あらすじ
俺の人生、もっと高く跳べるはず。お笑いでは芽が出ず、身体能力ばかりが評価され、番組の企画で棒高跳に挑戦することになった崖っぷちの芸人。その番組を通じて共演するのは、パリ五輪が目標のいけすかない大学生アスリート。出合うはずのなかった二人、それぞれの跳躍の先に広がる景色は――。明日を迎えるのがきっと楽になる、夢と現実のその先にある物語。
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【俺の人生、もっと高く跳べるはず】
本屋で装丁を見て、「お、漫才師のシルエット!芸人の話だ!」と思い購入!
タイトルも「鳥人王」だし、笑い飯さんのネタ「鳥人」になんか関係あるのかなと。
読んでみてびっくり。鳥人王は「ちょうじんおう」と読み、漫才師が棒高跳びに挑戦する話だった。
あらすじ。
主人公は漫才コンビ、パセリパーティの御子柴陸。
コンビ活動はM-1一回戦落ちと、うだつが上がらない。
30歳がきたら芸人を辞めることも視野に入れていた。
しかし運動神経抜群の御子柴は、ピンで「アスリートチャレンジ」という番組に抜擢される。
番組では陸上、水泳、クリケットなどなど、いろいろなことに挑戦させられ、その度結果を出してきた御子柴。
今度は「マスターズ陸上」という、オリンピックを目指していない人が集まる社会人の陸上大会の棒高跳びでの優勝を目指すことに。
未経験からの挑戦が始まる。
練習で訪れた大学。そこにいたのは犬飼という棒高跳びでパリオリンピックを目指している現役選手。一癖も二癖もあるいけすかない性格だが、実力はもちろん本物。
マスターズ陸上優勝と、パリオリンピック出場枠をかけての2人のドラマが描かれる。
感想。
実は視点は御子柴の他にもう1人、狐塚翠(こづかみどり)の視点から描かれている。狐塚は、元棒高跳びの選手で、今は大学で棒高跳びのポールの研究開発を行っている。ここで明かされる日本の棒高跳びの現状が面白かった。
・かつてポールが竹で作られていた時代は日本も強かった。メダルも取ったことがある。
・今はガラス繊維や炭素繊維で作られた強化プラスチック製で日本では作られていない。
・1本10万円を超える。
・記録が伸びるたび15センチなど、細かく刻んでポールを長くしていくため莫大な費用がかかる。
などなど、競技を楽しむための豆知識がたくさんで非常に面白い。
棒高跳びのほかにも、スキージャンプ、鉄棒の大車輪、フィギュア、アイスホッケーなどなど、自分の幼少期と全く接点のない競技は、どのタイミングで練習を始め、出来るようになったのか不思議だったので少しでも知れて嬉しかった。
もともと棒高跳びなど人間離れした競技を見るのが好きなのも功を奏して、のめり込むように読んだ。
御子柴と相方の関係に変化が訪れ、それからの感情の変化。また犬飼の過去と、御子柴との関係性の微妙な移り変わりも楽しめた。
さらに棒高跳びの描写がすごい。作中何回も何回も飛ぶのに、表現のバリエーションが豊富で、文章を読んでいても映像が浮かぶ。力強い書き手だなと思った。
引っかかったことが一点あるとすれば、この作品だけではないけれど「売れない芸人」という言い方は好きではない。「まだ売れていない芸人」であるだけなのだから。
———紹介(公式より)———
売れない芸人と五輪代表候補の大学生。二人を繋ぐのは棒高跳だった。明日を迎えるのがきっと楽になる、夢と現実のその先にある物語。
「不思議なんですよね。漫才のコンテストで落ちたのは仕方ないって思ったのに、棒高跳で負けて、悔しいって思うんだなって」
お笑いでは芽が出ず、身体能力ばかりが評価され、番組の企画で棒高跳に挑戦することになった崖っぷちの芸人。
その番組を通じて共演するのは、パリ五輪が目標のいけ好かない大学生アスリート。出会うはずのなかった二人、それぞれの跳躍の先に広がる景色は――。
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最高に面白い。棒高跳びというマイナーな競技で、あまり興味もありませんでしたが、作者が好きで読みました。挫折と胸熱があり、競技にも興味が湧きました。
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額賀澪さんの作品は私に取っては読みやすく、
惹かれるものがある。この鳥人王もサクッといけた。
お笑い芸人ではあるが、身体能力でテレビ番組に出演している御子柴陸。
今回の企画は棒高跳び。
実在しそうな感じがより、面白味を加え
番組の裏側や意図まで信じてしまいそうになる。
同時に棒高跳びの魅力を存分に詰め込んでいるので、これを読んだ人はオリンピック、陸上、棒高跳びにも注目しそうで良い。
