加納朋子のレビュー一覧

  • スペース

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    駒子シリーズ第三弾。

    「スペース「バック・スペース」の中編二本の連作。

    駒子が瀬尾さんに読んで頂きたい手紙があると言って渡す手紙は、前略はるか様で始まる長文。

    「スペース」は、人と人との空白の物語で、これは誰が書いた手紙なんだろうと疑問に思いながら読み進め、「バック・スペース」でもやっとした頭の中が、冴え渡るような感覚になる。

    なるほど、自分がいるべき場所を懸命に探そうとして辿り着いた居場所なんだとわかる。

    バスに置いてけぼりを喰らったまどかが、バス運転士と結ばれるというのも運命的である。

    今回は、駒子と瀬尾さんのやりとりは少なかったが、2人の気持ちがうっすらと感じられたような気が

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    2024年01月28日
  • 魔法飛行

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    『ななつのこ』に続くシリーズ第ニ弾。

    今作は、前作で知り合った瀬尾さん(前作はラストに○○さんとレビューしている)に駒子が、最初から身近で起こる話を小説として書き綴る。
    そこに書かれた謎を瀬尾さんが解いて返事を寄越すのは前作と同様なのだが、新たに意味不明の手紙が出てくるのである。
    それはラストまでわからないというのが、相当にもどかしい。

    見事なクライマックスとなるのだが、最後にまた茜さんが見れるとは…ね。

    ちょっと魔法めいたミステリーというのを楽しんだ。


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    2024年01月26日
  • 二百十番館にようこそ

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    ようやく今年の一冊目。

    就活に失敗しゲームの世界に逃げ込んでニートしていた主人公が親に愛想をつかされ伯父の遺産だという孤島に送り込まれたところから始まるお話。
    島に放り出されてからは、お金の問題を解決しようとニート仲間を募って共同生活をやろうとしたり、ブログでアフィリエイト収入が入るようになったり、島の人たちにもうまく溶け込むし、直近までニートしていた割にはうまく行き過ぎ。
    加えて、若い人にはああいうゲームになぞらえるのが分かり易いのだろうか、こっちは頻出するゲームの描写にイマイチ馴染めず、中盤まではさっぱり興が乗らなかった。
    終盤になって、“あいなまタン出産事件”以降、色々動いてこの作者ら

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    2024年01月05日
  • ななつのこ

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    鮎川哲也賞を受賞したデビュー作。

    主人公である女子短大生が、日常生活の中で遭遇する不思議な出来事を、手紙のやり取りで作家が解き明かしていく連作短編集です。

    謎の解明を手紙で行うスタイルは、スマホやパソコンが全盛の今、とても新鮮に映りますし情緒が感られます。

    随所に作中作を挟む構成も効果的で、一つの作品で二つの物語と謎解きが楽しめるのが面白いですね。

    ミステリとしては物足りなさを感じますが、全編を通して柔らかで温かな雰囲気に満ちていて、心を和ませてくれる一冊でした。

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    2024年01月01日
  • 二百十番館にようこそ

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    加納さんのお話は優しい。優しい小説にはすぐに泣かされてしまうので、今回も涙を流して読んだ。お話だからさ、とかありえないだろうとか言う事もあるが、それでも描かれる優しさは、まだどこかにきっとあるものだと思うし、思いたい。

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    2023年12月14日
  • 二百十番館にようこそ

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    ニートが実家から島に放り出され、同じくニートを集めてまともな人間になっていく話。
    ストーリーの構成や結末はよかったが、主人公の話し方が好きではなかった。

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    2023年11月24日
  • 猫が見ていた

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    ネタバレ

    登場人物が作家やら出版関係者やらが多くて猫だけじゃなく職業のしばりもあったっけ?と思ってしまった。おそらく書きやすいんだろうけどこうも同じような職業の人がでてくるとちょっと飽きてしまうところはあったかな...。
    三べんまわってニャンと鳴くが一番好みだった。アプリゲームの話からまさか主人公のあんな話が出てくるなんて。青信号渡ってたら急に車突っ込んできた!みたいな衝撃だったけど、ナナちゃんの不幸話で一気にチープになってしまった。あのまま主人公の鬱々とした気持ちを昇華してくれたら...と思うのは完全にわたしの好みです。

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    2023年11月14日
  • てるてるあした

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    ネタバレ

    「いつだって私は、人や物事の、ほんの一面しか見ていなかった。どんな人間にだってー自分自身にだって、思いもよらない部分が隠されているのかもしれない。」
    最後の照代の言葉が胸に響いた。

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    2023年07月12日
  • 猫が見ていた

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    猫が大好きです。タイトルと企画の面白さに惹かれて購入しました。
    「猫が見ていた」というテーマで、現代の人気作家が執筆された短編小説集です。
    色々な小説家の作品を一気に読むことができたのも良かったです。

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    2023年03月26日
  • てるてるあした

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    ネタバレ

    一万円選書で加納朋子さんを知り、カーテンコールに続いて2作目。

    人との関わりっていいなと思う一方、根底にあるのが児童虐待とネグレクトで、読んでいて心が痛む場面がありました。

    ファンタジーは好きだけど、心霊現象系は苦手みたいで、星3つ。でも姉妹編のささらさやは機会があれば読んでみたいです。

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    2023年02月14日
  • てるてるあした

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    父と母の浪費癖のせいで自己破産状態に追い込まれた雨宮家。一人娘の照代は、両親の遠い親戚と言われる、佐々良に住む鈴木久代というおばあさんのところに預けられた。厳しい久代のもと、これまで贅沢が当たり前に暮らしていた照代は、学校にも行けず美味しくない質素な食事で暮らすしか無いが、そんな折、久代の家で不思議な少女の幽霊を見かける。

