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  • 続 会津士魂 一 艦隊蝦夷へ
    5.0
    会津鶴ヶ城、落つ――。藩主松平容保が京都守護職を拝命して六年。幕府への忠誠を誓い正義を貫いた戊辰戦争は無惨にも敗北したが、榎本武揚率いる旧幕軍艦隊に加わった者は、新たな戦いを挑むべく蝦夷地をめざす……。故郷を奪われた会津藩士達を描き、勝者に歪められた事実を敗者から検証する。明治百年を経た今こそ必読の現代日本再生の示唆に富んだ歴史大河小説。
  • 太鼓たたいて笛ふいて
    4.3
    戦前、中国や南方の戦線に従軍し、「兵隊さんが好きです」と記して戦意高揚に尽した林芙美子は、敗色濃厚になると「キレイに敗けるしかない」と公言し、たちまち非国民扱いされてしまう。国家が求める「物語」に躍らされた芙美子は、戦後、戦争の実相を知り、戦争に打ちのめされた普通の日本人の悲しみを、ただひたすら書きつづけた――。『放浪記』で知られる作家の後半生をたどる評伝戯曲。
  • 大衆文学論
    値引きあり
    -
    白井喬二、菊池寛らを論じ、先行する大衆文学論を詳細に考察した第一部「大衆文学の理論」。吉川英治、山本周五郎、松本清張らの、作家と作品を論じた第二部「作家の年輪」。時代小説の挿画、落語、浪曲など、大衆文化・芸能を掘り下げた第三部「大衆文学の周辺」。独自の視点で大衆文学を検証し、芸術性偏重の従来の文学観に新たな文学論を提示した画期的評論集。芸術選奨受賞作。
  • 対談 中国を考える
    3.4
    古来、日本と中国は密接な関係を保ってきた。だが現実には、中国人は日本にとって極めて判りにくい民族なのではないか。ぶつからないためには理解すること、理解するためには知ること――両国の歴史に造詣の深い司馬遼太郎と陳舜臣という二人の大家が、この隣人をどのように捉えるべきか、長い歴史を踏まえて深く思索する中国論・日本論。
  • 対談 にっぽん女性史
    -
    情熱的な自己を政治に示した古代の女帝たち、文学史上に燦然と輝く清少納言や紫式部ら王朝の女流作家、源平のトップレディ建礼門院と北条政子、戦国乱世を強烈に生きたお市や淀君。金山開発の犠牲とされた佐渡相川の遊女たち……様々な時代や立場におかれた女性の意識や生き方を11人の識者と語る。

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  • 対談・文学と人生
    値引きあり
    -
    独自の創作理論を打ち立てた、二大巨人による実践的文学論。文学の<現在>はここから始まる――独自の文学世界を打ち立てた二大巨人=小島信夫&森敦による長篇対談。昭和20年代半ばからの知己である二人が、これまでの交遊を振り返りつつ、創作理論の<現在>を縦横に語り合う。悲劇と喜劇、内部と外部、小説におけるモデル問題、夢と幻想、演劇論など、多岐にわたるテーマを通して、二人の文学の根柢に迫る、スリリングでアットホームな試み。幻の未刊長篇対談、待望の文庫化。 ◎小島信夫「この対話は色々の問題をもってきて、互いに論じるというようなものとは大分ちがう。問題も材料も互い自身である。これは息苦しいものであるし、空を切ることもあるので、ときどき散歩をすることもある。ときには、自分自身をダマす必要もある。(略)今月、悲劇、喜劇という言葉が出現して、私は刺戟をうけた。まどろみかけた目がひらいた思いがした。(略)今回のような談話の中での文脈の中でおどり出たのだから、これは生きた言葉である。生きた言葉であるだけに、今後何度も俎上にのぼり、たのしまなければならない。」<「第四回・追記」より>
  • 隊長と犬係りと橇犬たち
    -
    西堀隊長率いる南極越冬隊。天候の悪化で、ソリを引く犬たちが……。という表題作のほか、山の中の狼、鷹匠と鷹、土佐闘犬、全部で4つの物語。動物文学を確立させた直木賞作家の腕が冴える傑作集。
  • 太平記の謎~なぜ、70年も内戦が続いたのか~
    -
    歴史のなかでいつが面白いかといえば、それはもう時代の変わり目、つまり乱世である。既成の勢力や政権が力を失って新勢力に取って代わられるそのせめぎ合いのなかに、新勢力のスターが誕生して、旧勢力と攻防戦をくり返す。乱世の雄もあれば、次の時代の覇者となる者も出現して、歴史を彩ることになる。本書では、南北朝時代の裏表を説きほぐした。混乱期のなかに、日本人の“原型”が浮かびあがってくるだろう(著者のことば)。

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  • 太平天国(一)
    5.0
    1~4巻660円 (税込)
    太平天国の興亡を描く傑作大河小説。15年にわたり清朝を震撼させた争乱の発端――アヘン戦争から7年後、小乱が続き匪賊が横行する、物情騒然たる中国で、洪秀全が頭角を現わしてきた。エホバを天父と仰ぎ、清朝を排して世直しをめざす、拝上帝会の創始者である。信仰と理想に燃えて広西省金田村に決起した一党は、多彩な勢力も併合して、遂に、太平天国という「国」を樹立するに到った。<全4巻>
  • 太平天国シリーズ全4冊合本版
    -
    太平天国の興亡を描く傑作大河小説。15年にわたり清朝を震撼させた争乱の発端ーーアヘン戦争から7年後、小乱が続き匪賊が横行する、物情騒然たる中国で、洪秀全が頭角を現わしてきた。エホバを天父と仰ぎ、清朝を排して世直しをめざす、拝上帝会の創始者である。信仰と理想に燃えて広西省金田村に決起した一党は、多彩な勢力も併合して、遂に、太平天国という「国」を樹立するに到った。 『太平天国(一)』『太平天国(二)』『太平天国(三)』『太平天国(四)』シリーズ4冊合本版
  • 大変だァ
    -
    腑甲斐ない男どもの多い中に、塙剛太氏は男だ。家では〈風呂。メシ。寝る。〉の三語で万事を済ませる関白亭主。ところが娘の友達の軟弱な男子学生を鍛えようとした闇鍋会で、放射能を浴び性転換を起した鶏を食べてしまったから、さあ大変。言葉優しく胸は少女のようにふくらみ始め……。男性の女性化、女性上位、学園紛争など、現代の世相をアイロニカルに諷刺した痛快ユーモア小説。

