【感想・ネタバレ】モノレールねこのレビュー

あらすじ

小学生のぼくは、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。ある日、ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えてしまったが…。表題作の「モノレールねこ」ほか、ザリガニの俺が、家族を見守る「バルタン最期の日」など、夫婦、親子、職場の同僚など、日常にさりげなく現れる大切な人との絆を描いた8篇。

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Posted by ブクログ

あなたは、『見れば見るほどデブで不細工なねこ』が好きでしょうか?

ペットフード協会の調べによると、2022年度時点でこの国には906万9千匹もの『ねこ』が飼育されているようです。このレビューをご覧下さっている方の中にもその内の一匹はうちの『ねこ』です!とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。

一方でそのようなおびただしい数の『ねこ』がいれば、その姿、形はさまざまだと思います。もちろん、ご自身が飼育されている『ねこ』が一番!なのだと思います。他人が見れば『見れば見るほどデブで不細工なねこ』であっても、そこが可愛いんだよ!そう答えて目を細める方の気持ちは『ねこ』好きな方ならお分かりいただけると思います。

さてここに、『見れば見るほどデブで不細工なねこ』というタイトルの短編が表題作として登場する作品があります。『肉が小汚い毛皮の下で雪崩を起こしている感じ』とも形容されるその『ねこ』は一方で物語中とても大切な役割を果たします。そんな短編八つから構成されたこの作品。読後感が保証された幸せな読書を楽しめるこの作品。そしてそれは、加納朋子さんの優しい眼差しを具に感じる短編集な物語です。

『そのねこは、デブで不細工で、ノラだった』と『見れば見るほどデブで不細工なねこ』を見るのは主人公のサトル。『シンプルにいえば白地に黒のぶちねこ』というそのねこは『肉が小汚い毛皮の下で雪崩を起こしている感じ。なんかこう、スライムみたいな感じででろーんと広がってい』ます。『つくづく、見れば見るほど太ったねこで、「おまえちょっとはダイエットしろよ。腹の脇から肉が垂れてるぞー」』と『自分でいって、笑えてしま』うサトル。そんなある日、『お母さんの「しっ、しっ」という恐ろしくも鋭い声に何事かと出て行くと』、ねこが『縁側』の『取り込んだばかりの洗濯物の山の上に、どっしりと坐って』います。『ほら、サトル、見てないで追っ払ってよ』、『ほら、早く。洗濯物に毛が散っちゃう』と『ねこが大の苦手』という母親が命令します。やむなく『ほら、出てけよ。お母さんが怒ってるぞ』と言うサトルに『「ったくしかたねーな。じゃーどいてやるよ」というようなものすごく偉そうな態度で』ねこは場を後にしました。そんな別の日、『客間の、うちでは一番上等なじゅうたんの上で』『イリコが混じったゲロを』発見した母親は『あんなねこ、どっか遠くに捨ててきちゃって!』と『お父さんとぼく』に命令が下され『壮絶なバトル』の末に『段ボール箱』に入れ『やっとの思いで河原』で放すと『弾丸みたいな勢い』でねこは飛び出して行ってしまいました。
場面は変わり、『それからちょうど一週間後の日曜日』、母親の『「キャー」という悲鳴』に『客間に走った』サトルの前には、『お客さん用ソファの上に、のっしりと寝ころぶあのねこがい』ます。捨てることを『命じた張本人に真っ先に姿を見せるあたり、「やっぱりわざとやってるだろ」と』思うサトル。そんなサトルは、ふと『ねこの首に、赤い首輪がついてい』ることに気づきます。『首輪しているよ、あのねこ』、『前はしてなかったよな、あんなもの』と会話する父親とサトルは、『誰かに飼ってもらえたのか』もしれないと考えが行き着きます。そんな中に『いいことを思いついた』サトルは、『ノートを小さく切って、鉛筆で』『このねこのなまえはなんですか?』と『書き付け』、『細長く折りたたみ』、『首輪が二重になったところに押し込』みます。そして、数日後、『ぼくが入れたものとは明らかに違う紙がはさまってい』ます。『どきどきしながら紙を開いた』サトルは、そこに『モノレールねこ』と書かれているのを見ます。『なんという素晴らしいセンス!…塀の上に坐って、両脇から垂れた脂肪でがっちり塀を掴んでいる姿は、まさに「モノレール」以外の何物でもないじゃないか?』とサトルは『すっかり感銘を受け』ます。今度は『どうしてこのねこをかおうと思いましたか?』と『書いた紙を首輪にはさみこ』むサトル。数日後、『くびわはつけたけど、うちでかっているわけではありません…』と『返事が来』ました。そんな手紙の往復にやがて『いつの間にか、モノレールねこから手紙を書いた相手の方に』関心が移っていったサトルは、『ぼくは谷山小学校の五年です。きみはどこの小学校ですか?…サトル』と自己紹介します。そして、二日後、『同じ五年だけど、学校は水野小学校です。タカキ』という返信が来ました。『タカキって名前なのか』と相手に関心が募るサトルはその後もタカキとやり取りを続けます。そんな微笑ましい関係性のその先の物語が描かれていきます…という表題作の〈モノレールねこ〉。極めて読後感の良い物語が詰め合わされたこの作品を象徴するかのような幸せ感漂う好編でした。

