【感想・ネタバレ】ボタニカのレビュー

あらすじ

ただひたすら植物を愛し、その採集と研究、分類に無我夢中。
莫大な借金、学界との軋轢も、なんのその。
すべては「なんとかなるろう! 」
――日本植物学の父、牧野富太郎。愛すべき天才の情熱と波乱の生涯!

「おまんの、まことの名ぁを知りたい」
明治初期の土佐・佐川の山中に、草花に話しかける少年がいた。名は牧野富太郎。
小学校中退ながらも独学で植物研究に没頭した富太郎は、「日本人の手で、日本の植物相(フロラ)を明らかにする」ことを志し、上京。
東京大学理学部植物学教室に出入りを許されて、新種の発見、研究雑誌の刊行など目覚ましい成果を上げるも、突如として大学を出入り禁止に。
私財を惜しみなく注ぎ込んで研究を継続するが、気がつけば莫大な借金に身動きが取れなくなっていた……。
貧苦にめげず、恋女房を支えに、不屈の魂で知の種(ボタニカ)を究め続けた稀代の植物学者を描く、感動の長編小説。

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ネタバレ

NHK朝ドラ『らんまん』の原作
植物学者 牧野富太郎博士の話し

面白かった

根っからの学者なんだと思った。しかも、田舎のボンボンで本当に社会性が無い

あんなに有名なのに最後まで困窮していた事にびっくり

そして、自分は漢字に強いと思っていたが、語句を読めない物が多く反省した。浅井まかて氏、物凄く博学だなと思った

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

ようやく読み終わった。最後は駆け抜けるように、一気読み。
牧野先生の生涯、植物一筋で心惹かれます。
植物にも人にも分け隔てないところが、また魅力的です。

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2025年03月23日

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牧野富太郎のような生き方は楽しいだろう。自由奔放に生き、自分の追求したい探究したい物事を率先して、暮らしも人間関係もそこそこにしていく。おそらく、「何かを手にする者は捨てる覚悟がある者」という言葉があるならば、牧野富太郎は、生活と人間を捨てたのだと思う。

話は明るかった。牧野富太郎自身も、周りの人間たちも。翳りなどにわかにも感じさせない。ただそこにあるのは、違和感だった。牧野富太郎から見た社会への違和感と、社会から見た牧野富太郎への違和感。積み上げられるだけ積み上げた違和感は、発展途上国に捨てられた先進国の産業廃棄物のように、往々に横たわる。やがて、それをついばむ輩が現れる。牧野富太郎を引きずり下ろすために。

けれど、牧野富太郎への違和感をおくびにも出さない人が、彼を支えてくれた。

「ボタニカ」を読んで私が思ったのは、牧野富太郎の人間性は、忌憚なく言えばクズだろう。正妻がいながら、公認の上で別所において嫁と子をもおけるなど、クズのやることだ。それ以外にしても、彼のクズっぷりはとてつもないものがあるが、彼はそれらが事実として傍らにあったとしても、むしろ修飾にさえ見える偉業を達成した。

日本の固有種の発見。

雨季の長い国柄、花粉が濡れて落ちないよう、空ではなく大地を向く日本の固有種。花弁が大きく、産毛が生え、子種を意地でも守ろうとする花々。病気には強いが、環境の変化に弱く、水質が変わると途端に育たなくなる。か弱く、心許ない存在。

牧野富太郎のことを認めた人たちがそうであったように。牧野富太郎という大地をただ見続け、直向きに寄り添い続けた人たち。牧野富太郎が花々を見つけたように、彼らも牧野富太郎を見つけた。守るべき人だ。彼を守ろう。死ぬまで、と。

愛されるクズの話。そんな印象を受けた。

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2024年12月29日

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牧野富太郎の学問、植物学に対する熱意は並々ならない。
まだ教育体制が確立されず、学歴といってもピンとこない時代に、ただただ植物学を極めようとする。
彼を支える女性たちも強くしなやかだ。
先人たちは彼を導き、教授たちや同僚たちは彼を認めながらも戸惑いもある。
一緒に植物採集しようと人々が集い、経済的に支援する人たちもいる。
牧野富太郎と彼らによって、日本の植物学の礎が築かれていったんだろう。