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  • 太陽黒点 山田風太郎ベストコレクション
    4.1
    ”誰カガ罰セラレネバナラヌ”――ある死刑囚が残した言葉が波紋となり、静かな狂気を育んでゆく。戦争が生んだ突飛な殺意と完璧な殺人。戦争を経験した山田風太郎だからこそ書けた奇跡の傑作ミステリ!
  • 太陽を這う
    -
    一枚の辞令が、エリート社員の人生をかえた。納得できぬ左遷に憤激した早見は、情報新聞に転職。復讐の鬼となって、配転の秘密を探る。暗躍する二人の謎めいた美女を追跡。早見は遂に、会社の致命的な秘密を握る――。大阪の鉄鋼業界を舞台に、巨大な資本力と一サラリーマンの欲望との激しい闘いを描いた、長編力作。
  • 平清盛
    -
    貴族政治の世に立ち向かい、保元・平治の乱に勝利をおさめ、武士として最初の太政大臣となり平氏の世の中を作り上げる……盛者必衰の道理の通り、栄華を極めそして滅び行く平清盛の生涯を描く。

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  • 高杉晋作 幕末・維新の風雲児
    完結
    2.0
    全1巻585円 (税込)
    [書籍版巻頭・巻末資料は電子版では未掲載です]長州藩(山口県)の武士の子として、江戸時代の終わりごろに生まれた高杉晋作は、幕末の動乱の中で、青春をはげしく燃やして、新しい時代を夢見ながら、その短い生涯を終えた。まんがで楽しく学べる一冊。
  • 滝沢馬琴(上)
    5.0
    滝沢馬琴の苛酷な生を描く吉川英治文学賞受賞作。「南総里見八犬伝」「椿説弓張月」等で名声を得た馬琴は、保守的で狷介な性格のため人と衝突することも多く、苦しい家計と病弱な家族の煩労も、一身に負っていた。
  • 滝田樗陰 『中央公論』名編集者の生涯
    -
    明治末から大正にかけて『中央公論』主幹を務めた滝田樗陰。低迷する雑誌に文芸欄を設け文壇の登竜門にまで押し上げ、吉野作造を起用して大正デモクラシーの時代を招来した、名編集者とその時代を描く。巻末に吉野ほか谷崎潤一郎、芥川龍之介、菊池寛、山本実彦による追憶記を収録。
  • 沢庵
    3.0
    「わしが死んでも墓をつくるな、経も読むな、伝記も書くな」と遺言して70余年の生涯を終えた沢庵宗彭…どこまでも「一僧侶」として生きることを貫いたが、当時は徳川幕府が権力を安定させようと仏教を管理した時代であり、その人生はまさに波瀾万丈だった。
  • タクシードライバーの推理日誌 生存する幽霊(電子復刻版)
    3.0
    元警視庁捜査一課の刑事で孫悟空タクシーの運転手・夜明日出夫は、世田谷で冬坂圭一郎・安紀子という老大婦を乗せ、群馬の温泉へ向かった。長道中、孫娘の車BMWが「バカ、ブタマン」と傷を付けられたことで不安に陥っていることなどを聞く。翌日、その孫娘志くらが奥多摩で絞殺されたことを知った夜明は、捜査一課のかつての後輩・東馬秀作と真相究明に乗り出すが――。会心の傑作長篇推理。

