福田和代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネット社会、情報社会の怖さを余すところなく描いた作品だった。
主人公は東京地検特捜部の湯浅。閣僚間近の国会議員・矢島が謎の自殺を遂げた事件を調べているうちに、インターネットに次々と矢島の個人情報が流れていることに気がついた。
自宅の住所や電話番号をはじめ、過去の学歴や日常生活のテリトリーに至るまで詳細にカキコミサイトや個人ブログにアップされている。隠し撮りされたと思われる写真も掲載され、それについてのネットユーザーからのコメントもものすごい数になっていた。
ほとんどが悪意のあるコメントで、読んでいる湯浅も気持ちが悪くなるほどだった。これだけの個人情報を掴むにはとてつもない大きな組織とネットについての知識がないと駄目だろうと思い始めた頃、湯浅自身にも、闘病中の愛娘を写した写真が封書で届けられる。その後、湯浅の片腕・安見が殺された。いったい誰が何のために。
湯浅は見えない敵との孤独な戦いに恐怖を感じる・・・・。
深いIT関連の知識がないと解けない事件だと思う。
とても便利で普段頼り切っているネット関連の機器たち。
携帯電話やICカード、キャッシュカード、そして防犯カメラ。
自分の個人情報満載のこれらの機器が、
そろって敵となってしまうなんて考えただけでも恐ろしい。
しかもこれらの情報は、
削除しても次々とコピーをつくられるからやっかいだ。
一度ネットに流出すると、永遠にネットの海のなかを彷徨うという。
そしてそれにもまして怖いのは、
流れ出た情報にのっかる悪意のユーザーたち。
ただ個人情報が流出するばかりでなく、
それに乗じて、野次馬的なヒマ人ユーザーが
好き勝手に中傷するコメントを書き連ねていくのだ。
まるで見えない誰かにいつも見張られているような世界…。
考えれば考えるほど、この事実は恐ろしい。
最近はもっと個人情報をあからさまにしているFacebookなどもあるが、
実際に、ストーカー事件につながった例も多い。
ネットの活用、確かに便利なものだが、
利用者は情報社会の恐ろしさをよく理解して使わねばいけないだろう。
タイトルの「オーディンの鴉」も面白い。
オーディンは北欧神話の中の最高神。フギンとムニンという二羽の鴉を肩に止めて、その鴉を使って世界中の情報を集めている、といわれている。
情報化社会の恐怖を描いたこの作品にピッタリのタイトルだと思う。 -
Posted by 読むコレ
このところの作品が安定した面白さながらも、個人的には
実は贅沢にも何か、物足りなさを感じていた福田作品ですが
今作はその物足りなさを満たしてくれる作品でした。
ボリュームもスピード感も作品の内容も全てがバランスが良くて
読み始めたら止まらない一気読みな高層ビルジャック・サスペンス。
高層50階の複合ビルが丸々乗っ取りされるというサスペンス
なのですが、その動機や余りにも痛快で大胆な犯人達の手口は
痛快さを感じてしまい、ドキドキするというよりは、ワクワク
して犯人達側に自分も立って読んでしまいます。今までの福田作品
には見られなかったのは、思わず笑みが溢れてしまうような
何かユーモアのある部分や、暖かみのあるようなストーリーが
押し付けがましくなく響いてくるところでしょうか?
こういった犯人側の痛快さを描くクライムノベルはやはり面白くて
心躍るのはルパン三世とか...の影響なのかなー。
ラストはやややり過ぎで蛇足感をかんじなくもないけど、
新たな福田作品の一面と思えば何か一皮むけた気がして
ファンとしては嬉しい。 -
Posted by ブクログ
2008年の上梓作品にも関わらず、震災後である今読むとこの内容が非常にリアルで、しかも事細かに描かれているコトが分かる!
…「輪番停電」が元々考えられていた手法ってコトも初めて知ったしで。。。
その意味でも、東京で停電が起きた場合を想定して書かれた本書は、その際に生ずる生活への支障、そしてその対応に追われる職員の苦労などが実際の裏付けに基づいた丁寧なクライムノベルとして仕上がっている。
丁寧さの部分で言えば、停電等に関する事象のみならず、登場人物たちについても1人1人がしっかりと描かれている。
テロを犯す側、それを阻止する側の背景は当然として、本筋とは関係なく巻き込まれる群衆たちにもちゃんとしたバックボーンをサラリと挿入する事で深みのあるリアルな人物像を追及しているように見受けられた。しかも、本筋から逸れた部分で深堀りされるコトでのウザったさを感じさせない程度でのボリュームと、そのバランス加減も個人的には絶妙で好ましかった。
内容的にはテロ事件・停電によるパニックから外国人労働者への差別問題、更には刑事の家庭崩壊問題と様々な要素が詰まり、しかもそれぞれを密に描いてる割にはスッキリ読めてしまう。その構成力には脱帽であるが、詰め込み過ぎた分、些かご都合主義も目についてしまったのも事実かと。。。
安西にしても、説得力を増すためとはいえあまりにも不幸の連続続きで…
しかも、犯行動機に至ってはあくまで彼の生い立ちからの推測だけであって本人から語られる事もないし。
まぁ何にせよ、若干の不満は残れど、総合的には良くできた面白い作品だった!
