あらすじ
閉校が決まった私立萌木女学園。単位不足の生徒たちをなんとか卒業させるべく、半年間の特別補講合宿が始まった。集まったのは、コミュ障、寝坊魔、腐女子、食いしん坊……と個性豊かな“落ちこぼれ”たち。寝食を共にする寮生活の中で、彼女たちが抱えていたコンプレックスや、学業不振に陥った意外な原因が明らかになっていく。生きるのに不器用な女の子たちの成長に励まされる青春連作短編集。(解説・岩田徹)
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Posted by ブクログ
同性が好きな女の子、睡眠障害を患った女の子、カフェイン中毒の女の子、摂食障害の女の子、過度な肥満の女の子、子供がいる女の子、自殺願望がある女の子。。
彼女達が抱えている問題に至るまでの過去と未来を明らかにしつつ、それぞれの人間関係も描かれているのでとても面白かったです。
ストレスはあらゆる不調の元になる、そのストレスから逃げる勇気を持つという理事長の言葉がとても印象に残りました。
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真意を全て伝えないのに、相手に思いが伝わるって素敵だし、伝わったときに人が感動する姿を見るのがすごく好き。心温まるし、自分もそういう風にそれとなく人に思いを伝えられる人になりたいなって思う。
また、話も良かったけど、それぞれが抱えている悩みが違うので、そこもより興味深く読めた要因。それぞれが抱えている悩みは千差万別なのだと実感させられるし、それぞれが前に進む姿もとても良かった。
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うまくいかなくて、こんな自分であることがとことんイヤになった時に読んでみるといいかも。こうやって気にしてもらえたら幸せだし、気にしてあげられる人になってみたいなとも思った。
ひまわりの花言葉は、「あなたは素晴らしい」だそうです。
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不器用な私にとって、この本はとても刺さりました。
第一章はトランスジェンダーの方が主人公ですが、主題は他のテーマだと感じて、深く深く共感できました。
貧富の差が広がり、他者を攻撃する人が増えている昨今において、相手の背景を想像して寄り添うことがとても重要であると思います。
本作の登場人物のように、一面的な見方ではなく相手の事情を推察して思いやりを持って行動しようと改めて考えさせられました。
この本を教えてくれた友人に心から感謝したいです。
Posted by ブクログ
2025/4/22
久しぶりの読書。途中で読むのやめたりするのが多く読書が続かない中、最後まで読み進める事ができた本。先生の言葉には勇気づけられるものがあった。元気が無くなるような時に読みたい本の一つ。
著書の他の本も気になったので読んでみたい。
Posted by ブクログ
こんな人かなぁと想像して読んでいくと、あっといい意味で裏切られる。とても読んでいて楽しかった。理事長のあったかさ、そして半年遅れた卒業式でのひまわりの花言葉の魔法の呪文、とても心に沁みた。岩田書店の店主の解説こそ何度も読みたくなる文章。この本に出会えてよかった!
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かの女達の学業不振に陥った意外なげ
ん因が明らかになっていく。理事長は
どうにか卒業させるべく特別合宿を行う。 向日葵の花言葉あなたは素晴らしいを贈る演説に涙が出て感動しました。
Posted by ブクログ
他人には分からない深層心理。
知って欲しい。でも、知られたくない。
そんな気持ちを抱えた女の子たち。
一瞬で過ぎていく学生時代だからこそ、より彼女達の迷いや葛藤が儚く切なく映る気がした。
必死にもがいて生きることは悪いことじゃないと思わせてくれる作品でした。
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生徒たちの問題を解決していくのが、凄く心があったまって気持ちよかった。
理事長の過去もとても悲しくて、悲しみを乗り越えることで人は優しく強くなれるのかなと思った。
理事長のような人に会いたい。
理事長のような人になりたい。
Posted by ブクログ
閉校が決まった大学に、様々な理由で単位が足りずに卒業できない学生たちのために行われた特別補講合宿。
睡眠障害、摂食障害、ナルコプレシーなど、現代社会の複雑なストレスが原因とされる症状を抱えた学生たちは、まるで刑務所のような厳格な規律の生活の中、人間本来の健やかさを取り戻す力を学んでいく。
ラストの理事長の生い立ちには感銘を受けた。
「もう駄目だ、耐えられないと思った時、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育てて下さい。そして、自分の言葉で、直接『助けて』と言える人を探して下さい。我と我が身を救うための、知恵と勇気を身につけて下さい。」
学校とは、学力をつけるためだけでなく、上手に生きていく術を身につける場所でもあるべきなんだろう。
理事長のような理念を持った教職員が増えてくれると良いな。
Posted by ブクログ
心温まる、良い小説だった。連作短編集が好きなのもあるけど。
各自いろいろな問題を抱える若い女性たちが、大学卒業のために集められ、少しずつ癒されていく話(って説明すると薄っぺらいな…)。小説の登場人物だけど、みんな道を見つけ、元気に人生を歩んでほしい、と願いたくなる。
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最初の話と卒業式の理事長のスピーチで泣きそうになった。出てくる子達はいろいろ問題を抱えてたり一癖二癖ある子ばっかり。でも関わっていく中で相手のことを思って変わっていく子もいて。
こんな先生が居たら良いな!