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  • 武四郎探検譚
    -
    動物文学の第一人者が、戦国・江戸時代の歴史的人物を描く、傑作短編7編。蝦夷地探検で名を残す幕末の探検家・松浦武四郎の大自然の中での行動を描いた表題作ほか、鉄砲伝来の種子島、織田信長、今川義元、武田勝頼など、ノンフィクション作家としても定評のある著者ならではの作品ばかり。
  • <武田信玄と戦国時代>悲喜こもごも 乱世を生きた武田の女たち
    -
    甲斐の虎・武田信玄の周囲には様々な女たちがいた。信玄を英雄に育て上げた母、薄幸な正室、はかなく露と消えた側室、溢れんばかりの愛を注いだ娘たち――激動の戦国乱世を生きた女たちの生涯から見えてくる、信玄の意外な一面とは?
  • <武田信玄と戦国時代>乱世を震わす咆哮 甲斐の猛虎武田信玄
    -
    甲斐の虎と呼ばれた名将・武田信玄。父・信虎を追放し権力を握ったとき、生涯続く戦いの日々が幕を開けた。立ちはだかるは、上杉謙信、北条氏康ら名将たち。風林火山の御旗を翻し信玄は戦場を駆ける! 乱世を震撼させた武田信玄の闘争の軌跡を追う!
  • 竹ノ御所鞠子
    3.3
    修善寺で討たれた鎌倉幕府二代将軍・源頼家の子として生まれた姫・鞠子。人里離れた竹ノ御所で母とともに慎ましくも安らかに暮らし、人がみとれるほどに匂やかで、涼やかな声の持ち主へと成長していく。 異母兄弟は政争に巻き込まれ、儚い命を散らすなか、鞠子は女であるがゆえに難を逃れたと思われた。しかし、尼御台政子から書状が届き、北条氏らが繰り広げる非情な権力抗争の波に弄ばされる。 悲運の姫の数奇な運命を描く歴史長篇。 〈解説〉末國善己
  • 他 殺 岬
    3.0
    美容界の大御所・環千之介は、ルポ・ライター天知昌二郎に、その過去を暴かれて自殺! その娘ユキヨも父の後を追い、足摺岬から投身自殺した。――天知の一人息子が誘拐され、犯人はユキヨの夫だと名乗る。天知が息子を取り戻すには、ユキヨの死が他殺だと証明するしかない! サスペンス・ミステリーの傑作!
  • たそがれやくざブルース
    3.0
    電柱の上の老婆は有線放送の女社長、商売敵のやくざに対抗して電線をすりかえる……。しみじみした人情話が奇想あふれるアイデアで展開する標題作はじめ、人工授精児、雷同嫌会の作曲家、吸血鬼にプロ野球の美少女投手などなど、井上ひさし小説ワールドの登場人物は奇妙奇天烈、抱腹絶倒。幻の大爆笑ナンセンス小説集!
  • ただいま浪人
    3.8
    東大受験に失敗した浪人の信也は、無気力で空虚な日常から脱出しようと、家出してスナックに勤める。一方、姉の真里子は、中年の男優との恋に悩みつつも、平凡な結婚に踏み切る。人生という学校に合格していない浪人たちが、生きることと生活することの違いを自覚していく過程を描いた感動的長編。
  • 谷捨蔵の憂鬱
    -
    京都の畳職人・谷捨蔵は、昔に比べると仕事がめっきり減ってしまった。近代化の波が、畳業界をも襲ったのである。しかもあと継ぎ息子は、畳なんかはもう前代の遺物だといって、家業をかえりみず、バンドにうつつをぬかしている。50年も畳一筋に生きてきた谷捨蔵の憂鬱は、深まるばかりである……。という表題作のほかに傑作8編を収録。
  • 他人の血
    4.0
    袋を足に鎌首もたげて、勝手に歩き出したイチモツは女の股間にもぐりこむ。驚愕と喜悦にうちふるえる女。オレの背筋を電流がはしる――口、指、へそ、足など肉体の一部が自在に変化して、主人公の秘めた熱い願いをかなえてくれるのだが……。奇想天外な発想と、巧みな語り口で展開する、セクシャル・ブラック・ユーモア。文句なく笑わせる傑作10編。
  • 田沼意次(上)
    -
    旗本の長男として生れた田沼意次は、大胆卒直な、器量すぐれた若者に育ち、将軍世子・家重の側小姓に登用される。19歳で家督を継ぎ、美しい妻を得、出世を重ねて、やり手の上司・大岡忠光にとり込まれてゆく。有能だが、特に強い後楯を持たない意次は、進歩的な能吏として、どのようにして幕閣の迷路を生き抜いてゆくのか。田沼意次の生涯を描いた大作、全3巻。
  • 旅鴉(たびがらす)
    -
    「上州無宿の、石神の伊八郎って野郎を叩っ斬ってくれ」一宿一飯の恩義のある親分の頼みで、羽黒(はぐろ)の源太、別所の弁蔵の二人は中仙道の旅に出た。親分のひとり娘お光(みつ)が、伊八郎に手籠(てご)めにされ、連れ去られたのだという。……事件の意外な展開と、意表を衝(つ)く結末。虚無的で孤独な旅鴉たちを、綿密な時代考証と推理小説的手法で、みごとに描く傑作股旅(またたび)小説集。(『血しぶきに煙る信州路』改題)
  • 旅に出る理由
    NEW
    -
    「孤独に向かう旅」「道標に出会う旅」「情に触れる旅」――あなたは、いつ心の旅に出ますか? 出発準備の心構えや時差ボケの対処法など、旅に出る前のこと・旅で記憶したこと・旅から帰って考えたことを綴った、直木賞作家による旅にまつわる至高のエッセイ。
  • 旅人 国定龍次(上) ――山田風太郎幕末小説集
    4.5
    喧嘩っ早い国定龍次は栄五郎親分の制止も聞かず、天狗党の隊士を叩っ切る。そこで出会った腹違いの兄千乗坊から、父親が国定忠治だと聞かされ勇気百倍、父の形見長脇差小松五郎を携え、渡世人修行に出る。お目付け役としてあとを追うのは親分の娘で恋仲のおりん。江戸の新門辰五郎、黒駒の勝蔵らに仁義をきるが……。
  • 玉川兄弟(上)
    -
    江戸は飲み水に不自由な土地であった。町の発展ひいては幕府の威令をいきわたらせるため、多摩川の水を江戸に曳くという壮大な計画が生れた。多摩川上流に生をうけた土木業者、枡屋庄右衛門・清右衛門兄弟は、目先の利益を排して見事入札に成功、数多の困難に立ち向う。若い兄弟の不屈の闘いをえがく歴史巨篇。玉川上水開墾に雄々しく立ち向かう若い兄弟の物語。
  • 玉椿物語
    -
    近江の名門の家柄に生れながら、北辺の小国、若狭の武田元明に嫁いだ京極竜は、白玉椿にも比すべき匂うような美貌の持主であった。元明との生活は幸せだったが、しかし、群雄にはさまれた武田家の衰運はおおうべくもなく、ついには居城も領国も失った夫に従い、敵国の越前へ流浪する身となる……。若狭武田が亡び、一乗谷が落城する干戈騒乱の世に、愛といくさの怒濤を描く雄編。
  • 多聞天踏魔像
    -
    1巻550円 (税込)
    芦屋にある酒造元・桜井家は中国美術品の蒐集で高名である。美術品リスト『桜獅子名品帖』のなかでも、敦煌莫高窟からもたらされた『多聞天踏魔像』は逸品として知られていた。敦煌には千仏洞がある。そこの鳴沙山の崖面に四百九十以上の石窟寺院のあとがあり、それらは、美しい壁画で四方の壁および天井が飾られている。壁画と塑像のほかに、敦煌には世界の宝ともいうべきものがあった。数万巻におよぶ仏典、史書、典籍、仏画、いわゆる敦煌に花咲いた文明が封じこめられていたのだ。そして『多聞天踏魔像』も。封じ込められた文明は九百年近くも、とり出されなかったのだ。
  • 第三の陰武者 1巻
    完結
    -
    全2巻440円 (税込)
    小さな野心と偶然の出会いが運命の激変をもたらす―。三田谷城城主・池本安高の身替わりの御役目を受け、戦国乱世を影武者として生きることとなった二宮杏之助。その数奇な運命を描く、驚愕の残酷時代劇!!
  • 第三の浪士(上)(電子復刻版)
    -
    慶応四(明治元)年、鳥羽伏見の戦いに参陣し、敗れた桑名藩は藩主が江戸滞在中に降伏してしまう。人間の節義に生きる吉村杏四郎、硬骨漢大谷大作、梅沢保介ら三人の藩士は降伏の藩論に抗して徹底抗戦を叫び江戸へ走った。その前夜、保介の許婚加代の父理兵衛が何者かに殺害され、骸のかたわらには杏四郎の印籠が残されていた。杏四郎を父の仇と狙う加代は、町娘お琴とともに江戸へ向った。時代小説巨篇。

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  • 大南営
    NEW
    -
    現代人にも潜むある殺意 〈大南営〉中国清朝、甲午光緒二十年(明治二十七年)九月半ば。中国遼東の沙原の真中に島のように浮かんで見える台地に、清朝の兵営「大南営」はあった。かつてここに二万の軍兵がいたころは、さぞ騒々しかったことだろう。しかし、豊申亜将軍が師を率いて、日本軍と戦うために朝鮮へ出征したのち、大南営は空になってしまった。かつて兵隊で満ちた営舎は二百五十棟も並んでいるが、まるで草木のように声もなかった。 元長官司の王界は、後輩の顔基の要望で、砂塵と汗にまみれながら、かなりの強行軍で「大南営」を訪れたのだ。そこには顔基の同期生・劉応東も駐在していた。王界が大南営を訪れたその夜、劉応東は死体で発見されたのだ。 壁に貼られた中国詩人・王維の「空山不見人(空山人ヲ見ズ) 但聞人語響(但聞ク人語ノ響キ)」は何を語るのか。 どんなことがあっても立身出世をしてやろうと、一途に精励した男の前に立ちはだかったものは何か? ■好評配信! 尚文社版「電子書籍」 陳舜臣 歴史推理『方壺園』『アルバムより』『梨の花』ほか。

