あらすじ
大きくなったユウスケの前に、「はるひ」という名の女の子が現れる。初対面のはずなのに、なぜか妙に親しげだ。その後も「肝試しがしたい」「殺人の相談にのって」と無理難題を押し付ける。だが、ただの気まぐれに思えた彼女の頼み事は、全て「ある人」を守る為のものだった。時を超えて明らかになる温かな真実。ベストセラー「ささら」シリーズ最終巻。
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匿名
ササラサラ、テルテルと話は繋がってますが、また違ったパワフルなストーリーでした。
過去現在未来と話しが変わってゆくけれど、最後はなるほどっと腑に落ちました。
Posted by ブクログ
「理解しよう」と思って読んではいけない。活字の中へ身を投じ、そこにあふれる光を愛で、風を感じ、聞こえる音に耳を澄ます。そして目の前に繰り広げられる出来事を見つめているうちに、暖かな感動の波にゆっくりと包み込まれていく、この本は、きっとそういう本だ。
最初から種明かしされている通り、本書は「ささら、さや」から始まる三部作の、最終章にあたる、と言っても、本書だけで独立した一冊として成立しているので、前作たちを読んでいなくても、きれいさっぱり忘れていても(^ ^; この本だけで楽しめる。
内容は...「壮大な、超個人的な事情」と言うか(^ ^; 章ごとに主人公が変わったり、幽霊が見えたり見えなかったり、殺人事件があったり無かったり、未来人と出会ったり、ドッペルゲンガー(?)と出会ったり... 時間も場所も人間関係も、かなりあちこち行き来しつつ進む。同じ話が、後から微妙に「ずれて」再登場したり...
...という訳で、脳が硬化しているおぢさんは「理解する」のを諦めました(^ ^; ゆったりと温かい活字の流れに身を委ねていれば、上流から「感動」がドンブラコ、と流れてきます(^ ^
分かってはいても、まんまと感動させられてしまうのは、これぞ「筆力」といふものなのでせう(^ ^ 結構なものを読ませていただきました(^o^
Posted by ブクログ
ここ数年、ちゃんと本を読んでおらず、しばらく前に買い込んだ本たちも積んだまま手にも取らずに放置してた。何か理由があるわけではなく、例えばようやく地元に帰れたり、それに伴って通勤時間が激減したり、そうこうしてるうちに疫病が蔓延し始めて在宅勤務が続いたり、といった色んな要素が積み重なった結果かなと思う。まあ、その前から、若い頃に比べて本を読まなくなっちゃった所はあるのだけど。歳のせいというより、スマートフォンでのゲームとか、まあそういう諸々のあれがあれで。
ということで、しばらく前に購入したまま積んでいた本書をふと手にとって、読み始めたら止まらなくなった。気がついたら最後まで一気読みして、満足のため息を一つ。
昔から、ほんと初期の頃から加納朋子の大ファンなのだけど、こんなに巧かったっけと思ってしまうくらい、物語に引き込まれた。
連作短編で紡がれていく大きな物語というのは著者の持ち味で、伏線という意味では本作は決して巧みではない部分もあったように思うのだけど、そういうギミックではないところが本当に巧いなと唸らされた。
決して派手な作品ではないし、驚天動地といった大掛かりな仕掛けがあるわけでもない。静かに優しく滑らかに紡がれていく物語の手触りが、なんとも言えず心地いい。
個人的には、「はるのひの、あき」が最高だった。この展開はちょっと想像してなかったし、そうくるかあと唸りつつ感動で胸が一杯になった。
やっぱり加納作品はいいなあ、としみじみ思わせてくれました。オススメ。
あと、解説で書かれていたエピソードを読んで思わず吹き出し、読後の感慨がどっか行きましたw
Posted by ブクログ
これで完結となる「ささら」シリーズですが締めくくりにふさわしい良いお話でした。ものすごく語りたいのだけど、ネタバレするのが勿体無いから一言だけ。読んだ誰もが二度読みすること間違いなし!!
