加納朋子のレビュー一覧
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加納朋子さんはミステリ作家だと認識していましたが、その文脈からすると異色と言って良い、PTA奮戦記。多分、本当に子育てに苦労されているお母さん方には身につまされる部分もあるのでしょうが、基本的には明るく、可笑しく、コメディタッチ。なんと言うか、昼ドラ向きですね、これ(実際、ドラマ化されたそうです)。読みながらずーっと、頭の中を岡本真夜の曲が流れていました。明日はきっとHAPPY DAY~♪
とは言え、さらっと重い設定を持ち出してきたり(アレは不意打ちでした)、どんなにギスギスしても根っからの悪人は居なかったり、加納さんらしさは随所に溢れていました。「敵」に立ち向かう、というスタンスで描かれ -
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トホホな経緯で飛行クラブなる謎の部活に入る羽目となった中学1年生、海月。部長を筆頭に変人揃いの彼らは果たして空を飛べるのか?ちなみに具体策ナッシングだ!
…とライトノベルかと見紛うような設定の本書ですが、加納朋子さんがそんな薄っぺらい話を書くわけはなく、ストンと差し込まれる重い要素や、さりげない伏線の張り方など、随所に「らしさ」が現れておりました。根っからの悪人が出てこないのもいつも通りですね。安心して楽しめます。
ノリは「ぐるぐる猿と歌う鳥」に近いかなという感がありますが、設定が中学生に上がった分、青臭くて夢見がち。そして現実はちょっぴり厳しめです。
「底抜けに明るい、青春小説が書きた -
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ネタバレ内容(「BOOK」データベースより)
親の夜逃げのため、ひとり「佐々良」という町を訪れた中学生の照代。そこで彼女が一緒に暮らすことになったのは、おせっかいなお婆さん、久代だった。久代は口うるさく家事や作法を教えるが、わがまま放題の照代は心を開かない。そんなある日、彼女の元に差出人不明のメールが届き始める。その謎が解ける時、照代を包む温かい真実が明らかになる。
ささらさやの続編で、前回の主人公さやも登場します。久代のくちうるささは半端無いですが、きっちりとして実は心優しい老婆をみんな大好きになること請け合いです。親の愛を求めて得られ無いのは不幸なことですね。 -
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ネタバレ親の夜逃げのため、ひとりで「佐々良」という町を訪れ、母親から「遠い親戚」だと紹介されていた鈴木久代さんの家で居候を始めた「雨宮照代」の話。読んでいる最中は、全体的な構成が米澤穂信の『リカーシブル』に似ているような印象を持った作品である。
「雨宮照代」の境遇などを考えると、とても楽しい話にはならないはずだが、田舎ならではの付き合いのあり方などがあって、そこまでじめじめした作品にはなっていない。むしろ、爽やかに感じる部分がある。とはいえ、あえてハッピーエンドにせず、鈴木久代が病死してしまうという終わり方にしたのは見事。とても心に残る作品になった。
登場人物のキャラクターがとても秀逸。夏さんや -
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ネタバレ「普通」の毎日の中で起きるちょっとした不思議な事件。
謎が謎のままで残っているとモヤモヤする。
平凡なOLと自分では思っているかもしれないけれど、陶子の頭の回転の速さと観察力・行動力は結構たいしたもんだ。
そして萩くんの記憶力。
ふたりに共通する優しさ。
読後感がとてもいいのは、彼らの人柄のおかげだ。
だけどちょっと待って。
よ~く読んでみたら、結構刑事事件に該当する謎が「いい話」っぽく解決されてますよ。
右京さんなら許さないところだね。
陶子が少しずつ人間的に成長し、自分を捨てた母親と向き合えるまでになったこと。
大人の弱さを受け入れながら、人をまっすぐに見つめることが出来るところ。
成 -
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妊娠前に買って、読んで、出産後にも読んだ本。
自分の状況が違うと、こんなにも感じる事が変わるのか。。。というぐらい、ママの世界って恐ろしい。
外から聞いたり想像してても到底及ばない。
もっと狭くて・深くて・もっと厄介。苦笑
勉強も学校も仕事もバイトも、自分に関するものって
限界!ってなったらドロップアウト可能なのに
我が子に関する事、ママである立場ではそれが出来ない。
なんとか慣れるか乗り越えるかして立ち向かわなきゃいけない。
だから苦しいし、追いつめられるし、絶望もするんだろう。
母は強しと言うのは、こういうところからも来ているのかもしれない。
世の中のお母さんたちは、多かれ少なかれ -
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作者の加納さんは何気ない普段の生活を取り上げてミステリーの味付けのある小説を書く方ですが、5年前に急性骨髄性白血病を発症してしまいました。彼女は物書きなので、死と隣り合わせで病いと闘った様子をを日記として書いていました。
骨髄移植により現在は寛解に至っていますが、日記と共にその時のことを振り返っても書かれています。この病気の大変さはある程度知っているつもりでしたが、この闘病記を読むとやはり壮絶の言葉が当てはまります。しかし、それよりもこの闘病記が加納さんを取り囲む家族愛の記録となっているところが見事でした。
骨髄細胞をもらった実の弟さんの日記まで載せてありますし、その他、お姉さんと妹さん、お父