単なるハウツー本とは一線を画し、非常におもしろかった。
今村氏の言う通り、作家に限らず、全ビジネスパーソンに通ずる内容であった。
この本はタイトルにあるように、執筆して本を作って売り、生計を立てていくためのものである。
甘いことは一切書かれておらず、極めて現実的で、作家として生き残っていくための、再現性の高い内容がおさめられている。
あまりにも読みやすかったため、購入してすぐに読み終わった。
目次の大枠は次の通り。
第一章
作家になる方法
第二章
作家で食っていく方法
第三章
売れる小説を書く方法
第四章
これから生き残る方法
読み終えて、特に印象に残ったのが次の3つだ。
①圧倒的な量を強調
作家で食べていきたいのであれば、読書量がマスト。それから、執筆量とスピードも重要。
今村氏が言うには、質を上げていくために絶対的な量が前提となるとのこと。
これは、作家に限らず、どの職業にもあてはまるのではないだろうか。
量をこなしていくなかで、次第にわかってくること、身につけられるスキルがあるのは、読者の私も身をもって経験済で共感できた。
②テーマの見つけ方
執筆テーマの設定の仕方で、売れるか、売れないかが決まる。
今村氏は連想ゲームをすることで、売れるテーマを見つけられると述べている。
目に映るどんなものでもいいから、連想ゲームのように深掘りしていく。
例えば、本書のレーベルを用いた連想ゲームは次のようになる。
SB新書というレーベルから出ている。
→SBってなに?
→ソフトバンクの略かぁ。ソフトバンクってなんの会社?
→携帯が有名。要するに通信。ところで、通信ってなに?
→遠くの人に伝えること。みんな通信速度を気にするのはなぜ?
→速さが気になるのか。手紙の時代からチャットの現代まで、コミュニケーションの歴史は、とにかく1日でも、1秒でもはやくを追い求めてきた歴史だ。
→こんなにも、人は、速く、遠くと繋がりたいのはなぜ?
→危機を伝えるため? それとも、仲良くなりたいため?
このように、連想ゲームを進めることで、問題意識が普遍的なテーマを導き出してくれるというわけだ。
いつでも、どこでも、脳内でできるので、ぜひお試しあれ。
③五感の使い方
文章は、映像作品とちがい、五感をフルで表現に落とし込める。
ところが、文章表現に注目すると、五感の中でも、視覚や聴覚に頼りすぎなケースが多々あってもったいないというのだ。
今村氏は、キャラクターが燃え盛る家屋に突っ込むシーンの事例を取り上げている。
もし、あなたが作家なら、どのように表現するだろうか?
よくあるのは、燃える炎の勢いを書き連ねるケース。
次に書きがちなのが、パチパチと木が鳴っている音。
著者は、他の感覚も交えて書いた方が立体感が出ると主張する。
「肌を針で刺したような痛み」
「得体の知れない臭いがした。何が燃えている」
「息を吸うだけでも炭の味が口の中に広がる」
流石、今を走る作家とあって、具体例もわかりやすく説得力に富んでいた。
私の感想を読んで、少しでも気になった方は、すぐに手に取っていただくことをおすすめする。
私は満足度が高く、1045円がとても安く感じた。