福田和代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネットの閲覧履歴、クレジットカードの利用情報、交通系などICカードの使用、そんな個人情報すべてが他人の手に握られ、晒されるとしたら。
この作品は、そんな恐ろしい、だがこの情報社会ですでに起こっている個人情報の開示という現実を、2009年の時点でフィクションとして描き出したもの。
汚職容疑で、地検特捜部の家宅捜索を受ける寸前だった
議員の矢島が自殺した。
遺書には「私は恐ろしい。これ以上耐えられない」と記されており、地検に追い込まれた末の自殺と思われたが、しばらくして、矢島の個人情報が次々とネットに晒され、拡散されていることが判明する。
誰が情報を集め、開示しているのか。
矢島の取り調べを行うはずだった特捜検事の湯浅と安見が、ネット上の情報を調べ始める。
だが、捜査が進むうち、「オーディンの鴉」と名乗る何者かから脅迫めいた郵便物が湯浅と安見の元に届く。
そして、安見の撲殺死体が発見された。
さらに魔の手は湯浅の身にも…。
この作家さん自身が工学部出身だということで、物語の恐ろしさはリアリティを帯びて迫ってくる。
個人情報晒し、そして誹謗・中傷。
多くの人がネットを利用する現在、
自分には関係のないこと、などと言っていられない社会になった。
普通の顔を見せない人の悪意が、現実の世界に巣食っているのが一番恐ろしいのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
まず、本書が上梓されてのが2008年、この年に東京というメガシティが電力というライフラインを絶たれ機能不全に陥ることを誰が想像しただろうか。勿論、地震による大規模な災害の一環としてあり得ることは頭の中では理解しているものの電気がない社会をイマジンしてリアリティを持って書かれているものを電気を潤沢に使えることが普通の社会で生活している我々に肌感覚で理解することができるのだろうか。作者はそう感じたに相違ない。2006年に起こった重機による送電線の切断で創作のヒントとなることはあったとしてもそれを首都全体に拡大するのは電力ネットワークに関する広範な知識がないと書けないのではなかろか。作者のイマジネーションから生み出された電力不足は、2011年の東日本大震災に端を発した原子力発電所ほ全面ストップにより長期にわたり現実のものとなった。輪番で電力供給が止まる事態も我々は実体を伴った経験として知っている。社会インフラとはあって当たり前と思っている裏側に怖さがあることをほんは伝えてくれている。
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Posted by ブクログ
在日中国人がらみの犯罪。興味深く面白かった。主人公の二人もキャラ立ちしてて続編も期待したい。在日中国人の数が70万を越える中、もし彼らが一致団結したならばその力は計り知れない恐怖になるだろうと背筋が寒くなった。
あらすじ(背表紙より)
警視庁保安課の上月は、中国語の通訳捜査官・城とともに違法賭博の摘発に向かう。上月は、拳銃所持などにより逮捕した李の供述から、梁という男を追う。一方の城は、同じく李から「竜生九子」なる中国人組織の存在を聞かされ、独自のネットワークを駆使して組織を探る。捜査は有機的に広がるが、それと歩調を合わせるように事件の闇も深くなっていく。―日本に生きる中国人の諸相を鋭く活写。事件はもちろん、上月と城の私生活も巧みに織り込んだ、これまでにない警察小説。 -
Posted by ブクログ
特殊な能力を隠している定年間近の刑事。
淡々と殺人という作業をこなしているだろう青年。
ひとつの出会いが大きな転機をもたらしていく。
面白い物語だとは思ったけれど、どうにもいまひとつ乗り切れなかった。
<死の匂い>がわかるゆえに数々の手柄も立て、優秀な刑事だと周囲からは思われていた香西。
でも、それは特殊な能力の上に成り立つものだったのか?
本当に優秀な刑事が、いくらなんでも死体の処理を安易に頼んだりするものだろうか?
理紗を「か弱き者」として過剰に守ろうとする点も疑問を感じた。
亡くなった娘への思いが重なっていたとしても、よく知りもしない理紗のために刑事としての道を簡単に踏み外したりするだろうか?
とても面白い場面も多かったので、何となく残念な気持ちが強く残った物語だった。