加納朋子のレビュー一覧

  • トオリヌケ キンシ

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    ネタバレ

    目次
    ・トオリヌケ キンシ
    ・平穏で平凡で、幸運な人生
    ・空蝉
    ・フー・アー・ユー?
    ・座敷童と兎と亀と
    ・この出口の無い、閉ざされた部屋で

    どうして本屋大賞は加納朋子を選ばないんだろう?
    私は結構彼女の本に背中を押されて前向きになれることがあるんだけど、いい年をして私が単純すぎるのかなあ。

    短編はどれも、それぞれ生きていくにはちょっとしんどい、けれど人には人には伝わりにくい困難を抱えた人が出てくる。
    「場面緘黙症」「共感覚」「ネグレクト」「相貌失認」「醜形恐怖症」「半側空間無視」など。

    本人が一人で悩んでいるうちは、それはとてもつらい。
    でも、傍で支えてくれる、見守ってくれる、一緒に歩いてくれる人がいたら、少しは楽になるかもしれない。

    出来すぎな話?
    そうかもしれない。
    本当の人生は、そんなものじゃない。
    でも、ふわふわと生きているわけじゃあないのだ。
    しっかりと生きようと思うから、辛いのだ。
    『この出口の無い、閉ざされた部屋で』について言えば、作者自身がこの部屋から出てきた人だから。

    好きなのは、『平穏で平凡で、幸運な人生』。
    確かに主人公が葉山先生と出会えたのは、最強に幸運だったと思う。
    逆に読んでいてつらかったのは『空蝉』。
    子どもが辛い目に合う話は、読んでいてやっぱり辛い。
    結果的に状況は改善したとしても、長いこと辛い思いをしてきた時間はやり直しがきかないのだし。

    それでも、一番短い話だけど、本のタイトルを『トオリヌケ キンシ』にしたのは正解だと思う。
    ”たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても、根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。”

    どうして本屋大賞は加納朋子を選ばないんだろう?

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    2025年04月20日
  • ぐるぐる猿と歌う鳥

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    小学生が主人公の物語。
    子供達で解決できる問題と、子供のチカラでは解決できない問題があって、自分の子供時代を思い出した。

    張り巡らされている伏線が回収されるので、最後はスッキリ。

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    2025年04月06日
  • いつかの岸辺に跳ねていく

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    森野護と平石徹子は家が近所の幼なじみ。前半は、護視点の、淡々とし過ぎる?ほどの青春物語。
    後半に入って物語は一気に加速し…、以降はネタバレになるので自主規制。
    大きな驚きと温かな読後感が待っています。
    え?ジャンル?言えません!(笑)

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    2025年03月30日
  • はるひのの、はる

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    ネタバレ

    目次
    ・はるひのの、はる
    ・四つ辻の幽霊

    「ささら」シリーズの最終巻。
    今更?と思ったけれど、もう出版されて10年以上たったのね。
    加納さんの本は人気があるから、予約がいっぱいでなかなか順番が回ってこないのです。

    主人公のユウスケは、『ささら、さや』の時にはまだ赤ん坊だった、さやの息子。
    小学校に入る前の年から数年おきに、ユウスケは「はるひ」と名乗る少女に出会う。
    同じ年頃のはずなのに、妙に大人びた雰囲気を時折見せるその少女は、いつもユウスケに無理難題を押し付ける。

    『ささら、さや』は、亡くなったさやの夫が、幼い息子を抱えて生きていかなければならないちょっと世間知らずの妻を心配して、幽霊としてできる範囲で妻を支える話だった。
    さやは全く夫の気配を感じないのだが、赤ん坊のユウスケは、父の気配をしっかりと受け止めていた。
    そう、ユウスケは幽霊が見える、何なら交流をすることができる少年なのだ。

    「はるひ」はもちろん幽霊ではない。
    ユウスケの成長と同じペースで成長しているから。
    そして高校でユウスケは「はるひ」を見つけた!はずなのだが、彼女は「はるひ」ではないという。
    こんなに似ているのに。

    そして、少しずつ重なり合いながら、少しずつすれている、「はるひ」との思い出と、高校で知り合った翼や美鳥の過去の出来事。
    それらが織りなす結末は、想像がついたけれども。

    でも、一番好きなのは、ミヤのエピソード。
    ちょっと泣いた。
    ”死ぬほど好きな人のことだって、知らないことは星の数ほどあるものね。それをひとつひとつ知ることは、まるで星に手が届くみたいで嬉しいよ”

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    2025年03月24日
  • 無菌病棟より愛をこめて

