福田和代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
四人の語り部による警察小説。
捜査三課、留置係、保安課と通訳捜査官、強行犯係。
あまり馴染みのない仕事もあるだろうか。
捜査三課は窃盗犯を扱う。プロ対プロ。
職人気質の警察官が多い部署だが、本作では、よれた(イメージで、本人はちゃんとしているつもり、らしい)服を着た警部補と、32歳という中堅どころの女性警察官がコンビを組んでいる。
女性警察官は武田秋穂、警部補は萩尾秀一。
長編も出ており、ドラマ化もされているらしい。
タイトル通り、常習犯と対峙するのだが、果たして「牛丼の松」は人を殺したのか?
謎解きもしながら、プロ意識、職人という言葉に想いを馳せたい。
胸糞悪いのは『三十九番』。
留置係 -
Posted by ブクログ
ネタバレ爆弾を使っての建物への爆破を繰り返すテロリスト「十二神将」。具体的な要求はなく、その目的と犯人は?という謎に、知人を探して日本を訪れたペルー警察の捜査官と彼が頼る元筋者の男による捜索劇が絡んでいく。犯人は割と早めに割れるため、彼らの心情の動きが焦点となっていき、事件の派手さに比べると、犯人たちの行動は稚拙で行き当たりばったりの感が強い。弱者は強者に食い物にされるしかない、というメッセージは悲痛に響き、それこそがそれを狙いだということは理解はできるものの、求めているのはそっちじゃないんだ、という感が否めず、あまり入り込めなかった。
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読んでいる時は夢中になって読んだが、途中から読めてしまったのが残念。
ある親子が殺害された。子どもはバイオリンを習っていて、容疑者はバイオリン教師の針生。しかし、警察はその証拠を掴めずにいた。
警察のはみ出し者の雲母は、『堕天使たちの夜会』のメンバーだ。夜会は警察の力では対処できない事件の依頼を受け、解決するチーム。針生の事件を解決した後、連続誘拐事件が発生。この容疑者は警察の上層部にも影響を与えるほどの実力者。この事件も解決したかに見えたが、事件は思いもよらない方向へと向かって・・・。
事件はラストで二転三転していくが、その行き着く先は読み通りの展開。1つ1つの事件は容 -
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ネットの閲覧履歴、クレジットカードの利用情報、交通系などICカードの使用、そんな個人情報すべてが他人の手に握られ、晒されるとしたら。
この作品は、そんな恐ろしい、だがこの情報社会ですでに起こっている個人情報の開示という現実を、2009年の時点でフィクションとして描き出したもの。
汚職容疑で、地検特捜部の家宅捜索を受ける寸前だった
議員の矢島が自殺した。
遺書には「私は恐ろしい。これ以上耐えられない」と記されており、地検に追い込まれた末の自殺と思われたが、しばらくして、矢島の個人情報が次々とネットに晒され、拡散されていることが判明する。
誰が情報を集め、開示しているのか。
矢島の取り調 -
Posted by ブクログ
まず、本書が上梓されてのが2008年、この年に東京というメガシティが電力というライフラインを絶たれ機能不全に陥ることを誰が想像しただろうか。勿論、地震による大規模な災害の一環としてあり得ることは頭の中では理解しているものの電気がない社会をイマジンしてリアリティを持って書かれているものを電気を潤沢に使えることが普通の社会で生活している我々に肌感覚で理解することができるのだろうか。作者はそう感じたに相違ない。2006年に起こった重機による送電線の切断で創作のヒントとなることはあったとしてもそれを首都全体に拡大するのは電力ネットワークに関する広範な知識がないと書けないのではなかろか。作者のイマジネー
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在日中国人がらみの犯罪。興味深く面白かった。主人公の二人もキャラ立ちしてて続編も期待したい。在日中国人の数が70万を越える中、もし彼らが一致団結したならばその力は計り知れない恐怖になるだろうと背筋が寒くなった。
あらすじ(背表紙より)
警視庁保安課の上月は、中国語の通訳捜査官・城とともに違法賭博の摘発に向かう。上月は、拳銃所持などにより逮捕した李の供述から、梁という男を追う。一方の城は、同じく李から「竜生九子」なる中国人組織の存在を聞かされ、独自のネットワークを駆使して組織を探る。捜査は有機的に広がるが、それと歩調を合わせるように事件の闇も深くなっていく。―日本に生きる中国人の諸相を鋭く活写。 -
Posted by ブクログ
特殊な能力を隠している定年間近の刑事。
淡々と殺人という作業をこなしているだろう青年。
ひとつの出会いが大きな転機をもたらしていく。
面白い物語だとは思ったけれど、どうにもいまひとつ乗り切れなかった。
<死の匂い>がわかるゆえに数々の手柄も立て、優秀な刑事だと周囲からは思われていた香西。
でも、それは特殊な能力の上に成り立つものだったのか?
本当に優秀な刑事が、いくらなんでも死体の処理を安易に頼んだりするものだろうか?
理紗を「か弱き者」として過剰に守ろうとする点も疑問を感じた。
亡くなった娘への思いが重なっていたとしても、よく知りもしない理紗のために刑事としての道を簡単に踏み外したりするだろ