“小学生の僕は、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。ある日ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが…”という内容紹介の表題作に興味をそそられるこの作品。「西日本新聞」、「小説NON」、そして「オール讀物」とさまざまな媒体に掲載された八つの短編をまとめた短編集になっています。八つの短編に関連性は一切なく、その内容も千差万別ですが、極めて読後感の良い物語ばかりであることが共通しています。

兎にも角にも極めて読みやすく親しみやすい短編ばかりが集められたこの短編集ですが、その一つの理由としては、コミカルに動物が登場する短編が幾つか含まれていることだと思います。そもそも表題作が〈モノレールねこ〉という『ねこ』が登場する作品でもありそんな印象にも引っ張られるところもあると思います。では、三匹を抜き出してみましょう。まずは、表題作の〈モノレールねこ〉の『ねこ』です。

 『そのねこは、デブで不細工で、ノラだった』
   → 『肉が小汚い毛皮の下で雪崩を起こしている感じ。なんかこう、スライムみたいな感じででろーんと広がっている感じ』。
    ↓
 『塀の上に坐って、両脇から垂れた脂肪でがっちり塀を掴んでいる姿は、まさに「モノレール」以外の何物でもない』

冒頭の表題作に登場する『ねこ』はインパクト最大級です。「モノレールねこ」という書名の意味が分からなかった方も二度と忘れないくらいのインパクトを感じると思います。表紙に描かれた太々しい存在はこの短編の印象そのものです。でも、どこか憎めない存在でもあります。次は〈パズルの中の犬〉の『犬』です。

 『コーヒーをわずかに垂らしたミルクの色。細い柔らかい毛並みは、風を受けた麦畑のように光の帯を波打たせながら、動く』
   → 『パズルの上には、つぶらな二つの瞳と、ぴんと立った耳、濡れたような鼻面にその下からこぼれるピンクの舌が出現していた』

この抜き出しだけだと意味が分からないと思いますが、これ以上はネタバレになりますのでぼんやりとさせていただきたいと思います。一編目が『ねこ』なので、二編目はバランスをとって『犬』。まあそこまで狙ったわけでもないのかもしれませんが表題作とはまた違ったインパクトを与えてくれます。そして、最後は〈バルタン最期の日〉に登場する『ザリガニ』です。

 『俺は公園の池に住む、一匹の若いザリガニだ。この世に生を受けてから、まだ一年にも満たない』。

そんな風に『ザリガニ』が登場する物語は、まさかの『ザリガニ』視点で展開します。

 『まったく、人間ってやつは、なあ…』

そんな風に嘆き節も呟く『ザリガニ』視点の物語は想像以上に面白く、そして読後感よく物語を締めてくれます。この短編を読むためだけにこの作品を買っても良いくらいに出色の出来がこの短編です。いずれにしてもインパクトのある動物たちがこの作品のカラーを作っていることは間違いないと思います。