Posted by ブクログ
「ささら」シリーズの三作目にして、最終巻。
赤ちゃんだったユウ坊が大きくなって遭遇する、不思議な頼まれ事。
ばらばらに見える幾つもの出来事が、最後には綺麗に繋がります。
さやもそうだけれど、この物語の鍵を握る女性の、わが子を想う母の強さに、心を打たれます。
Posted by ブクログ
本作者は初トライ。従ってもちろん、シリーズの他作品も未読。でも全然問題なかったし、普通に存分に楽しめました。根っこの部分か繋がった、マルチ主人公の短編集が好物ってのもあって、かなり自分と相性良かったです。スーパーナチュラルも、温かい方面に上手く活かされてて、それもまたポイント高し。そういう意味では、夏目友人帳みたいな印象を受けました。色んな物語を経てのクライマックスも感動的で、謎めきと感動のバランスも絶妙でした。いや〜、充実の読書タイムを有難うございました。
Posted by ブクログ
短編だなーって読んでたら、最後にどんどんと繋がりが出てきて、うぉーってなった。
漫画家さんの話が特に好きだった。
ささらシリーズの最終巻らしいけど、初めに読んでしまったから、ささらシリーズをこれから読みたいなぁ
Posted by ブクログ
目次
・はるひのの、はる
・四つ辻の幽霊
「ささら」シリーズの最終巻。
今更?と思ったけれど、もう出版されて10年以上たったのね。
加納さんの本は人気があるから、予約がいっぱいでなかなか順番が回ってこないのです。
主人公のユウスケは、『ささら、さや』の時にはまだ赤ん坊だった、さやの息子。
小学校に入る前の年から数年おきに、ユウスケは「はるひ」と名乗る少女に出会う。
同じ年頃のはずなのに、妙に大人びた雰囲気を時折見せるその少女は、いつもユウスケに無理難題を押し付ける。
『ささら、さや』は、亡くなったさやの夫が、幼い息子を抱えて生きていかなければならないちょっと世間知らずの妻を心配して、幽霊としてできる範囲で妻を支える話だった。
さやは全く夫の気配を感じないのだが、赤ん坊のユウスケは、父の気配をしっかりと受け止めていた。
そう、ユウスケは幽霊が見える、何なら交流をすることができる少年なのだ。
「はるひ」はもちろん幽霊ではない。
ユウスケの成長と同じペースで成長しているから。
そして高校でユウスケは「はるひ」を見つけた!はずなのだが、彼女は「はるひ」ではないという。
こんなに似ているのに。
そして、少しずつ重なり合いながら、少しずつすれている、「はるひ」との思い出と、高校で知り合った翼や美鳥の過去の出来事。
それらが織りなす結末は、想像がついたけれども。
でも、一番好きなのは、ミヤのエピソード。
ちょっと泣いた。
”死ぬほど好きな人のことだって、知らないことは星の数ほどあるものね。それをひとつひとつ知ることは、まるで星に手が届くみたいで嬉しいよ”
Posted by ブクログ
あなたは、『まず大前提として、僕は幽霊を視ることができる』と友だちに切り出されたとしたらどう思うでしょうか?