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  • <伊達政宗と戦国時代>奥羽を震わす精強! 独眼竜を支えた伊達家臣団
    -
    その若さと野心故、たびたび激情に駆られた行動をとる政宗に対し、ある時は勇猛果敢、またある時は冷静沈着な態度で応えた忠臣たち。彼らに支えられながら、政宗は名君へと成長を遂げた。政宗の手足となって勢力拡大に尽力した伊達家臣団の猛者たちを紹介!
  • <伊達政宗と戦国時代>鬼女か慈母か 母・義姫の政宗への愛憎
    -
    伊達政宗の母・義姫は“奥羽の鬼姫”と呼ばれた豪胆な人物であった。また、政宗の弟・小次郎への偏愛で知られ、政宗暗殺すら企図していたとも言われている。しかし、彼女の生涯から浮かび上がってくるのは、生家と婚家の間で揺れるひとりの女性の姿だった。
  • <伊達政宗と戦国時代>時代を見極めた眼力 奥羽の独眼竜伊達政宗
    -
    烈火のごとき勢いで奥羽を席巻し、独眼竜と恐れられた伊達政宗。戦国の世から太平の世へと変化する時代の潮目を見極め、仙台藩の礎を築いた男の生涯とは? 母との確執、若き日の激しい抗争、天下人たちとの対峙――豪胆にして繊細な政宗の人物像に迫る!
  • <伊達政宗と戦国時代>天下を夢見た独眼竜 伊達政宗と関東進出の野望
    -
    当主就任からわずか五年のうちに奥羽の半分を手中に収めた伊達政宗。その視線は既に関東へと向けられていた。野望に胸を膨らませる政宗であったが、その眼前に天下人・豊臣秀吉が立ちはだかるのだった。政宗の戦いの日々と、野望の行末を活写する!
  • <伊達政宗と戦国時代>独眼竜の懐刀 伊達政宗と三人の宿将
    -
    弱冠一八歳での家督相続、奥州での激しい抗争、秀吉と家康という二人の天下人との対峙。幾度もの危機に襲われた政宗を支えたのは智勇に優れた忠臣たちであった。今回は、特に活躍の目覚ましかった片倉景綱・重長父子、伊達成実の三人の宿将を紹介する!
  • <伊達政宗と戦国時代>政宗に将器を見出す 伊達輝宗が託した悲願
    -
    戦国乱世の真っ只中で伊達家当主となった輝宗は外敵との抗争に奔走するものの、鎌倉以来の名門の威光は次第に陰りつつあった。心やすまらぬ日々の中、輝宗は長男・政宗に非凡な将器を見出し、家督を譲る決断をする。政宗に託した輝宗の悲願とは?
  • 達磨峠の事件〈補遺篇〉~山田風太郎ミステリー傑作選10~
    3.0
    本書には、著者のデビュー作である「達磨峠の事件」の他、様々な中・短編ミステリーを収録した。懸賞小説に応募して当選した作品や、ショート・コントの傑作。さらには、「青春探偵団」や「笑う肉仮面」の原型ともいうべき「青雲寮の秘密」と「肉仮面」。戦前・戦後の世相を背景にしながら、次々と発表した作品の数々。風太郎ミステリーワールド堂々の最終巻!
  • 誰にも出来る殺人
    -
    安アパート「人間荘」は、1階に7部屋、2階に9部屋があって、それぞれに人間離れした住人が住んでいる。12号室の住人は変わるたびに、人間荘で起きた殺人事件を、黒い表紙のノートに書き遺して……。そのノートが暴く5つの連続殺人と、その円環を閉じる最後の殺人の物語で、「新本格」の先駆けとなるような奇想に満ちた大傑作。
  • 誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション
    4.1
    「人間荘」に越してきた私が押入れの奥から見つけた1冊のノート。そこには歴代の住人たちの哀しくも恐ろしい人生の記録が記されていた──。(「誰にも出来る殺人」)彼女のため殺人まで犯すほど恋い続けた女性を失った。絶望した男は、残された金で半年ごとに異なる6人の女との情事を愉しみ、死のうと決めるが……。(「棺の中の悦楽」)人間の欲望を見事にえぐり出したノワール・ミステリの傑作!
  • 誰もが信じられない(電子復刻版)
    -
    「お前の母親は、実は殺されたのだ……」今はの際の祖父の口から、思いもかけぬ真相が告白されようとした途端、体の不自由な美津子は、父と継母と夫によって、車椅子ごと室外へ連れ出されてしまった。その夜を境に、16年前の謎が、大手観光会社を経営する一家に、不信の渦を巻き起こし、惨劇を生み出して行く……。男と女が、そして親と子が織りなす愛と憎しみを剔抉したサスペンス・ミステリー。

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  • 断崖の愛人
    -
    不倫と言われても、由布子にとって井ノ口は望んで得た愛人関係だった。だが、不幸は突然訪れた。二人の仲を裂きに現われた井ノ口の母親が、由布子と会った直後、何者かによってマンション屋上から突き落とされたのだ。罠だ――と直感した由布子は、井ノ口とともに沖縄へ愛の逃避行を。だが行く手には第二の殺人事件が待っていた…! 断崖に立つ男と女の道行きを、抒情豊かに描き出す著者渾身の傑作推理巨編!