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2024年10月26日

購入済み

 まかてさんの大ファンです。

読みたいと思っていてついに買って読み始めましたがまだ途中なのですが読みやめられなくてついつい遅くまで読んでしまいます
ものすごくきょうみがわきますとともに先の進行具合が楽しみです。
植物の名前も知っているものや知らないものなど専門家でなくても辞典を一度目にしたいと思うほどです。
いろんな書かれていることの表現が上品で素敵です。
色々感激しています。他にもたくさん拝読しています。  もっと読んでみたいと思います。途中でレヴューもないかと思いましたが気持ちお伝えしたくて、、、、。

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2023年03月13日

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植物学者として唯一無二の存在という牧野富太郎の生涯を描いたストーリー。話を読み進めるうちに、小説の感想というより富太郎の人生に色々と言いたくなるのは、文章のうまさか表現の巧みさか、いずれせよ丁寧に彼の性格、思考、思想なりを書き込んもので、牧野ワールドに引き込まれていった。
あまりに好き勝手、学歴も、お金にも無頓着というか全ては自分の植物に対する愛情と探究心を優先する生き方に腹立たしくなる。どれほどすごい研究成果を出したとしても人間としてどうなんだ、とか思う気持ちもストーリー展開そのもの、いや富太郎の人生そのものか。
朝ドラのらんまんで神木隆之介が演じた優しい人の良さそうな雰囲気とはかなり違って芯の強い学者の生きるみちを見た感じ。

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2025年04月27日

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「らんまん」の主人公の話とは知らずに、ドラマもほぼ見ていなかったけど、猶さんもスエさんも大変。朝ドラは女性が主人公というイメージがあり、今回は男性?と、思ったが、いやいや主人公は猶さんであり、スエさんだ!

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2024年05月12日

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牧野富太郎。すごい人がいたものだ。
好きなことに情熱を注いで何もかも注ぎ込んで、周囲の犠牲的献身やサポートも吸い尽くしながらどんどん前進していく。誰もやらないことをやる人、偉人と奇人は紙一重だと思う。
この人が自分の家族だったら、誇らしく思えるだろうか。嫌になってしまうかもしれない。
彼を裏から表から支援して、彼の能力を発揮させてくれた人々に賛辞を送りたい。

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2023年12月29日

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朝ドラの題材にもなった牧野富太郎の物語。好きなものに対してはどこまでもまっすぐで情熱的。でもそれ以外には無頓着。牧野博士の人間味あふれる人柄と粘りさと呆れ怒りながらも彼を見捨てない周りの人達の力強い人生に魅了されました。

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2023年11月25日

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ネタバレ

植物そのものにまた世間の人が
触れておらず名前の知らない草花が
たくさんあった時代。

これは何という名前だろう
この花とこの花は似ているから
同じ系統の花かもしれない
それをこの牧野富太郎を筆頭に
日本の植物図鑑がどんどん
華やかに埋め込まれていった。

植物を愛し、植物に愛された人
己の探求心を生涯一度も止めることなく
ただただ生えている草花を愛で
解明を続けた人。

私たちが今、花の名前を知ることができるのも
すべてこの方のおかげだろう。

この人の研究の裏で
妻や子供が少しだけ犠牲に
なってしまったのではないかなと
母の目線で思わずにいられなかった。

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2023年10月25日

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何かを成す人は何かに突き抜けている事が多いけれど、牧野富太郎さんはその最もたるものだなあ。と…笑
自分勝手ともとれる行動の数々に、周囲の人の苦労を思って苦笑いしながら読んだ。私だったらこの人のそばにいるのは無理だなぁ。
文体がとても読みやすい。

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2023年10月21日

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ネタバレ

牧野富太郎の生涯を描いた朝ドラ「らんまん」をみているので読んでみた。ドラマは随分優しく万人受けするように描かれているし、牧野先生は笑っている写真しか知らなかったが、壮絶な人生を歩んで来られた方なんだ。日本人の手で日本中の植物相フロラを明らかにする。誰もが手に取る植物図鑑を作る。地位も名誉も関係ない。私財を投げ打って借金を重ね、貧乏にめげないこんな学者はこれからは出ないかもしれない。利尻島、屋久島まで行っていたとは。後世にどれだけ功績を残したことだろう。惚れ抜いたもののために生涯を尽くす。なんとかなるろう。

