加納朋子のレビュー一覧
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「ささらさや」の続編というか姉妹編かな。
ご主人の幽霊がいなくなってもサヤさんとユウ坊はささらの町で無事に暮らしているみたいね。
そこへ3婆のひとり・久代さんの家に遠い親類の子という照代が転がり込んだところから始まるお話。
相変わらずささらでは女の子の幽霊が出たり差出人不明のメールが届いたり不思議な出来事が起こる中、ダメな親のせいでささくれ立っていた照代が、町の人たちのお陰で素直さを取り戻すいい話。
ただ、照代の母親がどうしてダメになったのかは分かったが、どうして今もああなのかが分からず。
死ぬ時は久代さんのように人に迷惑を掛けないようにして死にたい。 -
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ちょっとほっこりするような短編集。
タイトルにもなったモノレールねこは、一匹の野良猫を伝書猫として、文通をしていた小学生だった男女が社会人になって、偶然先輩後輩として再会するお話。
小学生のヒロに拾われたザリガニが主人公の「バルタン最期の日」(家族の留守中に侵入しようとした強盗をはさみで撃退したものの、自分は水の中に戻れず死んでしまう)やおよそ父親とはいえない破天荒な生き方をしてきた男が無差別殺人犯から身を挺して孫を守った(自分の息子が子供のころ溺れかけても放置していたのに)「ポトスの樹」がよかったかな。
感動の話コーナーで紹介されてたので期待したけど、それほどではなかった。 -
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去年から読み始めた加納朋子、5冊目。
東京に住んでいた時、小田急線から代々木上原で千代田線に乗り換えて通勤していた。丁度この本が書かれた頃で、描かれているホームの光景が懐かしい。
私は日比谷で三田線にまた乗り換えていたけど、この本の主人公・陶子さんは二重橋前で降りて丸の内で働くOLさん。
そんな彼女が日常に起こる謎を、通勤電車の中で知り合ったリサーチ会社調査員の萩とともに解き明かしていくというお話。
会社の周りをうろつく不審人物、薬局での薬の取り違え、迷子の女の子、事務所での窃盗、そしてトラックごとの積み荷泥棒…。
メインの謎解きと関連してもうひとつのプチ謎解きも入れ子になったお話は結構凝った作り。
月水はほのぼの、火木は会社生活のダークなところを突いて、金土はしんみり、最後の日曜は仕掛けたほうも暴いた方もブラックという感じで、なかなかに変幻自在。
しかし、それよりも私が気になったのは、頁の端々に現れる女性が働くことに対する様々なコメント。
『女の敵は女』だとか『職場で要求されるのは、一にも二にも<若さ>なのだ』とか『仕事量では男性の多くに引けをとらなかったにもかかわらず、給料は男性社員の半分程度でしかない』とか『会社内部で<女の子>と言えば、もちろん子供ではなく若い女子社員のことを指す』とかあって、当時の一般職の立ち位置がよく知れる。
『世間からはオフィスレディなどと持ち上げられ、男性社員皆から可愛がられてはいても、何かが違うという思いを常に味わってきた』というのもある。
一方、『女子社員の多くは、会社にとって便利であり、時に必要不可欠な存在でさえあるかもしれなかったが、それでも表層的で一過性の関わりしか持つことはない。と言って、それが特に不満だというつもりもない。少なくとも陶子自身は、時折男性社員が気の毒になるほどに自由だったから。出世や昇給や競争という名の枷で縛られていないぶん、物事がよく見えることだってあるだろう』ともあって、陶子さんの心情が微妙なことも垣間見える。
それ故か、陶子さんは仕事も出来て推理も冴えている割に"デキる女"感が少なく、お話にもスカッと感よりも何となくほろ苦さやもの悲しさを感じさせられるものが多かったが、この本に独特の味付けになっていたように思う。 -
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今頃お気に入りになったこの作者、4冊目。
初めての長編だが、作者としても初めての長編だった由。
天才的な人形作家、人形に惹かれる青年、人形とそっくりの女優、そのパトロン。
青年と女優が交互に語るパートで進められ、第2章からはパトロンのパートも加わって進む話は、読み終えてしまえば結構凝った作りだったことも知れるが、そのトリックよりも寧ろ雰囲気の良さやヒロインのある種のかわいらしさのほうに惹かれた。
これまで読んだ話とは多少テイストが異なっていたが、ほのぼのしたエピローグも含め、重苦しい話の割にはあまり暗くならなかったところは、この作者ならではか。 -
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ネタバレ2月22日は猫の日ということで読んでみた。これまでアンソロジーはあまり手に取ることはなかったけれど、普段読まない作家さんの作品に触れることができてよかった。
1作品あたりのページ数も少なく、隙間時間で読むことができる。
【最も好きな作品】
柚月裕子さん「泣く猫」
17年会っていない母が猫に自分と同じ名前をつけていたことを知ったときの真紀の気持ちを想うとともに、母はどのような想いでマキと呼んでいたのだろうかと思う。
マキの登場が真紀の感情を引き出し、自覚させるきっかけになったのではないか。
【最も印象に残ったフレーズ】
北村薫さん「『100万回生きたねこ』は絶望の書か」
「本の読み方にひとつの正解はない。『100万回生きたねこ』を読んで素直に感動するのは正しい。……しかし《絶望の書》だと感じてしまう者を、ただ、ひねくれてるとはいえないんじゃないかな」 -
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「ななつのこ」がまずまず良かったので、同じ作者の昔のものを読んでみることにした。
中古本屋の棚に「ななつのこ」の続編がなかったので、取り敢えず、この本ともう一冊購入。
交通事故で夫を亡くしたサヤは、赤ちゃんのユウ坊とともに佐々良という街へ引っ越す。
そこで色々な不思議なことが起こるが、サヤが困る度に、成仏しきれなかった夫が他人に取り憑いて彼女を助けに来る、みたいなお話。
主人公のサヤがなんとも頼りなくてすぐ泣くしお人好しも過ぎてイマイチなんだけど、まあ、それで色んな人が世話を焼きにやってくるわけで、そうして3人の婆さまたちやエリカといったお友達が徐々に増えるに従ってほのぼのとした感じがなかなか心地良くはなってくる。
しかし、ユウ坊のような赤ちゃんをダシに使うのはちょっとズルいな。プニプニとしておいしそうで、それだけで気持ちは緩んでくるものな。
カバーが映画化された時の写真付きのものになっていて、どうしても大泉洋の顔が浮かんでしまう。口調も『馬鹿っサヤ』って言いそうな感じだし。
謎解き要素もあるけれど、ミステリー感は薄い。 -
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ネタバレ前回読んだのは2010/10/23!