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  • 男性週期律〈セックス&ナンセンス篇〉~山田風太郎ミステリー傑作選7~
    3.0
    5人の医学生によって結成する「刺絡会」が、とんでもないことを始めた。男の性欲にも、ある一定の周期があるはずだ。この仮説を証明するため、3年間、交合と手淫を禁じ、自然に夢精する回数を調べるという。このバカバカしくも涙ぐましい実験の結末は……?(表題作)人間というものの悲しき限界を、荒唐無稽な発想で描く。SF的味わいのある17篇収録
  • 築城秘話
    2.0
    信長の安土城、秀吉の大坂城、家康の江戸城…。武将たちはそれぞれの城にどのような夢と野望を賭けたのか。それらの城は、いかなる計算と技術と努力のうえに築かれたのだろうか。荘厳華麗な数々の名城の裏に秘められた生々しい人間ドラマを掘り起こし、近世日本人の雄大なロマンを現代に蘇らせる、渾心の力作。

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  • 血染めの旅籠 月影兵庫ミステリ傑作選
    -
    徳川11代将軍家斉の時代。時の老中・松平伊豆守信明を伯父にもつ、明朗で人懐っこい青年剣士・月影兵庫。彼は伯父の秘命を帯びた道中や、相棒の安との旅路で様々な事件に遭遇する。その度に、兵庫は鋭い洞察と上段霞切りを始めとした武芸を駆使し、解決していく。大雨で足止めを食らった人々が滞在する旅籠で、殺人が起こる「血染めの旅籠」。盗賊が豪商から盗み出した千両箱の在処を探す「偉いお奉行さま」。行方不明になっていた村で評判の美人が4年ぶりに帰還。それを機に奇怪な殺人が起きる「帰ってきた小町娘」など、傑作17編を収録する。/【収録作】「上段霞切り」/「通り魔嫌疑」/「血染めの旅籠」/「首のない死体」/「大名の失踪」/「二百両嫌疑」/「森の中の男」/「偉いお奉行さま」/「帰ってきた小町娘」/「掏摸にもすれないものがある」/「私は誰の子でしょう」/「鬼の眼に涙があった」/「乱れた家の乱れた話」/「ただ程高いものはない」/「理窟っぽい辻斬り」/「殺したのは私じゃない」/「殺しの方法は色々ある」/編者解説=末國善己
  • 父親
    3.8
    不倫の恋におちた娘と、娘の恋愛により深く傷つく「父親」という孤独で哀れな存在を、切々と描きつくす恋愛大作。スタイリストの仕事に打込む純子は、妻子ある青年実業家の強引な情熱に動かされ、道ならぬ恋におちた。新製品開発競争で苦境に立つ化粧品会社重役の父・菊次の、複雑な思いを絡めて描く傑作長編。
  • 父親 上
    3.0
    1~2巻440円 (税込)
    石井菊次は56歳。化粧品会社の宣伝と商品開発の担当部長。妻と二人の子供がいる。だが、平穏無事な生活とはこんなに脆いものなのか。スタイリストの仕事に生きがいを持つ娘の純子が、妻子と別居中の青年実業家・宗と道ならぬ恋におちた。娘の平凡な結婚を願う菊次は、宗の妻が初恋の人の娘であることを知り、複雑な思いに悩む。話題作の上巻。
  • 父と暮せば
    4.4
    「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」愛する者たちを原爆で失った美津江は、一人だけ生き残った負い目から、恋のときめきからも身を引こうとする。そんな娘を思いやるあまり「恋の応援団長」をかってでて励ます父・竹造は、実はもはやこの世の人ではない――。「わしの分まで生きてちょんだいよォー」父の願いが、ついに底なしの絶望から娘をよみがえらせる、魂の再生の物語。
  • 知的冒険のすすめ
    -
    他人の意見を丸暗記するのではなく、自分の意見を周到な情報処理の後、口にする知的勇気を持たなければならない現代。肉体的な経験だけではなく、手間暇かけて勉強し積極的に行動・発言する知的冒険の意義を開陳する。
  • 血の砂丘
    -
    能代(のしろ)三香子は、別れた夫船津久彦が溺愛する娘千秋を、復讐のため誘拐した。三香子は交通事故を理由に離婚されたが、これは久彦が愛人と結婚するための罠だったのだ。ところが、何者かが娘を逆誘拐!? 三香子は現在の愛人・別所攻次郎とともに、娘の行方を追ったが……。二重誘拐という斬新な状況設定のなかで展開する、本格ミステリーの白眉(はくび)!
  • 地の果ての獄(上)
    2.0
    1~2巻495円 (税込)
    明治十九年秋、薩摩出身の有馬四郎助が看守として赴任した北海道月形の樺戸集治監。石狩川のほとりにあるこの監獄は、十二年以上の受刑者ばかりを集めた、まさに悪党どもが年貢を納めるにふさわしい地の果ての牢獄だった。正義感あふれる青年看守がそこで見た奇怪な事件と、牢屋小僧、五寸釘の寅吉といった受刑者たちの数奇な過去の数々。使い捨ての労働力として受刑者を使役し、道路建設や炭鉱開発にあたった薩長閥政府の功罪を抉り、北海道開拓の裏面史を描いた歴史長篇。
  • 地の果ての獄 上 山田風太郎ベストコレクション
    4.0
    明治19年、薩摩出身の有馬四郎助が看守として赴任した北海道・樺戸集治監は、12年以上の受刑者ばかりを集めた、まさに地の果ての獄だった。監獄で次々と起こる奇怪な事件に巻き込まれた四郎助が目にしたものとは
  • 地の果ての獄 山田風太郎ベストコレクション【上下 合本版】
    -
    北海道が一般の人にとって地の果ての島だった明治19年。薩摩出身の青年、有馬四郎助は月形の樺戸集治監の看守に着任した。そこは刑期12年以上の凶徒を集めた人間の運命の吹きだまりであった。正義感あふれる四郎助は、個性的な囚人たちが起こす奇怪な事件に厳しく対しようとする。だが、元与力のキリスト教教誨師・原胤昭との出会いがその運命を変え始め……。明治に生きる人々の姿をつぶさに拾い上げた圧巻の人間ドラマ。 ※本電子書籍は、角川文庫版『地の果ての獄』上下巻を一冊にまとめた合本版です。
  • 知謀の虎――猛将加藤清正
    -
    「天下の英雄」か「侵略の鬼」か…秀吉の朝鮮出兵で名を上げた猛将・加藤清正は、日韓でまったく正反対の評価を下され、様々な伝説に彩られている。ところが、その素顔は合理主義で理財家、しかも世渡り上手。猛将とはおよそかけ離れたものだった。日・中・韓の資料を駆使し、清正伝説の虚実を抉る歴史大作!