では、八つの短編、どれも甲乙受けがたい短編の中から、厳選して三つの短編をご紹介しましょう。

 ・〈マイ・フーリッシュ・アンクル〉: 『いいか。気を確かに持つんだぞ。御家族が、亡くなられた』と、『朝練が終わって、呑気に朝ご飯を食べていた』『ところに、血相を変えた顧問の滝田先生』に言われたのは主人公のカスミ。『部活動の夏合宿とバッチリ重なっ』たカスミを残して香港旅行へと出かけた父、母、祖母。『泊まっていたホテルが火事』で三人とも亡くなったという現実。一方で先生に家へと送ってもらったカスミの前には『カスミー』と『おんおん号泣』する『今年三十になった』叔父のテツハルの姿がありました。大学受験に失敗し続け、そのまま家に篭り、『おばあちゃんの年金からお小遣いまでもらって』いたテツハル。そして、遺されたカスミとテツハルの奇妙な二人暮らしが始まりました…。

 ・〈セイムタイム・ネクストイヤー〉: 『あの子が息を引き取ったとき、すべての物は色を失い、世界はそのまま崩れ落ちるかと思った』、『なぜ私は生きているのだろう?』と自問するのは主人公の『私』。『三十代も終わり頃になって、ようやく授かった子供だった』娘のことを思いだす『私』に、『夫は気晴らしに旅行に行こうと誘ってくれ』ますが、『そんな気になれない』『私』は『一人で行きたいところがある』と告げます。それは、かつて『娘の誕生祝いをした』ホテルでした。そして、『あのときと同じ、娘の誕生日に』ホテルを一人訪れた『私』は、『同じ部屋』へと入り『あのときのまま、何ひとつ変わっていない』と感じます。そんな中に『ママ』という声が聞こえ…。

 ・〈バルタン最期の日〉: 『俺は公園の池に住む、一匹の若いザリガニだ。この世に生を受けてから、まだ一年にも満たない』というのは主人公の『ザリガニ』。『初めての冬眠から目覚め』た『ザリガニ』は『突然目の前に』現れた『蠱惑的な匂いを発する食べ物』に『自慢の強力なハサミで』取りつきます。そんな時『つかんだ獲物ごと』『水の外へと放り出され』た『ザリガニ』は『ヤッター』と叫ぶ子供に『プラスチックのバケツの中にぽとりと入れ』られてしまいます。そして『バケツに入れられたまま』『家まで連れて行かれた』『ザリガニ』。『ねえ、ザリガニの飼い方って、知ってる?』と訊く『お母さん』に『いや、わかんないよ、そんなの』と答える『お父さん』。そんな『ザリガニ』の運命や如何に…。

三つの短編を取り上げましたがそれぞれの舞台設定が全く異なることに気づかれると思います。『御家族が、亡くなられた』と顧問から連絡を受けた主人公が描かれる〈マイ・フーリッシュ・アンクル〉は冒頭から緊迫感が漂います。しかし、強烈な個性を漂わせる『叔父のテツハル』が一気に物語の雰囲気を変え、一つ屋根の下の不思議な二人暮らしがある意味コミカルに描かれていきます。これまた冒頭に娘の死が突きつけられる〈セイムタイム・ネクストイヤー〉も緊迫感が漂いますが、こちらは娘の霊の存在を匂わせる不思議感漂う物語が展開します。そして、まさかの『ザリガニ』視点で展開する〈バルタン最期の日〉は、『ザリガニ』視点という違和感が一瞬にして消え去り、思わずのめり込んでしまうストーリーが展開していきます。そして、そんな物語は上記した通り、すべてがすべて、極めて読後感の良い結末を迎えることが特徴です。私は短編集を読む時にはそれぞれの短編の印象をメモし、その出来を星付けしながら読んでいくのですが、どれもこれも甲乙付けがたい出色の出来の連続にとても驚きました。加納朋子さんの作品を初めて読まれる方にもおすすめしたい、とても素敵な読書を楽しめる物語がここには綴られていました。