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棒高跳び。
ポールを手に入れるのがそんなに大変だとは…。これからは違った目で競技を見ることになる。この本のようにもっと手軽になることを願う。そしてアスリートだけでなくこんなふうにアスリートを支える人たちの熱い思いが素敵だった。願わくはこんな思いを持って生きて行けたらと思う。
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アスリート系お笑い芸人と、棒高跳びのコラボレーション小説。そしていつも通り額賀さんなので色々上手くいかないでじわじわと感動してしまうのはいつも通り。競歩王もよかったし、まさにその系譜なのですが、主人公がアスリート芸人というのがいいです。おばたのお兄さんのポジションでしょうか。
走り高跳び見るときにはより興味を持って見る事が出来そう。
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芸人がアスリートとしてチャレンジするアスチャレ、そこで売れない芸人御子柴陸は棒高跳びにチャレンジすることになる。まるで青春時代を彷彿とさせるような熱い闘いにワクワクした。そこに国産のポールを作りたいという夢を持つ翆や番組プロヂューサーの願いなどもミックスされて非常に面白かった。
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売れないお笑い芸人の御子柴が、番組で棒高跳びをやることに。
言われてみれば、存在は知っているのに棒高跳びという競技をちゃんと見たこともなければ、日本記録も知らない。それなのに、読み終えた時には「棒高跳びって面白い!」という気持ちになっていてびっくりした。
御子柴はもちろん、オリンピックを目指す犬飼、ポールを研究している狐塚、ディレクターの綿貫…それぞれのキャラが立っていて引き込まれた。
面白かった!
Posted by ブクログ
251ページ
1600円
4月25日〜4月30日
サブタイトルのアスレチックコメディアンって何だろう?と思いながら読み始めた。はじめはなかなか進まなかったけれど、半分過ぎると、御子柴が日本新を出せるのか気になり、ぐんぐん読んだ。スポーツのプラス面とマイナス面、両方わかると共感できた。最後の終わり方が額賀さんらしかった。
Posted by ブクログ
スポーツバラエティ番組に出演しているお笑い芸人御子柴陸が番組の企画で棒高跳びに挑戦する。
現役選手と関わりながら、棒高跳びに夢中になっていく。頑張る物語好きです。
Posted by ブクログ
お笑いで目が出ず、スポーツバラエティでのみもてはやされている御子柴。相方から解散を告げられ後がなくなってしまう。そんな中、棒高跳びの企画が持ち上がり、五輪候補でイケメン大学生アスリート・犬飼と対決する事になり…
生い立ち故に捻くれている犬飼と、アスリート芸人の御子柴が相容れない者同士が上手くぶつかって上を目指す様子が爽快でした。
犬飼も、猫被らなくてはならないスポーツ特有の爽やかさを求められるのも、何となく判る気がしました。それを止め、一皮剥けた今後に期待です。
Posted by ブクログ
額田澪さんのお得意スポーツ小説。
今回は、パリ御ピックを前に、棒高跳びだ。
御子柴は、芸人がスポーツに挑戦する番組「アスチャレ」に
出演するしか仕事の無い売れない芸人。
相方とのコンビでの仕事はほとんどない。
初めての棒高跳びに挑戦するが、コンビを組むのが
正統派アスリート犬飼。
「柴犬」コンビである。
柴はマスターズ優勝を、犬はパリ五輪出場を賭ける。
犬飼はさわやかなイケメンながら、実はかなり性格悪し。
ポールの開発、番組プロデューサー、マスターズ参加者など
多才な面々とともに物語は進み、いよいよマスターズの日が来た。
・・・おもしろい!
テンポは良いし、棒高跳びに興味も持てるし・・・
さすがの額賀さんなのだけれど・・・
気持ちが分散する。
群像劇の体をなすからだろうか、
私の読書はキャラクターのだれかに寄り添いたいのだが
それができない。
残念!
Posted by ブクログ
陸上もの。
アスリート芸人かぁ。
面白い設定を持ってきたな。
自分が何者なのかを模索する主人公。
それを救うのがスポーツか。
ただ、その前に読んだタスキ彼方がめちゃくちゃ面白かったから、
ちょっと薄く感じたんだよなぁ。
Posted by ブクログ
芸人が棒高跳びに挑戦する話。昔ブブカって居たけど、よくよく考えてみると、棒をバネにして5メートルのバーを飛び越えるなんて、とても怖い。何をきっかけにして、やろうと思うのかな。この芸人も、目の前のことに真面目に取り組んで、人生切り開いていく。見習わないと!