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とにかく全員卒業することを願って温情をかける理事長。
このような理事長いたら素晴らしいけれど、ここまで生徒に寄り添うことはなかなか無く、お疲れでは、と心配になってしまった。
閉校が決っている学園。心や体に問題を抱え、卒業が危うい女学生たち。
正直、悩みの種が違うお話が幾つかあって、少々頭がまとまらなかった。
自分の悩みをどこまで人にさらけ出すかは難しい。けれど、自分や人を理解するため、前へ進むため、ある程度助けを求めることも大切だと思った。それは決して恥ずかしいことではない。
心がブランコのように揺れて。どうしてこんなに揺れるんだろうって思うこともある。揺れるって、いうのが人生なのですよね。
自分のことをわかろうとしてくれて、肯定してくれる人。この存在は、心から感謝すべき、貴重なものである。
解説を読んで、本当にその通りだと思った。その力は大切ですね。
Posted by ブクログ
一万円選書の岩田さんがその著書で勧めてくれていたので読んだ本だということを、本編を読み終えた後の解説を読んで思い出した。
一つ目の話の主人公が語る形でのは書き出しが、自分の性に合っているというか、ハマるというかそういう感じがある本は総じて、仮に話自体が難しかったりしても自分には面白く読めるしその著者の作品を他にも読んでみようと思うもので、今回もそういう感じの作者を見つけられて良かったなと早々に思えた。
最後の理事長の話でカーテンコールのようにという話が出てきてなるほどタイトルはそういうことだったかと思ったが、果たして自分の実人生の齢五十を大分過ぎた今このテーマの話を読んだとて、なかなか、さてどう生かそうかなどと考えるとあまり楽しくはない話で、だからまぁ、ただただ、感情移入できたそれぞれの短編の主人公たちの今後を想像してみることで良いかな…
Posted by ブクログ
当時社会人一年目として働く友人を思い出しました。
彼は、残り少ないエネルギーを自分を責めることに使っていました。心を患い、生活がままならなくなるのにそう時間はかかりませんでした。
"もう駄目だ、耐えられないと思った時、自分の足で逃げられる力を、今のうちに育てて下さい。”
この理事長の言葉は、読後何度も読み返すたいせつな一節のひとつです。
やれ深夜にラーメンを食べたとか、やれ風呂に入ってくるとか、やれ眠たいから寝かせてくれとか、私を鬱陶しそうにひっぺがす友人に心底嬉しく思う今です。
ご飯の味がして美味しいと思えること、眠りたい夜に眠ることができること、彼のそのひとつひとつが私はふとした時嬉しくてたまらないといった具合です。
私も、いつでも辛いことから逃げる元気を蓄えるため、日々美味しいご飯を食べ、熱いお風呂に入り、ちゃんとバス停まで歩いて、よく学びよく眠るようにしよう!と思えました。
登場人物たちも今、こんな風に思い返すことがあるのかな?
カーテンコールとは、舞台や演劇のあとに、出演者がもう一度舞台に出てきて観客の拍手に応えることを指しますが、ここでは"もうひと花ある”ことを比喩しているように感じられました。
自分自身の大嫌いなところも、どうしていっつもこうなんだろうという気持ちは、理事長にかかればにこやかな白湯タイムのいち話題に過ぎないのかも。
この本には、選書サービスを通して出会いました。自分のどんよりしたこれまで体験した諸々に、「そうでもないぞ!!」と光をもう一度当ててもらったような気分です。
登場人物たちのユーモラスで不器用な優しさに、勇気に、そして理事長に拍手喝采です!
Posted by ブクログ
閉校の決まった女子大を卒業できなかった生徒に、閉校後も特別に半年間授業を行って、卒業すせるという話。
単位が足りなくて卒業できない生徒には理由があり、その理由は否定せずに、少しだけ生活を変えて、少しだけ生きやすくさせるという理事長の思いが、子供達に届いてよかったと思う。
Posted by ブクログ
4/11
この本は
人生嫌なことや悲しいこともあるけど、それでも強く生きていこう!