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    加納朋子が自らの急性骨髄性白血病の治療の経緯を綴った日記、エッセイ。
    語り口にユーモアがあり、重苦しくならず、どのような治療をし、どのように過ごしてきたのかが、分かる。言葉から伝わる以上に辛かったのだろうと思うけれども、また、加納さんが治療に成功したことも分かっていることもあり、そのつらさを感じずに読むことができた。
    がんの治療にどのようなことがあり、治療中にどうなるのか、についての知識をえるという点でも役にたちそう。
    実弟が骨髄の提供をされているが、弟さんからの視点での記録もあり、こちらも感情はそこまで出ていないものの、姉に対して何ができるのかを考えており、心打たれる。

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    2025年03月24日
  • 無菌病棟より愛をこめて

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    「カーテンコール!」がとてもとても面白かったので、その方の体験手記ということで興味がわいてこの本にたどり着きました。

    大きい病気も入院も経験したことのない私が感想を書くなんておこがましい気もしますが…。

    どこか他人事目線でしたが、五体満足で歩ける、食べれる、美味しいものは美味しいと思う、、、そんな私の当たり前。
    今日の私の当たり前は、明日明後日の当たり前じゃないんだなと改めて思いました。

    何か大きな病気をしたとき、家族がなったとき、きっとこの本のことを思い出して、この本が治療を頑張る支えになると思います。
    そんな本でした。
    ありがとうございました。

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    2025年03月23日
  • 七人の敵がいる

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    よくある身近な話。世の母親には頭が上がらなくなる。父親たちが大変なのも分かるが、母親視点からすると…。結婚&子供って大変ですな。満足です。

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    2025年03月09日
  • ななつのこ

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    手紙でのやり取りという形式のストーリーが、スマホも携帯も普及していなかった時代だからこそ生まれたのだと思うけども、それが逆に今の時代となっては斬新に感じた。ただ、言葉遣いや想像できる風景はちょっと懐かしいような感じもあり、そのノスタルジックさも良い。こういう日常を切り取った推理小説もあるのだなあと印象的だった。

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    2025年03月03日
  • 魔法飛行

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    再読。昔の短大生は今よりずっとのんびりしていて、教養豊かだったのかも、なんて思ってしまった。以前読んだ時は共感しかなかったのになぁ。

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    2025年02月23日
  • ななつのこ

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    イリゴマの考え方や人との接し方の温度感が好きで、読んでいて楽しかったです。推理してもしなくとも良い、気楽さも良かったです。佐伯さんからの返事で、急に事実が浮かび上がってくるのがテンション上がり、クセになります。

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    2025年02月09日
  • いつかの岸辺に跳ねていく

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    ネタバレ

    なおなおさんからのご紹介本。
    正直裏表紙の作品紹介を読んだ限りではあまりピンとこなかった。爽やかYA系作品のようで悪い話ではなさそうだが。。

    ちらりと北上二郎さんのあとがきを先読み。
    「驚くぞ、これは驚くぞ」の書き出しを読み、ぱたと閉じる。
    ほほぅ、そういう感じかと俄然興味が湧き購入。

    幼なじみの徹子と護の成長譚。
    前後半の2部構成からなり、前半は「フラット」、後半は「レリーフ」。

    「フラット」は護視点の物語。
    地味で目立たない存在でありながらも、誰に対してもフラットに接する幼なじみの徹子。
    ときに奇妙な立ち振る舞いをするところや、その人間性から他人からいいように使われてしまう徹子に、幼なじみとしての情を注ぎ気に掛けながら、つかず離れずの関係で共に青春時代を歩み成長していく。
    後半の「レリーフ」はいよいよ物語のサイドB、一旦巻き戻り徹子側からの視点で再開。

    前半の何てことのない話の中に時折挟まれる違和感。
    ふむふむ、北上さん言ってたもんね、これが伏線なんだよな。
    でも敢えて詮索はしませんよ、仮に流れを読み切れたところで後半の興を削がれるだけですから。

    後半、徹子凄いなぁ、尊い生き様だなぁと思いつつもこの手の尊さってときどき抑制要素になるなとも思う。
    我慢すること、制御すること、誘惑に負けないこと、信条から外れないことが尊いと思ってしまうと羽ばたくことに躊躇う。
    この後娘にパスする予定だが、最近色々我慢しているような様子も見受けられるので、そこは終盤のわちゃわちゃ感に見るハッピーエンドの方に目を向けてバランスを取って欲しい。

    序盤では何のことかよく分からないタイトルも、読み終わってみると凄く象徴的なタイトルだと感じ、すっきり。

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    2025年02月01日
  • いつかの岸辺に跳ねていく

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    2019年初版だが、書店でオススメ本として平積みされていたので手に取ってみた。
    主人公は護と徹子。二人は「幼なじみの腐れ縁」だということになっており、語られるエピソードも「お互いに恋愛感情はない」ことを示している。しかし、である。最終盤、護の「あのさ」から始まる一連の言葉を読んでみて欲しい。
    一般化できない特別な関係。泣けます。

