加納朋子のレビュー一覧

  • 無菌病棟より愛をこめて
    急性白血病を発症し、化学治療を経てドナー(実弟)からの骨髄移植を受けた作家のノンフィクション。
    私はミステリーを好まないのでこの作家さんの本を読んだ記憶は無いが、筆力のある方の闘病記は読みごたえがあった。そして日常に近い生活に復帰できていることに勇気をもらえた。
    幸い今のところ癌とは無縁だが、人間い...続きを読む
  • てるてるあした
    ささらさやの続編。主人公は不幸な星の下に生まれ育った15歳の照代。夜逃げ同然で久代さん宅に身を寄せて、たくましく生き抜く話。もちろんサヤにユウ坊、エリカにダイヤ、おばあちゃんズも再登場。でもスポットは久代、照代の2大ヒロイン。
  • てるてるあした
    後書きにも書かれている通り、泣ける小説でした。加納朋子さんの作品は初めてでしたがふんわりと泣ける、人情深いファンタジーでした。最近はなかなかなく機会も少なくなっているので久しぶりにじんわり泣きたい人にもおすすめです。他の作品も読んでみたくなりました。
  • モノレールねこ
    猫の日に因んで選んだ作品。
    なのに表題作の猫よりも、一匹のザリガニの話にやられてしまった。
    様々なものを失くした主人公達が再び本来の自分を取り戻す、心温まる8本の短編集。
    文通相手や幼い頃の記憶、家族…人は大切なものを失くしては途方にくれる。
    そんな主人公達を、愛嬌たっぷりのデブ猫やつぶらな瞳でじっ...続きを読む
  • スペース
    駒子シリーズ3作目。駒子と瀬尾さんが一歩進展。でも今回は「はるか」と「まどか」という双子の物語でもある。でもラストではそれまでそっと控えていた駒子と瀬尾さんが再び浮き上がる見事な構成。駒ちゃんに惚れる。
  • ななつのこ
    先輩に薦められてすっかりお気に入りになり、そこから自分を遅咲きの小説読みへと変えた思い出深い作品。その時既に20も半ばを過ぎてた気がする。
    劇中本(?)を読んで作者にファンレターを送ったことによって起きた物語を本にまとめた体の本。
    駒ちゃんに惚れる。
  • 魔法飛行
    駒子シリーズの続編。今度は自分で物語を書いてみることに。とてもいきいきとした日常を描いた物語。でもその物語の間に割り込む謎の手紙。最後までモヤモヤ──からのスッキリでメルヘン。駒ちゃんに惚れる。
  • てるてるあした
    あたたかくて少し笑える話が読みたかったので、ぴったりでした。むくれていた照代ちゃんが働きはじめて成長する姿に、千と千尋の神隠しを思い出したような。コンプレックスだらけの照代ちゃんが周りのひと全てに嫉妬するような気持ち、すごく共感できた。カツ丼がほんとうにおいしそうで泣けた。
  • ささら さや
    すごくいいタイミングで出会えた本。夫を失くした主人公が乳児を育てるんだけど、夜泣き対応で途方にくれたり、離乳食に手こずる描写が育児あるあるで愛おしい。主人公を何かと助けてくれる町の人たちもみんな魅力的だった。何度も読み返したいやつ。
  • トオリヌケ キンシ
    素晴らしかったです。
    短編集で、連作ではないけれど、最後の話でのみそれぞれのその後が垣間見える構成になっています。

    場面緘黙症や、共感覚、相貌失認など、最近少しずつ知名度の上がってきたものを取り入れながら、大仰にし過ぎず、かといって軽んじることなく、この作者らしい優しく温かな文章で物語を綴られてい...続きを読む
  • てるてるあした
    評価は5.

    内容(ブックデーターより)
    親の夜逃げのため、ひとり「佐々良」という町を訪れた中学生の照代。そこで彼女が一緒に暮らすことになったのは、おせっかいなお婆さん、久代だった。久代は口うるさく家事や作法を教えるが、わがまま放題の照代は心を開かない。そんなある日、彼女の元に差出人不明のメールが届...続きを読む
  • 月曜日の水玉模様
     加納さんの本はこれが初読みでした。
     日常ミステリーですね。人が死んだり、政府の野望に巻き込まれたりはしません。何気なく過ごしていく日々の中で、普段は気にも留めないようなこと。そんなことが気になる。そこからお話が始まります。
     自分は普段、人間観察をしたりしないのですが、周囲の人たちは人間観察がと...続きを読む
  • はるひのの、はる
    シリーズで一番ファンタジーなお話しでした。
    加納さんの紡ぐ温かい物語が大好きです。
    ユウスケ、大きくなったなあ。テルちゃん、働くお母さんになったのか。サヤさん、意外にちゃんと母親してるじゃないの。と親戚のオバチャンの気分で読んだ。
  • ささら さや
    両親のいない孤独なサヤが手にした小さな幸せは
    ある日突然夫の事故死で失われます。
    残されたのはまだ小さな赤ん坊のユウ坊。
    サヤはユウ坊と伯母の残してくれた家で暮らし始めます。

    幸薄そうだ・・・
    少々世間ズレもしてそうだ。
    危なっかしくてほっておけない、って事で
    死んだ夫が幽霊になって見守っているの...続きを読む
  • てるてるあした
    ささらの町を舞台にした、連作短篇集の第2作。といっても、自分は3→1→2って順番できたので、現行ラインナップ中ではこれがラスト。これまで同様、ちょっと不思議な町における、自分発見が主なテーマ。共通する登場人物を上手い具合に配しつつ、本作だけでも成り立つように物語が組み立てられていく。ミステリの要素だ...続きを読む
  • ささら さや
    「はるひのの」を先に読んだから順番が前後したけど、それはたいした問題じゃなかったです。本作の赤ん坊が、件の作品の主人公だった、ってのは後から気付きましたが、その関係性を知らなくても十分に楽しめました。少しずつ謎解きみたいなことも出てくるけど、自分的には極上のヒューマンドラマ。使者を絡めても、それが陳...続きを読む
  • 魔法飛行
    デビュー作「ななつのこ」の続編。
    加納朋子さんの作品の中でも、指折りのお気に入りです。

    ありふれた日常と、そこに潜む小さな謎。何気ない風景がこの方(というのは駒子なのか加納さんなのか)の手にかかると実に鮮やかな色彩をまとって読者の眼前に描き出されます。ラストに至る流れも圧巻ですが、それよりも日々の...続きを読む
  • ぐるぐる猿と歌う鳥
    できないことは多かったが友達と一生懸命遊んだり、他愛のない秘密を守ったりして過ごしていた子供の頃を思い出す良い本・・・というだけでは片付けられない、大人の事情や身勝手さ、汚さに翻弄される部分が描かれており、なんとも言えない読後感。できないことは多かったし、知らないことだらけだったけど、それでもこんな...続きを読む
  • はるひのの、はる
    「ささら」シリーズの三作目にして、最終巻。
    赤ちゃんだったユウ坊が大きくなって遭遇する、不思議な頼まれ事。
    ばらばらに見える幾つもの出来事が、最後には綺麗に繋がります。

    さやもそうだけれど、この物語の鍵を握る女性の、わが子を想う母の強さに、心を打たれます。
  • はるひのの、はる
    本作者は初トライ。従ってもちろん、シリーズの他作品も未読。でも全然問題なかったし、普通に存分に楽しめました。根っこの部分か繋がった、マルチ主人公の短編集が好物ってのもあって、かなり自分と相性良かったです。スーパーナチュラルも、温かい方面に上手く活かされてて、それもまたポイント高し。そういう意味では、...続きを読む