『幽霊』を見たことがあるかは人それぞれです…なんて書いたら四方八方から突っ込みが入りそうですね。”幽霊の正体見たり枯れ尾花”ということわざがある通り、『幽霊』だと思って怖がっていたものが、実は風に揺れる枯れすすきである、古の世から『幽霊』というものは、いそうだけど実際にはいない、というような位置づけがなされてきたものだと思います。
お化け屋敷に潜む奇妙なお化けたちは、人の想像の賜物でもあると思います。恨んでいるんだろうな、その恨みが募って死にきれずに化けて出てくることもあるんだろうな、などと考えれば、『幽霊』が本当にいるのではないかと考えるのも仕方ないのかもしれません。しかし、『幽霊』とは本当にお化け屋敷の中にいるようなおどろおどろしいものなのでしょうか?人が死んだ後の姿であるのなら、それはその人と同じ姿形をしていて良いのではないでしょうか?そんな風にも思います。しかし、そんな『幽霊』が服を着ているとしたら、そんな服は綿100%なのだろうか、ポリエステルが混じっているのだろうか?と現実的な詮索もしてしまいます。改めて考えると『幽霊』というものを想像するのも難しいものです。
さて、ここに、『他の人には視えないものを』視ることのできる少年が主人公となる物語があります。そんな少年が、『はるひ野』と呼ばれる場所で、ある少女と運命の出会いを果たすこの作品。そんな少年が、さまざまな人たちとの関わりの中にそんな少女の姿を見るこの作品。そしてそれは、少年が感じる『様々な違和感』の中に少年が関わってきた事ごとに隠されていた真の意味を、怒涛の伏線回収の結末に見る物語です。
『春だった。桜が咲いていたから、たぶん小学校に入学するよりも前の春』と、過去を振り返るのは主人公のユウスケ。『川べりの原っぱ』へ母親に連れて出かけられたユウスケは、『探検』を始めます。『土手を降りて少し先。大きな木の下に、家族らしい人たちがい』るのに気付いたユウスケは、『僕より少し年上らしき男の子が』両親と座っているのを見て、『母子家庭に生まれ育ったことを』思います。『三人で、あんな風にピクニックしてみたかったという思い』。そして、ユウスケは、三人に近づくと『こんにちはっ』と声をかけました。『こんにちは』と女の人に返され『何をしているの?』とさらに訊くと『お花見です』と言われます。『見上げた頭上には』『花なんて一輪も咲いていない』と不思議に思うユウスケは『あっちに、もっといい木があるよ』と『土手の上に並んだ桜の木を指差す』も『この木でなけりゃ、だめなんだ』と言われてしまいます。そして、女の人は『私たちは子供を探しています』と言い、男の子が『迷子になっちゃったの』と付け加えます。『探してみるよ』と答えたユウスケは、その場を離れ、『野原を駆け回っている』と、『遠くの川岸に、赤い色』を目にします。近づくとそこには『草に半ば埋もれるように、人が倒れてい』ました。『女の子だ』と思うユウスケは、『俯せになった頭が、完全に水に浸かって』いるのを見て、『そこに倒れているのは、紛れもなく〈死〉そのもの』だと認識します。そんな時『見ちゃダメ』という声に振り返ると、そこには『髪の長い女の子がい』ました。そして、『手首を引かれ』走り出した女の子に着いていくユウスケ。そんな女の子は『走りながら』『助けて欲しいの、ユウスケ』、『あの子、助けないと』と言います。それに『そうだっ、あの子…僕が探してあげるって約束した子だよ』と言うも『それは違うよ。ユウスケが探してた子とは別。ほら、見て』と返されると、『女の子が指差す先』、『バス停』に『バスがやってきた』のが見えます。そして、ユウスケに『お礼を言うように』大人二人が頭を下げ、『子供たち二人は、大きく手を振って』いるのを見て『迷子が見つかったんだ』と思います。そんな時、『バスの窓に』『赤い服を着た、女の子』を見つけ、『考えるより先に』『バスに向かって走り出した途端』『行っちゃダメ。ユウスケはあのバスには乗れないよ』と言われてしまいます。『どうして、僕の名前知ってるの?』と訊くと『私はユウスケを知っているけど、ユウスケは私を知らなくても仕方がないの』と返す女の子は『私のことは、はるひって呼んで』と続けます。そんな中に『走り去っ』たバス。『迷子の子はいつの間にか見つかっていて』、『死んでいるように見えた女の子がバスに乗っていて…』という状況に『頭の中がごちゃごちゃになっていた』というユウスケ。そんなユウスケの前に現れた謎の女の子・はるひ との『佐々良の街』を舞台にした不思議な物語が描かれていきます。
