加納朋子のレビュー一覧
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父と母の浪費癖のせいで自己破産状態に追い込まれた雨宮家。一人娘の照代は、両親の遠い親戚と言われる、佐々良に住む鈴木久代というおばあさんのところに預けられた。厳しい久代のもと、これまで贅沢が当たり前に暮らしていた照代は、学校にも行けず美味しくない質素な食事で暮らすしか無いが、そんな折、久代の家で不思議な少女の幽霊を見かける。
照代の目線で、見知らぬ土地で質素に暮らしつつ、厳しい老婆久代や、意思疎通の難しい近所の老婆や親子たちと暮らしていくという人情ドラマ的なストーリーである。
「不思議なことが起こる」という佐々良の町と言う割に、ファンタジー的な展開はそこそこに、15歳の少女が放り出され、うまく行かない状況を、もどかしく読む作品であろう。始終ケンカしている老婆だけでなく、意思の疎通も困難なエリカやサヤとその息子たちなど、照代の行く先々で問題が起こる。
一方で、せっかく出てきたはよいが、とりたてて活躍しなかった、エラ子や松ちゃんなどがもったいないなあと感じた。なるほど『ささらさや』は続編なわけね。サヤさんを中心に、彼らが活躍してくれるといいな。
全体に、作者の考えたキャラクター設定が独り歩きしている部分が強く、誰が老婆で、サヤさんていくつ?のように、人物像で引っかかりを感じたのは残念だし、後半に向かうにつれて変な当て字のような言葉遣いに、必要だかわからない心情描写など、読者そっちのけで先走ってしまったのは今ひとつ。
まあ、続編は買ってみよう。 -
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秋永真琴『ファインダー越しの、』:創刊号に載ってた『フォトジェニック」の森島さんが再登場で嬉しい。まだ続きがありそうで楽しみ。ただ、私は、完全に森島さんの興味対象外の「素朴な(婉曲表現)男性たち」たる「みやっちさん」側の人間なんで、ちょっとへこむ。
「自分は写真写りが悪い」という認識に「いやいや、だいたい実物通りに写ってますが?」、「そういうネガティブなのか自分に自信があるのかよくわからない人より、あたしのほうが前向きで幸せじゃないかな。」とばっさり切り捨てられて、かなり、ぐさっと来たけど、おっしゃるとおり。素敵です。みらいさん。
真門浩平『ルナティック・レトリバー』:単純に面白く読んで、この人の他の作品読みたいと思った。十分プロじゃないかと。それだけに、選評の指摘に、ミステリってやっぱり難しいんだなと。当たり前だけど。
ネイサン・イングライダー『二十七番目の男』:全然分からなかった。前提知識というか、教養不足。
高田大介『記憶の対位法』:前回に引き続き、「一体、何を読まされてるんだろう?」と。歴史の話語りすぎじゃない?もう少し進んで、物語の全体像が分かれば腑に落ちるんだろうか。 -
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97年の出版です。加納朋子さんはミステリー作家ですが、殺人事件とは無縁の「日常の謎」を解く展開が特徴と思っていました。
しかし本作は、美しく聡明な女子高生が通り魔に殺されたことから始まる、6編からなる連作短編集でした。
章ごとに語り手が変わり、それぞれ小さな謎とその解決があります。そして、各章で登場人物が交錯し、最終章で大きな謎が解決される構成になっています。
ミステリーとしての謎・伏線回収に、スッキリしない感覚をもちましたが、人間心理の謎・深さ・共感の側面からすると、著者の願いが込められた温かい作品になっていると感じました。
全編を貫いて、女子高生本来の青春を謳歌する〝動〟と、ガラスのように脆く壊れ易い〝静〟にスポットを当て、「どうしようもなく独り」という揺れる心理描写は見事です。
ミステリー仕立ての文学作品として読むことをおすすめします。 -
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霊視のホラーミステリーですね。
久しぶりに加納さんの作品を読みたくなって、積ん読の本棚から抜き出してみました。
「ささら さら」を読んでから随分たちますが、ユウスケの成長後の話ですね。父親の霊から護られる優しい母子と、母子の暮らしを支える住民との心温まるハートフルミステリーでした。
今回も短編連作で、ユウスケと「はるひ」の命を守る不思議なハートフルミステリーでした。「はるひ」が謎の少女でタイムトラベラーのようでもあり、ユウスケと様々な霊をふくめて出会いと結び付きを演出します。物語は複雑と混迷を醸し出していきますが、加納ワールドの謎解きで秘密が明らかにされていきます。
加納さんの澄んだ爽やかなでアイロニー豊かな文章に久しぶりに浸れて楽しい時間を過ごせました。
ホラー系は余り読まないのですが、たまには良いかな。
心温まるホラーミステリーだからこそ読みたい作品でした。