9年前だからか、内容全然覚えてなかった…。
そして気づいたら新装版出てた。
オフィスは20年前の仕様なので、丁度バブル崩壊あたりの時期なのかな。
大手企業のアラフォーを対象にした「転身退職者支援制度」を利用し私立探偵となった仁木。
古いビルにあるオフィスで居眠りしていた所に、猫ダイナを抱っこした安梨沙が現れる。まるでアリスのような出で立ちで仁木の助手をパートタイムで勤めると言い出す。
アリスネタが毎度出て来て、作中の会話とアリスの登場人物に付いていけなくなったので、一度不思議の国のアリスを読んで、再度トライ。
あぁやっと意味が繋がった。しかし鏡の国のアリスは未読なので、白い騎士やトィードルデイーの話は相変わらず不明。
不思議の国のアリスと鏡の国のアリスを読んでからの方が楽しめる作品。
ミステリとルイス・キャロルと女性の自立がキーワード。
螺旋階段のアリス…夫と離婚と再婚を繰り返している老婦人が依頼者第一号。4回目の離婚をしたまま夫が亡くなり、遺産相続や財産分与のために、家のどこかにある貸金庫の鍵を探す必要があるという。家の事は何もわからない仕事人間だった夫が、スーパー主婦の目を盗んでどこに鍵を隠したのか。同じく主婦の心理に通じる20歳の人妻安梨沙が解決!
(トランプの女王様=無邪気な暴君=依頼主)
裏窓のアリス…鮮やかなオレンジ色のスーツのミカン嬢が、自分は浮気していないということを証明する調査を依頼してきた。本人の依頼による本人の素行調査という気楽な仕事であるが、ミカン嬢の依頼の後に、ミカン嬢の夫が依頼をしに現れる。なんとミカン嬢は夫の会社で機密を暗号を使ってライバル会社に漏洩しており、そのせいで夫の会社が傾きかけている事を知る。
(トランプの兵士=ミスを隠そうとごまかそうとする=依頼主)
中庭のアリス…安梨沙の父親が高級少女服メーカーの社長という事実が発覚する。依頼主は行方不明となった飼い犬のサクラを探して欲しいというマダム・バイオレット。
ところが住み込みメイドや庭師に話を聞いてもどうも時系列が合わない。実はサクラは2代目で、代替わりしたことも依頼主は気付いていないらしい。どうやらマダムバイオレットは見たいものしか見ない性分らしい。はたして、サクラは本当の飼い主の元にいた。代わりのコリー犬を渡して依頼終了。
(チェシャ猫=幻=サクラ)
地下室のアリス…仁木が勤めていた会社の地下の事務室に勤める男から依頼があった。地下室の番人は、地下の書庫にある電話が延々と鳴るらしい。
台車で紙の入った段ボールを制服の女性社員がガラガラ…うーん、今では見ないなぁ。
談合資料等を公正取引委員会の査察の日に隠す(日程はあらかじめ通達されている…)
(トカゲのビル=使い走り=ヤバい仕事を任された哀れな人身御供)
最上階のアリス…大学時代の知人の真栄田夫婦の自宅に呼ばれると、真栄田は探偵となった仁木を心配し、依頼してくれるという。依頼内容は妻が最近やたらと具体的なお使いを頼んでくる理由を調べて欲しいというもの。お使い先の共通点は電波塔があること。
(鏡の国のアリスの白い騎士=夫を支える妻=余命短いから夫の方に先に死んでもらわないと…)
子供部屋のアリス…産婦人科の医者の依頼は新生児の面倒をみること。うちは託児所じゃないと断ろうとする仁木だが、なんと仁木の妻の紹介という事で断れない。育児は妻に任せきりの仁木だったため、育児初心者二人でなんとかこなしているが、誰の赤ちゃんで、何故隠すようにしているのかが不明。気になった二人は調査をすることに。
二人が世話していた赤子は双子で毎日交互にいれ変わっていた。母親は暴行された末の妊娠で、産まれた双子の片方を認められない。事情が事情で公に出来ない為、
(トイードルダムとトィードルデイー=双子)
アリスのいない部屋…安梨沙が姿を消した。父親には仁木の所で、仁木にはしばらく仕事を休むと連絡を入れて。心配になった仁木が調べてみるとなんと安梨沙に婚約者(有名会社の子息)があてがわれるという噂があった。自分を商品やモノとしか見ない男達に怒った安梨沙が自分の意思で失踪するのも仕方がない、が彼女はどこに消えたのか?
失踪先が仁木の娘の部屋かい!
有名人な妻と男勝りな娘にタジタジな仁木。
商社に長年身を置いてバリバリ働いてきたのに、
変に我を張らずにいられるのは、この妻のおかげなのかな。