加納朋子のレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
私にとってあまりハズレがない作者だけど、この本はちょっと微妙。
「モノレール猫」「ちょうちょう」 タカキが○○だったりランが□□だったりというのは、ちょっとなあ。
「マイ・フーリッシュ・アンクル」「ポトスの樹」 人の迷惑を顧みず好き勝手に生きるダメダメ男というのが嫌、そういう男が最後には何となく許されちゃうのがもっと嫌。
「パズルの中の犬」「シンデレラのお城」「セイムタイム・ネクストイヤー」 これらにはこの作者らしいお話の雰囲気はあるが、なんかもうひとつキレがない。
「バルタン最後の日」 いい話だと思うけど、解説の人には悪いがそこまでは泣けないな。 -
Posted by ブクログ
「ささらさや」の続編というか姉妹編かな。
ご主人の幽霊がいなくなってもサヤさんとユウ坊はささらの町で無事に暮らしているみたいね。
そこへ3婆のひとり・久代さんの家に遠い親類の子という照代が転がり込んだところから始まるお話。
相変わらずささらでは女の子の幽霊が出たり差出人不明のメールが届いたり不思議な出来事が起こる中、ダメな親のせいでささくれ立っていた照代が、町の人たちのお陰で素直さを取り戻すいい話。
ただ、照代の母親がどうしてダメになったのかは分かったが、どうして今もああなのかが分からず。
死ぬ時は久代さんのように人に迷惑を掛けないようにして死にたい。 -
Posted by ブクログ
ちょっとほっこりするような短編集。
タイトルにもなったモノレールねこは、一匹の野良猫を伝書猫として、文通をしていた小学生だった男女が社会人になって、偶然先輩後輩として再会するお話。
小学生のヒロに拾われたザリガニが主人公の「バルタン最期の日」(家族の留守中に侵入しようとした強盗をはさみで撃退したものの、自分は水の中に戻れず死んでしまう)やおよそ父親とはいえない破天荒な生き方をしてきた男が無差別殺人犯から身を挺して孫を守った(自分の息子が子供のころ溺れかけても放置していたのに)「ポトスの樹」がよかったかな。
感動の話コーナーで紹介されてたので期待したけど、それほどではなかった。 -
Posted by ブクログ
去年から読み始めた加納朋子、5冊目。
東京に住んでいた時、小田急線から代々木上原で千代田線に乗り換えて通勤していた。丁度この本が書かれた頃で、描かれているホームの光景が懐かしい。
私は日比谷で三田線にまた乗り換えていたけど、この本の主人公・陶子さんは二重橋前で降りて丸の内で働くOLさん。
そんな彼女が日常に起こる謎を、通勤電車の中で知り合ったリサーチ会社調査員の萩とともに解き明かしていくというお話。
会社の周りをうろつく不審人物、薬局での薬の取り違え、迷子の女の子、事務所での窃盗、そしてトラックごとの積み荷泥棒…。
メインの謎解きと関連してもうひとつのプチ謎解きも入れ子になったお話は結構凝っ -
Posted by ブクログ
今頃お気に入りになったこの作者、4冊目。
初めての長編だが、作者としても初めての長編だった由。
天才的な人形作家、人形に惹かれる青年、人形とそっくりの女優、そのパトロン。
青年と女優が交互に語るパートで進められ、第2章からはパトロンのパートも加わって進む話は、読み終えてしまえば結構凝った作りだったことも知れるが、そのトリックよりも寧ろ雰囲気の良さやヒロインのある種のかわいらしさのほうに惹かれた。
これまで読んだ話とは多少テイストが異なっていたが、ほのぼのしたエピローグも含め、重苦しい話の割にはあまり暗くならなかったところは、この作者ならではか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2月22日は猫の日ということで読んでみた。これまでアンソロジーはあまり手に取ることはなかったけれど、普段読まない作家さんの作品に触れることができてよかった。
1作品あたりのページ数も少なく、隙間時間で読むことができる。
【最も好きな作品】
柚月裕子さん「泣く猫」
17年会っていない母が猫に自分と同じ名前をつけていたことを知ったときの真紀の気持ちを想うとともに、母はどのような想いでマキと呼んでいたのだろうかと思う。
マキの登場が真紀の感情を引き出し、自覚させるきっかけになったのではないか。
【最も印象に残ったフレーズ】
北村薫さん「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」
「本の読み方にひとつ -
Posted by ブクログ
「ななつのこ」がまずまず良かったので、同じ作者の昔のものを読んでみることにした。
中古本屋の棚に「ななつのこ」の続編がなかったので、取り敢えず、この本ともう一冊購入。
交通事故で夫を亡くしたサヤは、赤ちゃんのユウ坊とともに佐々良という街へ引っ越す。
そこで色々な不思議なことが起こるが、サヤが困る度に、成仏しきれなかった夫が他人に取り憑いて彼女を助けに来る、みたいなお話。
主人公のサヤがなんとも頼りなくてすぐ泣くしお人好しも過ぎてイマイチなんだけど、まあ、それで色んな人が世話を焼きにやってくるわけで、そうして3人の婆さまたちやエリカといったお友達が徐々に増えるに従ってほのぼのとした感じがなか