加納朋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリー作家・加納朋子氏による「急性白血病」の闘病記。最初はただのしつこい風邪だと思っていたら、「あなたは急性白血病です」とまさかの宣告を受ける。
重くなりがちなテーマだが、著者の持ち前の明るさとユーモアあふれる文体のおかげで驚くほど読みやすい。
作中、推しのアニメや漫画を読み漁る姿はどこか微笑ましく不謹慎かもしれないが思わずクスッと笑ってしまう。
特筆すべきは、過酷な抗がん剤治療や無菌室での生活、骨髄移植のプロセスが当事者目線でリアルに描かれている点だ。「よくこの辛い闘病生活のなかでここまで書けたな」と感心すると共に、同じ病と闘う患者やその家族にとっては、大きな心の支えになるのではないかと感じた。
ドナーとなった弟さんをはじめ、必死に支え続けたご家族の姿、そして作家、母、妻として前向きに病に向き合う著者の姿は、愛と優しさに満ちていて本当に素晴らしい。
私は年6回ほど献血に行っているが、本書を読んで、これからも健康である限り自分の血が「誰かの大切な人の一助」になるなら続けたい、と強く思った。著者が現在は寛解され、元気に活躍されているその姿自体が、今まさに病と闘っている患者さんやご家族に、きっと大きな勇気と希望を与えてくれるはずだ。 -
Posted by ブクログ
【感想】すごく心地よい物語。そして駒子さんのキャラクタも。日常の謎系ミステリでもある。
【内容】佐伯綾乃著『ななつのこ』という短編集の愛読者である駒子さんは著者にファンレターを送るがその際作品の謎と微妙に似通っている身の回りで起きた不思議な出来事を書き添えていた。それに対する著者の推理は…>『ななつのこ』の各章は「すいかお化け」「金色鼠」「空の青」「水色の蝶」「竹やぶやけた」「ななつのこ」「明日咲く花」。>「一枚の写真」の章、『ななつのこ』で言えば「空の青」の章が好みです。
■駒子さんについての簡単な単語集
【愛ちゃん】駒子の友人。純和風のはかなげな外見。金持ちの娘。新しいもの好き。
【秋彦】『ななつのこ』の登場人物。優等生で絵も上手い。
【麻生美也子】『ななつのこ』の表紙絵を描いた画家。
【足立硝子店】ご近所さん。
【あやめ】『ななつのこ』のもう1人の主人公。
【エディ】愛ちゃんちの犬。
【尾崎炎:おざきえん】抽象画家。
【金色鼠】『ななつのこ』に収められている短編。
【駒子】入江駒子。主人公。佐伯綾乃の著書『ななつのこ』に運命を感じて購入。高校時代のあだ名は「イリゴマ」。
【佐伯綾乃】『ななつのこ』を書いた著者。
【瀬尾】自動車教習所に行くバスの停留所で出会った。その後デパート屋上のプラネタリウムでバイトしているところに出会い、次には歯痛で行った歯科医の下の階の書店の店員をしていた。駒子の運命の人?
【たまちゃん】紀美子。駒子の高校時代の友人。美術部員だった。《私の絵です》p.72
【ななつのこ】佐伯綾乃の著書。短編集。「すいかお化け」「金色鼠」「空の青」「水色の蝶」「竹やぶやけた」「ななつのこ」「明日咲く花」。
【猫の和尚さん】『ななつのこ』の登場人物。鼠の和尚さんの後釜。三毛、クロ、シロの3匹の猫を飼っている。シロが7匹の子を産んだのでさらに猫寺化が進んだ。
【はやて】『ななつのこ』の主人公。
【ふみさん】駒子の友人。キツめな感じの美人。遠からず結婚するらしい。教師になることが子供の頃からの夢。
【まゆちゃん】真雪。儚げな少女。区立第三小学校で夏休みの終わり頃毎年開かれている低学年を対象とした1泊のサマーキャンプにボランティアとして参加した駒子が出会った。
【吉田動物病院】ご近所さん。エディの主治医。妻がいる。娘は由香。 -
Posted by ブクログ
『ななつのこ』の続編。きっと続編はないと思っていたので、これはうれしい形で裏切られました。今回、主人公の駒子は前作で瀬尾さんにすすめられたように小説のようなものを書きます。今度はそれを瀬尾さん宛てに送るわけですね。ところが、そのあとに、誰からのものかかわからない奇妙な感想を記した手紙がとどけられるという趣向。物語が終局に近づくまで、その手紙に対しての駒子のコメントがないというのもミステリアスです。すばらしい。
しかしながら、ロジック的には解決されている各々の短編が、心理的には釈然としない部分を残したままで展開していくのは連作ミステリの宿命でしょうか?連作の最後にそれらを総合した謎が呈示されるという趣向はわかるのですが……。「主人公の短大生がこのあとどうしたのかにぼくは興味がある」と前作『ななつのこ』の感想にも書いたのですが、各短編を読んだだけでは、やはりそういう思いが残ってしまいます。いや、もちろん、それらはすべてラストのための伏線なのですが。
いちばん印象深かったのは「クロス・ロード」。十字路ですね。どこに続く十字路なのでしょう?どの道を行けばよいのでしょう?O・ヘンリの掌編のひとつをちょっと思い出しました。