0
    2026年05月30日

    Posted by ブクログ

    とても面白かったです。朝井まかてさんのユーモアあふれる文章に惹かれます。富太郎のおとぼけぶりの描写が最高です。

    0
    2025年12月21日

    Posted by ブクログ

    ようやく読み終わった。最後は駆け抜けるように、一気読み。
    牧野先生の生涯、植物一筋で心惹かれます。
    植物にも人にも分け隔てないところが、また魅力的です。

    0
    2025年03月23日

    Posted by ブクログ

    牧野富太郎のような生き方は楽しいだろう。自由奔放に生き、自分の追求したい探究したい物事を率先して、暮らしも人間関係もそこそこにしていく。おそらく、「何かを手にする者は捨てる覚悟がある者」という言葉があるならば、牧野富太郎は、生活と人間を捨てたのだと思う。

    話は明るかった。牧野富太郎自身も、周りの人間たちも。翳りなどにわかにも感じさせない。ただそこにあるのは、違和感だった。牧野富太郎から見た社会への違和感と、社会から見た牧野富太郎への違和感。積み上げられるだけ積み上げた違和感は、発展途上国に捨てられた先進国の産業廃棄物のように、往々に横たわる。やがて、それをついばむ輩が現れる。牧野富太郎を引きずり下ろすために。

    けれど、牧野富太郎への違和感をおくびにも出さない人が、彼を支えてくれた。

    「ボタニカ」を読んで私が思ったのは、牧野富太郎の人間性は、忌憚なく言えばクズだろう。正妻がいながら、公認の上で別所において嫁と子をもおけるなど、クズのやることだ。それ以外にしても、彼のクズっぷりはとてつもないものがあるが、彼はそれらが事実として傍らにあったとしても、むしろ修飾にさえ見える偉業を達成した。

    日本の固有種の発見。

    雨季の長い国柄、花粉が濡れて落ちないよう、空ではなく大地を向く日本の固有種。花弁が大きく、産毛が生え、子種を意地でも守ろうとする花々。病気には強いが、環境の変化に弱く、水質が変わると途端に育たなくなる。か弱く、心許ない存在。

    牧野富太郎のことを認めた人たちがそうであったように。牧野富太郎という大地をただ見続け、直向きに寄り添い続けた人たち。牧野富太郎が花々を見つけたように、彼らも牧野富太郎を見つけた。守るべき人だ。彼を守ろう。死ぬまで、と。

    愛されるクズの話。そんな印象を受けた。

    0
    2024年12月29日

    Posted by ブクログ

    牧野富太郎の学問、植物学に対する熱意は並々ならない。
    まだ教育体制が確立されず、学歴といってもピンとこない時代に、ただただ植物学を極めようとする。
    彼を支える女性たちも強くしなやかだ。
    先人たちは彼を導き、教授たちや同僚たちは彼を認めながらも戸惑いもある。
    一緒に植物採集しようと人々が集い、経済的に支援する人たちもいる。
    牧野富太郎と彼らによって、日本の植物学の礎が築かれていったんだろう。

    0
    2024年10月26日

    購入済み

     まかてさんの大ファンです。

    読みたいと思っていてついに買って読み始めましたがまだ途中なのですが読みやめられなくてついつい遅くまで読んでしまいます
    ものすごくきょうみがわきますとともに先の進行具合が楽しみです。
    植物の名前も知っているものや知らないものなど専門家でなくても辞典を一度目にしたいと思うほどです。
    いろんな書かれていることの表現が上品で素敵です。
    色々感激しています。他にもたくさん拝読しています。  もっと読んでみたいと思います。途中でレヴューもないかと思いましたが気持ちお伝えしたくて、、、、。

    0
    2023年03月13日

    Posted by ブクログ

    幕末から昭和32年まで生きた、植物学者・牧野富太郎を主人公にした小説……だが、真の主人公はその奥様2人なのかもしれないと思えた。とにかく奥さんが逞しい。奥様方の金策があってこそ、牧野富太郎は植物学に打ち込めたのだろう…という印象を受ける小説だった。

    0
    2026年04月23日

    Posted by ブクログ

    植物学者として名高い牧野富太郎の伝記的な小説。
    遺族の全面協力を得て、資料を駆使、存在感ありあり。
    さすが、朝井まかてさん。読み応えがありました!