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2023年09月19日

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ネタバレ

朝ドラがきっかけで読みました
ドラマとはかなり違う人物で…
やはり偉大な事を成し遂げる人の周りの人(家族や親戚)は私財を投げうったり大変な苦労を強いられるのだなぁと
家族がお金に困っている中、自分はのうのうと旅館に泊まっていい物食べている場面はイライラさせられた
結果的には偉業を成し遂げているのだけど なんだかなぁ…

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2023年09月10日

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朝ドラらんまんの主役槙野万太郎のモデルの伝記と聞いて。
牧野富太郎氏、なかなかの破天荒。
現代ではこういう経済状況での生き方は難しい。明治大正ならでは、と思う。
白光で関わったニコライさんが登場していて、共通した時期の話なのだと納得した。
朝ドラでも少し触れていたが、牧野さんはロシアに行こうとしていた。その際、ニコライ神父を訪ねて助力を乞うたらしい。
自分が牧野さんと関わるのは、ちょっとご遠慮申し上げたいが、かっ飛んだ人物の伝記として読む分には面白かった。
朝ドラと牧野さんの人生は似て非なるもの。とはいえそれなりになぞっているので、朝ドラのネタバレを嫌う人は、ドラマが終わってから読むべき。

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2023年08月18日

Posted by ブクログ

牧野富太郎のお話。
朝ドラがあって話題になってたからずっと読みたくていざ読んでみると、確かに他人の人生としては面白いし熱い情熱みたいなのも伝わるけれど、令和の価値観に固められた私からすると、私生活やお金にだらしないところが受け付けられなかった。
そういう面があるからこそ偉業を成し遂げられたというのも分かるけれど、偉業がなかったらクソ男やん、というのが感想。
今の時代にこの生き方はなんの参考にもならない。
どうしてこの時代にわざわざ牧野富太郎を取り上げて執筆されたのか、今を生きる人にこの本から何を読み取って欲しかったのか分からない。
読み物としてはすごく面白かった。

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2025年10月06日

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朝ドラのらんまんは視聴せず、ただ表紙の富太郎が愛らしくて素敵な話なんだろうと思って読み始めた...

人生のすべてを愛する植物に捧げた富太郎。
その一途さと情熱さ、偉業をなしとげたことにはすごく尊敬に値する。
でも他の方たちが感じてるように富太郎、クズだなぁ...と思ってしまうことも。
自分たちのことを顧みてくれないのにただひたすら献身的に富太郎を支え続けたスエの素晴らしさが堪らなく愛おしい。

1番、惹かれたフレーズは、やっぱり帯にも使われている『おまんの、まことの名ぁを知りたい』。
この言葉が植物学の父・牧野富太郎の始まりだと感じた。

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2025年09月25日

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2025年8月31日
第7章まで読む

牧ちゃん、だんだん読むのがつらくなってきたよ。
家族のこと、お金のこと、興味のあること(植物)以外の優先順位のつけかた、身につまされてならない。

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2025年08月31日

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日本の植物相(フロラ)を明らかにするためならば、
すべてを投げ打ってでも、家族を後回しにしてでも、
我が道を突き進んできた主人公富太郎。

そんな彼を最後まで支え続けた
妻壽衛さんをはじめとする
数えきれないくらいの支援者たち。

彼らが居なければここまでの業績を
歴史に刻むことはなかったであろうことは、
巻末に紹介されている参考文献を綿密に下調べして
富太郎の足跡を詳細に書き著した
著者朝井さんの筆力によって
十分に伝わってきました。

そこで、心に残ったのはこのフレーズ。
富太郎の言葉
「人生は、誰と出逢うかだ。」
それをあなたが言いますか…という印象(^^;
ただただ参りました。

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2025年07月01日

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植物を通してでしか見ていなかった人物なので、え!そういう性格だったのねという驚嘆と困惑とでいっぱいでした笑
でも、日本の植物ってそういう風に特定されて見る世界が広がっていったんだなっていう学びにもなりました。

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2025年02月06日

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植物学者・牧野富太郎の伝記的小説。朝ドラ『らんまん』を見ていたので大体の筋は同じかな。ドラマよりも史実の方が破天荒だね……。