 『人生が一変するような報せなんて、世の中そうそうあるもんじゃない。なのにそれは、よりによって私の元へ、ある日突然やって来た』。

読者を強く引きつけるインパクトのある冒頭から開始される八つの短編が収録されたこの作品。そこには八つの短編がそれぞれに作り出す魅力溢れる作品世界がありました。インパクトある動物たちの登場にすっかり惹きつけられるこの作品。読後感の良さに読んで良かった感に包まれるこの作品。

とても優しく、とても丁寧に描かれていく物語世界にすっかり虜にさせられた素晴らしい作品でした。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

初作家さん。8編のお話しはどれも素敵でとてもおもしろくって、少し泣いちゃいそうになる場面もいくつかありました。
どの作品も良かったのですが特に「モノレールねこ」、「パズルの中の犬」は良かった!「シンデレラのお城」は悲しいお話しで少し涙腺が緩んじゃいました( ; ; )

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

たくさん物語があってたくさん幸せな気持ちになって満足する。モノレール猫の題名が1話目って、以外と少ないのでは。ホテルの死んだ娘との1日限りの、奇跡が良かったよ、ささらさやの様に奇跡があるのかと思ったら、そう言う事ですか。でも貴重なお話で、実際には娘さん出てこないがしっくり来ていた。フロントの顔も名前もない人が凄い良かった。色が無くてもちゃんと輝いてました。加納朋子さんあと一冊あるので、楽しみたい、4冊もストックあって読んでしまうってね。

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2023年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつ読んだんだったか。2008年とかかな?
薄めの短編集で、軽く読めそうだなと思って買った。
ちょっとさみしくて、でも温かい気持ちになるお話ばかり集まってました。
帯に書いてあった「ザリガニに泣かされるとは思わなかった!」という感想に「んなネタバレされたら泣けねぇよ」と思ったけど、まんまと泣かされた
すき。

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2022年01月17日

Posted by ブクログ

モノレールねこってそういう意味!!
最後のデキ過ぎはさておき泣けるお話。
ネコ、かわいいなあ。

「バルタン最期の日」は泣ける話。
「マイ・フーリッシュ・アンクル」も好きだなあ。

全体的にテンポよくさくさく読める。
ちょっとホロっとくる。

長編を読んでみたいな。

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2021年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物みんな(人間じゃないのもあったけど)が、良い意味でも悪い意味でも人間らしい。
人間のいろんな部分や感情を見ることができる。

全部で8編。読み終わるとそれぞれ違った感情が溢れてきた。
個人的なお気に入りは「バルタン最期の日」
まさかザリガニに感動させられるとは...。

後はタイトルのセンスが素敵。簡単に読める。

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2020年08月22日

Posted by ブクログ

全ての短編が思いもつかない設定で面白かった。
内容はグッとくるものが多く、ホロッとしながらも色々と考えてしまった。

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2020年07月29日

Posted by ブクログ

NHK FMのラジオ文芸館だったか,番組名は不明なのだが,1週間前か2週間前に「モノレールねこ」の朗読を聞いて,小説を買ってみた.

短編集,ということを知らなかったが,全体的にほっこりというか,文体も今までにない(いい意味で)感じでよかった.『バルタン最期の日』は解説者が4回読んで4回泣いたとあった.

「人間なんてものはね、笑えている間は大丈夫だって。どんなに辛いことがあっても、お腹を抱えて笑うことができれば、きっと乗り越えていけるって。(以下略)
が響いた.

『モノレールねこ』
ラジオ文芸館で聞いたとおり.ねこを失ってしまった後に偶然ながら(?)出会うふたり.

「パズルの中の犬』
犬から思い出す過去の記憶.母親との「話」.

『マイ・フーリッシュ・アンクル』
突然の家族の死.残された叔父さんとの日々.

『シンデレラのお城』
偽装結婚からの,「4人」の生活.

『セイムタイム・ネクストイヤー』
娘を失った母が,1年に1度,「娘」と会う.

『ちょうちょう』
ラーメン店での人間模様.

『ポトスの樹』
クソオヤジと俺の人生イベント.

『バルタン最期の日』
ザリガニが見たある家族の話.