“ある日、僕の前に「はるひ」という女の子が現れる。「未来を変えるために、助けてほしい」と頼まれた僕は、それから度々彼女の不思議なお願いを聞くことになり…。時を越えて明かされる、温かな真実。切なくも優しい連作ミステリー”と内容紹介にうたわれるこの作品。加納朋子さんの代表作の一つでもありこの作品で三冊目とシリーズ化もされている「ささら さや」に連なる一冊となります。「ささら さや」、「てるてるあした」といずれもひらがなだけで表記される書名が特徴のシリーズですが、この作品には「はるひのの、はる」とこれまたひらがなだけの、よく分からない書名がつけられています。そして、この三冊目も物語の舞台は前作で”佐々良は不思議な街よ。他の場所では絶対起きないことが、ここでなら起きるの”と記された『佐々良の街』が舞台となって展開していきます。
そんなこの作品は不思議な構成をとっています。〈はるひのの、はる〉から四つの季節を描く四つの短編と、〈ふたたびはるひのの、はる〉の前・後編という六つの短編が連作短編を構成し、それを〈プロローグ〉と〈エピローグ〉が挟むという体裁をとっています。四つの短編には、それぞれに主人公が登場し、それぞれに不思議な物語が描かれていきます。では、そんな四つの短編の内容をご紹介しましょう。
・〈はるひのの、はる〉: 母親と『川べりの原っぱ』を訪れたのは主人公のユウスケ。そんなユウスケは『迷子』を探す家族と、池で死んでいる女の子を目にしますが、そこに現れた はるひという女の子に連れられた先に『バス』に乗る『迷子』と死んだ女の子を目にし、『頭の中がごちゃごちゃに』なります。
・〈はるひのの、なつ〉: 『夏はおばけの季節』と言うリカコが『肝試しをする』ことをユウスケという『ガキ』に頼まれたと聞いて『知らんよ』と思うのは『元漫画家』の塩山幸夫。『未来人フータ』という連載を打ち切り、『心を壊して失踪し』た先の今を送る幸夫はやむなく『肝試し』を手伝うことになります…。
・〈はるひのの、あき〉: 『あたしは幽霊よ』とユウスケの前に現れたのは主人公のミヤ。そんなミヤは、『生きてた頃に』『一緒に暮らし』ていた男性のことを語ります。そんな男性に『殺されたのよ、あたし』と語るミヤ。『ものは相談なんだけど』、『そいつのこと、取り殺してしまいたいの』と、その思いを切々と語るミヤは…。
・〈はるひのの、ふゆ〉: 『行け、ヨル』と主人公の美鳥の腕から『ふわっと浮』き、飛翔するのは鷹のヨル。『チョウヒという名の、水辺を好む鷹』であるヨルを『飼い馴ら』す美鳥ですが、学校では『居場所は見つからない』という日々を送っています。『ケモノくさーい』と『嗤う』クラスメイトの中に苦悩する美鳥は…。
四つの物語は、主人公となる人物がそれぞれ変わり、展開する物語もまたそれぞれに異なります。そんな物語を一本に繋いでいくのが、ユウスケと『佐々良の街』です。上記で少し触れた内容にも『あたしは幽霊よ』ともろに登場していますが、これこそが『佐々良の街』が持つ不思議な力が成せる技でもあります。まさしく、”他の場所では絶対起きないことが、ここでなら起きる”とされる街の真骨頂です。しかし、誰もがそんな不思議を体験できるわけではありません。それこそが、
『なぜ自分にだけ、それが視えるのだろう?』
