北方謙三のレビュー一覧
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「それで、虹の根もとは見えたのですか?」
あそこが虹の根もとだ、とソルタホーンに言ったらしい。そして駈けようとした時、眼を醒ました。
「虹に、根もとなどがあると思うのか」
「人の、思いの中だけのものですか」ソルタホーンが、大きく溜息をついた。
「俺たちは、殿の虹の根もとを、捜し続けてきたのですよ」(93p)
とうとう最後まで、チンギスは虹の根元を見ることはできなかった。チンギスの分身とも言っていいソルタホーンだから口ごたえできたのだろう。何しろソルターホンたちは命を差し出してこの苦しい戦いを伴走してきたのだから。
最終巻。
ホラズム国との戦いを終えて、国づくりの巻になるだろう、という私の予 -
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完全にこの第二巻で調子に乗っちゃった感ある。いい意味で。もうグイグイ北方節きてる。第四代モンゴル皇帝に即位した兄の弟という立場となったクビライは南宋の攻略へ。そして鎌倉幕府の第五代執政北条時頼はモンゴルの影を感じ、来るべき脅威に備え水軍の構築を急ぐ。
どちらかというと今巻は鎌倉の動きがドラマチックで、北条時頼の親子の場面などは痺れる。因みに登場人物の一覧表は巻頭に3ページを割いている。これだけの登場人物がいても、キャラが立っているので混乱することなく会話を把握できて、それぞれのドラマを堪能できるというのは、とんでもなく贅沢なことだと思う。 -
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ネタバレあー辛い。夷陵の戦いがあまりに辛すぎて、2週間ほど読む気になれなかった。そりゃあね、関羽と張飛が倒された今反撃しないわけにはいかない。でも益州が整ってない上に孔明を連れていけない戦いはやはりすべきではなかった...。けど年齢的にも最後のチャンスだったしなぁ。何が最善だったんだろうと逡巡している。
それにしても曹丕は(失礼な言い方になるが)結構歪んだ思想なのに民政が得意で戦が苦手という普通逆じゃね?という勝手な印象を持った、笑 司馬懿の企みもイマイチ読み取れない。もっと凄い人なはずなのにやけに控えめに思えて..。
馬超は去り、劉備は亡くなり、五虎将軍は趙雲のみ。そして軍師は孔明。あと2巻しか -
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この巻でいよいよ'黒旋風'李逵が登場する。言動は荒いがその純粋な性根によって宋江を父、武松を兄として慕う姿は子供を見るようなほのぼのとした気持ちにさせられる。逃亡の旅にも関わらずこの一行が余裕とユーモアさえ感じられるのは3人の絶妙なコンビネーションのお陰だろう。
李逵以外にも重要キャラクターが次々に登場する。特に穆弘と李俊は将来それぞれが陸軍と水軍の大将となる豪傑だ。飛脚ネットワークを構築する戴宗と張横・張順の兄弟も主要キャラクターだ。追われる身でありながら旅を続ける宋江の器量によってこれら英雄豪傑が梁山泊の一員になるプロセスは読んでいても楽しい。
青蓮寺側の動きとして重要 -
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「チンギス・カンは、これから俺が首を奪る相手です。あの男と較べて、どこが狭く小さいのでしょうか?」
「そんなことを訊くなよ。笑い飛ばすのだ。そして、自分を信ずるのだよ」
「そうか。俺に足りないのは、野放図さというか、大らかさというか」
「石酪の礼はできぬ。この火の礼も」
「俺は負けるのですね、先生」
「チンギス・カンと、勝敗を分かち合える男なのか、マルガーシ殿。それほどの大きさを、どこで貰った?」(158p)
マルガーシは、いったい幾度チンギスに肉薄したのか?16巻だけでも3度。総て惜しかった。そして、チンギスの首さえ奪えば、ホラズムはモンゴルに勝てたのだ。14巻から16巻まで、まるまる3巻 -
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ネタバレおいおい...色んな展開ありすぎじゃない?この巻。
まず曹操。頭痛持ちだしいつもの体調不良かと思いきや、みるみるうちに病が進行し...曹丕の時代へ。狡いことも残酷なこともたくさんやってきたけど、時代の変わり目を作った人であり最も勇敢な人だったと私は思う。ただ誰よりも強くて自分で何でもできる人だからこそ、いつもどこか孤独だったろうなとも。
...ってか曹丕、心捻くれすぎてない?その心の弱さを司馬懿がどう使いこなすかが気になる。
馬超と張飛が語り合うシーンが好きで。馬超って呂布に似てると思うんだよな。劉備みたいに家臣から愛されているわけでもなく、曹操みたいに服従or死で割り切れるわけでもなく。 -
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この巻は梁山泊が本格的な戦を仕掛けるための準備を進める場面が主な内容。小さな国とも言うべき組織化が進んでいく。梁山泊内の序列付けも始まる。そういった意味では比較的のんびりした巻だが、大きな出来事は4つある。
まず一つ目は何と言っても楊志と魯智深による二竜山攻略だ。最後の一線を越えられず悶々としていた楊志が遂に立ち上がり、叛乱軍としての覚悟を決める。その契機として親を殺され孤児となった楊令が登場。大水滸伝シリーズの中でも最重要キャラクターの一人だ。二つ目は'九紋竜'史進の子午山入り。強さのみを拠り所にして危うくなっていた史進を魯智深が王進の元へ連れて行く。これによって将来の大 -
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ネタバレ張衛、可哀想だったよなぁ...。宿敵である劉璋を討って五斗米道の国を作るために命かけてきたのに、兄は戦いもせず呆気なく土地を曹操に渡すという...。無力感がえげつない。
最終的には馬超と張衛の尽力もあって漢中を奪えて何よりだけど、まさかあの夏侯淵が打たれるとは!と思ってびっくりしたな。孔明の軍略は見ていて清々しいね。7巻ぐらいから思ってたが曹操軍にまとまりがなくなってきてるのを感じる。
触れなきゃいけないのは関羽のこと。郭真を従者にしたシーンを読んでから関羽の最期を読むとあまりに切なくて心が乱れるわ...。将軍は殿の性格に似るのかもしれないね。関羽、ひとりで寂しかっただろうなとわたしも思った -
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「なぜ、国をひとつになさるのです?」
「おまえのように、国が国がと考えているような人間は少なくなく、たとえ奴隷でも国というかたちの中にいると、反逆が生き甲斐になったりするのだ」
「同じ民草で、国がない。そんな途方もないことが」
「そんなことを考えるようになったのは、モンゴル国を統一してひとつになり、眼が外にむいた時だったな」
「民族があります、宗教もあります」
「それとはまったく別のところに、政事がある。広すぎて眼が届かぬというなら、いまでも充分広すぎる。そうなっていないのは、モンゴル国に文官が育ち、決定的に人が不足することは起きていないからだ」
「人が多ければ多いほど、不正などがはびこります