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  • 血槍三代 青春編
    -
    三河刈屋の城主の嫡男・水野藤十郎勝成は、鉄砲の名手・孫六と城を出奔、戦乱の京へと向った。石田三成、舞女・お国ら多彩な人物と関わり合う中で、不思議な老人の片鎌の槍を貰い受けたことから、数奇な運命の糸に絡まれ、漂白の旅が始まる……。おのれの腕と力量を頼りに、戦国山野を逞しく生きる豪放無頼の青春を描く異色時代小説。
  • 中国五千年(上)
    3.0
    1~2巻712円 (税込)
    歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある。どのような人物が王朝をたて、どう政治をしたか。有徳と暴虐の交替、文化の差が政権を変える有様を、明快平易に語る史書。三皇五帝の神話時代から、祭政一致の神意国家、地方分権の封建制社会、秦の始皇帝による天下統一。再びの動乱、隋による再統一まで。<上下巻>
  • 中国五千年 上下巻合本版
    -
    歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある。どのような人物が王朝をたて、どう政治をしたか。有徳と暴虐の交替、文化の差が政権を変える有様を、明快平易に語る史書。三皇五帝の神話時代から、祭政一致の神意国家、地方分権の封建制社会、秦の始皇帝による天下統一。再びの動乱、隋による再統一まで。 『中国五千年(上)』『中国五千年(下)』上下巻合本版
  • 中国詩人伝
    3.5
    日本人にも親しまれている中国詩の巨星たち。最初の詩人・屈原から、中国革命の星・魯迅まで、明快に面白く描く詩人伝の決定版。熱気と自省、真情溢れる詩魂を語る――中国最初の詩人・屈原(くつげん)から、中国革命の星・魯迅(ろじん)まで、日本でも親しまれている中国詩の巨星たちの、詩と人生を語る名著。深い考察を、平明に面白く伝える著者の筆から、鮮やかに立ち現れる詩人たちの姿と心。激動の中国史に燦然と輝く詩魂が、現代の日本人の胸にひびく、詩人伝の決定版。李庚(りこう)が描く肖像画入り。
  • 中国の歴史 近・現代篇(一)
    5.0
    列強の蚕食に苦しむ清国では、甲午の役(日清戦争)の敗戦で不満が爆発。保皇派の康有為は公車上書を著し、立憲君主制を提唱する。義和団事変で8ヵ国連合軍が紫禁城に乱入し、権勢を誇った西太后も光緒帝(こうしょてい)と西安に逃れた。王朝打倒を目指す孫文ら若き革命家たちは集結を始める。中国近代史の精華〈全二巻〉。
  • 中国の歴史シリーズ 近・現代篇 全2冊合本版
    -
    列強の蚕食に苦しむ清国では、甲午の役(日清戦争)の敗戦で不満が爆発。保皇派の康有為は公車上書を著し、立憲君主制を提唱する。義和団事変で8ヵ国連合軍が紫禁城に乱入し、権勢を誇った西太后も光緒帝(こうしょてい)と西安に逃れた。王朝打倒を目指す孫文ら若き革命家たちは集結を始める。 『中国の歴史シリーズ 近・現代篇(一)』『中国の歴史シリーズ 近・現代篇(二)』 全2冊合本版
  • 中国の歴史シリーズ全7冊合本版
    -
    中国の歴史は奥深い。三皇五帝の時代から夏・殷へ、そして孔子や老子など諸子百家が輩出した群雄割拠の春秋戦国時代へ、数多の英雄が登場し、やがて消え去る。――覇権を争い、権謀術数の渦巻く滔々たる時の流れを、豊かな史料から考察し、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。 『中国の歴史(一)』『中国の歴史(二)』『中国の歴史(三)』『中国の歴史(四)』『中国の歴史(五)』『中国の歴史(六)』『中国の歴史(七)』全7冊合本版
  • 中国発掘物語
    -
    1~2巻660円 (税込)
    北京原人化石、殷墟発見など地中の夢を探る――北京原人、50万年前のヒト。第二次大戦時、その「遺骨」はどこへ消えたのか? ついに実在が証明された殷王朝、ではその前の夏王朝は? 20世紀に入り、中国では次々と新しい遺跡が発見され、発掘された。奴隷王朝の実態、青銅時代の流転、さまざまな墓陵の謎……。地中からの歴史の響きを詳細にさぐる。
  • 中国歴史の旅 三千年の舞台を訪ねる珠玉紀行
    -
    1巻1,048円 (税込)
    著者は中国の古典、歴史書などの博学な知識そして人間への滋味豊かな洞察力をもって、中国三千年の歴史を明らかにしてきた。鑑真和上の日本渡航の足跡、上海、福建の鄭成功の遺跡、上海の魯迅故居への訪問など陳舜臣の思いは熱い。中国理解に最適な歴史紀行文学。

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  • 長安の夢
    -
    長安の春秋、唐代の人間模様。夢結ぶ花の都、ローマと並ぶ最大の都の全容。華やぐ長安。さんざめく最大の都! ――長安には、春がふさわしい。漢の時代から、長安は、はなやいだみやこであった。そして唐代には、ローマと並ぶ最大の都だった……。日本にも馴染の深い白居易、李白、杜甫、王維らの詩眼を通して、いにしえの夢のみやこの全容を浮きぼりにする。「西域巡礼」「三蔵法師の道」を併録し、シルクロード、天竺への道をも紹介。
  • 張騫 ~シルクロード人物物語 匈奴討滅に月氏と同盟を謀る
    -
    「騫、人と為り強力なり。寛大にして人を信ず。蛮夷もこれを愛す」史記の作者司馬遷は、張騫のことをこのように評している。張騫の西域旅行は、使者に指名されたのではなく、みずから志願してのことだった。志願して、それが許されたのは「頼もしげな男である」と武帝はふだんから見ていたのであろう。

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  • 長勝院の萩(上)
    5.0
    今川氏の質子として忍苦の青春を送る松平元信(家康)は、流芸人おちいの翳りある美貌に魅せられる。桶狭間の戦を機に家康は独立を果し、おちいはお万の方とよばれる側室に。だが、そこには正室築山殿との凄絶な女の戦が待っていた……。家康の愛妾お万の愛と性の修羅を濃密艶冶に描く長編力作。
  • 中国の歴史(一)
    4.4
    1~7巻1,012~1,100円 (税込)
    中国の歴史は奥深い。三皇五帝の時代から夏・殷へ、そして孔子や老子など諸子百家が輩出した群雄割拠の春秋戦国時代へ、数多の英雄が登場し、やがて消え去る。――覇権を争い、権謀術数の渦巻く滔々たる時の流れを、豊かな史料から考察し、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。<全7巻>
  • 鎮西八郎為朝(上)火の巻(電子復刻版)
    -
    六条判官源為義の八男為朝は、京での狼藉を権臣藤原信頼にとがめられ、大宰府へ放逐された。しかし為朝を迎える大宰府も大弐藤原実正の悪政に民衆は飢え、豪族たちの思惑渦巻く戦乱の地であった。阿曾忠国父娘の窮状を救い、阿蘇に招かれた為朝は、やがて九州を平定すべく、鎮西八郎として軍を起こし、ついには大宰府までを鎮圧したが……。一代の豪弓為朝の炎の生涯を描く名作歴史大作。