と思わせてくれる明るい物語でした。
長所や短所は自分or他人からの視点なのか、あまり自分を卑下しすぎないことが大切なのかな。。
Posted by ブクログ
再読。
気持ちが落ち込んだり悩んだりしているとき、どれほど勇気づけられたことか。
優しさの裏側には、苦しみがあるからこそ、優しくなれるのかもしれませんね。
Posted by ブクログ
人それぞれに事情があり人生があり、今後何が起きるか分からないし、生きていくことは不安。
でもそんな人生、人と出会うなか、角田理事長みたいな存在と巡り会えたらどんなに良いか!
絶望しても、とにかく生きている限り可能性があると思わせてくれました。
自分も登場人物たちと重なる部分があり、励まされた気持ちになりました。
Posted by ブクログ
閉校が決定した私立萌木女学園。様々な理由で単位が足らず卒業できなかった学生たちを救済すべく、理事長の発案で半年間の特別補講が行われることとなった。
それは、敷地内の宿泊施設で寮生活を送りながら補講授業を受けるというもの。
特別補講を受ける学生たちが寮での生活や他の学生・理事長たちと交流をするなかで、それぞれの問題や事情が明らかになったり、成長をしていく連作短編集。
様々な事情を抱えて卒業できなかった学生が集まり一緒に生活するという状況により、ある種の仲間との交流で影響し合っていくのが良かった。
心の面の問題とするだけでなく、生活習慣を整えるこもの大切さについても丁寧に描かれていように感じる。
理事長の、個々に合わせたサポートもこの物語上、とても重要な意味を持っていた。
簡単なことではないけれど、似た境遇の人と支え合える環境とその人その人にあったサポートによって、前へと進んでいく自信に繋がるのかもしれない。
最後の理事長のスピーチがとても印象的だった。学生たちへのメッセージであるとともに読者へのものように感じられ、素敵なメッセージだと思った。
Posted by ブクログ
閉校予定の女子大を舞台にした連作ヒューマンドラマ。全6章。
物語はプチミステリー風で、学生10名と運営する理事長たちの織りなす群像劇の体裁をとっている。
◇
年度末で閉校となる女子大で、最後となる卒業式がとどこおりなく終了した。
けれど、単位不足で卒業認定にいたらなかった学生が10名いる。
本来なら留年になるのだが、大学として後がない今回に限り彼女たちの卒業を延期しての特別補講が行われることになった。
ただしその補講、寮での合宿制で期間は半年間。合宿中は外出制限されるという厳しいものだった。
* * * * *
本作の魅力は3つあります。
1つ目はさまざまな理由で学校に通えず単位修得できなかった学生たちの抱える事情です。
各学生のストーリーが1人ひとりよく考えられていておもしろい。
2つ目は部屋を割り当てる際の学生のペアリングです。
学生それぞれの個性や事情を的確に把握したうえで理事長が決める絶妙な組み合わせ。各章の終盤で種明かしがあり、それが見事でおもしろい。
3つ目は最終章で明かされることになる理事長たち特別補講運営スタッフの過去や秘密です。
これらがそれまでの物語に奥行きを与え、人間模様をまとめる役割を果たしています。本当に読ませる内容でおもしろい。
このように二重三重の仕掛けが施され、軽いタッチながらなるほどと深く印象に残る設えとなっていました。
映像化 ( 連続ドラマがいいかな ) して欲しいと強く思った作品です。
読んで良かった!
