加納朋子のレビュー一覧
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各話ごとにさまざまな困難や謎が描かれながらも、
最終的には「終わり良ければすべて良し」と思わせるような大団円で締めくくられる物語だった。
物語の展開には、やや都合がいいと思える部分もあったが、
それを補って余りある「そうきたか」と思わせる巧みな展開が印象的だった。
伏線回収の妙が予想を裏切りながらも納得させられる心地よさがある。
最後の最後でひとつひとつの出来事が繋がる感覚が楽しかった。
登場人物の職業設定も医者、宇宙飛行士、モデルなど一見まったく接点のない職業の人々が同じ人物とは思わせないように描かれており、
それが大きなミスリードとなって物語を引き立てていた。
想像をうまく裏切られた気 -
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一万円選書の3冊目。
これはこれはおもしろかったです。
カーテンコールを読んだことがあったがために、代わりに選ばれた一冊でした。
それぞれ星に関連した短編が集められたのだと思っていました。
最後の章で、なるほどすべてが繋がりました。
特に印象に残ったのは「孤舟よ星の海を征け」です。
急に宇宙船のファンタジー要素があるお話が始まってびっくりしました。
そして物語の始まりからは全く想像できなかった着地地点に驚きました。
もう一つ「星の子」も好きなお話です。
七星のために行動するお母さんの頼もしさに惚れ惚れしました。
絶対なんてものはどこにもない、それを力強く教えてもらいました。
The -
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ネタバレ大好きな加納朋子さんの、短編集…ではなく連作。連作である事は文庫本裏表紙で予告されていますが、もうそれだけでワクワクしますよね。加納さんが一番得意とするヤツです。
ところが読み進めても、どうしてなかなか繋がっていかない。1話と2話は登場人物が全くかぶらないし、3話はとうとう学園ミステリ。どうやら星が共通のテーマかと遅まきながら感づいたところで、5話で舞台は加納作品初の(多分)宇宙へ。え、この話どうやってまとめていくの…。
と、混乱しつつ楽しませて頂きました。最後にはもちろんきっちりと、きっちり過ぎるほどに繋がります。感服致しました。
繋がるの繋がらないのばかり書いてきましたが、個々のエピ -
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ネタバレYouTuberの読んだおすすめ本で気になったので読みました。星や宇宙が好きな私にとっては、モチーフがあるというだけで読む価値がある…!
なんて思ってましたが、大当たりでした。
星や宇宙に関連したモチーフが連なる短編集かと思いきや、最後までずっとひと続きの話で、時系列は異なるけれどある1人のヒロインが歩んだ半生と、彼女が出会い影響し、彼女を支えた人達を、色々な視点で美しくまとめた群像劇でもありました。
ずっと温かいだけの話ではないですが、何者でもない人たちが何者かになっていく、それぞれの人生の繋がりが本当に美しい大団円に繋がって、読後感が抜群でした。
久しぶりに心地よい、小説ならではの充 -
Posted by ブクログ
大好きな作家のひとり加納朋子さんが、1992年に第3回鮎川哲也賞を受賞したデビュー作品で、
主人公駒子が遭遇する現実の謎と「ななつのこ」のお話の中の謎を同時に解決していく7話の連作短編集
まず駒子が「ななつのこ」という運命的な本に出会うところから始まります。
一話の中に、お話が2つある不思議な感覚ですが読みやすいです。
「一枚の写真」に出てくる写真整理や、兄弟姉妹間のアルバム冊数が極端に違うというのも経験しているし(今では個人的には写真は撮らない)サマーキャンプの描写も懐かしかったです。
昭和感が私の心を擽り、日常に潜むちょっとしたミステリも楽しめました。
ほんわかする優しい作品でした