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2024年11月25日

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ネタバレ

植物学者の牧野富太郎を描いた歴史小説。

朝ドラ「らんまん」のモデルでもあるので、大筋はわかっていましたが、朝ドラの方がホワイトマキノだとするとこちらはブラックマキノという感じです。
登場人物がほとんど朝ドラと被るので朝ドラの役者のイメージで読んでいましたが、牧野自身は学者馬鹿で人間関係構築力ゼロ、特に恩義などを感じないタイプの上に仕事以外の欲にも忠実で、さすがに朝ドラの爽やかさとはかけ離れているためちょっと違和感がありました。
この小説の方が先なのですが、主人公に幻滅しないためにも朝ドラを先に見ておいてよかったです。

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2024年11月09日

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流し読みの癖のある私が、らんまん神木君の土佐弁を思い浮かべてながらゆっくり読んだ
え?佐久間ゆいちゃんが本妻でおスエさんは東京妻だったの?と、朝ドラとごっちゃにしてドラマの設定との違いに衝撃を受けつつも
さいごはたった1人の牧野富太郎博士で一致した
まったくもおしょうがなく一途なおのこじゃきに

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2024年11月05日

Posted by ブクログ

朝ドラがはじまる前からの期待の書
当時は予約いっぱいで何年かかる〜?って思ったけど読む事が出来た

魅力的な人物像を期待したのが生物採取ドキュメントのような臨場感もあって面白かった

支えた人々協力したチームや先生達もそれぞれの魅力があって時代の良さも感じました

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2024年10月11日

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朝ドラのらんまんが好きで、こちらも読んでみたいと思っていました

結果、全然違うやん笑

朝ドラの場面を思い出す部分が多かったけれども

おぉいっ!それはないだろう!

と突っ込む部分も多々あって
でも朝ドラのイメージと違いすぎるから嫌になった訳ではないので、読んで良かったと思ってます

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2024年07月14日

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494ページ
1800円
4月3日〜4月6日

『らんまん』の牧野万太郎をイメージしながら読んだ。こちらが原作なので、史実に忠実なのだろうと思うと、ちょっと富太郎に幻滅するところもあった。富太郎の奔放さや金遣いの荒さに呆れると共に、スエさんを置いてロシアに行こうと思っていたのだなんて!人を妬んだりする心も描かれていて、どんなに立派な人でも、人間くさいところもあるものだと少し安心もした。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

牧野富太郎をモデルにした小説。
NHKのらんまんと、起こる事件などは変わらないがドラマはやっぱり主人公が、皆に愛されるようにえがかれていた。
でも、この富太郎は、ちょっと難あり過ぎだなぁ
近くにいたら大変だなぁ
スエさん偉いなぁ〜良く添い遂げたなぁ

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2023年11月16日

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ネタバレ

挫折本
植物学の父、牧野富太郎を題材にしていた。と、読みはじめて気がついた。牧野氏昔から本でよく読んでいたので、そちらのイメージが強く受け入れられなかった。
植物に期待しすぎてしまった。

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2023年11月16日

Posted by ブクログ

植物学の父、牧野富太郎の話。
朝ドラらんまん面白かったし、と思って読んだらドラマとの違いにガッツリ殴られる。途中で一旦閉じ「私の知ってる綾ちゃん(猶さん)はいない、ドラマと現実は違う」と落ち着けてからまた読み始める。
いやまぁそりゃ、現実(小説)はこうよな。酒と家が大好きで跡を継いで酒造りをしたいと気高く美しい綾ちゃんも万太郎と家族を思い気高く自分の選択で生きて行くスエちゃんも、ドラマの中よなぁと当然のことを思う。
さて、実際の万太郎いや富太郎はどんな人物だったのか。予想以上の破天荒な人たらし、いやもう周りの人の立場になったら殴りたいとか思う時もあるんやけど、一途に草花を想う姿に絆されてしまう。くっそ人たらしめ。ここまで草花のことを想い尽くした人はおらんやろうなぁ。そして南方熊楠のことが気になる……何者だ奴は。

