加納朋子のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・トオリヌケ キンシ
・平穏で平凡で、幸運な人生
・空蝉
・フー・アー・ユー?
・座敷童と兎と亀と
・この出口の無い、閉ざされた部屋で
どうして本屋大賞は加納朋子を選ばないんだろう?
私は結構彼女の本に背中を押されて前向きになれることがあるんだけど、いい年をして私が単純すぎるのかなあ。
短編はどれも、それぞれ生きていくにはちょっとしんどい、けれど人には人には伝わりにくい困難を抱えた人が出てくる。
「場面緘黙症」「共感覚」「ネグレクト」「相貌失認」「醜形恐怖症」「半側空間無視」など。
本人が一人で悩んでいるうちは、それはとてもつらい。
でも、傍で支えてくれる、見守ってくれる、一緒に歩いてくれる人がいたら、少しは楽になるかもしれない。
出来すぎな話?
そうかもしれない。
本当の人生は、そんなものじゃない。
でも、ふわふわと生きているわけじゃあないのだ。
しっかりと生きようと思うから、辛いのだ。
『この出口の無い、閉ざされた部屋で』について言えば、作者自身がこの部屋から出てきた人だから。
好きなのは、『平穏で平凡で、幸運な人生』。
確かに主人公が葉山先生と出会えたのは、最強に幸運だったと思う。
逆に読んでいてつらかったのは『空蝉』。
子どもが辛い目に合う話は、読んでいてやっぱり辛い。
結果的に状況は改善したとしても、長いこと辛い思いをしてきた時間はやり直しがきかないのだし。
それでも、一番短い話だけど、本のタイトルを『トオリヌケ キンシ』にしたのは正解だと思う。
”たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても、根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。”
どうして本屋大賞は加納朋子を選ばないんだろう? -
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ネタバレ目次
・はるひのの、はる
・四つ辻の幽霊
「ささら」シリーズの最終巻。
今更?と思ったけれど、もう出版されて10年以上たったのね。
加納さんの本は人気があるから、予約がいっぱいでなかなか順番が回ってこないのです。
主人公のユウスケは、『ささら、さや』の時にはまだ赤ん坊だった、さやの息子。
小学校に入る前の年から数年おきに、ユウスケは「はるひ」と名乗る少女に出会う。
同じ年頃のはずなのに、妙に大人びた雰囲気を時折見せるその少女は、いつもユウスケに無理難題を押し付ける。
『ささら、さや』は、亡くなったさやの夫が、幼い息子を抱えて生きていかなければならないちょっと世間知らずの妻を心配して、幽霊としてできる範囲で妻を支える話だった。
さやは全く夫の気配を感じないのだが、赤ん坊のユウスケは、父の気配をしっかりと受け止めていた。
そう、ユウスケは幽霊が見える、何なら交流をすることができる少年なのだ。
「はるひ」はもちろん幽霊ではない。
ユウスケの成長と同じペースで成長しているから。
そして高校でユウスケは「はるひ」を見つけた!はずなのだが、彼女は「はるひ」ではないという。
こんなに似ているのに。
そして、少しずつ重なり合いながら、少しずつすれている、「はるひ」との思い出と、高校で知り合った翼や美鳥の過去の出来事。
それらが織りなす結末は、想像がついたけれども。
でも、一番好きなのは、ミヤのエピソード。
ちょっと泣いた。
”死ぬほど好きな人のことだって、知らないことは星の数ほどあるものね。それをひとつひとつ知ることは、まるで星に手が届くみたいで嬉しいよ” -
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加納朋子が自らの急性骨髄性白血病の治療の経緯を綴った日記、エッセイ。
語り口にユーモアがあり、重苦しくならず、どのような治療をし、どのように過ごしてきたのかが、分かる。言葉から伝わる以上に辛かったのだろうと思うけれども、また、加納さんが治療に成功したことも分かっていることもあり、そのつらさを感じずに読むことができた。
がんの治療にどのようなことがあり、治療中にどうなるのか、についての知識をえるという点でも役にたちそう。
実弟が骨髄の提供をされているが、弟さんからの視点での記録もあり、こちらも感情はそこまで出ていないものの、姉に対して何ができるのかを考えており、心打たれる。 -
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「カーテンコール!」がとてもとても面白かったので、その方の体験手記ということで興味がわいてこの本にたどり着きました。
大きい病気も入院も経験したことのない私が感想を書くなんておこがましい気もしますが…。
どこか他人事目線でしたが、五体満足で歩ける、食べれる、美味しいものは美味しいと思う、、、そんな私の当たり前。
今日の私の当たり前は、明日明後日の当たり前じゃないんだなと改めて思いました。
何か大きな病気をしたとき、家族がなったとき、きっとこの本のことを思い出して、この本が治療を頑張る支えになると思います。
そんな本でした。
ありがとうございました。 -
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ネタバレなおなおさんからのご紹介本。
正直裏表紙の作品紹介を読んだ限りではあまりピンとこなかった。爽やかYA系作品のようで悪い話ではなさそうだが。。
ちらりと北上二郎さんのあとがきを先読み。
「驚くぞ、これは驚くぞ」の書き出しを読み、ぱたと閉じる。
ほほぅ、そういう感じかと俄然興味が湧き購入。
幼なじみの徹子と護の成長譚。
前後半の2部構成からなり、前半は「フラット」、後半は「レリーフ」。
「フラット」は護視点の物語。
地味で目立たない存在でありながらも、誰に対してもフラットに接する幼なじみの徹子。
ときに奇妙な立ち振る舞いをするところや、その人間性から他人からいいように使われてしまう徹子に、幼なじみとしての情を注ぎ気に掛けながら、つかず離れずの関係で共に青春時代を歩み成長していく。
後半の「レリーフ」はいよいよ物語のサイドB、一旦巻き戻り徹子側からの視点で再開。
前半の何てことのない話の中に時折挟まれる違和感。
ふむふむ、北上さん言ってたもんね、これが伏線なんだよな。
でも敢えて詮索はしませんよ、仮に流れを読み切れたところで後半の興を削がれるだけですから。
後半、徹子凄いなぁ、尊い生き様だなぁと思いつつもこの手の尊さってときどき抑制要素になるなとも思う。
我慢すること、制御すること、誘惑に負けないこと、信条から外れないことが尊いと思ってしまうと羽ばたくことに躊躇う。
この後娘にパスする予定だが、最近色々我慢しているような様子も見受けられるので、そこは終盤のわちゃわちゃ感に見るハッピーエンドの方に目を向けてバランスを取って欲しい。
序盤では何のことかよく分からないタイトルも、読み終わってみると凄く象徴的なタイトルだと感じ、すっきり。 -
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前半のフラットでは護が語り、後半のレリーフでは徹子が語る物語。
前半のような感じでずっと話が続いていたら、ここまで引き込まれなかったかも。
後半、徹子目線になってから、一気に全てが見えてきて、面白くなった。幼馴染みの護が、全幅の信頼をよせる徹子。ちょっと変わった行動を取ったりする理由がわかった途端、前半のレリーフにも一気に面白さを引き寄せた。
カタリが登場してからは、どうなることやらとハラハラした。こんな人が近くにいたら、怖すぎる。だから、徹子がいろんな景色を見ながらたどり着いた場所を知ったときは、ほっとした。最後は、あっという間に時が流れてしまったけれど、護の優しさを感じるのには充分な気がした。