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    2024年12月28日
  • 魔法飛行

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    駒子シリーズ第2弾。途中に挟まれる謎の手紙については若干の不自然さも感じたけど、このシリーズはミステリーというより駒子の気持ちや友人たちとの日常の描写が好きなので楽しく読んだ。特に「魔法飛行」の話が好きだ。野枝ちゃんたちのその後が気になるなあ。

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    2024年11月09日
  • ななつのこ

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    第3回鮎川哲也賞受賞作の駒子シリーズ1作目。20年振りに発売されたという4作目を先に購入してしまったので順を追ってこちらから。駒子が日々出会う不思議な出来事や謎が作家との手紙のやり取りで解かれていく。結構前の作品なので言葉使いや物が懐かしくノスタルジックさを感じる。1話目の犬の話には驚きとショックがあったけど他の話はどれも蘊蓄含めすごく楽しかった。駒子の、少し独りを好む中にも人に寄り添う優しさにあったかくなる。たくさんの不思議は目の前にあるのかも。何かの荒を探すより、そのものを楽しむことを大事にしたい。

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    2024年10月29日
  • 魔法飛行

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    「ななつのこ」の続編、駒子シリーズ2作目。前回と違うのは駒子が物語を書きそれを瀬尾さんが読み感想の手紙をくれること、そして差出人のわからない手紙が届くこと。4話の中で徐々に近づいてくる不穏な存在が少し不気味で怖いけど、駒子含めふみさんや愛ちゃんが明るく盛り上げてくれてるので楽しい気持ちのまま読める。交差点での交通事故や壁画、短大で出会った茜さん、学園祭、たくさんのことがきちんと繋がりとてもスッキリ。謎だけじゃなくほんのり恋の話もちらほらあり初々しくていい。蘊蓄も楽しいし続きも楽しみ。時代背景が懐かしい。

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    2024年10月29日
  • スペース

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    駒子シリーズ3作目。手紙が重要なアイテムなのはわかっているが今回は2話のうち1話は何通もの長い手紙がほとんどの「スペース」を埋めている。駒子から瀬尾さんに託された手紙と言う名の謎、よくわからないままながらも読み進めると駒子のいじらしい気持ちが見られる。2話目はその裏側、そして気になるその後にも触れている。期待した駒子の活躍はあまりなかったけど楽しかった。人の幸せってどこにあるかわからないものだ。置かれた場所で〜と言う本もあるけど自分から動き見つけ取りに行くことも大事だと思う。謎のようなあったかい恋愛もの。

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    2024年10月29日
  • モノレールねこ

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    なかなか良い作者で作品だった ショートストーリーばかりだったけど、ちゃんと面白くてさくさく読んだ。
    今度、この作者の長編を読んでみよう。

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    2026年03月14日
  • ささら さや

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    これから読む人、ハンカチかハンドタオルを身近に置きましょう。
    夫を交通事故で失ったサヤは別の町でやり直そうとする。
    この町で出会う人々が良い意味で一癖二癖あり、何気ない日常のシーンにもほんのりした笑いが詰まっている。
    ゴーストになった夫が探偵役として登場する、という設定もユニークだし主人公が感情を爆発させる瞬間、読者は彼女と同じ目線になっているのだ。
    喪失を抱えたひとが自分の人生を再構築するのは並大抵の事ではない。難しい事である。でも人間にはその計り知れない力がある。そう思わせてくれる作品だ。

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    2024年09月01日
  • いつかの岸辺に跳ねていく

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    前半のフラットでは護が語り、後半のレリーフでは徹子が語る物語。

    前半のような感じでずっと話が続いていたら、ここまで引き込まれなかったかも。

    後半、徹子目線になってから、一気に全てが見えてきて、面白くなった。幼馴染みの護が、全幅の信頼をよせる徹子。ちょっと変わった行動を取ったりする理由がわかった途端、前半のレリーフにも一気に面白さを引き寄せた。

    カタリが登場してからは、どうなることやらとハラハラした。こんな人が近くにいたら、怖すぎる。だから、徹子がいろんな景色を見ながらたどり着いた場所を知ったときは、ほっとした。最後は、あっという間に時が流れてしまったけれど、護の優しさを感じるのには充分な気がした。

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    2024年08月19日
  • ななつのこものがたり

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    ネタバレ

    『ななつのこ』の再読後に、こちらは初めて読んだ。
    『ななつのこ』の作中で語られるストーリーどおりなので理解はできるのだが、あやめさんの超スピード解決が、あまりにも速すぎるのではないかと思ってしまった。謎を認識する前に解決してしまうような。
    繊細で色彩が柔らかくて可愛い挿絵がふんだんに使われていて、贅沢な一冊。
    お母さんが息子に語る構成になっていて、本来の『ななつのこ』そのままでない構成も、憎い!読めてよかった。

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    2024年08月18日