    照代の目線で、見知らぬ土地で質素に暮らしつつ、厳しい老婆久代や、意思疎通の難しい近所の老婆や親子たちと暮らしていくという人情ドラマ的なストーリーである。

    「不思議なことが起こる」という佐々良の町と言う割に、ファンタジー的な展開はそこそこに、15歳の少女が放り出され、うま

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    2023年01月20日
  • 月曜日の水玉模様

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    日常の謎としては割と重めの事件が多い印象。実際に犯罪が起きているケースもあって、うやむやで済ますのは無理がありそうな気もする。ミステリとしては日常系のデフォルトで、細かい伏線を張り巡らせるタイプ。多少の強引さは仕方がないかなという感じ。個人的に、すっきりしないエピソードが多かったなあ。

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    2023年01月12日
  • ぐるぐる猿と歌う鳥

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    子ども目線で大人や社会を書く、宗田理みたいな話。昭和感も。この子たちは強いけど、それでもやっぱり子どもで、なんとかしたいと思っても、そこに触れられるのはやっぱり子どもなんだろうなぁ。

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    2022年12月18日
  • 無菌病棟より愛をこめて

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    とてもポジティブな著者さんで、入院中も運動をしたりマンガを読んだりしていて、本当にキツい治療だったであろうに、暗い記述があまりない

    旦那さんや姉妹の方たちや義母や友人がよくお見舞いに来てくれていて愛されているのがよくわかる

    弟さんの骨髄がピッタリで提供してもらえてそれも著者さんにとってとても心強かったことだと思う

    口腔ケアは大丈夫なのね

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    2022年12月04日
  • モノレールねこ

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    8つの短編集
    少し変わった切り口で始まり
    そうきたか、と思わされて
    最後は涙をさそう話

    「モノレールねこ」
    ねこの首輪に紙を挟んで
    2人の小学生がメッセージのやり取りをする

    「マイ·フーリッシュ·アンクル」
    突然家族全員を亡くして
    何をやっても駄目な叔父と暮らす主人公

    「セイムタイム·ネクストイヤー」
    5才で亡くした娘との思い出のホテルに毎年同じ日に1人で泊まる女性とホテルでの出来事

    この3つの話が個人的に好きだった

    初めて読む作家さん
    他の作品も読んでみたい

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    2022年11月27日
  • いつかの岸辺に跳ねていく

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    前半は前半でよかった。後半は前半を引きずって読まされ、ビックリと憂鬱が入り乱れて大変。それでクルッと、いや、ババーンとひっくり返されて、最後にこれでもかーとピリオド打たれて撃沈。久しぶりの読後感。

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    2022年11月27日
  • 猫が見ていた

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    『猫が見ていた』
    湊かなえ、有栖川有栖、柚月裕子、北村薫、井上荒野、東山彰良、加納朋子/文春文庫
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    猫にまつわる短編集。
    加納朋子さんの「三べんまわってニャンと鳴く」は絶望感からやけになっていても、実はちょっとしたことが周りを勇気づける力を持っていたり、描かれていないけど将来に希望を持てる話でよかった。
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    2022年11月11日
  • コッペリア

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    ネタバレ

    耽美的な人形奇譚、芸術家の狂気の物語を期待した向きは、第三部が始まった時点で梯子を外されることになる。「孤高の芸術家」も人間嫌いの少年も市井の幸せみたいなものを求めていた、と明かされるわけで。ほとんどの登場人物が何らかの形で肯定される中で、具眼の士を気取って、凡俗を嫌ったパトロンだけがとことん否定されて終るのも象徴的。

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    2022年10月16日
  • 紙魚の手帖Vol.07

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    秋永真琴『ファインダー越しの、』:創刊号に載ってた『フォトジェニック」の森島さんが再登場で嬉しい。まだ続きがありそうで楽しみ。ただ、私は、完全に森島さんの興味対象外の「素朴な(婉曲表現)男性たち」たる「みやっちさん」側の人間なんで、ちょっとへこむ。
    「自分は写真写りが悪い」という認識に「いやいや、だいたい実物通りに写ってますが?」、「そういうネガティブなのか自分に自信があるのかよくわからない人より、あたしのほうが前向きで幸せじゃないかな。」とばっさり切り捨てられて、かなり、ぐさっと来たけど、おっしゃるとおり。素敵です。みらいさん。

    真門浩平『ルナティック・レトリバー』:単純に面白く読んで、こ

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    2022年10月16日
  • ガラスの麒麟 新装版

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     97年の出版です。加納朋子さんはミステリー作家ですが、殺人事件とは無縁の「日常の謎」を解く展開が特徴と思っていました。
     しかし本作は、美しく聡明な女子高生が通り魔に殺されたことから始まる、6編からなる連作短編集でした。
     章ごとに語り手が変わり、それぞれ小さな謎とその解決があります。そして、各章で登場人物が交錯し、最終章で大きな謎が解決される構成になっています。
     ミステリーとしての謎・伏線回収に、スッキリしない感覚をもちましたが、人間心理の謎・深さ・共感の側面からすると、著者の願いが込められた温かい作品になっていると感じました。
     全編を貫いて、女子高生本来の青春を謳歌する〝動〟と、ガラ

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    2022年10月08日