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2020年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

猫の日に因んで選んだ作品。
なのに表題作の猫よりも、一匹のザリガニの話にやられてしまった。
様々なものを失くした主人公達が再び本来の自分を取り戻す、心温まる8本の短編集。
文通相手や幼い頃の記憶、家族…人は大切なものを失くしては途方にくれる。
そんな主人公達を、愛嬌たっぷりのデブ猫やつぶらな瞳でじっと見つめる犬、毎年同じ日に宿泊する黄昏ホテルのスタッフ等、みんなが温かく見守っていてくれる。

特にザリガニの「バルタン」の、のんびりしたお人好しのフータ一家を見守る眼差しには参った。
体が小さいからと見くびってはだめ。
体がどんなに小さくても家族に向ける愛情は、「バルタン」が生まれ育った公園の池よりも大きくて深い。

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2018年02月22日

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<再登録>猫の首輪に挟んだメモから文通がはじまる表題作はじめ、不器用で優しい8篇を収録した短編集。
適齢期を過ぎた女性と、婚約者が忘れられない男性とその婚約者の幽霊との奇妙な偽装結婚を描いた「シンデレラの城」、死んだ子供が忘れられず毎年同じホテルに宿泊する女性を描いた「セイムタイム・ネクストイヤー」がよかった。

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2024年05月21日

Posted by ブクログ

今回はミステリ色は薄めの、家族や友人との物語。
少しダメな人達が次々と出てきますが、最後はニンマリまとまります。
"バルタン最後の日"が出色ですが、私がオジサンのせいか、他のダメなオジサンや父親の話にかなり惹かれました(笑)

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2024年04月25日

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ある日サトルの家にやってきた一匹の太った野良ネコ。家の中の狼藉に母親に嫌われてしまい、遠くに捨てに行ったが、しばらくするとまた近所で見かけるようになる。それも首輪をして。ある日サトルはネコの首輪に紙をはさみ、飼い主と思われる人物と文通を始める。

加納朋子の、ちょっと不思議なファンタジー短編集である。てっきり猫の長編だと思っていたので、かなり短く終わってしまった表題作にあらら?と感じたのは事実。

その後、加納朋子らしい幽霊に関する話を数本、終盤は人間(ダメな成人男性)の話が数本、ザリガニである。

全体に、主人公のうまく行かない人間関係を、エクストラで出てくる動物であったりロボットであったり幽霊が、空気を読まずに引っ掻き回して解決するというような話である。空気を読まないのがポイント。

いくつかの作品は、ショートショートという雰囲気であるが、星新一というよりO・ヘンリーみたいだよなあと思っていたら、そのまんまの話が1本出てきた。

変な教訓めかして大人が子供に進めそうな話が多いが、教訓など考えずにサラッと読んでよい作品群である。軽やかで爽やかな一冊である。

加納朋子及び電子書籍の初心者におすすめしたい。

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2023年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2021/7/26
まさかザリガニに泣かされるとはね。ってあとがきに書いてあったけどまさにその通り。
短編集でどれも面白かった。

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2021年07月29日

Posted by ブクログ

内容(「BOOK」データベースより)
小学生のぼくは、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。ある日、ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが…。表題作の「モノレールねこ」ほか、ザリガニの俺が、家族を見守る「バルタン最期の日」など、夫婦、親子、職場の同僚など、日常にさりげなく現われる、大切な人との絆を描いた8編。

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2021年04月27日

Posted by ブクログ

このネーミングは・・・ よく考えると、とーっても失礼な名前だったりする(かわいいけど)。

強い女性と、すこーし弱い男性の組み合わせって、もしかすると結構うまくいくパターンなのかもしれないな、このあときっとうまくいくだろうな、とにんまりするような空気感がいいですね。

