前回読んだのは2010/10/23!
9年前だからか、内容全然覚えてなかった…。
そして気づいたら新装版出てた。
オフィスは20年前の仕様なので、丁度バブル崩壊あたりの時期なのかな。
大手企業のアラフォーを対象にした「転身退職者支援制度」を利用し私立探偵となった仁木。
古いビルにあるオフィスで居眠りしていた所に、猫ダイナを抱っこした安梨沙が現れる。まるでアリスのような出で立ちで仁木の助手をパートタイムで勤めると言い出す。
アリスネタが毎度出て来て、作中の会話とアリスの登場人物に付いていけなくなったので、一度不思議の国のアリスを読んで、再度トライ。
あぁやっと意味が繋がった。しかし鏡の国のアリスは未読なので、白い騎士やトィードルデイーの話は相変わらず不明。
不思議の国のアリスと鏡の国のアリスを読んでからの方が楽しめる作品。
ミステリとルイス・キャロルと女性の自立がキーワード。
螺旋階段のアリス…夫と離婚と再婚を繰り返している老婦人が依頼者第一号。4回目の離婚をしたまま夫が亡くなり、遺産相続や財産分与のために、家のどこかにある貸金庫の鍵を探す必要があるという。家の事は何もわからない仕事人間だった夫が、スーパー主婦の目を盗んでどこに鍵を隠したのか。同じく主婦の心理に通じる20歳の人妻安梨沙が解決!
(トランプの女王様=無邪気な暴君=依頼主)
裏窓のアリス…鮮やかなオレンジ色のスーツのミカン嬢が、自分は浮気していないということを証明する調査を依頼してきた。本人の依頼による本人の素行調査という気楽な仕事であるが、ミカン嬢の依頼の後に、ミカン嬢の夫が依頼をしに現れる。なんとミカン嬢は夫の会社で機密を暗号を使ってライバル会社に漏洩しており、そのせいで夫の会社が傾きかけている事を知る。
(トランプの兵士=ミスを隠そうとごまかそうとする=依頼主)
中庭のアリス…安梨沙の父親が高級少女服メーカーの社長という事実が発覚する。依頼主は行方不明となった飼い犬のサクラを探して欲しいというマダム・バイオレット。
ところが住み込みメイドや庭師に話を聞いてもどうも時系列が合わない。実はサクラは2代目で、代替わりしたことも依頼主は気付いていないらしい。どうやらマダムバイオレットは見たいものしか見ない性分らしい。はたして、サクラは本当の飼い主の元にいた。代わりのコリー犬を渡して依頼終了。
(チェシャ猫=幻=サクラ)
地下室のアリス…仁木が勤めていた会社の地下の事務室に勤める男から依頼があった。地下室の番人は、地下の書庫にある電話が延々と鳴るらしい。
台車で紙の入った段ボールを制服の女性社員がガラガラ…うーん、今では見ないなぁ。
談合資料等を公正取引委員会の査察の日に隠す(日程はあらかじめ通達されている…)
(トカゲのビル=使い走り=ヤバい仕事を任された哀れな人身御供)
最上階のアリス…大学時代の知人の真栄田夫婦の自宅に呼ばれると、真栄田は探偵となった仁木を心配し、依頼してくれるという。依頼内容は妻が最近やたらと具体的なお使いを頼んでくる理由を調べて欲しいというもの。お使い先の共通点は電波塔があること。
(鏡の国のアリスの白い騎士=夫を支える妻=余命短いから夫の方に先に死んでもらわないと…)
子供部屋のアリス…産婦人科の医者の依頼は新生児の面倒をみること。うちは託児所じゃないと断ろうとする仁木だが、なんと仁木の妻の紹介という事で断れない。育児は妻に任せきりの仁木だったため、育児初心者二人でなんとかこなしているが、誰の赤ちゃんで、何故隠すようにしているのかが不明。気になった二人は調査をすることに。
二人が世話していた赤子は双子で毎日交互にいれ変わっていた。母親は暴行された末の妊娠で、産まれた双子の片方を認められない。事情が事情で公に出来ない為、
(トイードルダムとトィードルデイー=双子)
アリスのいない部屋…安梨沙が姿を消した。父親には仁木の所で、仁木にはしばらく仕事を休むと連絡を入れて。心配になった仁木が調べてみるとなんと安梨沙に婚約者(有名会社の子息)があてがわれるという噂があった。自分を商品やモノとしか見ない男達に怒った安梨沙が自分の意思で失踪するのも仕方がない、が彼女はどこに消えたのか?
失踪先が仁木の娘の部屋かい!
有名人な妻と男勝りな娘にタジタジな仁木。
商社に長年身を置いてバリバリ働いてきたのに、
変に我を張らずにいられるのは、この妻のおかげなのかな。