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2023年10月15日

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ネタバレ

「草を褥に」に続けて牧野富太郎を読む。こちらはきちんと「小説」であり、読みやすい。
冒頭の、植物の声に耳を傾け話しかける富太郎少年が良い。この様子は小説全体を通じて折々に顔を出すのだが、純粋さの発露のようなこんな部分があったからこそ、他が傲岸で破天荒であっても彼を愛する人が絶えなかったのかもしれないと思わされる。
とはいえ、いろいろめちゃくちゃである。まず謙遜という言葉がなさすぎる。知っていることしか教えないと言って学校は辞めるし大学にすら入らない。既存の権威に屈しないと言えば格好いいが、ではなんでも自力でできるかと言えばその才覚はなく徒に金を遣って家を潰しその後も分以上の支払いをし続けて借金地獄である。そして大きな声で偉そうなことだけはたくさん言って周りを巻き込むくせに、いざ物事が動くと目の前のやりたいことしかやらないために全てのことを中途半端にしていく。やりたくないことをやらないための理屈はその都度偉そうにぶちあげるので、トータルでは言動に矛盾が生じているが本人は気がつかない。
うーわー、こういう人知ってるわー。自分の中にもちょっとその気があるから(ヲイ)余計に、絶対近寄りたくないタイプです。
なまじ小説として一人の人間を活写しているだけに、嫌なところが目についてなかなか苦しい。個人的には、借金が生理的にダメなので全編通して無理であった。ツケで買うのもしたくないのに、年収の何十倍もの借金をするとか想像しただけで倒れる。しかも一度精算してもまたあっという間に借金が膨らむなんて一体どうなっているのか。植物のいい話が合間に挟まっていてもお金の話が出てくるたびに心のメーターが負に振り切れるのが自分でわかった。あ、この人、やっぱ無理。
富太郎を取り巻く人も、最初は好意的なのに途中で敵に回る人(谷田部教授や松村教授などなど)と、最初からずっと好意的な人の二手に分かれている。後者はなんていい人たちなのであろうか。私は前者の中でも池長孟に最も感情移入してしまって、富太郎への同情が干上がった。富太郎は自分によくしてくれる人のことを最初は感謝してもすぐに馴れて下に見る言動になるから、それを許容できない人とは関係が破綻するのであろう。心から富太郎を敬愛している人(壽衛)か、「しょうがない人だな」と受け入れてくれる人(池野成一郎などなど)としか関係が続かないのだなと思って読んでいたが、最後の最後に池長孟との和解があった。富太郎は何一つ変わらなかったが、池長孟が成長したのであった。
そして、本編ではさらっとしか出てこなかったが、おそらく筋金入りのセクハラオヤジであったことも間違いないと思う。壽衛とのこともキレイに書いてはあるが、要するに十代の女の子とずるずる同棲してデキちゃってそのまま妾宅を構えただけのことであり、そこも留守がちにしているうちに最初の子が死んじゃって逆ギレとか、ほんとありえない。
オンナとカネに汚い人間は、どんなに仕事ができても尊敬はできない。そんな当たり前のことを再確認した一冊であった。

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2023年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

朝井まかて作品 2冊目 植物学者 牧野富太郎を題材にした作品

朝ドラ「らんまん」にも題材にされた 「植物学の父」牧野富太郎
高知県の酒蔵の息子は 小さいときから植物が好きで、頭も切れる風変わりな子どもだった。小学校を中退して植物採集に明け暮れる「岸屋の坊」
15歳の時 時間と知識のある富太郎に地元の小学校の臨時講師としての声がかかる。
そして従妹 猶(なお)との祝言。
妻に酒屋と祖母を任せて 植物学の研究の為上京する富太郎。
そして菓子屋の娘 スエと出会い 高知と東京の2重生活を送る。

ドラマの中でも相当 破天荒で 周りの意見や状況は二の次、植物一筋で 身近にいたら巻き込まれそうな危険人物だけど、実際はもっとひどすぎる。
ドラマの中のおスエちゃんは 賢く健気で主人公を支えて上手くいっていたけれど、実際は16歳で妊娠 生涯の出産13人。
借金返済を実家、岩崎家、そして植物標本を売るという形で池長猛に出資させたのに・・・。

朝井まかての読みやすく、植物の生き生きとした表現が、牧野富太郎の人間性を魅力的するから 小憎らしい。
まぁ 敵も相当に多かったけれど 支援者も沢山いたことを考えると 人たらしだったのであろう。

富太郎に悪態をつきながら この本を読むのも楽しいかもしれない。

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2023年09月16日

Posted by ブクログ

朝ドラ、らんまんを観ていたので読んでみたくなりました。
結構本と内容に厚みがあり読み応えはありました。方言や漢字が難しい事がありましたが、牧野博士は本当に植物を愛している人なんだと分かります。
借金のせいで人生に難が続いても、気にせず植物にことに関しては一生懸命な姿に何とも言えない気持ちです。

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2023年08月25日

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