そのほか、情けないけど、それにはしっかり理由がある、そんな読後感のよい短編集です。

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2020年10月10日

Posted by ブクログ

「バルタン最期の日」、お父さん、お母さん、フータ、そしてザリガニのバルタン、それぞれの不器用な優しさにじんわり泣けました。

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2019年01月16日

Posted by ブクログ

『空をこえて七星のかなた』が凄く良かったので、作者の他の作品も読みたいと思い、書名が面白いこちらを選択。

また多種多様な短編集。短編によって作風も変えており、新鮮に読める。
普段から繊細に物事を捉え、考えているんだろうな、と思います。自分も塀の上の猫を見て、あっモノレールねこだ!と思いつくセンスが欲しい‥。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりに加納朋子さんの作品読んだけれど、やはり良いね。
表題作のモノレールねこ。
猫の首輪で文通をしつつ、その猫が亡くなってしまった後、文通相手と再開した時の話も良い。
モノレールねこというネーミングセンスよ。

パズルの中の犬
白いパズルちょっとやってみたいなと思うけれど、すぐに嫌になって辞めるんだろうな。
家族との関係も、なんかそんな感じなのかな。

マイ・フーリッシュ・アンクル
ただのクソ叔父の話から一転、最後にはホッコリなんてよくあるけれど、やっぱりやられた。

シンデレラのお城
ちょっと怖いというか不思議な話。
忘れられない人がずっといるというのは幸せなことだろうか。

セイムタイム・ネクストイヤー
亡くなった方に出会えるホテル。
素敵な話。
こんなふうなみんなが幸せになれる形ばかりならいいのに。

ちょうちょう
恵ちゃんかわいい。
ランちゃん実はいい子。

ポトスの樹
こちらもくそオヤジかと思ったら、最後になにそれいい話やんってなるやつ。
「子供なんて、命に代えて守るようなもんじゃないですよ」
というオヤジのセリフの真因を知った時、なんとも言えない震えを感じた。

バルタン最期の日
めっちゃバルタンいいやつやん。もうこれから、ザリガニを見る目が変わる。
バルタンを通して描かれる家族の姿。全てを見ていたから知っているバルタンの思い。
想いに気付いていく家族。
凄く好き。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

モノレールねこ

人と人(物語によっては人と生き物)の絆、思いやりの物語です。
表題作の「モノレールねこ」は、不細工で太っていて塀の上で寝そべっている際に両脇に腹の肉が垂れていることからモノレールねこの首輪を通じた文通をしている相手が付けた名前です。不細工な野良猫を通した接点で繋がっている二人ですが。。。ラストが予想できるところが今ひとつでしょうか?
他に、ダメ男が出てくる短編が2編ありますが、この落ちはいただけないと竹蔵は思います。
最後の「バルタン最後の日」は、ザリガニと家族の絆ではなく、いじめられている息子とそれを何とかしようとする両親の絆のお話です。でも、けなげなバルタンにも着目してあげて下さい。この話しで、ザリガニを飼う際には空気ポンプが必須ということをはじめて知りました。どうりでうちのバルタン達は短命であったわけだ。。。合掌。
全体的に残念ながら竹蔵が心を動かされた物語はありませんでした。

竹蔵

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2024年06月17日

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8つの短編集
少し変わった切り口で始まり
そうきたか、と思わされて
最後は涙をさそう話

「モノレールねこ」
ねこの首輪に紙を挟んで
2人の小学生がメッセージのやり取りをする

「マイ·フーリッシュ·アンクル」
突然家族全員を亡くして
何をやっても駄目な叔父と暮らす主人公

「セイムタイム·ネクストイヤー」
5才で亡くした娘との思い出のホテルに毎年同じ日に1人で泊まる女性とホテルでの出来事

この3つの話が個人的に好きだった

初めて読む作家さん
他の作品も読んでみたい

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2022年11月27日

Posted by ブクログ

随分昔に呼んだ本なので、細かいところは覚えていないが、爽やかな筆のタッチで、最後に落語のオチのような表題の意味が明かされて満足、といった読み物であったように思う。