そんな風にユウスケが思う『幽霊が視える』という特別な力の存在です。このシリーズでは一作目「ささら さや」において、交通事故で亡くなった夫が、遺した妻と幼い子供の前に、”ある形態”で現れ、そんな二人のピンチを救う物語が描かれていました。そして、「てるてるあした」を経てこの作品へと繋がったこのシリーズですが、その三冊目では、かつて幼な子だったユウスケも小学五年生となり、『人と違う物が視えることがある』という能力はそのままに、今を生きる姿が描かれていきます。まさしくファンタジーど真ん中といった面持ちですが、この作品では、上記した短編それぞれに主人公となる人物を登場させることで、物語の幅を、可能性を広げているのが大きな特徴だと思います。そして、もう一人登場するのが、はるひ という謎の女の子の存在です。
『私はユウスケを知っているけど、ユウスケは私を知らなくても仕方がないの。私のことは、はるひって呼んで。このはるひ野と、おんなじ名前だよ』。
そんな風にユウスケの前に姿を現した女の子は、ユウスケにこんな風に語ります。
『お願い、手伝って。私一人じゃ無理だったの。もうそんなに時間がないの』。
そんな先の二人の会話は読者をどんどん置いてけぼりにします。
・ユウスケ『僕が手伝うんだね。何をしたらいいの?』
・はるひ『さっきの女の子を助けるの』
・ユウスケ『だって…もう死んじゃったでしょ?』
・はるひ『だから巻き戻したの。今度こそ、助ける。だからユウスケは、私を助けて』
この意味不明な会話が何を意味するのか、その先にどんな物語が展開するのか。『佐々良の街』を舞台に展開する物語の摩訶不思議さ、もしくは訳のわからなさ。加納朋子さんの作品は、前半に伏線となる仕掛けを徹底的に散りばめ、後半で一気に回収して読者を驚かせる作品が多々あります。代表的なのは、私が愛してやまない加納さんの大傑作「いつかの岸辺に跳ねていく」でしょう。二部構成となるその作品は何が描かれているのか意味不明な一編目の後に、怒涛といっても良い種明かしの二編目によって読者の涙が止まらない感動の物語を構築しています。この作品も同様です。とにかく前半の四つの短編の意味不明さは読んでいて間違いなくストレスが溜まります。この作品では、それが後半になっても続きます。このあたり少し凝りすぎてストレスが溜まるのが難点ではありますが、これはもちろん加納さんならではの演出です。それは全て後半に置かれた二つの短編、さらには結末に明かされるこの作品の種明かしのための序章でもあるのです。
・〈ふたたびはるひのの、はる 前〉
・〈ふたたびはるひのの、はる 後〉
後半に置かれた同じ名前の二つの短編は、『満開の、桜だった』という冒頭の一文から始まります。それは、この作品の一編目〈はるひのの、はる〉で、『とにかく、桜が咲いていた』という季節と同じものです。そんな春の情景の中に主人公として登場するユウスケ、高校生となったユウスケは、『満開の桜の中の、それが初めての出会いだった』と、ある女の子と出会います。この女の子に隠されたまさかの謎が明らかになる結末、気持ち良いくらいにそれまでのモヤモヤした物語が晴れ渡るそのまさかの結末。そのままネタバレになるのでこれ以上触れることは避けたいと思いますが、そこには加納さんならではのどんでん返しな衝撃の結末が用意されていました。
『どう考えても、おかしなことは十年前の春の出来事から始まっている。僕がはるひに会ったときから』
シリーズ一作目の〈ささら さや〉で赤ん坊だったユウスケが全編通しの主人公を務めるこの作品。そんな作品には”佐々良は不思議な街よ。他の場所では絶対起きないことが、ここでなら起きるの”というシリーズならではの物語が描かれていました。凝りに凝った物語構成に途中で頭がこんがらがってもくるこの作品。そんな混乱の読書の先に、加納さんらしく鮮やかな伏線回収の妙に驚愕させられるこの作品。
加納さんならではのファンタジー世界の作りの上手さに、これでこのシリーズも読み納めかと一抹の寂しさも感じた、そんな作品でした。
Posted by ブクログ
タイムスリップもの。はるひでタイムスリップで、これまた憂鬱な……とは全然違うから大丈夫。たまたま、たまたま。ユウ君が良い子に育ってて、良い娘と出会って、「ささら」シリーズもまぁるくおさまって、めでたしめでたし。
Posted by ブクログ