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  • 沈黙
    4.4
    島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい日本に潜入したポルトガル人司祭ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、〈神の沈黙〉という永遠の主題に切実な問いを投げかける長編。

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  • 沈黙の追跡者〈新装版〉
    4.0
    大手観光会社社長の自家用機のお抱えパイロットをしている朝日奈順は、 九州から東京に一人で戻る途中、燃料洩れのため、海上に墜落してしまう。 運良く離島の漁師に救われ、助かるが、事故のショックから失語症になってしまった。 一カ月後、東京に戻った朝日奈は、衝撃の事実を知る。 すでに死亡届が出されており、 しかも同乗していなかったはずの社長が墜落死したことになっていた。 暗殺計画 近づく三人の女。 そこに隠された真実。 傑作サスペンス。 第一章  背を向けられた男 第二章  笑わない女 第三章  女たちの告白 第四章  影の気配 第五章  空と海に燃ゆ
  • 珍訳聖書
    -
    花の浅草ドッグ座の犬芝居、人気ストリッパーのマリアの発作は何と狂犬病。弟の刑事犬も、医学博士犬も真っ青で感染経路の大捜査が始まった。ところが実はこの芝居、南方帰還兵が仕組んだ恐怖の復讐劇だったのでありました。と思ったら、またまた逆転、実は……。エロと笑いと風刺満載の逆転につぐ大逆転劇。この世の真実はどこにある。浅草の救世主はどこにいる。
  • 津軽空想旅行
    値引きあり
    -
    死者に近い土地=津軽に生まれ育った著者が、津軽民謡、津軽三味線、あすなろの木、イタコ等、津軽の風土とそこに生活している人間のかかわりあいを心やさしいユーモアでとらえた初の随筆集。名もなく貧しいままに、生まれ死んでいく無告の民衆の〈歴史〉は、画一化の波に洗われている現代日本が失ったもの、大切にしなくてはいけないものとは何かを考えさせる。
  • 月影兵庫 一殺多生剣
    -
    愛妻桔梗の死……孤独に耐えて数年。旅をつづける兵庫は、古河の城下で、元スリの“合点の安”と出会い、旅の伴とする。一殺多生の剣光が、東北の地で繚乱! 兵庫の強靱な肉体が、女と剣の修羅場をくぐり抜けた!
  • 月影兵庫 極意飛竜剣
    -
    老中松平信明の嫡子信安が惨殺された。木挽町の下屋敷で兵庫を待っているところを襲われたのだ。犯人の追及に乗り出した兵庫は、片腕の男が事件の鍵を握っていることを知る。秘剣颯爽、シリーズ第二弾!(『片腕の男』改題)
  • 月影兵庫 上段霞切り
    -
    格式ばった生活を嫌い、気ままな素浪人をつづける月影兵庫。義理の伯父・松平伊豆守信明の屋敷から消えた京洛随一の美女・綾姫の行方を追って東海道の冒険道中へ……。時代小説に本格的推理を織り込んだ傑作長編!
  • 月影兵庫 秘剣縦横
    -
    気ままな暮らしに未練を残しつつ、桔梗と所帯をもった兵庫は、十剣無統流の道場を開く。入門者が増え、生活も安定したころ、昔すりだった女に惚れた同心の門弟が惨殺された! 快調シリーズ第三弾!
  • 月影兵庫 独り旅
    -
    惚れた女と一緒になって、道場を開いた兵庫。だが、恋女房の桔梗は流産し、あっけなく死んでしまう。無常を感じた兵庫は、道場をたたんで飄然と旅に出た。そこで待ち受けるものは……? 剣と愛欲の道中記!
  • 月影兵庫 放浪帖
    -
    東北から北陸、そして関東へ、兵庫と安の旅は続く。各地で起こる難事件を推理と剣の冴えで切りぬけ、兵庫は江戸へ! そこに待っていたのは例のごとくの“女人禍”であった。剣難と女難! 月影兵庫シリーズ最終巻。
  • 月なきみそらの天坊一座
    -
    終戦直後の荒廃した時代に生きる田舎廻りの奇術師旭日斎天坊と内妻のお浜、摩訶不思議な世界に魅せられて弟子になった孤児浩志。格は三流でも芸は一流、食っていくためには人を騙しもするが、人のためとあれば自慢の術を惜し気もなく役立てる。その日暮しの根なし草でも、そこは商売、機知とトリックで途を拓いていく三人の、心温まる人情とユーモアと笑いと涙の物語。
  • 月迷宮
    -
    1巻1,650円 (税込)
    「…月夜の晩に、ピエロどの、文が書きたや、筆貸しゃれ…」 夜半に目覚めると仲秋の月が明るかった。11階から見おろす公園は彼には故郷。月ののぼる時、彼は母をまざまざと感じる。「月迷宮」他、赤江美学溢れる10編を収めた短篇集。
  • 対馬丸
    4.5
    戦局傾いた昭和一九年八月、沖縄から本土に向かった学童疎開船「対馬丸」はアメリカ潜水艦の魚雷攻撃を受け、深夜の海に沈んだ。乗船者一六六一名、うち学童八〇〇余名。生き残った学童は五〇余名に過ぎなかった。戦争完遂のため、次代を背負う若き国民を護るため、という大義名分のもと、国策として実施された疎開事業における最大の悲劇である。その歴史的全貌を伝える名著。(解説・佐藤優/作家・元外務省主任分析官)
  • 土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―
    4.0
    著者は少年の頃、京都の禅寺で精進料理のつくり方を教えられた。畑で育てた季節の野菜を材料にして心のこもった惣菜をつくる――本書は、そうした昔の体験をもとに、著者自らが包丁を持ち、一年にわたって様様な料理を工夫してみせた、貴重なクッキング・ブックである。と同時に、香ばしい土の匂いを忘れてしまった日本人の食生活の荒廃を悲しむ、異色の味覚エッセーでもある――。 ※新潮文庫に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
  • 角笛を吹けど 密告者に復讐
    -
    香港の出版社大啓書局に奇妙な依頼と原稿が届いた。原稿は戦争末期の上海での地下工作員の逮捕に関する記事で、依頼は記事のタイトルを表紙に刷り香港、台湾で広告してほしいとあり、三百香港ドルの小切手が添えられてあった。大啓書局は依頼に応じた。その結果……。