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2022年07月28日

Posted by ブクログ

語り手は、ネコだったりザリガニだったり大人だったり子どもだったり…
読み終えた後に『よい』気持ちが残る8編

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2022年05月14日

Posted by ブクログ

私にとってあまりハズレがない作者だけど、この本はちょっと微妙。
「モノレール猫」「ちょうちょう」 タカキが○○だったりランが□□だったりというのは、ちょっとなあ。
「マイ・フーリッシュ・アンクル」「ポトスの樹」 人の迷惑を顧みず好き勝手に生きるダメダメ男というのが嫌、そういう男が最後には何となく許されちゃうのがもっと嫌。
「パズルの中の犬」「シンデレラのお城」「セイムタイム・ネクストイヤー」 これらにはこの作者らしいお話の雰囲気はあるが、なんかもうひとつキレがない。
「バルタン最後の日」 いい話だと思うけど、解説の人には悪いがそこまでは泣けないな。

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

✩3.5

最後のバルタンがグッときた

あとは思いつかない設定というか考え方?が多くてすごくよかった!!という感じではなかったけれど、なんか不思議な感じ?は残った

友達がおすすめしてくれた本

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2021年06月13日

Posted by ブクログ

モノレールねこ、パズルの中の犬、マイ・フーリッシュ・アンクル、シンデレラのお城、セイムタイム・ネクストイヤー、ちょうちょう、ポトスの樹、バルタン最後の日。家族や過去の記憶をテーマにした心温まる短編集。

最初は少女漫画みたいと思いましたが、心の中になってくるとやっぱり小説かな。ちょっとミステリーっぽいところがいいです。

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2021年05月22日

Posted by ブクログ

ちょっとほっこりするような短編集。
タイトルにもなったモノレールねこは、一匹の野良猫を伝書猫として、文通をしていた小学生だった男女が社会人になって、偶然先輩後輩として再会するお話。
小学生のヒロに拾われたザリガニが主人公の「バルタン最期の日」(家族の留守中に侵入しようとした強盗をはさみで撃退したものの、自分は水の中に戻れず死んでしまう)やおよそ父親とはいえない破天荒な生き方をしてきた男が無差別殺人犯から身を挺して孫を守った(自分の息子が子供のころ溺れかけても放置していたのに)「ポトスの樹」がよかったかな。
感動の話コーナーで紹介されてたので期待したけど、それほどではなかった。

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2021年05月04日

Posted by ブクログ

家族や友情をテーマにした短編集。

思っていたのとは、ちょっと違ったけれど、自分にも似たようなことがったな…と思い出させてくれる懐かしさが漂う物語たちだった。

モノレールねこってどういう意味なのかな…と思っていたのだが、なるほど。
うちの子(ねこ)もまさにそんな体型ww

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2021年01月24日

Posted by ブクログ

『いつかの岸辺に跳ねていく』がすごく良かったので、加納朋子さんの作品にもう少し触れてみようと思い読んでみました。
中学生くらいから読めるような内容で、この作家さんは家族の絆を語るのがうまいようですね。
悲しかったり苦しかったり納得しがたいことがあっても、その現実と前向きに折り合いをつけていこうとする姿がいいです。
どの物語も話の終わり方が穏やかで、未来への希望や幸福感を感じることができます。
8つの短編の中では、本のタイトルにもなっている「モノレールねこ」が好みかな。

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2020年10月24日

Posted by ブクログ

「モノレールねこ」と「ポトスの樹」が好き。比較的に悲しかったり、辛いことよりも微笑ましい気持ちになれたから。暗くなったり悲しくなる物語を能動的に選べない、最近。現実に病んでるのかな。
「ポトスの樹」のオヤジがばかったれで愛おしい。こんな人、共依存してくれる相手がいなかったら生活していけるんだろうか、と思うけどオイラも他人から見れば程度の差はあっても似たようなもんかも。ひとりじゃ生きていけないってことなのかな。みんな、誰かにほどほどに迷惑をかけながら生きてるんだと思う。それでもいいじゃん、と思わせてくれたからこのふたつの物語が好きなんだな。

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2018年08月11日

Posted by ブクログ

ザリガニの話が意外とおもしろかった。まさか泣けるとは。
小学校の時に身近なモチーフを主人公にお話を書きなさいという授業があったけど、こんな風に自分も面白い話をかけたらよかったのにと思い出した。

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2017年09月02日

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