とにかく、作者の意図でもあろうが、有って然るべきとされるライフラインはあくまでその使命感を全うする人間たちによって支えられてるってコトが実感できる内容になっている。
…ただ、今回の震災での原発問題と被って考えると素直に本作での職員たちのような人間だけではない事実も頭をよぎってしまうが。。。 -
Posted by ブクログ
ネタバレテロにより東京が停電に見舞われるという話。
2008年の作品だけどまるで少し前の状態を下書きにしているかのような構成で、前提として東北は震災のせいで原発が止まっている、となっているところはまるで予言のようでドキリとした。
物語の構成は最初はばらばらだったピースが話が進むにつれて一つになっていくという私が好きなパターン。
創元推理文庫発行なので「推理か…」とちょっと不安に思っていたけど(こうゆうのにサスペンス的要素を入れるとしょぼくなってしまうパターンが多いので)謎解き要素はなく、むしろ人間ドラマであった。
良いところ
・普段気に留めない電気と社会の関わりが見えた。
・安西の悲しみと孤独
ダメなところ
・安西の計画に外国人の彼らが意気投合した経緯が欲しい。
・拘置所の食中毒から搬送のところはちょっと都合よすぎ…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこのところの作品が安定した面白さながらも、個人的には
実は贅沢にも何か、物足りなさを感じていた福田作品ですが
今作はその物足りなさを満たしてくれる作品でした。
ボリュームもスピード感も作品の内容も全てがバランスが良くて
読み始めたら止まらない一気読みな高層ビルジャック・サスペンス。
高層50階の複合ビルが丸々乗っ取りされるというサスペンス
なのですが、その動機や余りにも痛快で大胆な犯人達の手口は
痛快さを感じてしまい、ドキドキするというよりは、ワクワク
して犯人達側に自分も立って読んでしまいます。今までの福田作品
には見られなかったのは、思わず笑みが溢れてしまうような
何かユーモアのある部分や、暖かみのあるようなストーリーが
押し付けがましくなく響いてくるところでしょうか?
こういった犯人側の痛快さを描くクライムノベルはやはり面白くて
心躍るのはルパン三世とか...の影響なのかなー。
ラストはやややり過ぎで蛇足感をかんじなくもないけど、
新たな福田作品の一面と思えば何か一皮むけた気がして
ファンとしては嬉しい。 -
Posted by ブクログ
2026.10.29
アミの会の短編集はレベルが高いな。今まで読んだアンソロジーでハズレがない。どれもうまくまとまってて破綻がないし、面白い。あまり重たい小説を読みたくない気分の時にぴったり。
△百万円分の無駄
うまくまとまっているがあまり好きな話ではない。主婦の密かな100万円分の贅沢と密かな逆襲。
⚪︎一生遊んで暮らせる方法
やっぱり原田ひ香さんは時事ネタを小説にするのが上手い。太字ゴシックのところが旦那さんのお金アカとフォロワーとのやりとり?なのかな。
夫を捨てるところが爽快だった。
△12万円わんこ
ご都合主義だがあまりない展開。ペットに興味がないのでさらっと流し読み。
⚪︎廃課金兵は買い物依存症の夢を見るか?
△わらしべ長者のつくりかた
ご都合主義すぎるて冷める。
⚪︎塾に行かない子どものための五つのクリンプス
⚪︎二千万円の差額
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Posted by ブクログ
感想
IU教団ってそんなに凶暴だったっけな?
これも繋ぎの巻の印象。
あらすじ
梟の一族の史奈は、一族の奇病シラカミを治すために水を探していた。以前は里の井戸があったが、枯れたため、水を求めて阿蘇、高千穂まできていた。
阿蘇では1500ヶ所の水を調べることになる。水を調べる者として怪しまれないために市役所の甲斐という人に挨拶をする。その叔父の甲斐ファームを紹介される。そこにいた光矢は梟であると同行していた狗の十條が言う。
長栖容子からハイパー・ウラマの第二回が開催されるという情報がもたらされたが、史奈は参加する気はないと答える。史奈たちは気になって甲斐ファームをもう一度訪れる。甲斐夫妻に梟のことを話している最中に放火で火事が起こる。放火犯を捕まえるも、甲斐ファームの井戸が破壊されていた。そこにいた者と史奈は戦うも逃げられる。史奈は梟は眠らない一族であることを伝え、光矢も同じであることが分かる。井戸を破壊したのはIU教団の者であるようだ。
その後、光矢の妹の知夏が居なくなっていることに気づく。知夏は東京に行くと言ってIU教団の関係者に連れ出されていた。光矢は、史奈を始まりの井戸という場所に連れて行く。光矢は史奈に求婚するが、史奈は待って欲しいという。
東京に帰り、梟の源流について報告する。IU教団の恭治から電話がかかってきてハイパーウラマに参加する代わりに知夏を返すという。再びハイパーウラマに参加することにしたが、5人へルール変更されたのだった。