「ささらさや」から始まる佐々良シリーズの3作目にして最終巻。前2作で赤ん坊だったユウスケが成長して、主人公に"昇格"しています。「はるひの」って小田急線みたいだなあと思っていたら、本当にそこがネーミングの由来だそうで。そう言えば加納作品って、町田や相模大野辺りの風景が出てくる事が多々ありましたね。
さて、内容はと言えば、丁寧に散りばめられた伏線、ハートウォームなファンタジー、ちょっとした謎、パッチワークがはまっていく終盤の爽快さ、そして涙がホロリ。まったくもっていつもの加納先生です。大病から無事復帰をされて、またこんな素敵な作品に出会えた事を嬉しく思います。
ただ、正直に言ってしまうと、この作品は佐々良シリーズじゃなくても良かったような気がします。他作品の設定をあえて引きずらなくても、一からキャラクターを造形して生き生きとした物語を紡ぐ事が出来たのではないでしょうか。中学編のテンポ良いやり取りが大層お気に入りなのですが、前2作ってこんなノリだったっけ…?という疑念がかすめた事も確かです。個人的には、シリーズに組み入れた事で星ひとつ損した感が。うーん、贅沢な注文でしょうか。
Posted by ブクログ
ささらさや、てるてるあしたに続くシリーズ3作目。この1冊だけでも楽しめるようになっています。これまでの作品より、ちょっとミステリーよりかなと。
Posted by ブクログ
タイムトラベル!SF?なのかとも思いましたが、なるほどファンタジーです。シリーズの中ではミステリー的な要素、読ませ方が強く面白さは一番ですかね。
はる、なつ、あき、ふゆ、の4つのストーリーは、はるふたたび前・後と続くのですが、それぞれの章もとってもいい話なのです。それがすべてつながっていて、最後に点が線がとなる快感。読み返し必須です。
ささらさやの主人公、おっとりお母さんの赤ん坊だった男の子が本作では主人公となっています。
ささらさやシリーズ3作目ですが、本作だけで楽しめるようになっていますので、こちらから読んでいくのも良いのでは。
Posted by ブクログ
「ささら」シリーズの最終巻。
いくつかの出来事と、それにかかわる人々。
バラバラな点の様にしか見えないそれらには繋がりが。
少し怖くて、やさしい物語。
母は、やっぱり強いね。
Posted by ブクログ
ささらさや
当時、この一冊で完結したと思っていたのに、ここまでユウスケの成長を見守ることになるとは。
番外編も含め、親子というテーマが全くぶれなかったこのシリーズ。あらためて好きだなあと思う。
Posted by ブクログ
ユウスケ
人と違う物が視えることがある。
ユウスケの母
大ちゃん
ユウスケより年上で、血は繋がってないけど従兄のような存在。
マムシのおじぞうさん
はるひ
髪の長い女の子。
赤い髪の謎の少女。数年に1度、ユウスケの前に現れる。
ミドリ
けいじろう
ミドリのじいじ。
リカコ
幸夫の妻。
塩山幸夫
元漫画家。『未来人フータ』の作者。
翼
幸夫の母方の従妹の子。
三崎楓大
入院している少年。『未来人フータ』のファン。
ミヤ
若い女の人の幽霊。
山川昭文
製薬会社の研究室で薬草の研究をしている。
晴美
昭文の妻。
美鳥
十三歳の女の子。鷹を飼っている。翼とは幼なじみ。
ヨル
雄の鷹。
フータ
雄の柴犬。
中村
浅見華
赤い髪の美少女。
イッサ
小林。幽霊男子。屋上から飛び降りた。
橋本
ユズル
浅見エマ
華の母。
浅見智
華の伯父。
Posted by ブクログ
霊視のホラーミステリーですね。
久しぶりに加納さんの作品を読みたくなって、積ん読の本棚から抜き出してみました。
「ささら さら」を読んでから随分たちますが、ユウスケの成長後の話ですね。父親の霊から護られる優しい母子と、母子の暮らしを支える住民との心温まるハートフルミステリーでした。
今回も短編連作で、ユウスケと「はるひ」の命を守る不思議なハートフルミステリーでした。「はるひ」が謎の少女でタイムトラベラーのようでもあり、ユウスケと様々な霊をふくめて出会いと結び付きを演出します。物語は複雑と混迷を醸し出していきますが、加納ワールドの謎解きで秘密が明らかにされていきます。
