加納朋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作者の加納さんは何気ない普段の生活を取り上げてミステリーの味付けのある小説を書く方ですが、5年前に急性骨髄性白血病を発症してしまいました。彼女は物書きなので、死と隣り合わせで病いと闘った様子をを日記として書いていました。
骨髄移植により現在は寛解に至っていますが、日記と共にその時のことを振り返っても書かれています。この病気の大変さはある程度知っているつもりでしたが、この闘病記を読むとやはり壮絶の言葉が当てはまります。しかし、それよりもこの闘病記が加納さんを取り囲む家族愛の記録となっているところが見事でした。
骨髄細胞をもらった実の弟さんの日記まで載せてありますし、その他、お姉さんと妹さん、お父さん、そしてご主人、その上お姑さんまですごく手を貸してくれる状況があり、お母さんが入院して心配のお子さんがいるにせよ、皆が一致団結して彼女と病いに立ち向かっていました。いかに治療に専念できるかは色々な環境に左右されるかと思いますが、彼女はこうした家族や友人に恵まれ、さらに経済的にもある程度余裕があるからこそ、ここまで闘うことができたのかなあと思った次第です。それもこれも普段の心掛けやお付き合いのあり方が良かった証しなのでしょうね。ひとつ気になったのは同じ文筆業であるとの加納さんのご主人とはだあれ? -
Posted by ブクログ
最初、本の中身を知った時(著者の闘病記)「ええっ〜!」と驚きでした。 多作ではないものの、コツコツ、コンスタントに本を出されているイメージがありまさか重病にかかっているとは。
病気が発覚するまでの、普通の生活からちょっといつもと違う→結構違う→受診。検査。診断。
そんなドラマみたいな事が…と。(本書でも似たようなくだりあり)本当にごく普通の生活を送っていたところに病気発見の衝撃(というかその信じられなさ)が伝わってきて身につまされた。小学生とはいえまだまだ小さい子どもがいる著書には辛かっただろうと思う。
こういった病気の初期からの闘病生活が細かく描かれている。
本当に治って良かった。
闘病中は、辛いこともあったりの記載もあるけれど、全体としては、明るい著書の性格が感じられて駒ちゃんを思い出しながら読んでいた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ一作目を、あとから読みました。結婚し、子供が生まれ、幸せが溢れた毎日。その日常のさりげない一こまのなかで命を落としてしまう夫。遺されたサヤと、生まれて間もない赤ちゃん・・・。
そこに現れたのは・・・。なんと夫の幽霊!
奇跡の幽霊、といえばそうなのだけど、小説だからこそ、こんなこともあってほしい。サヤはいろいろなひとに出逢いながら子供を育て、自身も成長していく。
ただ・・・ほんとうに夫を亡くしたひとが読むと辛いかもしれない。こんな奇跡は誰にも訪れるものではないから。そんなことを、読後ふと思ってしまいました。
近々映画になるそうですが、原作とはかなり違った設定になるみたいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ加納朋子には『青』が似合う。
空や涙などブルーなさわやかさに満ちた作品が多い。
平和すぎて物足りないと思う人もいるかもしれないが、アクはないが、イヤミも全くない。
エゴイストもたくさん出てくるが、読み終わった後、食傷気味になったりしない安心できる作家だ。
しかし、今回の表紙はびっくり。
漫画イラストなのはともかく、ものすごくポップな雰囲気で『ななつのこ』や『モノレール猫』とは全然違う。
中身も今までの『日常の謎』のミステリではない。
そりゃ、PTAを舞台にした『七人の敵がいる』もあるけれど、あれだって日常の事件を解決して毎回オチがついていたが、今回は少年少女が空を飛ぶまでの奮闘記という一貫した物語なのだ。
そういうわけでなかなか食指が動かなかったのだけれど、読み始めたらやはり面白い。
昔の氷室冴子や田中正美、久美沙織など、昨今見られなくなったなどまっとうなジュブナイルだった。
――主人公『くーちゃん』がなりゆきで無理やり入らされた『飛行クラブ』の部長をたきつけて彼の飛びたいを形にするため頑張る。しかし『神』部長をはじめ、集まってくるのは変人ばかり…
なんて『乙女●っく通信』にありそう。
くーちゃんが部長の夢に入れ込むさまはちょっと強引な展開だったけれど、それもまあらしいといえばそう。
中学生だからバイトできないとか、体験学習とか、等身大のエピソードもいかされている。
日和見主義な大人や頼れる口の悪い第三者も実にらしい小道具だ。
が、随所随所この作者独特の優しくも鋭い言葉が入っていて、大人でも十分楽しめる。
もしくはこの親世代の方が楽しめるのかもしれない。
象徴的なのが主人公たちの名前だ。
海月(某バンドのスレもといファンとしては複雑)樹絵里(似た名前はマジで実在する)、朋(ふつうじゃない読みです…)神など、キラキラネームでそれぞれ苦労している。
海月の場合は、まともといえばまともなんだけれど、親がよくよく考えてなかったせいでひどいめにあっている。
なんていうか、そういう世代なんでしょうねぇ。
スパンコールきらきらな特別なお洋服は毎日着るものじゃないように、いつどんな境遇時でも着られる名前というのも大事なんだけれど、親は特別なお洋服を子供に着せたがる。
名前だけではなく、このうちの何人かは親に特別なオプションを生まれながらにして課せられている。
名前に連なる呪いのように。
それだって愛情からには違いないんだろうけれど、子供は親の付属品じゃないというあたりまえのことをどうしてわからないんだろうと、近い世代で子供のいない自分はつい考えてしまう。
子供を産んだら忘れてしまうんだろうか。
何人か子供たちは親とそれぞれの方法で対峙する。
親の付属品から一人の人間としてテイクオフするために。
全体的にさわやかな余韻で、続編もあってもいいんじゃない?な終わり方。
残念なのは神の親との対決がすっきりしていないことと、ところどころ、話が強引過ぎたことかな。
冒頭の飛行クラブの文言が生かされていないのも残念。 -
Posted by ブクログ
前半80ページ程延々と近況報告を綴った手紙が続くのにはちょっと退屈したけれど、思いがけない真相に再び読み返してしまいました。
前二作とはまた違った趣向の今作、第三者目線で見る駒子と瀬尾さんが新鮮。友人のお話がメインになるのでふたりの出番は少なめでさみしいですが今まで描かれなかった時間の姿が見られて良かった。
そして駒子の友人愛ちゃんの別の人から見た一面も描かれるのですが、あとがきの「どちらが正しいという問題ではなく、『駒子は世界をそんなふうに見ることを選ぶ人である』ということなのでしょう」という言葉が印象的。駒子のように良いところに惹きつけられるように世界に飛び込んでいけたらいいなあ。