    2023年前期の朝ドラ「らんまん」に取り上げられた牧野富太郎。
    子供の頃から、その名は知っておりました。とにかく、牧野富太郎が名前をつけた植物が多くて図鑑に載っていたのでね。
    ドラマを見終わってから読んだのは、一種の勘?(笑)
    ドラマより、ヒドイやつ…とんでもない旦那だわ…!
    …ま、天才ですから?
    天才ぶりも、想像を超えてますね。

    明治初期の土佐、佐川村。
    老舗の造り酒屋に生まれ、頭は良かったが。
    制度として始まったばかりの小学校は中退。ただ、それ以前に寺子屋や塾で教育は受けていたので、既に基礎は出来ていました。
    家業には興味を示さず、木や花や草を見て歩いてばかり。その標本の数の多いこと。
    絵は上手で緻密で正確。本は読んだにしても、ほぼ独学という。驚嘆に値するものでした。
    帝国大学理学部植物学教室にも出入りを許され、どんどん学問にのめり込んでいく。
    跡を継ぐために従姉妹と形ばかりの結婚をして、自分は研究の費用を送金してもらうのみ。
    ついに、実家は倒産…

    東京では、恋女房の壽衛(すえ)さんにやり繰りを任せ、植物の採集と本の出版に打ち込み、借金の取り立てから逃げて、引っ越しを繰り返す。
    次々に子をもうけながら。
    壽衛さんは夫を支えて頑張りますよ~すごい女性です!

    ドラマでは、富太郎がモデルの役(神木隆之介)を支える兄弟分の手代(志尊淳)の活躍もあり、実際にはその人は東京にはついて来なかったのだけど。
    最初の妻で酒屋を継いだ従姉妹と、手代さんが後に結婚する運びになるのは史実通り。
    従姉妹さんが幸せになっていて、良かったわ~!(笑)

    牧野富太郎の写真は目がキラキラしていて、明るく人当たりがいい性格だったことは、現れてますね。でも、借金あるのに大盤振る舞いしたりしちゃうのね…それだけはやめて!(笑)
    学歴がないため、楽な道のりではなかったが、才能と実績に感嘆する支援者も、少なくはなかった。
    研究だけでも大量のものを書いているのに、手紙や日記も書いている。
    生々しい肉声に「どの口が言うか」とか言ってやりたくなったりしますが。

    壽衛さんの並々ならぬ苦労、内助を超えた貢献。
    夫を心から尊敬し、また自分も店を経営する程に力を発揮出来たことで、充実していたのではないかな。
    その愛に免じて?許してあげましょうか(笑)

    0
    2026年07月19日

    Posted by ブクログ

    朝ドラを思い返しながら読む。学者馬鹿、凄まじいわ。ドラマは神木隆之介のどこか小動物っぽい可愛らしさで救われたけど、実際裕福な家の財産食い潰して、とんでもない借金何度もこさえて、物好きな金持ちに返してもらう人生、他にある?祖母から始まり先妻後妻と女運がよっぽど良かったのか。スエを送ったあとの猶との会話がとても好き。誇りをもってあなたを支えた。あなたに夢中だった。そんな風にスエを語る猶も素敵。先妻と後妻がなかよしってすごいよ。学者だの文人だの、何か大仕事した人ってその分他がポンコツなんだろうなあ。そして、生家で死ぬほど貧乏したのに、せっかく結婚して人並みに暮らせたのに、二人揃って離縁ってなんでなの、娘たち。母の苦労を引き継ぐの?この装丁可愛くていいなあ。

    0
    2026年06月20日

    Posted by ブクログ

    とても読み応えがある。高知市にある牧野植物園を訪ねたのをきっかけに本書を手に取った。博物館にあった、高齢になってもなお屈託のない少年のような笑顔を見せる牧野の写真を重ねながら読み進めた。

    東大研究室を出禁にされるのも、借金を全て片付けてくれた孟との確執も、そりゃそうなるだろうと思う。そうなってもなおわが道を行き続け、自分のやり方、自分のペースで研究を進める富太郎には何も言えない気分になる。

    子だくさん、30回以上の引越し、莫大な借金とその取り立て、家の中には山のような標本と書物。研究者としては間違いなく超一流だが、こんな人が夫だったら本当にたまらない。ただただスエさんに頭が下がる。

    そうは言っても、富太郎の無邪気さ、純粋さ、植物に対する一途な思いは、全て「ま、仕方ないか」と思わせるような魅力があったんだろうなあと思った。

    緻密な取材に基づいて本書を書き上げた朝井まかてさんにも敬服。

    0
    2026年04月05日

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