加納さんの澄んだ爽やかなでアイロニー豊かな文章に久しぶりに浸れて楽しい時間を過ごせました。
ホラー系は余り読まないのですが、たまには良いかな。
心温まるホラーミステリーだからこそ読みたい作品でした。
Posted by ブクログ
「ささらさや」「てるてるあした」に続くシリーズ最終巻。
ユウ坊も保育園児となり大きくなってと思っていたら、話が終わる時にはいい大人になっちゃった、あれよあれよ。
赤ちゃんの頃に亡き父の幽霊が視えていたユウ坊だけど、まだ幽霊が視えるようで、そこに未来から来た(?)と言う”はるひ”という女の子が絡んで進む物語。
この作者らしい雰囲気でそれぞれのお話は楽しめたのだけど、“はるひ”の正体や不思議な出来事の謎は、種を明かされても前に戻って読み直しても、私の頭ではよく分からないところがあったよ…。
ユウ坊が立派に育ってくれて良かったな。
Posted by ブクログ
加納朋子のはるひのの、はるを読みました。
ささらさやシリーズの3作目でした。
ささらさやでは赤ちゃんだったユウスケが少年から大人に成長していくときに、ときどきはるひという少女が現れてユウスケにお願い事をしていきます。
ユウスケは幽霊を見ることができて、その幽霊と話をすることもできることがあります。
それぞれの短編で起きた事件が最後のエピソードに収束していきます。
それぞれの短編は面白く読みましたが、時間を超えた物語であることでちょっと全体が分かりにくかったのが残念です。
Posted by ブクログ
ささらさやシリーズ完結編。
ささらさやではまだ赤ちゃんだったユウスケがすっかり大きくなって、今回の主人公となる。
大ちゃんとか、照ちゃんとか、さりげなく前シリーズの登場人物が現れて、おぉ~大きくなったなぁとちょっと感慨深くなる。
赤ちゃんの時から幽霊が見えていたユウスケだが、小学校前に、はるひと名乗る女の子に手伝ってほしいと頼まれる。
その目的も彼女の素性も知らないまま、たまに現れるはるひのお手伝いをしながら大きくなったユウスケの高校入学から物語は動き出す。
霊関係というよりタイムトラベルが主軸で、パズルのピースが最後にカタリとはまる感じで小気味よい。
そして、このささらさやシリーズのポイント『親子』について焦点を当てて、温かく終わる。
加納朋子さんのこういった雰囲気の文章が好き。
そしてユウスケくんの、お父さんのような天然タラシっぽい言動にたまにキュンとしたり。(同級生がいたら、「恥っ!」とか言って腕さすると思うけど)
よかったね。ユウスケ君、お幸せに。
Posted by ブクログ
シリーズ第三弾。本作はあの乳飲み子だったユウスケが主人公。そして過去のシリーズとは違いミステリ物になっている。だからだろうか、「ささら」のスピンオフのような印象を受けた。
あらすじ(背表紙より)
大きくなったユウスケの前に、「はるひ」という名の女の子が現れる。初対面のはずなのに、なぜか妙に親しげだ。その後も「肝試しがしたい」「殺人の相談にのって」と無理難題を押し付ける。だが、ただの気まぐれに思えた彼女の頼み事は、全て「ある人」を守る為のものだった。時を超えて明らかになる温かな真実。ベストセラー「ささら」シリーズ最終巻。
Posted by ブクログ
ささらシリーズ3作目で完結
シリーズとはいっても別に前の作品を読んでなくてもまったく問題なし
でも、さやさんも相変わらず元気そうだし、てるちゃんも幸せなようでよかった
で、今回はユウスケが主人公のストーリー
日常系ミステリだけど解決には少し不思議な力も使ったりするお話しを期待していたわけだけれども、まったくのファンタジー寄りだった
やはり加納朋子の書く連作短編の構造は好きだ
各編の繋がりが実はありましたってやつ
結末としては、「自分の経験の結果こんな話を書いたのかな?」とか思ったけど
あとがきで即その感想を否定されて笑った
ま、作家さんが全て自分の経験を元に書くわけじゃないものね
これでシリーズ完結みたいだけど、個人的にはてるてるあしたが一番かな
ドラマの影響もあるんだろうけど、一番感動した