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  • 妻を怖れる剣士
    -
    江戸での御前試合のため、沼田藩から五人の若い剣士が旅立った。試合は好首尾に終わったが、剣士たちは華の吉原でおいらん遊びの楽しさを知ってしまう。「我が城下にも小吉原を!」の要求で、藩内に奥方連も巻き込んだ騒動が起こって……。強いばかりが剣豪ではない。表題作など、血のかよった九人の剣士たちのほほえましい人間性に迫る異色の傑作剣士小説集!
  • 剣の舞(電子復刻版)
    -
    生来の気性なのか、あまりの粗暴さゆえに鬼夜叉と綽名された少年夜叉丸は、ある一件から悪徳代官に反逆したために伊豆大島を追われ出ることになった……。元服を機に伊藤弥五郎景久と名を改めたのち、募る剣の求道心のまま、鐘巻自斎門下で修業。一刀流の根本理念を見出したが、自斎の卑怯な闇討ちに遭い、師弟の縁を絶つ――。一切を払捨し一刀斎と名乗った弥五郎は相馬原の野末の彼方に去る。

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  • 鶴の来る町
    -
    南国・薩摩半島の農家に生まれ、枕崎のあいまい屋で働いているかね子は、一度だけ男にだまされたことがあった。それ以来、男に気を許すまいと誓っていたのに、蜂飼い男の刀祢吉が店に現われたとき、ふしぎな心の動揺を感じた。刀祢吉は、妻に先立たれ、まだ幼い一人娘をかかえた、風采のあがらない男だった。なぜ馬ヅラの蜂飼い男に惹かれるのか、かね子自身にもわからなかった。まして、それが悲しい運命の序章になるとは、夢にも思わなかった。……この作品は、貧しく世間知らずの二つの魂が、幸せを求めてのたうつ姿を、社会性のある眼で捉えた、美しい心の歌である。
  • つわものの賦
    4.6
    2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の時代、 鎌倉武士たちのリアルな姿を描き出した面白さ抜群の傑作歴史評伝。 「ここで私は、大小いくつかの作品で扱ってきた鎌倉時代に対する一つの決算書を書いた。」(あとがきより) 『炎環』『北条政子』で鎌倉幕府成立の時代を小説として描いた後も、 『吾妻鏡』を何度も読み返し、この時代を【大きな変革の時代】として位置付けてきた永井路子氏。 その盛り上がりの中核にあるのは、外からの力でも、源頼朝個人の挙兵ではなく、 東国武士団の行動として捉えた時、歴史的な意義が明確に見えてくる。 本書は、永井氏が鎌倉時代を扱った一連の小説の原点であり、帰結でもある。 序章  嵐の中への出発   治承四年八月 第一章 中世宣言      三浦義明の場合 第二章 空白の意味するもの 上総広常の場合 第三章 功名手柄      熊谷直実の場合 第四章 東国ピラミッド   源平合戦の意味 第五章 「忠誠」の組織者  梶原景時の場合 第六章 大天狗論      東国対西国 第七章 奥州国家の落日   征夷大将軍とは何か 第八章 裾野で何が起ったか 曽我の仇討ちにひそむもの 第九章 血ぬられた鎌倉   比企の乱をめぐって 第十章 雪の日の惨劇    三浦義村の場合 第十一章 承久の嵐     北条義時の場合 あとがき ※この電子書籍は一九八三年七月に文藝春秋より刊行された文庫版を底本としています。
  • 抵抗の新聞人 桐生悠々
    4.5
    社説「関東防空大演習を嗤ふ」で軍部を激しく怒らせた桐生悠々.明治末から日米開戦前夜まで,『信濃毎日』『新愛知』の主筆として,また個人雑誌『他山の石』の発行人として,反戦と不正追及の姿勢を貫いた烈々たる生涯を時代の変転のなかに描き切る.五男による回想「私にとっての〈親子関係〉」も収録.[解説=青木理]

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  • 提督・米内光政の生涯(上)
    -
    根っからの海軍軍人でありながら、動乱の昭和史のなかで、父の放蕩で苦労をなめながら、耐える強さで、心ならずも政治家となった米内光政。海軍大臣、内閣総理大臣の要職を歴任するあいだ、彼は盛岡に生まれた東北人らしい寡黙とねばりとで、あまたの難題に立ち向かう。まさに激流でひとつ踏みとどまる舟であった。昭和史の偏した流れをくいとめるために一身を投げ出す良識派軍人の生涯を、豊富な資料と取材で描いた評伝小説。
  • 手鎖心中
    4.0
    材木問屋の若旦那、栄次郎ときたら、いずれ大店を継ぐ安楽な身の上のくせに、他人を笑わせ、他人に笑われ、ちょっぴり奉られもしたいがために、絵草紙の作者になりたいと思い焦がれている。悲しいかな、その才能は皆無なのだが、それを知らぬは本人ばかり。暢気でお調子者の若旦那を主人公としたこの小説、江戸・寛政期の風俗と実在の戯作者たち、洒落や地口を綺羅星のごとくちりばめて、あまりのばかばかしさに読者が吹きださずにはいられない、第六十七回直木賞受賞作の傑作時代小説。
  • 鉄の首枷 小西行長伝
    4.0
    堺の名家に生まれ、豊臣秀吉に取り立てられ、関ヶ原合戦で敗れて刑死した、キリシタン大名小西行長にはめられていた“鉄の首枷”とは。無謀な朝鮮侵攻において秀吉を裏切り、同僚加藤清正を落とし入れてまで和平工作を重ねた行長の、面従腹背の生涯の謎に迫る傑作。

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  • テレーズ デスケルウ
    -
    テレーズの夫毒殺未遂事件は、家の体面をなによりも大事に考える家族の、いつわりの供述書によって免訴になるが……帰宅したテレーズはいわば幽閉状態を強いられて、絶望的な孤独をかみしめる。はたして私はほんとうに「殺し」を意図したのだろうか? 均整美をそなえたフランス20世紀文学の代表的古典。

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  • 天空の詩人 李白
    3.0
    1巻1,562円 (税込)
    絶筆となった評論エッセイ「天空の詩人 李白」と、作家として忙しい日々を過ごしていた頃のほぼ未発表の詩集「澄懐集」を合わせ、漢詩という切り口で作家・陳舜臣を再発見できる一冊です。

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