加納朋子のレビュー一覧
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「七人の敵がいる」の続編。さらに言えば「月曜日は水玉模様」~「レインレイン・ボウ」から作品世界は繋がっていますが、まあ「七人~」だけ読んでおけば大丈夫かと思います。
さて、前作はミステリ作家異色のPTA奮闘記だったわけですが、お子さんも無事!?進学し、今回は部活小説です。より正確には、部活"母親"小説。文化部の中でもとりわけ体育会系と言われる吹奏楽部ですが、いやあ親御さんも大変ですね。自分は中学の時、母親の第一希望だった吹奏楽部を蹴って科学部に引きこもりましたが、母にはその選択に感謝して欲しいものです(笑)。
前作が「PTAなんてワーキングママには絶対無理!でもそれ口に -
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NHK FMのラジオ文芸館だったか,番組名は不明なのだが,1週間前か2週間前に「モノレールねこ」の朗読を聞いて,小説を買ってみた.
短編集,ということを知らなかったが,全体的にほっこりというか,文体も今までにない(いい意味で)感じでよかった.『バルタン最期の日』は解説者が4回読んで4回泣いたとあった.
「人間なんてものはね、笑えている間は大丈夫だって。どんなに辛いことがあっても、お腹を抱えて笑うことができれば、きっと乗り越えていけるって。(以下略)
が響いた.
『モノレールねこ』
ラジオ文芸館で聞いたとおり.ねこを失ってしまった後に偶然ながら(?)出会うふたり.
「パズルの中の犬』
犬 -
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「ささらさや」の姉妹編です。
両親の夜逃げにより、高校進学すら叶わなかった雨宮照代(15)がひとり遠い親戚の鈴木久代さんをたよって埼玉県の田舎町「佐々良」に降り立つところから始まるお話です。
こんな境遇にあっては性格がヒネてしまうのも無理はないとは思いながら、なぜこんなにも久代さんは厳しくあたるのだろうと不思議でなりませんでした。
今にして思えば、他人とは思えないほど照代と同じ気持ちでいたからなのかも知れません。(私も自分のことが嫌いでしょうがないので…)
てるてる あした。きょうはないても あしたはわらう。
この言葉を胸に抱いて明日も頑張ろうと思います。 -
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「モノレールねこ」がとても面白かったので、この人の書く長編はどうだろうかと手ににしたのがこの本でした。
事故で夫を亡くしたサヤは生まれて間もないユウスケを連れて、生前親しくしていた伯母の住んでいた「佐々良(ささら)」という街に移住します。
気弱でお人良しで頼りないサヤの周りには数々の事件が起こりますがその度に亡くなった夫が他人の姿を借り助けてくれます。
それに加えて気の良い「佐々良」の街の人たちの支えもあり、サヤが人間的に成長していくというお話です。
ひとつの事件を乗り越えるたびに強くなっていくサヤを見て「子を想う母の強さ」というものを感じました。
涙腺が弱くなったためか、5章目「ダイヤ -
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わー、これはいい。すごくいい!
青春だなあ。青春だよなあ。
青春時代をこれほど郷愁を持って感じさせてくれるお話はそうはない。
それぐらい傑作だと思う。
もちろん自分の好きな部活モノということもある。
変な連中が集まってひとつの目標に向かっていくさまはとてもステキだ。
主人公のぼやきながらも結局やってしまう頼もしさも、さりげなく育っていく恋心も、なんて眩しいんだろう。
そんな頑張っている青春の真っ直ぐさがとても好ましい。
先生への主人公の啖呵と言うかマジギレも楽しかった。
そしてクライマックスでのハプニングと、ラストの先輩とのさりげないやり取り。
いや、完璧だな。
うん、とても面白かった。
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またやってしまった……。
シリーズものは発表順に読むのが正しい。ミステリにおいて、その傾向は顕著。
にも関わらず、自分は「魔法飛行」→「ななつのこ」の順に読んでしまった。
今回の失態は「虹の家のアリス」から先に読んだこと。アリスを取り巻く謎を知った上で「螺旋階段〜」を読むのは問題外。嗚呼!
ひとつ嬉しかったのは柄刀一による解説。「本書の主人公の一人である仁木順平が目覚めるのは、四月のある日です。四月の何日なのでしょうか? それは恐らく一いや、間違いなく"二十五日"でしょうね。」
今日その日ではないか。仁木とアリスが邂逅した日に読み了えるなんてセレンディピティ! -
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短編集なので、感想文を書くのが難しいのですが...
一冊通しての印象は、やはり「心ほっこり系」かな(^ ^
全編通して、割と淡々とした文体で、
さらりと読めるが内容は意外と重い。
巻末の解説を読んで初めて気づいたが、
通底する共通項は「珍しい病気・障害・体質」。
ネガティブなだけではないので、病気とは限定できず。
物語の主役たちは、ちょっと変わった症状を抱えていて、
そのおかげで「社会」とちょっと普通じゃない
関わり方をしている。
そのおかげで、ちょっと普通じゃない事件とか
「現象」とかに遭遇することになる。
本作で重要なのは、主人公の「周辺人物」の存在。
それぞれに活躍したり、別の障害