加納朋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「理解しよう」と思って読んではいけない。活字の中へ身を投じ、そこにあふれる光を愛で、風を感じ、聞こえる音に耳を澄ます。そして目の前に繰り広げられる出来事を見つめているうちに、暖かな感動の波にゆっくりと包み込まれていく、この本は、きっとそういう本だ。
最初から種明かしされている通り、本書は「ささら、さや」から始まる三部作の、最終章にあたる、と言っても、本書だけで独立した一冊として成立しているので、前作たちを読んでいなくても、きれいさっぱり忘れていても(^ ^; この本だけで楽しめる。
内容は...「壮大な、超個人的な事情」と言うか(^ ^; 章ごとに主人公が変わったり、幽霊が見えたり見えなかったり、殺人事件があったり無かったり、未来人と出会ったり、ドッペルゲンガー(?)と出会ったり... 時間も場所も人間関係も、かなりあちこち行き来しつつ進む。同じ話が、後から微妙に「ずれて」再登場したり...
...という訳で、脳が硬化しているおぢさんは「理解する」のを諦めました(^ ^; ゆったりと温かい活字の流れに身を委ねていれば、上流から「感動」がドンブラコ、と流れてきます(^ ^
分かってはいても、まんまと感動させられてしまうのは、これぞ「筆力」といふものなのでせう(^ ^ 結構なものを読ませていただきました(^o^ -
Posted by ブクログ
著者の作家デビュー作。
とても良くできた日常ミステリであるとともに純文学的な色彩が強烈な物語。
今読んでも会話のセンスがいいなーと思う。
個人的に好きなプラネタリウムや星座の話が多めで嬉しい。
ペルセウス座のアルゴルという星の明るさ(等級)が変化する仕組みを解明したグッドリックという人物が21歳で亡くなった早逝の天才だったが、彼は聴覚と発声に障害があったというエピソードがとても印象的。
この著者の本を色々な経緯で20年以上に渡ってチビチビと読んでいる。
きっかけがみんなバラバラで、子育てだったり白血病だったりミステリだったり青春ものだったり、それぞれ全く違う印象の本。
著者の幅広さを感じる。
米澤穂信氏のおすすめに従ってやっとデビュー作にたどり着いた。 -
Posted by ブクログ
まんぞく!
ミステリってこのくらいのボリュームの短編集が読みやすいかもしれない。気分でない時は他の本に行って戻ってきても、弊害ないし。
そしてどのお話も、どこか考えさせられる軸が入っている、気がした。
個人的には、砂糖壺は空っぽ、喫茶マヨイガ、太陽と月が星になる、あたりが好きかな。
ミステリと女の子同士の恋って、相性いいわよね…!
喫茶…は、ショートストーリーだけど、言いたいことは声を大にして言っていいんだということが、すっと伝わってきた。
そしてそして、語り手が姉妹で入れ替わりながら時間が進んでいく太陽…は、悲しい結末だけど、憎しみが必ずしも憎しみにはならない(?)ところに救われる。
他のアンソロジーも読みます! -
Posted by ブクログ
ネタバレ人が死なないミステリーもあっていいじゃないか。
この作品のような小説に出会う度、思う。
しかもこの小説は二段構え。
この小説の中にはさらに『ななつのこ』という別ストーリーがパラレルに展開していて、これがまた懐かしさを誘う。
以下、駒子の日常の方の「ななつのこ」各短編の概要で、特に僕が気に入っているのは⑥。そして、③、④も好み。②は衝動的に目の前の女の子の三つ編みを引っ張ってしまった40年以上前の苦い記憶を思い出させてくれるなぁ。ああ、胸が痛い。
小説として、全体の構成が素晴らしい。
①スイカジュースの涙
ベビーカーとすれ違ったあとに気づいた、道路に点々と続く乾き切らない血痕。
②モヤイの鼠
個展会場で絵画『悠久の時間』の出っ張りに触れたとたん、ポロリ。・・ああ、痛い。
③一枚の写真
6年の時のクラスメイト一美が8年近く経って、私のアルバムから取った一枚の写真を返してきた。
④バス・ストップで
ささやかなロマンスの香りを孕みつつ、おばあさんとお孫さんの心温まるレジスタンス。
⑤一万二千年後のヴェガ
デパート屋上の巨大なブロントサウルス、一夜明けたら30km離れた保育園にいて・・・。
⑥白いタンポポ
低学年のサマーキャンプで真雪の担当となった駒子。人見知りの真雪が不愉快でなかったのは。
⑦ななつのこ
再会した真雪がプラネタリウムが終わると消えていて・・・。
○追伸
駒子のファンレターの相手、〈佐伯綾乃〉の秘密が分かってからの後日談。
またも、フォロワーさんの本棚・感想にあった一冊にこの一週間、堪能させられた感じ。
次は何とか、自力で一冊、面白い作品を嗅ぎ当てたいもの。
兎にも角にも、ありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
近藤史恵さんのパ・マルシリーズは、コロナ禍のパ・マルを描いた、今を感じる作品。今回は志村さんが主役かな?
蝉かえるで数々の賞を受賞した、櫻田智也さんのエリサワシリーズは相変わらず丁寧な表現で、狩猟について何も知らない私でも、情景を思い浮かべつつ、なるほどなるほど…と細かい知識を得ることができた。ただ、この丁寧さに今回は少し読みづらく感じてしまった。
他にもブックレビューや、本格ミステリ大賞の全選評も、いろんな見方があって面白いなと思った。
ページ数に対して、ちょっとお高めと感じますが、様々な作家さんの作品が読めて、新たな出会いもあったり、内容もとても充実していると感じてので、次号も購入決定です。 -
Posted by ブクログ
ここ数年、ちゃんと本を読んでおらず、しばらく前に買い込んだ本たちも積んだまま手にも取らずに放置してた。何か理由があるわけではなく、例えばようやく地元に帰れたり、それに伴って通勤時間が激減したり、そうこうしてるうちに疫病が蔓延し始めて在宅勤務が続いたり、といった色んな要素が積み重なった結果かなと思う。まあ、その前から、若い頃に比べて本を読まなくなっちゃった所はあるのだけど。歳のせいというより、スマートフォンでのゲームとか、まあそういう諸々のあれがあれで。
ということで、しばらく前に購入したまま積んでいた本書をふと手にとって、読み始めたら止まらなくなった。気がついたら最後まで一気読みして、満足のため息を一つ。
昔から、ほんと初期の頃から加納朋子の大ファンなのだけど、こんなに巧かったっけと思ってしまうくらい、物語に引き込まれた。
連作短編で紡がれていく大きな物語というのは著者の持ち味で、伏線という意味では本作は決して巧みではない部分もあったように思うのだけど、そういうギミックではないところが本当に巧いなと唸らされた。
決して派手な作品ではないし、驚天動地といった大掛かりな仕掛けがあるわけでもない。静かに優しく滑らかに紡がれていく物語の手触りが、なんとも言えず心地いい。
個人的には、「はるのひの、あき」が最高だった。この展開はちょっと想像してなかったし、そうくるかあと唸りつつ感動で胸が一杯になった。
やっぱり加納作品はいいなあ、としみじみ思わせてくれました。オススメ。
あと、解説で書かれていたエピソードを読んで思わず吹き出し、読後の感慨がどっか行きましたw