本屋さんで見かけて中をちらっと見た時に、直感で面白そう!と思い買いました。単位を取り損なった学生たちのエピソードを読み進む中で、正直あれ?これ結末面白い?と思い始めた矢先にどかーんときました。終盤一気に持っていかれ、読後はこの学生さんたちと同じ気持ちに。そして解説が素晴らしかった!この解説を読むためにもぜひ、友達にも薦めたい一冊になりました。
Posted by ブクログ
それぞれ理由があって、大学が閉校する年に卒業できなかった女学生たち
学校側は卒業させるべく半年間のは補講を開く
各々にスポットを当てた章立てになっていて、それぞれが今後の人生を生きる上での小さな希望を見つける姿がよかったな
Posted by ブクログ
この本の中に自分に似た人がきっといるはず、という文章から、自分に似ている人を探すつもりで読み進めた。
結論、似ている人というよりも、人にはみんなどこか似たところがあって、全く真逆のところもある、みたいな、普遍的だけど改めて思うとそうだよなぁ、となることを教えてくれたような気がする。
人の背景は聞かないと分からないものだけど、聞きすぎる必要もなく、ただ、この人にも何かあるのかもな、くらいのスタンスで関わるのが丁度いいのだと、学ぶこの頃です。
自分と全く違う世界の話ではないけれど、すごく思い当たる節があってぐさりと刺さることもない、読みやすいものでした。
Posted by ブクログ
基本的にはハートフルな連作短編集なのだけれど、その中に「プリマドンナの休日」みたいな一編を入れ込んでくるあたりが実に加納朋子さんで大変良かった。
Posted by ブクログ
それぞれに問題を抱えた女学生たち。寮生活を送る中で、他人の痛みを知り、自分の痛みを吐き出していく。学生らが苦しみの渦に巻き込まれないよう、理事長をはじめとした大人がフルサポートで支え、健康な生活と精神を育んでいく。あらゆる救済措置をすり抜けた怠惰な女子大生のための補講と思っていたけど、中身は育て直しに近かった。寮はまるで児童養護施設みたい。
個性豊かな子達ばかりで、私は特に金剛真実が好きだったなぁ。美しい女の子が好きで、隙あれば百合の材料を探す面白い子。理事長への腹いせに理事長のBLを描いていたのが最高だった笑
温かくて、優しくて、脆い部分や痛みにそっと寄り添ってくれるような本で、駄目な自分でも丸ごと肯定してくれるような力強さを感じた。自分が駄目だと分かっていても、時には無条件に頑張ったねと言ってもらいたい時がある。そんな時に読み返したい一冊だった。みんな、無事に卒業できてよかったね。
Posted by ブクログ
閉校になった萌木女学院の落第生が半年の間特別補講を受ける話。色んな学生それぞれ事情があるんだけど、こんなに無理矢理引っ張り起こしてくれるような理事長がいるとは随分幸せだなあと感じた。それぞれ落第の理由があるんだけど、自分は何処にも当てはまらないただの怠け者ということに気づく。もっと人と深く関わったりしたいなぁと感じる一冊。
Posted by ブクログ
廃校が決まっている女子大の理事長による、留年学生追い出し(?)補講プログラム。彼女たちそれぞれに単位が取れなかった理由があり、ままならない背景がある。その「ままならなさ」を当人の視点はもちろん、それを支える理事長や先生方の視点からもリアルに丁寧に描くことで、補講の最後は全員なんだか救われた雰囲気に。
読み応えで言えば1話目がいちばん引き込まれて、それきりだった。今時の叙述トリック。読者の潜在的偏見を上手にくすぐって、なるほど、そういう子も今じゃ普通だよねという感じ。
大学生って、とても宙ぶらりんな時期だと思う。大人に片足突っ込みかけて、でも真の意味で大人になった経験を持たない、自由に見えていちばんがんじがらめな時期。経済的にも精神的にも中途半端で、なのに進むも引くも自分次第。「選択の自由」が恐怖として迫ってくる。この中途半端で宙ぶらりんな時期を、理事長がしっかり律することで、自由に対する恐怖が彼女たちの中で少しずつ薄らいだような気がする。社会的に見て少数派でも、落ちこぼれでも、守りたいものがあってもなくても。その現状が変わることはなくても。
補講前と補講後、劇的な変化こそないが、少なくとも取り返しのつかない希死念慮やコントロールできない不安感などは、健康的な生活習慣が予防してくれるだろう。
自分が大学生の時はどうだったっけ、と振り返りつつ、振り返っても詮無いなと思い直す。
Posted by ブクログ
閉校するはずだった萌木女子学園を卒業できず、宿泊施設で特別補講を受けることになった学生たち。
単純に自己責任とは言えない卒業できなかったそれぞれの理由。こういう、大多数にとってのいわゆる日常がままならないことって思っている以上にあるのかもしれないなと、他人事ではなかった。
理事長や学園の人たちが、彼女たちを決して置いていかない理由と覚悟が、理事長のむかーしむかしの物語を通じて明らかに。
もう少しし皆のその先が見たかった気もするけど、小さくてもそれぞれの変化がしっかり見えているから、敢えて描かれていないのかな。
読んでいて辛いところもあるけど、前に進むことを考えさせてくれる素敵なお話でした。
Posted by ブクログ
茉莉子の短編が1番よかった。
ただなんとなく、キャラクターの生々しさよりも役割づけが前に来ている印象で、ちょっとスローペースで読むことになった。
でもいい話だったし、ほんのりほっこりする小説でたまにはいいなぁと思った。